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第3部 第7章 調査・研究

 

第1節 県立健康環境科学研究センター

 

(安全科学部)

第1 「兵庫県ダイオキシン類削減プログラム」に基づく各種対策の削減効果の数値的検証及び新たな施策の低減に関する研究 

 

ダイオキシン類の排出状況や環境濃度の現状を把握し、各種削減対策の効果を確認、評価するとともに、ダイオキシン類と同様な環境リスクが懸念される有害物質を含め調査検討を行った。

 

1 地域の汚染実態の継続的な把握

 

 昨年度までに当センターが開発し、公定法化につながることになったローボリウムエアサンプラー法を現地に適用し、POPs条約対策の基礎データを得るために、引き続き地域の長期平均濃度の把握に努めた。濃度レベルは、環境省によって全国的に実施されているモニタリング調査結果と比較して、いずれの物質もその範囲内若しくはより低濃度側にあった。 

 また、昨年までと同様、現モニタリングでは測定項目に含まれない低塩素化ダイオキシン類や、毒性係数が示されていないその他の異性体を含めた詳細なダイオキシン類分析を行い、地域や地点による汚染原因の違いの把握に努めた。

 

2 ダイオキシン類濃度予測のための発生源データの整理

 

 これまでの3カ年の県下の発生源データを検証したところ、同一施設であっても測定時期により数倍から数十倍の濃度の開きがみられ、シミュレーション結果に大きな影響を与えることが判明した。そこで、従来のように一意的に入力データを与える手法ではなく、統計的手法によって推定される確率分布に基づいて入力データ分布を与え、パラメータの不確実性を考慮した濃度予測法を検討した。

 

3 環境情報データベースの統合

 

 従来、散逸していた環境情報を位置情報とともに統合管理する手法として、簡易GISによる方法を試みた。県下のPRTR対象全事業所やモニタリングポイントの緯度経度座標の把握を行い、基礎となるデータベースを構築しながら、誰にでも容易に環境情報データや解析結果を地図上に可視化できる方法の確立に努めた。

 

4 新規分析法の開発

 

 大気中臭素化ビフェニル(PBB)及び臭素化ジフェニルエーテル(PBDE)の分析を行った。PBBは不検出であったがPBDEは検出された。環境大気中POPs類の分析を行った結果、HCB、HCH、クロルデン類や、日本では使用されていないとされていたマイレックスも検出された。

 

5 県下の高濃度検出個所についての詳細調査の実施

 

 これまでのモニタリングにおいて相対的に高い濃度が観測されている大気や河川を対象として、詳細調査を実施した。大気高濃度地点については、建築物に使用されているシーラントに含まれるPCBが高濃度の原因であること、河川については、かつて使われていた農薬中の不純物が原因になっている可能性が明らかになった。

 

第2 生体試料によるダイオキシン類暴露モニタリング

 

 母乳中ダイオキシン類の濃度の推移を把握し、体内ダイオキシン類を減少できるライフスタイルを見いだすとともに、地域生態系の汚染度とその推移を把握することを目的として研究を行った。

 

1 倫理委員会の設置に向けた取組

 

 ヒト試料を取り扱うにあたり、倫理審査委員会設置に向けた準備を行った。

 

2 野生生物のモニタリング

 

 野生生物中のダイオキシン類を分析するにあたり、野生生物の捕獲方法の検討と収集を行った。他研究機関との協力体制を構築し、野生生物試料の入手経路を確立した。

 

第3 有害化学物質環境リスク評価の地域特化と総合化に関する研究

 

 POPs条約対象物質、内分泌撹乱化学物質、農薬、PRTR法指定化学物質など、人や生態系への影響が懸念される微量有害化学物質の環境リスクについて、地域に対応しかつリスクを総合的に評価することを目的に研究を実施した。

 

1 PRTR・統計データの解析

 

 県下8地点における大気中揮発性有機化合物42物質の測定結果と、PRTRデータから算出した各調査地点周辺における届出排出量との比較検討を行った。42物質を検出状況および排出状況により9グループに分類することができ、6グループについては届出外排出量の影響を考慮する必要性を明らかにした。また、産業技術総合研究所化学物質リスク管理研究センターで開発された化学物質水系暴露解析モデルを入手し、モデル作動のためのデータセットの構築を行った。

 

2 機器分析法の開発

 

 ゴムの劣化防止剤であるN-モノ(ジ)メチルフェニル-N'-モノ(ジ)メチルフェニルパラフェニレンジアミンの、底質および生物試料に関する分析法の開発、陰イオン界面活性剤直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムのLC/MS/MS法による高感度分析法の開発などを行った。

 

3 バイオアッセイ・包括分析法の開発

 

 ヒトエストロゲン受容体遺伝子を組み込んだ酵母による酵母ツーハイブリッド法を河川水試料に適用し、前処理方法の検討や本法に関する従来法と改良法との比較を行った。また、エストロゲンレセプターαバインディングアッセイキットの有効性を比較検討した。

 

4 モニタリング最適化の検討

 

