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平成17年度版 環境白書 用語解説

 

環境効率:

1992年にリオデジャネイロで開催された地球サミットに向けて、産業界からの提案の一つとして、「持続可能な発展のための世界経済人会議の(WBCSD)」が提唱された概念であり、製品やサービスの生産にあたって環境への負荷の比率を示すものである。

 

環境審議会:

環境基本法第43条第1項に基づき都道府県の区域における環境の保全に関して、基本的事項を調査審議させる等のため、環境の保全に関し学識経験のある者を含む者で構成される審議会。知事からの諮問(意見を尋ねること)に対し、答申(意見を述べること)を行う。

 

環境基本法:

平成5(1993)年に制定・施行された環境分野についての国の政策の基本的な方向を示した法律。基本理念、国・地方公共団体・事業者・国民の責務を明らかにするとともに、環境の保全に関する施策の基本となる事項を定めている。

 

環境影響評価:

環境に大きな影響を及ぼすおそれがある事業について、その事業の実施に当たりあらかじめその事業の環境への影響を調査、予測、評価し、その結果に基づき、その事業について適正な環境配慮を行うことである。兵庫県においては、事業者が環境影響評価法や環境影響評価に関する条例に基づき、道路やダム、鉄道、発電所などの対象事業について、地域住民や専門家、環境担当行政機関が関与する手続が実施されている。

 

閉鎖性海域:

外部との水の交換が少ない内湾、内海などの閉鎖性海域という。閉鎖性海域では流入してくる汚濁負荷が、外部へ流出しにくいため、同水域内に蓄積する。大都市や工業地帯に面している閉鎖性海域では水質汚濁が著しく、富栄養化も進行している。外洋との海水交換が悪く、周辺からの流入汚濁負荷が大きい東京湾、伊勢湾、瀬戸内海などでは赤潮が発生している。このため「水質汚濁防止法」、「瀬戸内海環境保全特別措置法」等に基づき、必要な措置が講じられている。

 

計画段階環境アセスメント:

事業の枠組みが決まった後に行うのではなく、開発計画などの立案段階から環境への影響を予測・評価する環境影響評価制度をいう。

 

BOD(Biochemical Oxygen Demand):

生物化学的酸素要求量。水中の汚濁物質を分解するために微生物が必要とする酸素の量。値が大きいほど水質汚濁は著しい。

 

COD(Chemical Oxygen Demand):

化学的酸素要求量。水中の汚濁物質を化学的に酸化し、安定させるのに必要な酸素の量。値が大きいほど水質汚濁は著しい。

 

75%値:

n個の日間平均値を水質のよいものから順に並べたとき、0.75×n番目(0.75×nが整数でない場合は、その数を超える最小の整数)の値をいう。

 

アドプトプログラム(養子縁組を基調とした環境保全創造のとりくみ):

ボランティア団体等の協力を得て、公物管理の一部を委託する方策で、ボランティア団体や企業等が道路や河川の区画を「子」とし清掃活動や植栽の手入れなどを行う一方、行政側は団体名の入ったサインボードの設置を認めるほか、保険費用の負担等の支援を行うなどの方法がある。

 

二酸化硫黄:

硫黄と酸素の化合物で、工場や火力発電所で石炭、重油を燃焼する際、その燃料中に存在する硫黄分が二酸化硫黄となり排出ガス中に含まれ大気汚染の原因となる。二酸化硫黄は人の健康に影響を及ぼす他、酸性雨の原因物質である。このため「環境基本法」に基づき、人の健康の保護の見地から環境基準が定められている。また、「大気汚染防止法」では二酸化硫黄を含めた硫黄酸化物についてK値規制(地域と煙突の高さに応じて排出が許容される量を定める規制)や総量規制などを実施している。

 

窒素酸化物:

物が燃える際には、空気中の窒素や物に含まれる窒素化合物が酸素と結合して窒素酸化物(NOx)が必ず発生する。発電所や工場のボイラー、および自動車エンジンなど高温燃焼の際に一酸化窒素(NO)が発生し、これはまた酸化されて安定な二酸化窒素(NO2)となり大気中に排出される。通常、この一酸化窒素(NO)と二酸化窒素(NO2)とを合わせて窒素酸化物(NOx)と呼ぶ。窒素酸化物は人の健康に悪影響を及ぼすおそれがある。また窒素酸化物は紫外線により光化学反応を起こし、オゾンなど光化学オキシダントを生成する。窒素酸化物による大気汚染を防止するため、大気汚染防止法等により対策が進められている。

 

浮遊粒子状物質:

