○清水東条湖立杭県立自然公園の概要
清水東条湖立杭県立自然公園は、東播磨地方と阪神・丹波地方の境界部に位置し、三田市・西脇市・篠山市・加東市の4市にまたがって広がる丘陵性の自然公園である。
景観特性は、やや険しい山岳地等の自然景観、そして山々の合間に存在する集落・農地・社寺等の人文景観が主体となっている。北部山岳区域の景観は壮年期、または老齢期の初期の属する500~700m級の山々が連なり、比高は600m程度である。武庫川と篠山川の分水界にあたる山地であるが、深山ではないため西光寺山の一部を除いては渓谷景観は見られない。表層地質は有馬層群が主体である。また、山々の山頂には隆起準平原の断片を示す平坦地が見られる。
植生については、土壌が良好なためスギ・ヒノキ植林が比較的多く見られ、次いでアカマツ―モチツツジ群集が多く見られる。自然度の高い植生としては、西光寺山山麓沿いの湿地に見られる貧養湿地矮生草本植物群落の他、点在する社叢林等に見られる。また自然植生ではないが、学術上貴重な植物群落として西光寺山南東斜面にウバメガシ林が広範囲に存在している。
野生動物については、本公園を含む周辺一帯の山地は、何らかの形で人為的影響を受けている二次林がほとんどであり、一般的な里山型の生物が中心に生息している。哺乳類相は、東播磨・丹波地方ではごく普通に生息している種で占められ、タヌキやキツネのようないわゆる里山の生物といわれる種が多く確認されている。鳥類相でも、東播磨・丹波地方にごく普通に生息する種が多く確認されたが、中にはハチクマのように兵庫版レッドデータブックAランクに指定されている貴重な鳥類も確認されている。爬虫類相でも同様に本公園周辺地域では普遍的に生息する種が主であったが、国の特別天然記念物に指定されているオオサンショウウオも確認されている。昆虫類相でも、本公園区域周辺の丘陵地から低山地にかけてごく普通に生息するものが確認されたが、中にはギフチョウ等貴重な昆虫類も確認されている。