 農薬が集中して使用される水田地域を対象として、水田除草剤や殺虫・殺菌剤を中心とした81種類の農薬について、周辺河川での農薬の流出状況を調査し、農薬が高頻度で使用される時期に連動したモニタリングの有用性を明らかにした。

 

第4 PCB汚染物等の適正処理技術構築及び施設管理に関する研究

 

 PCB特別措置法により2016年までの処理義務が定められ、早急な対応が必要となっているPCB廃棄物について、その保管量が全国で5番目、西日本では大阪府に次ぎ2番目に多い本県の状況を踏まえ、PCB汚染物等の適正な処理技術の研究を実施した。

 

1 PCB廃棄物の保管状況 

 

 トランス・コンデンサ等液状物以外のその他のPCB汚染物には、安定器、感圧紙、ウエス、汚泥、その他があり、汚泥についても、土砂、浚渫しゅんせつ泥、灰白土等の種類があった。保管状態は、ドラム缶、鉄箱、プラスティック容器等様々な容器に保管され、保管場所も専用倉庫、地中埋設等様々であった。それらの濃度範囲も、数ppmオーダーから数十%オーダーまでにわたった。県内では、保管量としては汚泥等が非常に大きなウエートを占めた。また、PCBの回収が比較的容易な高圧トランス類よりも、回収が困難な安定器の数が多かった。処理に際しては、これらの濃度と保管量を勘案する必要があることが判った。

 

2 処理技術の比較検討

 

 2016年までに処理を完了するためには、処理技術が確立されていない汚泥、安定器、感圧紙等の処理が必要であることから、これらの処理技術を確立するため、環境事業団(現日本環境安全事業㈱)の委託を受けた兵庫県環境クリエイトセンターが主体となり、技術の比較・検討をした。実証試験の結果、いずれも安全に処理できることが確認された。

 

3 簡易分析法の開発

 

 処理に際しては、処理後物や排水・排ガスの正確で迅速な分析が求められることから、カートリッジカラムを利用して大気試料捕集を行う簡易分析法を開発した。また、高温高圧抽出装置や充填じゅうてん済みカラムの活用による前処理とクリーンアップの迅速化も行った。

 

(水質環境部)

第5 瀬戸内海沿岸の環境浄化能・汚濁蓄積特性の評価及び経済的環境評価に基づく環境保全・創造施策の提言に関する研究

 

 海域の水環境汚染は、環境基準・排出基準等の設定・強化により一定の改善がみられるものの、依然として赤潮発生や底層貧酸素化が観測されている。近年、更に良質な海域環境の創造が求められており、流域・海域の適切な管理が必要となっている。そのため、良好な水環境管理方策を見いだすことを目的として研究を行った。

 

1 干潟・砂浜・藻場・人工海岸等が生態系・水質保全に果たす役割の解明

 

 沿岸域における干潟・砂浜・藻場等は生物活動が盛んであり、有機物分解能、窒素・燐除去能の高い水質浄化能があることから環境保全上重要とされている。富栄養化が進行している尼崎港内に造成された人工干潟では、外部からアサリを移入してかごの中で養成すること、養成したアサリにより環境浄化を行うことが可能であることを示した。本研究では、人工干潟中で発生し成長するアサリを調査することで、当該人工干潟が生物の生息する場としての役割を担っていく可能性を検討した。

 人工干潟中で生息するアサリの現存量調査を行った結果、秋季の産卵に由来するアサリの稚貝が着底し成長していることが分かった。また、アサリのバイオマス(生体量)の増減から、秋季の抱卵による増加、冬季の低水温による摂餌量の減少が示唆された。

 人工干潟がアサリの浮遊幼生の着底や成長に好適な状態となっていることを示しており、本干潟が水質浄化のため人工干潟の好例として位置付けられ、アサリによって窒素・リンが取り込まれるので水質浄化が期待される。

 

2 貧酸素水塊の発生機構とその未然防止対策の検討

 

 尼崎港内に新規に造成した人工干潟において、溶存酸素を消費し貧酸素化を引き起こす、底質中の有機物量(強熱減量;IL)をモニタリングし貧酸素化との関係を評価した。

 ILの季節的変動が硫化物の変動と類似しており、更に、ILの増加が硫化物の増加に先立って認められたことから、底質中の有機物の増加が溶存酸素を消費し、硫化物の生成を促していると考えられた。また、クロロフィル-aの検出状況から、海水中で増殖した植物プランクトンが底質の有機物源になっていることが示唆された。赤潮として海水中で増殖した植物プランクトンの枯死体の堆積(たいせき)→底質の有機物増加→溶存酸素消費による還元性環境下での貧酸素化という、底質の悪化の関連が認められた。

 

3 流入河川の流域管理状況が海域の生態系に与える影響の解明

 

 沿岸域の水質の違いを流入河川との関連から検討するため、尼崎港内に造成された人工干潟において、陸域からの淡水の流入の指標となる塩分量と有機汚濁負荷の指標である全有機炭素(TOC)、溶存性有機炭素(DOC)の関係について研究を行った。