大気中の粒子状物質のうち、粒径 10μm 以下のものをいう。大気中に長期間滞留し、肺や気管などに沈着するなどして呼吸器に影響を及ぼすおそれがあるため、環境基準が設定されている。工場等の事業活動や自動車の走行に伴い発生するほか、風による巻き上げ等の自然現象によるものもある。排出されたとき既に粒子としての性状を持つ「一次粒子」と排出時にガス状であった化学物質が大気中での光化学反応等により粒子化する「二次生成粒子」に分類される。

 

光化学オキシダント:

工場、事業場や自動車から排出される窒素酸化物(NOx)や炭化水素類(HC)を主体とする1次汚染物質が、太陽光線の照射を受けて光化学反応により二次的に生成されるオゾンなどの物質の総称で、いわゆる光化学スモッグの原因となっている。光化学オキシダントは強い酸化力を持ち、高濃度では眼やのどへの刺激や呼吸器へ影響を及ぼし、農作物などへも影響を与える。

 

アスベスト(石綿):

繊維状の鉱物を綿のようにもみほぐしたもので、蛇紋石の群に属する繊維状のけい酸塩鉱物(クリソタイル[白石綿])、角閃石の群に属する繊維状のけい酸塩鉱物(アモサイト[茶石綿]、クロシドライト[青石綿]、トレモライト、アクチノライト、アンソフィライト)をいう。(建築物解体等に係るアスベスト飛散防止対策マニュアル[ぎょうせい]より抜粋)

 

騒音規制法:

生活環境の保全、国民の健康保護のため、工場・事業場における事業活動並びに建設工事による騒音の規制や、自動車騒音の許容限度を定めた法律。

 

振動規制法:

生活環境の保全、国民の健康保護のため、工場・事業場における事業活動並びに建設工事による振動の規制や、道路交通振動の許容限度を定めた法律。

 

悪臭防止法:

生活環境の保全、国民の健康保護のため、工場・事業場における事業活動に伴って発生する悪臭についての必要な規制、悪臭防止対策の推進について定めた法律。

 

自動車排出ガス測定局:

人が常時生活し、活動している場所で、自動車排出ガスの影響が最も強く現れる道路端またはこれにできるだけ近接した場所において測定する大気汚染測定局。

 

一酸化炭素:

炭素化合物の不完全燃焼等により発生する物質。血液中のヘモグロビンと結合して、酸素を運搬する機能を阻害するなどの影響を及ぼすほか、温室効果ガスである大気中のメタンの寿命を長くすることが知られている。

 

自動車NOx・PM法:

自動車から排出される窒素酸化物及び粒子状物質による大気汚染の防止に関して国、地方自治体、事業者等の果たすべき責務を明らかにするとともに、 その汚染の著しい特定の地域について、自動車から排出される窒素酸化物及び粒子状物質の総量を削減する所要の措置を講ずることなどにより、二酸化窒素及び浮遊粒子状物質に係る環境基準の確保を図っていくことを目的とした法律(平成13年6月改正)。

 

車種規制:

トラック・バス等(ディーゼル車、ガソリン車、LPG車)及びディーゼル乗用車に関して、法の定める窒素酸化物排出基準及び粒子状物質排出基準を満たさない車両は登録できなくする規制。自動車NOx・PM法第12条に規定されている。

 

低公害車:

従来のガソリン車やディーゼル車に適用される最新の規制値と比べて、排出ガス中の汚染物質の量が少ない車。電気自動車、天然ガス自動車、ハイブリッド自動車等がある。(低燃費かつ低排出ガス車を含める場合もある。)

 

要請限度:

騒音規制法及び振動規制法に基づき、環境省令で定める自動車騒音・振動の限度である。市町村長は要請限度を超えていることにより道路周辺の生活環境が著しく損なわれると認めるときは、都道府県公安委員会等に対し、自動車騒音・振動を減少させるよう措置をとることを要請する。(例)騒音における高速道路、一般国道、県道、2車線以上の市町村道等幹線交通を担う道路の要請限度は、昼間(午前6時~午後10時)で75dB夜間(午後10時~翌午前6時)で70dB。

 

dB(デシベル):

振動(音は空気の振動)の大きさを表す単位である。測定した振動の持つエネルギー量を基準となるエネルギー量で除したものの対数から求められるものであり、例えば、エネルギー量が10倍になれば、 10dB、100倍になれば20dB増加する。

 

環境ロードプライシング:

自動車交通による大気汚染が著しい地域の道路利用に対して課金をし、公共交通機関の利用促進や他路線への迂回を誘導することにより、自動車公害の低減を図る手法。

 

WECPNL(Weighted Equivalent Continuous Perceived)Noise Level):

加重等価平均感覚騒音レベルなどと訳される航空機騒音の大きさを表す単位。騒音のピークレベルのパワー平均値(エネルギー平均値)と時間帯別の騒音発生回数(機数)を基にして算出される。

 

ディレイドフラップ:

