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上山高原の自然再生

 上山高原は、かつては、春の火入れ、但馬牛の放牧、採草(牛の餌や茅利用)など、周辺地域の人々に利用され、ススキ草原が維持されてきました。このため、草原生のチョウ類やノウサギが生息し、そのノウサギを食べるイヌワシが生息するなど、豊かな生態系が維持されていました。しかし、昭和40年頃から人々の利用がなくなると、ススキ草原は徐々にササ原や灌木に変わり、草原に生息するチョウであるウスイロヒョウモンモドキは絶滅し、イヌワシの数が減るなど、草原ならではの生態系が失われていきました。

 また、周辺のブナやミズナラの原生林は伐採され、スギ人工林へと変化し、生物多様性の低下した森林になりました。

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牛を放牧していた頃の上山高原

(昭和30年頃)

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チマキザサが密生して生物多様性が

低下した上山高原(平成14年)

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スギ植林のためブナ林が伐採された

(畑ヶ平高原 昭和30年頃)

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スギ人工林(平成16年)

◎上山高原の自然再生事業

 イヌワシが生息できる生態系を取り戻すため、県は、平成13年度に上山高原エコミュージアム基本計画を策定し、上山高原の自然再生事業を実施することになりました。

 

-基本方針-

 上山高原の自然再生事業は、人と自然が良好な関係を保っていたと考えられる昭和30年代頃の状況を目標に、スギ等の人工林をブナやミズナラ等の広葉樹林へ戻し、遷移が進み灌木が侵入している草原をススキ草原へと転換していくことで、森と草原双方のバランスを図りながら、上山高原の特徴ある多様な自然を再生していくことを基本方針としており、次の大きな二つの柱を中心に取り組んでいます。

① ススキ草原の復元

  多様な動植物が生息・生育し、イヌワシが生息できる草原をめざします。

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② ブナ林等落葉広葉樹林の復元

  ツキノワグマが生息する豊かな落葉広葉樹林をめざします。

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 特定非営利活動法人上山高原エコミュージアムのメンバーが中心となり、ササや灌木を伐採し、かつて草原を維持するため実施していた山焼き、但馬牛の放牧、手刈り作業を復活させ、平成14年度には、僅かな面積となっていたススキ草原は、平成27年度末時点で約37haにまで増やすことができました。

 また、スギ人工林を間伐し、ブナ苗を植栽するなどの活動を実施しています。

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春の山焼き

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但馬牛の放牧(夏~秋)

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ブナ苗の植樹

◎上山高原自然再生協議会

 地域住民、NPO、専門家、行政など幅広い主体の参画のもと、地域に根ざした上山高原の自然再生を推進するため、必要となる事項の協議・決定を行うことを目的として、平成22年3月に自然再生推進法(平成14年法律第148号)に基づき「上山高原自然再生協議会」を設置し、「上山高原自然再生全体構想」及び「上山高原自然再生事業実施計画」を策定し、自然再生事業を実施しています。

 平成27年11月には、「上山高原自然再生事業実施計画」の改定に伴い、自然再生専門家会議が新温泉町で開催され、専門家による評価が行われました。

・上山高原自然再生全体構想.pdf(PDF2.16MB)

・上山高原自然再生事業実施計画.pdf(PDF1.18MB)

・環境省 自然再生専門家会議平成27年度第2回議事次第・資料ページ(外部サイトへリンク)

 

 上山高原自然再生協議会では、毎年、上山高原の自然再生の方針について協議を行うほか、自然再生協議会全国会議に参加し、全国各地の自然再生協議会と情報交流を図っています。

 詳しくは、上山高原自然再生協議会ページへ

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・上山高原自然再生協議会ページ(外部サイトへリンク)

・環境省自然再生推進法のページ(外部サイトへリンク)