 塩分の減少に伴い、TOC、DOCともに増加し、人工干潟においては淡水流入量の増加が海水中の有機物量を増加させることが認められた。産業地帯または都市域を後背地に有する人工干潟では、淡水流入量の増加により海水中の有機物量の増加に繋つながり、従来採用されているCODの総量規制発生源負荷対策の有効性を支持する結果となった。

 

第6 河川水質の改善、水量の確保、水辺空間の保全に向けた面源負荷の削減対策や適切土地利用形態の提言に関する研究

 

 流域の適切な水環境保全のため、河川水質を決定する流域の各種の要因とその負荷量を把握することを目的として、山林集水域や農村集落排水からの汚濁物質の流出特性を解明するため本研究を実施した。また、水性生物の生息状況からみた水質環境を評価することを試みた。

 

1 長期モニタリング結果から見た酸性降下物による山林集水域の陸水への影響について

 

 兵庫県中央部に位置する市川上流の生野ダム流域において、バルク降水(乾性及び湿性降下物)、ダム湖流入前(魚ヶ滝)とダム湖周辺の山林集水域の渓流河川流末(谷川1、2、3)、およびダム湖流出口において、1995年8月から現在まで月1回の採水を行い、酸性降下物による山林集水域の陸水への影響を調査した。

 バルク降水のpHは4.10~7.10であり、降水量による加重平均値は4.70であった。pHはほぼ一定の範囲内での変動を示し、pHの上昇あるいは低下傾向は認められなかった。河川水のpH平均値は魚ヶ滝で7.41、谷川1では7.25、谷川2は7.21であり、谷川3は7.04と最も低い値を示した。時折見られる急激なpHの低下は降雨や融雪時の増水時と対応している。ダム湖流出水の平均pHは7.04であり、谷川3を除く流入河川水質と比べてやや低い値だが、pHの変動幅は小さかった。

 また、谷川1~3集水域における全窒素の収支は、山林集水域に窒素が集積していることを示した。本調査地域は、長期に酸性降下物の影響にあるにもかかわらず、この9年間では渓流河川及びダム湖水質に酸性化の兆候は認められないことが示された。

 

2 ため池を含む農村地域の水循環の特徴について

 

 兵庫県は全国一多いため池を有しており、農村地域の水循環を評価する上で重要な要素となっている。ため池は導水路によって結ばれており、その水源は、雨水、河川水、湧水、地下水であり、さらに農地排水や導水路で結ばれた他のため池群からの流入水があり、加えて、農業水利事業に組み込まれたダム湖からの給水を受けているため池群もあるように、その水循環は複雑である。そこで、明石市をモデル地区として、農村地域の水循環マップを作成し、ため池の果たしている役割を評価するための基本情報の収集を行った。

 調査対象は、明石市中央部から西部にある西明石~大久保地区の20のため池である。下水道の普及に伴って本ため池群の中を流れる谷八木川のBODは大きく改善されてきており、全窒素も同様な傾向にある。農地の大部分は水田であるが、本調査地区では野菜畑も多くあり、ネギやキャベツなどの栽培がされている。0.5~1haのため池が最も多く、3ha未満のため池が8割以上となっている。ため池群は(a)直列連結型、(b)並列連結型、(c)複合連結型に分類され、大まかには農地をはさんで集水域の上流から下流に向かってつながっている直列連結型となっているが、一部並列のため池もあり、複合連結型といえる。聞き取り段階では一部のため池で富栄養化問題があるとのことであったが、ため池群の水質との相互関係については次年度の課題とした。

 

3 農耕地からの栄養塩類の流出負荷量把握

 

 農耕地のうち果樹園(ブドウ畑)を対象に調査を実施し、農業地域において非特定汚染源としてどのような役割を持つのかを評価することを目的に調査を行った。
兵庫県加西市倉谷のブドウ畑を対象に、ブドウ畑からの浸透地下水、林地地下水、暗渠排水を測定した。また、降雨時における栄養塩流出特性と水質変化について検討した。

 ブドウ畑上流と下流の地下水の水質の経日変動をみると、上流地下水では窒素・リン濃度はいずれも低濃度であった。一方、下流地下水では窒素濃度が高くなりその84.0%をNO3-Nが占め、有機態窒素が16%であった。NH4-NとNO2-Nはほとんど検出されなかった。NO3-N濃度は地下水中のNO3-N及びNO2-N濃度の環境基準値(10mg/l)を超える場合があった。

 ブドウ畑からの流出水は農村地域の水環境に対して影響を及ぼしていると思われ、流出量の管理は重要な課題である。

 

4 底生動物群集による水環境評価 

 

 揖保川と猪名川の底生動物群集による水環境評価

 揖保川とその支流林田川の水質は1994年に急速に改善した。この水質の改善に伴う底生動物群集の回復を検討し、1997年以降の状況について検討した。また、猪名川でも底生動物を採集し、1986年の底生動物群集と比較、検討することによって水環境の現状と経年的な変化を評価した。