脚下げ及びフラップ下げ操作をなるべく遅くして機体の空気抵抗を減じ、エンジンの必要推力を減じることにより騒音軽減を図る。

 

バラストマット:

新幹線騒音・振動防止のために開発された合成ゴムのマットである。高架橋からの振動では、特に線路と車輪で作られる振動が大きいが、バラストマットはその振動防止、また騒音対策としても有効である。一般的には3~9dB程度の騒音低減効果があると言われている。

 

SS(浮遊物質量):

水中に浮遊する小粒子状物質。動植物プランクトン、生物の死骸とその破片、排泄物などの有機物、砂・泥などの無機物のほか各種の人工汚染物からなる。

 

農業集落排水:

農業集落におけるし尿、生活雑排水などの汚水または雨水を処理する施設の整備または改築を行い、農業用用排水の水質保全、農業用用排水施設の機能維持、または農村生活環境の改善を図り、併せて、公共用水域の水質保全に寄与する。

 

コミュニティ・プラント:

地域し尿処理施設。下水道区域外で、計画処理人口が 101人以上 3 万人未満の水洗便所のし尿と、生活排水を併せて処理する施設。

 

富栄養化:

元来は、湖沼が、長い年月の間に流域からの栄養塩類の供給を受けて生物生産の高い富栄養湖に移り変わっていく現象を指すものであったが、近年、人口、産業の集中等により、湖沼に加えて東京湾、伊勢湾、瀬戸内海等の閉鎖性海域においても窒素、燐等の栄養塩類の流入により、藻類等が増殖繁茂することに伴い、その水質が累進的に悪化することをいう。

 

硝酸性窒素と亜硝酸性窒素:

窒素化合物のうち硝酸性塩のこと。窒素肥料や家畜のふん尿、工場排水などに含まれる窒素が環境中で微生物に分解されて生成する硝酸性窒素と、中間生成物の亜硝酸性窒素がある。

 

特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律(PRTR 法):

工場や事業所が化学物質の環境中への排出量や廃棄物としての移動量を把握し、行政に報告、行政が公表することを通じて、特定化学物質の適正管理を目的とする法律。

 

環境リスクコミュニケーション:

化学物質などによる環境汚染が複雑になり、それらによる人の健康や自然生態系などへの影響(環境リスク)について長期間の影響などを含め適切に評価することなどが重要となる中で、事業者・国民・行政などが環境リスク情報を互いに共有しコミュニケーションを深めつつ共に対策を確立し進めていく手法。

 

ばいじん:

工場・事業場から発生する粒子状物質のうち、燃料その他の物の燃焼時に伴い発生する物質。

 

TEQ(毒性等量):

TEQ(Toxicity Equivalency Quantity)とは、ダイオキシン類には多くの異性体が存在し、異性体毎に毒性が大きく異なるため、各異性体の濃度に、一番毒性の強いダイオキシン(2,3,7,8-四塩化ジベンゾ-パラ-ジオキシン)の毒性を1とした場合の各異性体の毒性等価係数(TEF:Toxicity Equivalency Factor)をかけて表したものをいいます。

 

外因性内分泌攪乱化学物質(環境ホルモン):

環境中の化学物質で、動物の生体内に取り込まれた場合に、本来、その化学物質生体内で営まれている正常なホルモン作用に影響を与える外因性の物質を指す。動物の体内のホルモン作用をかく乱することを通じて生殖機能を阻害したり、悪性腫瘍を引き起こすなどの悪影響を及ぼしている可能性があると指摘されている。

 

一般廃棄物:

「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」で定められた「産業廃棄物以外の廃棄物」。具体的には、住民の日常生活に伴って生じたごみ、粗大ごみ、し尿などのこと。

 

廃棄物処理法:

正式名称は「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」。戦後、都市人口の増加や高度経済成長に伴い、排出される廃棄物の多種・多様化が進むと同時に、各地で公害問題が発生したため、廃棄物の排出を抑制し、適正な分別、保管、収集、運搬、再生、処分等の処理を行い、生活環境の保全及び公衆衛生の向上を図ることを目的として1970年(昭和45年)に制定された。

 

PCB(Poly Chlorinated Biphenyl)(ポリ塩化ビフェニル):

PCBは1929年に初めて工業製品化されて以来、その安全性、耐熱性、絶縁性を利用して電気絶縁油、感圧紙等、様々な用途に用いられてきたが、環境中で難分解性であり、生物に蓄積しやすくかつ慢性毒性がある物質であることが明らかになり、生産・使用の中止等の行政指導を経て、1974年に化学物質審査規制法に基づく特定化学物質(現在では第一種特定化学物質)に指定され、製造及び輸入が原則禁止された。これ以降、廃PCB等の処理施設の整備が進まなかったことから、事業者が長期間保管し続けてきており、環境保全の観点から、早急にPCBを処理することが求められている。

