第2 「新兵庫県地球温暖化防止推進計画」の推進
1 計画の基本的方向
「新兵庫県地球温暖化防止推進計画」は、我が国の削減目標を踏まえつつ、県民・事業者・行政が、実施可能な最大限の努力を払うという姿勢のもと、本県における平成22年度の温室効果ガス総排出量を、平成2年度比で6%削減することを目標としており、県民・事業者・行政のそれぞれの役割に応じて取り組むべき地球温暖化防止活動の具体的な行動計画となるものである。
今後、「新兵庫県地球温暖化防止推進計画」の目標達成を図るため、「京都議定書目標達成計画」及び地球温暖化対策推進法や改正条例に基づく大規模事業場の排出抑制計画を踏まえ、平成17年度に「新兵庫県地球温暖化防止推進計画」の中間見直しを行う。
2 温室効果ガスの排出状況
平成14年度の兵庫県における温室効果ガスの総排出量は、二酸化炭素換算で7,399万tとなり、「新兵庫県地球温暖化防止推進計画」の基準年度である平成2年度の排出量7,303万tに比べ、1.3%の増加、平成13年度の7,262万tに比べると、1.9%の増加となっている。この要因は、県の温室効果ガス総排出量のうち大部分(約95%)を占めるCO2の約70%を占める産業部門における排出量が、平成13年度から景気の回復傾向にあることの影響から平成13年度から1%増加したことなどによる。
なお、平成14年度の全国の温室効果ガス総排出量は13億3,100万tであり、兵庫県はその5.6%を占めている。
兵庫県内の温室効果ガス排出量の95%を占める二酸化炭素の排出量は、7,018万tとなり、平成2年度に比べ、2.8%の増加となっている。
また、平成14年度の県民一人あたりの二酸化炭素排出量は、12.6tであり、全国平均値9.8tを上回っている。
部門別の排出割合は、産業部門が68.8%、運輸部門が12.9%、民生(家庭)が10.3%、民生(業務)が3.9%を占めており、産業部門からの排出比率が全国値(37.5%)と比較して高いのが特徴となっている。
第3-6-1図 部門別二酸化炭素排出量と県民一人
当たりの二酸化炭素排出量の推移

第3-6-2図 平成14年度の全国及び兵庫県に
おける部門別二酸化炭素排出量

3 主体別の行動
温室効果ガス排出量の削減目標を達成するため、県民・事業者・行政は、それぞれの主体がそれぞれの役割を十分認識し、ステップアップ方式により、積極的な行動を起こすとともに、パートナーシップのもと、相互の連携により削減対策に取り組むことが必要である。

第3 地球温暖化防止活動の推進
県民・事業者・行政のパートナーシップによる地球温暖化防止活動を促進するための拠点として(財)ひょうご環境創造協会を「兵庫県地球温暖化防止活動推進センター」に指定するとともに、県民のライフスタイルを地球温暖化防止に配慮したものに変革していくため、「兵庫県地球温暖化防止活動推進員」や、「兵庫県地球温暖化防止活動推進協力員」を県民から公募のうえ委嘱し、その活動を支援している。これら推進員等は、地域の集会やイベント等に参加し、パンフレット等による普及啓発活動を行ったり、地域ぐるみで太陽光発電・バイオマスエネルギーの導入を促進する活動などに取り組んでいるほか、幼稚園児とその親、小中学生を対象にした「温暖化STOP親子教室」を開催し、子どもの頃からの地球温暖化防止に関する意識醸成を図る活動を行っている。
兵庫県地球温暖化防止活動推進センターの機能 〈情報センター機能〉 ・ 情報の収集・提供 ・ 調査研究 〈活動支援機能〉 ・ 兵庫県地球温暖化防止活動推進員・同推進協力員の活動支援 ・ 県民、NGO等の活動に対し、助成・助言等の支援 ・ セミナー開催等の普及啓発活動 ・ パネル・パンフレット等啓発資材の作成・提供 |
「新兵庫県地球温暖化防止推進計画」に基づく削減目標を達成するため、国の「長期エネルギー需給見通し」を踏まえて、省エネルギーや新エネルギーの導入促進を図ることを目的に、平成14年7月に「グリーンエネルギー推進プログラム」を策定した。
プログラムでは、一層の省ネルギー対策と新エネルギーの導入を県民・事業者とともに進めるために、省エネルギー及び新エネルギー対策のそれぞれについて対策の方向性と目標を示すとともに、行政としてグリーンエネルギー導入を進めていくために、「環境創生5%システム」(平成17年度対象事業からは「環境創生15%システム」に改正)による県発注の公共工事のグリーン化の促進や風況マップの作成による風力発電導入の促進の他、菜の花から食用油をつくり、使用後の廃食用油を回収して、バイオディーゼル燃料を製造する「あわじ菜の花エコプロジェクト」や県民・事業者のボランタリーな基金(ひょうごグリーンエネルギー基金)により、県内各地のシンボリックな建物に太陽光発電施設等を設置する等の先導的プロジェクトの推進を図ることとしている。
また、グリーンエネルギーについて、県民・事業者に広く情報を提供し、普及啓発を図るため、県内10地域において、太陽光パネル等グリーンエネルギー関連機器の展示等を行う「グリーンエネルギーメッセ」を開催する他、国・県・市町・関連メーカー等で構成する「グリーンエネルギー導入促進会議」を設置し、市町等での計画的導入の促進などを行っている。
さらに、中播磨及び淡路地域において、地域の特色を生かしたグリーンエネルギー導入等を検討する協議会が設置され、地域におけるグリーンエネルギーの導入促進が図られている。
第3-6-3図 ひょうごグリーンエネルギー基金の概念図

第5 温暖化特定事業実施届け出制度(温暖化アセス)
温室効果ガスの排出抑制を効果的に実施するために、一定規模以上の施設等の新増設を行おうとする際に、温室効果ガスの排出抑制措置が積極的・自主的に講じられているかどうか評価するために、事前に届け出る制度を「環境の保全と創造に関する条例」に規定し、平成8年7月1日から施行し、平成12年9月に、対象事業の範囲等を拡大した。
平成16年度の届け出件数は7件となっている。
第6 工場等にかかる温室効果ガスの排出抑制
本県における温室効果ガス排出量の約7割を占める工場等における排出を抑制することにより、「新兵庫県地球温暖化防止推進計画」の達成が図られるよう、平成15年10月1日に「環境の保全と創造に関する条例」を改正して、一定規模以上の工場等に対し、温室効果ガス排出抑制計画の提出と今後毎年の排出抑制措置結果の報告を義務付けており、事業者の自主的な温暖化対策への取組を推進している。
第7 ヒートアイランド対策
<コラム>ヒートアイランド現象
本県においても熱帯夜の増加等、都市部においてヒートアイランド現象が観測されることから、平成17年度に策定した「兵庫県ヒートアイランド対策推進計画」に基づき、次の4つの柱となる項目について、それぞれ目標を定め、県民・事業者・行政が一体となって推進していく。
①人工排熱の低減
②地表面被覆の改善
③都市形態の改善
④ライフスタイルの改善