 揖保川竜野橋、林田川永久橋では1998年以降各年とも20種以上が採集された。揖保川王子橋は1999年以降減少する傾向が見られ、2003年には15.8種にまで低下したが、2004年には21.3種まで回復した。林田川真砂橋は10.5種から13.3種が採集され、各年とも他の3地点と比較して明らかに少ない。多様性指数は、林田川真砂橋が1998年以降増加する傾向が見られ、2002年と2003年には他の3地点と同程度にまで回復した。

 猪名川における種数は、ゴルフ橋が1986年と比較してやや少ない傾向が見られる。銀橋は経年的に増加する傾向が見られ、2004年には21.3種が採集された。呉服橋は2002年より減少する傾向が見られ、2004年には10.5種にとどまった。軍行橋は2001年から増加する傾向が見られ、2003年には18.5種まで回復したが、2004年には大きく減少し、9.8種しか出現しなかった。

 揖保川においては下水道の普及とともに底生生物相に著しい改善がみられたが、猪名川においてはその傾向は明らかではなかった。

 

第7 不測の環境汚染事故等に備えるための危機管理機能強化に関する研究(安全科学部・大気環境部と共同実施)

 

 水圏生物へのダメージ、廃棄物の不法投棄、住民の不快(悪臭・頭痛・吐き気等)、地震等による突発的負荷の増加による環境汚染等に関する事例を収集し、調査方法、対応策等のデータベースを作成し、事故時の効率的な初動体制に資することを目的とした。

 

1 油汚染に対する生物学的環境修復技術の評価と油分分析法の検討

 

 海洋油汚染に対する生物学的環境修復技術の効果・環境影響を明らかにし、生物学的環境修復技術導入のガイドラインを検証する。また、都市河川中の油汚染は低濃度であり、飲食店、自動車修理工場、機械金属事業場など油を使用する工場が混在して発生源があるため、発生源の特定が難しい。油種を迅速に同定するための分析法を検討し、発生源の特定に資する。

 油汚染廃棄物と有害物質に係る迅速分析法の確立と調査方法のマニュアル化を検討した。不法投棄された油種の同定には赤外分光分析計による測定が迅速分析に有効であった。また、JISでは油分はヘキサン抽出物質として重量法で測定されるが、不法製造された軽油による地下水汚染調査にはガスクロマトグラフ-質量分析計による測定が有効であった。

 

(大気環境部)

第8 酸性雨・酸性霧の生態系および建築物・文化財への影響に関する研究

 

 酸性雨の被害を未然に防止するため、酸性雨の実態把握を行うとともに、森林生態系への影響を解明する根拠資料を提供する目的で実施した。

 

1 乾性沈着物の精度の高い測定法の確立

 

 酸性雨の実態把握調査で、降雨による酸性物質の地上面への沈着量及びその経年変化の傾向は把握することが出来たが、降雨以外のガス・エアロゾルの沈着量は測定法や評価方法が確立されていない。降雨以外による沈着量の推定方法として欧米の観測網や東アジア酸性雨モニタリングネットワークで採用されている各種汚染物質の大気中濃度と気象データから沈着量を推定するインファレンシャル法を検討した。

 大気中濃度はガス・エアロゾルを効率的に測定できるフィルターパック法を用いて測定を行い、二酸化硫黄及び硝酸ガスに関する沈着量を試算した結果、二酸化硫黄は米国並み、硝酸ガスについては米国の6倍程度の沈着量が推定され、兵庫県の都市部では窒素酸化物対策の重要性が示唆された。

 

2 六甲山の霧水沈着量の実態把握

 

 神戸市の都市近郊の六甲山では霧水による酸性物質の沈着量が降水と同程度あることが明らかになっている。その霧水中化学成分の由来を明らかにするため、フィルターパック法でエアロゾル成分とガス濃度を測定し、細線式霧水捕集装置で霧水を採取し相互の成分濃度を解析した。その結果、霧の生成または消滅で、エアロゾルと霧水の間に物質総量が保たれ、霧水成分がエアロゾルと霧水の間で気象要因によって双方向に変換されていることが明らかになり、六甲山の霧水沈着量ではエアロゾルの寄与が大きいことが明らかになった。

 

第9 自動車公害の実態把握と汚染特性の解明に関する研究

 

 自動車公害、特にディーゼル排ガスによるPM2.5微粒子(粒径が2.5μm以下の粒子)の実態把握と生成機構及び大気汚染と騒音・振動対策の複合効果について検討している。

 

1 ディーゼル排ガスによるPM2.5微粒子の実態把握と生成機構の解明

 

 PM2.5を測定するために大流量採取装置と中流量採取装置を作成し、また自治体研究機関としては初めて熱光学炭素分析計を導入し、粒子状の無機炭素(EC)と有機炭素(OC)の濃度調査を当センター3階及び幹線道路沿道(芦屋市役所別館屋上)で行った。PM2.5濃度については、平均すると芦屋は19μg/m3、須磨は18μg/m3であり、ほぼ同じような推移をしていた。EC濃度は芦屋で2.7μg/m3、須磨で1.9μg/m3であり、特に夏期には芦屋は須磨の約2倍の高濃度になった。PM2.5中のEC成分の比率は芦屋で15%、須磨で11%であり、芦屋の方が高めで推移した。現時点までの最高濃度は約7μg/m3であったが、この値は関東での測定結果の最高値に比べると低い。