 

エコタウン:

「ゼロ・エミッション構想」を地域の環境調和型経済社会形成のための基本構想として位置づけ、併せて、地域振興の基軸として推進することにより、既存の枠にとらわれない先進的な環境調和型まちづくりを推進することをめざし、経済産業省と環境省の連携事業として、平成9年度に創設された制度。それぞれの地域の特性に応じて、都道府県または政令指定都市がプランを作成し、国の承認を受けた場合、当該プランに基づいて実施されるリサイクル施設の設備事業などに国の総合的・多面的な支援が実施される。

 

デポジット制度:

製品本来の価格にデポジット(預託金)を上乗せして販売し、使用後の製品が所定の場所に戻された際に預託金を返却することにより、消費者からの当該製品の回収を促進しようとするもの。なお、広義のデポジット制度として、預託金なしの「回収報奨金方式」があり、国内では多くの自治体において採用されている方式である。兵庫県のデポジット制度もこの方式を採用している。

 

廃棄物処理センター:

産業廃棄物等の処理施設の設置は、従前からの設備や技術では、適切な処理が困難な廃棄物が増大している状況の中で、各種の法規制の強化等により困難になっていることから、公共の信用力、公的及び民間の賃金、人材、ノウハウを活用した廃棄物の適正かつ広域的な処理施設の整備を図るため、廃棄物処理法による環境大臣の指定に基づく廃棄物処理センターとして、国の認めた公益性の高い機関が、安全性と信頼性の確保を図りながら、廃棄物の適正な処理を行うための制度が導入されている。

 

レッドデータブック:

環境省が、日本の絶滅のおそれのある野生生物の種についてそれらの生息状況等をとりまとめたもの。全世界レベルのレッドデータブックを編纂している IUCN(国際自然保護連合)で、より定量的な評価基準に基づく新たなカテゴリーが平成6年に採択されたこと等を受け、わが国においても平成7年よりレッドデータブックの見直し作業を開始している。新しいレッドデータブックは、レッドリストの公表後に作成しており、平成15年5月までに、「爬虫類・両生類」「植物Ⅰ(維管束植物)」「植物Ⅱ(維管束植物以外)」「哺乳類」「鳥類」「汽水・淡水魚類」が刊行済みである。

 

エコミュージアム:

地域全体を1つの博物館に見立て、そのなかの自然及び文化遺産などをそのまま保存・展示し、それらを生き物や自然の植生などとふれあい、地域の自然や文化を学ぶことができる体験施設や地域活性化の場として活用しようという概念。

 

里地里山:

奥山と都市の中間に位置し、集落とそれを取り巻く二次林、それらと混在する農地、ため池、草原等で構成され、かつては農林業などのさまざまな人間の働きかけを通じて、多様な生き物を育んできたが、近年、過疎化等による手入れ不足や開発等により、質の低下や消失が進行している。

 

プロセニアム形式:

プロセニアム・アーチというガクブチ状の構造物で、舞台を縁取ってあるタイプの劇場のこと。

 

クリーン開発メカニズム:

京都議定書で定められた温室効果ガス排出量を削減する国際制度(京都メカニズム)の一つで、先進国が途上国で地球温暖化対策を実施した場合にその削減分の一部を自国の目標達成に利用することができる制度。

 

バイオマスエネルギー:

生物体を構成する有機物(木くず、生ゴミ、家畜糞尿等)から、酸化・燃焼などの化学反応を介して利用されるエネルギーのこと。

 

グリーンエネルギー:

エネルギー効率の高い家電製品等の使用、製造工程におけるエネルギー使用の合理化等の省エネルギー対策と、太陽光発電、バイオマス発電の導入等の新エネルギー対策を併せた総称。

 

フロン:

フッ素を含む炭化水素化合物の総称(正式名称:フルオロカーボン)でCFC(クロロフルオロカーボン)、HCFC(ハイドロクロロフルオロカーボン)、HFC(ハイドロフルオロカーボン)などがあります。無毒性、不燃性、化学的安定性等に優れた性質を持つことから、カーエアコン、電気冷蔵庫や業務用冷凍冷蔵機器などの冷媒のほか、断熱材の発泡剤などさまざまな用途に使用されています。

 

短稈(たんかん):

稲の茎のことを「稈(かん)」と言い、茎の長さのことを「稈長(かんちょう)」と言う。稲の種類(品種)により茎の長さが異なり、特性となる。稈長の短い(品種)ことを短稈と言う。

 

池塘(ちとう):

池の堤体のこと。池の水を貯める堤防・土手部分のこと。

 

珪藻(けいそう):

植物の一種、単細胞植物で細胞膜が珪酸化した藻類のこと。