 また、ディーゼル排気粒子(DEP)の指標と考えられるECの動向について過去からのデータが皆無であるが、その傾向を推定するため、金属物質監視調査で保存されている1986年以来の浮遊粒子状物質(SPM)試料を用いて推定した。その結果、SPM中のEC濃度の長期トレンドは、SPM濃度とともに増減を繰り返しながらも減少傾向にあることが分かった。2003年度のECの年平均値は1986年度に比べて伊丹で52%減、芦屋で70%減、加古川で62%減、稲美で54%減となっていた。

 

2 道路沿道における騒音・振動対策の科学的解明

 

 自動車公害改善のための対策に資するため、道路騒音に対し道路沿道に建てられた木製低層遮音壁の遮音効果について調査を実施した。調査地点は、国道2号(相生市のJR相生駅前北側)で、間伐材を利用した高さ1m、幅約30mの低層遮音壁が設置されている。そこで、遮音壁が設置されているところ(遮音壁背後部)と遮音壁のないところ(両地点の交通量は変わらないとする)で騒音レベルの違いを測定した。

 測定点は、地上、1.2、2.4、3.6mで、結果は、地上1.2m地点では、約4dB、3.6m地点で1dB程度の遮音効果が認められた。また、木製遮音壁自体の遮音性能を測定するため、騒音試験室(高さ2100×幅4070×奥行き4500mm)のドアの替わりに厚みが0.12mの木製遮音壁を取り付け、室内でスピーカーからホワイトノイズを発生させ、試験室内及び室外の音圧分布を測定した。その結果、約25dBの透過損失があった。これらの結果から、自動車本体の騒音発生源は低い位置にあるため、受音点が比較的低い場合、即ち、平屋が並ぶ道路沿道では、十分遮音効果は期待できると考えられた。

 

第10 兵庫県における温室効果ガスの削減対策と県民生活への影響予測に関する研究

 

 ヒートアイランド現象の観点から見た都市域における気温の分布及び経年変化について解析を行った。

 ヒートアイランド現象は、人工排熱の増加、人工被覆の増加等の人工化の過剰な進行によって生ずる都市特有の環境問題である。東京都や大阪府ではその実態調査が行われ、それに基づく対策が検討されつつある。一方、兵庫県の都市域ではこれまで気温分布やその経年変化についてとりまとめられたものはなかった。本研究では、一般環境大気測定局で測定されてきた気温データを解析し、阪神地域(3市)における1990年から2003年の気温の分布及び経年変化等の実態把握を試みることをその目的とした。

 一般環境大気測定局で測定されてきた気温データをヒートアイランド現象の現況把握という観点から解析した。データは阪神地域(尼崎市、西宮市、宝塚市)において1990年から2003年に測定された気温データを用いた。

 平均気温は観測地点の標高を反映した分布を示し、標高が高い地点で気温が低くなるという分布を示すものであった。平均気温の日変化は、海岸からの距離を反映し、距離が遠くなるほど日較差(一日における最高気温と最低気温の差)が大きくなる傾向を示した。対象期間中の経年変化は、日平均気温、日最高気温、日最低気温のいずれについても上昇傾向が観測されたが、日最低気温における気温上昇が最も顕著であった。

 また、日較差は対象期間中減少する傾向が観測され、日最低気温における気温上昇が最も顕著であったことと合わせて考えると、阪神地域においてもヒートアイランド現象が進行していることが示唆された。

 一方、真夏日、夏日、冬日、真冬日の増加・減少傾向は観測されなかった。

 

第11 光化学スモッグの機構解明に関する研究

 

 春季にオキシダント濃度が高濃度になるため、平成15年度より光化学スモッグの発令期間が従来の5月1日から10月31日を4月20日から10月19日に変更された。また大きな発生源が無く従来は汚染地域と考えられていなかった地域でも光化学オキシダント濃度が高濃度となるため、西脇市、丹波市が発令地域に加えられた。自動車NOx・PM法などにより光化学スモッグの原因となる大気汚染物質の規制が強化されつつあるが、光化学スモッグの発生件数は単純に減少しているとは言い難い状況にある。光化学スモッグの発生機構には不明な部分が多く、地域の汚染特性に沿った解析が必要となっている。また、光化学スモッグの原因物質であるオキシダントはオゾンを主成分としているが、一方で、オゾンは成層圏で光化学的に多量に生成される。オゾンと同様に成層圏で宇宙線により作られる天然放射性核種である7Beが成層圏由来のオゾンの指標となることが学会で議論されており、本研究では研究センターの保有する放射線測定技術を活用し、成層圏に由来するオゾンの地上のオゾン濃度への寄与率を把握することを目的とした。その結果、六甲山山頂でオゾンと7Be濃度を調査した結果には有意の相関関係があることがわかった。さらに測定データを夜間と昼間に分けて相関関係を調べた結果、夜間の相関係数が昼間のそれよりも高いことがわかった。春季の夜について7Be、オゾン、NOx濃度について大気安定度との関連について見たところ、7Be、オゾンについては大気安定度の違いによる濃度の差には有意な差はなかったが、NOxについては最も安定度が高い場合は最も安定度が低い場合よりも有意に濃度が高くなった。この結果は人の生活する地上のオゾンの一部は成層圏由来の7Beと同様に成層圏から落下していることを示唆していると考えられる。秋季も同様の調査を行った。オゾン濃度は春季に比べて低く春季ほどには明確な関係は得られなかったが、オゾンと7Beの濃度に有意の相関が認められた。

 

第2節 県立工業技術センター

 

第1 環境調和型めっきプロセスの開発に関する研究

 

 家電製品、自動車、機械部品などの耐食性を改善するため、亜鉛めっき上にクロメート処理が施されているが、この皮膜には6価クロムが含まれている。6価クロムには発癌性があるため、欧州ではRoHS指令・ELV指令により、電気電子機器及び自動車部品における6価クロム使用の全廃が決定されており、亜鉛めっき-クロメート処理に代わるめっき皮膜の開発が必要である。そこで、耐食性に優れたスズ-鉄系合金皮膜による環境調和型めっきプロセスを開発する。

 

第2 低公害・軽量・リサイクル型難燃性マグネシウム合金製構造部材の研究開発

 

 トラックの軽量化により、排気ガス中のCO2、NOx及び粒子状物質を抑制することができる。そこで、トラックの構造部材の中で、軽量化の効果が大きい煽あおり板を、鉄製やアルミ製から軽量でリサイクル性に優れた難燃性マグネシウム合金に置き換えることを検討する。中空構造の難燃性マグネシウム合金の形材を開発するとともに、摩擦攪拌かくはんスポット接合によって低公害・軽量・リサイクル型の煽あおり板を開発する。

 

第3 環境対応革(非クロムなめし系及びクロムなめし系)の製品化研究

 

 有害物質検査済みラベル(SGラベル)をクリアーする環境対応革の製造技術を開発する。試作した環境対応革を用いて靴、カバン・袋物、服飾材料などの製作・試用評価を行い、用途別革特性に対応した環境対応革の開発を図る。

 

第3節 県立農業水産技術総合センター

 

第1 安全な農産物を生産するための調査・研究

 

1 農薬の挙動に関する調査・研究

 

 農薬取締法に基づき登録農薬の少ない地域特産物について、登録適用に向けた申請データ作成のため、農薬の効果、薬害及び作物残留試験を行っている。

 

2 農薬以外の総合的な防除技術の開発

 

 農作物に多大な被害をもたらす難防除病害虫による被害を軽減するため、農薬等の化学合成物質以外による防除技術の開発を行っている。拮抗きっこう微生物を利用した防除では、レタスビッグベイン病防除に効果のある内生細菌を利用した生物農薬の開発、稲の斑点米の原因となるカメムシの警報フェロモンを利用した忌避剤などについて開発を進めている。その他、黄色蛍光灯の夜間照明によるヤガ類の被害防止技術を開発し普及に移している。

 

3 土壌汚染に関する調査・研究

 

 県下の農耕地土壌中のカドミウム濃度を効率的に低下させるファイトレメディエーション(植物の吸収、持ち出しによる土壌浄化)技術の開発をすすめている。
カドミウムをより多く吸収するイネ及びイネ科牧草を検索している。イネでは、「密陽23号」(短稈たんかんで栽培しやすく、非汚染土壌でも吸収能が高い)、「IR-8」、牧草ではソルガム、冬作ではエン麦の1種である「ネグサレタイジ」の吸収量が多い。土壌中カドミウム濃度が、約3mg/kgの汚染ほ場で、「密陽23号」は約100g/ha、ソルガムの晩生品種は2回刈りで合計180g/haのカドミウムを取り出せる。

 

第2 豊かな自然環境の維持保全のための調査・研究

 

1 農林水産業が持つ環境浄化機能の開発

 

 近年、農業用水中の窒素濃度は増加傾向であり、農地からも硝酸性窒素の流出が懸念されている。

 このため、森林から流出する渓流水や水田、ため池の水質を調査し、これらの持つ窒素浄化機能を評価するとともに、水質浄化機能の開発を行っている。

 調査の結果、ため池の水生植物は窒素浄化機能を持つが、冬季には枯死するため、水生植物を収穫し池から持ち出す必要がある。

 

2 農林水産業による景観・アメニティ・ビオトープ空間の創出

 

 近年、農林水産業においては、森林、農地の持つ豊かな景観や、水土保全、生物多様性の確保といった多様な機能の著しい低下を招いている。

 このため、農村の景観と環境の評価を行うとともに、景観や野生生物環境に配慮した、ため池、畦畔けいはん池塘ちとう、林縁などの適切な管理法の開発と実証を行っている。

 調査の結果、農林業の生産活動が停滞すると生物多様性が低下するため、刈り払い等の管理を適度に行う必要がある。

 

第3 農のゼロエミッションを進めるための調査・研究

 

(兵庫県バイオマス総合利用計画を推進するため)
1 農林水産業の副産物あるいは廃棄物の炭化をはじめとした各資源循環利用法の開発

 

 農林水産物の廃棄物などを炭化し、肥料成分、土壌改良、有害物質の吸着、微生物担体等、炭化物の持つ特性を解明して、各種廃棄物等の資源循環法の開発を行っている。

 オカラ、タマネギの炭化物はカリウム、カシウム等のミネラルの供給源となり、その他にも土壌の酸性矯正、保水性の向上等の効果がある。

 

2 家畜ふん堆肥たいひの土壌還元に関する調査・研究

 

 稲わらを還元した水田に、おがくず入り牛ふん堆肥たいひ(以下、堆肥たいひと記す)を連用し、堆肥たいひの適正施用量及び減肥の可能性を検討している。

 最初の5カ年は、堆肥たいひを1~2t/10a施用することにより化学肥料単用に比べて3~10%増収するが、その後も堆肥たいひの連用を続けると増収効果はみられなくなる。また、堆肥たいひ2t/10aを連用した場合には50%減肥が可能である。堆肥たいひの1~2t/10a連用は腐植、T-N、交換性苦土等が維持もしくは漸増し、土壌養分の点から1~2t/10aの連用が望ましい。

 

3 乳用牛の尿汚水の簡易浄化処理に関する調査・研究

 

 環境に優しい酪農経営をめざし、乳用牛の尿汚水を活性汚泥法で処理した処理水を脱色するためのろ材を検討した。

 脱色能力に優れたろ材は石灰焼却灰で、その色素除去能力は8L/kgであった。さらに色素除去後の処理水中の窒素とリンを除去するために、水耕栽培により植物栽培を行った。除去能力に優れる夏季ではヨシ、冬季ではイタリアンライグラスであった。

 これらを組み合わせた簡易浄化処理装置を作成し、その処理能力を調査したところ、窒素の除去量は夏季83%、冬季41%となった。また、BOD、COD、SS及びリンについては年間を通じて95%以上の高い除去率となり、窒素の土壌還元を併用することで高い除去能力を発揮できることが判明した。

 

4 木質系バイオマスの利用

 

 製材工場などで排出される鋸屑おがくずや端材、樹皮等の廃棄物系バイオマス処理や森林の間伐材等の未利用系バイオマスの有効活用が課題となっている。このため、スギ鋸屑おがくずなどを原料としたコンクリート型枠の試作や菌床きのこの培地利用への実証試験を行っている。また、間伐材を用いた畦道あぜみち等の雑草抑制用の被覆工としての実証試験などを実施している。

 

第4 豊かな森林空間を創出する調査・研究

 

1 公益的機能を高める森林整備手法

 

 森林整備により森林の公益的機能がどれだけ高まるかを示すとともに、適切な森林整備手法を提言するため、①森林整備が地球温暖化防止にどの程度貢献しているかを数量的に算出する森林資源量の経時的な把握 ②生物多様性に配慮した林道の法面緑化方法の開発 ③県内の絶滅危ぐ植物の現地保全技術や増殖技術の開発 ④間伐材を利用した丸太筋工の有無が表層土壌の移動を防止する効果の把握などの試験・研究を実施している。

 

2 公益的機能を考慮した森林の伐採、育成技術

 

 従来の伐採方法(皆伐)は伐採跡地の土砂流亡、林地再生産力の低下、あるいは景観面から問題が指摘されている。そのため、伐採跡地の土砂流亡を抑え、省力的な更新が可能な帯状伐採(魚骨型伐採など)の有効性を実証し、林業関係機関や森林所有者に普及している。さらに、高齢林の生物多様性、水土保全特性を検証し、本県の林況に適した公益的機能の高い健全な高齢林の育成方法を体系化するための研究を実施している。

 

第5 自然災害に強い森づくりのための調査・研究

 

 平成16年秋の台風により県下の人工林は大きな被害を被った。

 これらの被害を復旧し自然災害に強い森づくりをめざすとともに、被害を免れた森林も災害に強い森林へ誘導するために、マニュアルを作成した。

 今後、①多様な樹種の混植技術 ②人工林を災害に強い樹冠形状へ誘導する技術 ③安全・安心な里山防災林整備技術 ④動物との共存の森づくり技術等の開発に取り組んでいくこととしている。

 

第6 漁場環境の再生と整備を進める調査・研究

 

1 漁場保全環境調査

 

 播磨灘、大阪湾、紀伊水道の38地点において、月1回、透明度、水温、塩分、濁度、pH、栄養塩類濃度などを測定し、漁場環境の把握に努めた。本調査で得られたデータを解析し、「水産技術センターだより 漁場環境情報」として、毎月定期的に漁業協同組合等へ配布するとともに、ホームページによる情報提供を行っている。

 

2 生物モニタリング調査

 

 加古川沖の4地点において、底生生物及び地質を調査するとともに、赤穂市沿岸においてアマモ場分布調査を実施し、漁場環境の把握に努めた。

 

3 藻場再生基礎調査

 

 藻場の再生を目標として、既存資料の収集整理、アンケート調査、藻場マップの作成を行った。

 

第7 漁業被害防止のための調査・研究

 

1 赤潮被害防止技術開発試験

 

 赤潮を形成して漁業被害を発生させる有害プランクトンや養殖ノリの色落ち原因となる大型珪藻けいそうについて、モニタリング調査から環境要因と増殖の関係及び有害種の出現特性を明らかにし、予察技術の精度を向上させるため、香川県、徳島県、岡山県等と共同調査を実施した。本調査の一部は「水産技術センターだより 赤潮情報」「珪藻けいそう赤潮情報」「珪藻けいそう赤潮予報」として、適宜、漁業協同組合等の関係機関へ情報提供するとともに、ホームページによる情報提供を行っている。

 

2 貝毒発生監視調査

 

 県内瀬戸内海沿岸8地点において採取されたアサリ、マガキについて、まひ性及び下痢性貝毒の分析を県立健康環境科学研究センターに依頼するとともに、原因プランクトンの発生の有無と分布状況を調査した。本調査の一部は「水産技術センターだより 貝毒情報」として、適宜、漁業協同組合等の関係機関へ情報提供するとともに、ホームページにより県民への周知を行っている。

 

第4節 県立人と自然の博物館

 

第1 県民の参画による「リサーチプロジェクト」(平成17年度)

 

 「リサーチプロジェクト」とは、身近な自然や環境を各地で県民からの情報により調査するプロジェクトである。

http://info.hitohaku.jp/research/RP_top.htm

 

<今年度の調査対象>

・ウスバツバメ

・ピラカンサ

・マツ枯れ

・タンポポ

 

第2 総合共同研究と部門研究(平成17年度)

 

 河合雅雄名誉館長の提唱する「共生博物学」を基軸に、兵庫県での自然環境、人と自然のかかわりを明らかにして、各種の行政課題にも対応する研究を行っている。

 

1 総合共同研究

 

 全研究部で総合的に取り組む研究課題である。

 

 (1) 武庫川流域の湿地をとりまく自然と人為

 

 前年度に引き続き武庫川流域の山林と湿地に着目して、研究内容を深めていく。

主な研究課題は、下記のとおりである。

・武庫川流域の里山と湿原の現状と保全への課題II

・武庫川流域内のため池立地環境の変化とその将来予測

・武庫川流域における湿地の成立ポテンシャルの評価

・武庫川流域山林の鳥類群集と湿地の存在II

・丸山湿原の湿原堆積たいせき物の性状

 

 (2) 侵略的外来種対策に関する研究

 外来種対策は、生物多様性また地域生態系を良好な状態に保ち持続的な諸産業の維持にとって必要不可欠な課題である。主な研究課題は下記の通りである。

・アライグマの生息状況と被害対策に関する研究

・オオクチバス・ブルーギルがため池の動物群集に与える影響及び駆除方法の検討

・兵庫県における外来植物の分布の把握

・谷中分水界の抽出と外来水生動物の移動可能性

・外来生物の展示手法の開発及びシンクタンク活動成果の公開

・外来生物の生息環境予測に資する冬季の気温分布予想 ~冬季のヒートアイランドの視点から~

 

2 部門研究

 

 研究部単位で取り組む課題研究である

 

 <主な研究課題>

・兵庫県の中生代化石産地の再検討

・兵庫県北部の自然環境の評価と活用に関する研究

・兵庫県産古生代化石の研究

・生態学的にみた共生の現実と未来

・都市公園をフィールドとした実践重視型人材養成のための連携システムに関する研究

・兵庫県南部における都市ヒートアイランド実態調査研究

・21世紀の森構想支援のための都市林及び里山林の生態学的研究

 

第3 自然・環境に関するシンクタンク

 

(平成17年度)

1 データバンク 

 本館では、兵庫県の自然環境に関するデータを収集して、館外からでもネットワークを通じて利用できるように整備している。また、県民や関連部局からのデータ受け入れを行い、それらのデータの管理・発信を行っている。

<収集しているデータ>

・淡路地域の蘚苔せんたい類相

・淡路島の暖地性種子植物相

・兵庫県の中大型ほ乳類相の変化

・六甲山のブナとイヌブナの分布・個体群構造・生育環境

・明治期における土地利用

 

2 ジーンバンク

 

 本館では、兵庫県産の絶滅危ぐ植物の保全のために、系統保存、植生の復元・創造などを行っている。

 

<依頼により受け入れている植物>

・ベニバナヤマシャクヤク(国土交通省)

・クモノスシダ(川西市)

・オグラコウホネ(丹波県民局) など

<依頼により行っている植生の復元と創造>

・大阪ガス姫路製造所のビオトープ(姫路市)

・関西電力南港発電所の照葉人工林(大阪市) など