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第3部 第2章 ネットワークと協働による取組の推進

 

第1節 協力・連携による取組の推進
    (財)ひょうご環境創造協会による取組

 

 県民・事業者・行政の参画のもとに環境適合型社会の実現に向けた事業の企画、実施等を永続的に行うために、平成8年4月、県内中小企業の公害防止のための検査・分析機関であった「兵庫県環境科学技術センター」(昭和47年設立)を発展的に改組し、「(財)ひょうご環境創造協会」を設立した。県では、協会の環境創造活動の運営財源となる環境創造基金の造成を支援するとともに、行政の一員として協会の運営に参画し、協力・連携による事業を積極的に推進している。
 協会では、県民・事業者・行政の参画を図りながら、第3-2-1表の事業を展開しており、こうした事業活動のための拠点として「ひょうごエコプラザ」が平成9年8月に開設された。
 また、平成12年4月から「兵庫県地球温暖化防止活動推進センター」としての業務を開始し、県民の民生分野における地球温暖化防止活動を支援している。
 なお、平成15年度からはセンターの機能を「ひょうごエコプラザ」に移し、地球温暖化防止活動の更なる推進とプラザの環境活動拠点機能の充実強化を図っている。

 

第3-2-1表 (財)ひょうご環境創造協会環境保全創造事業の概要

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事 業 項 目主 な 取 組
環境保全創造事業 ・ 普及啓発イベント・講演会等の開催
・ 環境学習の推進
(こども向け環境学習の実施、エコツーリズム支援、環境学習会支援、環境学習指導者・サポーターの養成、ひょうご出前教室の開催等)
・ 環境活動の支援
(環境保全活動助成、事業者の環境管理の促進、NPO活動人材の育成、他団体との連携等)
・ エコアクション21の導入促進と地球事務局の運営
・ 情報の収集・提供
(インターネットによる情報提供、情報誌の発行等)
地球温暖化防止活動推進事業 ・ グリーンエネルギーの普及促進
(ひょうごグリーンエネルギー基金の運営、グリーンエネルギーメッセの開催、自然エネルギーセミナーの実施等)
・ 地球温暖化防止活動の普及啓発
(環境家計簿等によるエコチェックとエコライフの普及促進、地球温暖化防止フォーラムの開催、省エネモニター・省エネモデル事業の実施等)
・ 地球温暖化防止活動推進員・同協力員の支援、研修会の実施
・ 地球温暖化に関する調査研究、情報の収集・提供
循環型社会形成推進事業 ・ クリーンアップひょうごキャンペーン、5R生活推進等の普及啓発
・ グリーン購入の促進
(グリーンコンシューマー活動支援、環境にやさしい買物運動の推進等)
・ リサイクル等5R生活の促進
(リペア・リユースネットワーク事業の推進、リサイクル施設等
エコツーリズムの推進等)
・ 廃棄物等不適正処理適正化推進基金の運営供
国際協力事業 ・ 東アジア酸性雨モニタリングネットワーク研修の実施
・ モンゴルにおける森林再生計画支援事業の実施
ひょうごエコプラザの運営
<所 在 地>
神戸市中央区東川崎町1-1-3
  神戸クリスタルタワー5階
<施設概要>
交流ゾーン(サロン、展示コーナー等)
活動ゾーン(アドバイスコーナー、会議室等)
情報ネットワークゾーン(図書、パソコン等)
・ 環境関連啓発資材の作成・提供
・ 社会体験研修(トライヤルウィーク)の受入れ
・ エコプラザE-mail通信の発信
・ ミニフォーラムの開催
・ 他団体との交流・連携の推進
 

第2節 兵庫地域公害防止計画の推進

 

 公害防止計画は、「環境基本法」に基づき、現に公害が著しい地域等において、環境大臣の策定指示により知事が作成し、環境大臣により承認される計画である。
 県では、昭和47年度に兵庫県東部地域公害防止計画を策定して以来、阪神・播磨地方の臨海部の人口や産業が集積した地域を対象として公害防止計画を策定し、総合的かつ計画的な公害防止対策事業を展開してきた。
 平成14年度には、平成9年度から平成13年度までの計画期間が満了したので、この計画期間中に環境が改善された太子町を対象地域から除き、平成14年度から平成18年度までを計画期間とする新たな兵庫地域公害防止計画を策定した。
この計画の対象となる地域の概要は、第3-2-2表及び第3-2-1図に示すとおり、面積は、県土の約17%であるが、人口は県全体の約76%、工業製品出荷額は約71%を占め、社会活動の面でも、経済活動の面でも大きな位置を占めている。
 なお、公害防止計画に基づき、地方公共団体が実施する公共下水道や廃棄物処理施設の整備、河川や港湾のしゅんせつ等の公害防止対策事業については、「公害の防止に関する事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律」に基づき、国庫補助(負担)金のかさ上げ、地方債の適債事業の拡大等、国の財政上の特別措置が講じられる。

 

第3-2-2表 兵庫地域公害防止計画
(計画期間:平成14年度~18年度)の概要

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項 目兵 庫 地 域
地域の範囲 神戸市、姫路市、尼崎市、明石市、西宮市、芦屋市、伊丹市、高砂市、加古川市、宝塚市、川西市、播磨町
面積 1,405km2
人口(H13.3.31) 419万人
製造品出荷額等(H12年) 99,520億円
計 画 の 実 施 期 間5年間(平成14~18年度)

 

第3-2-1図 兵庫地域公害防止計画
(計画期間:平成14年度~18年度)の概要
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第3節 事業者の自主的な取組の推進

 

第1 環境保全(公害防止)協定

 

 法令の規制を上回る自主的な環境保全対策を事業者に促すため、大規模な事業所が集中して立地している地域において、地元市町の要請に基づき、主要事業所と環境保全(公害防止)協定を締結している。
 協定の内容は、大気汚染、水質汚濁等の防止対策をはじめ、施設の設置等に際しての事前協議、汚染物質の測定など多岐にわたっている。
 平成17年9月末現在、県が当事者である協定締結事業所数は第3-2-3表のとおりである。
 また、新たな環境課題(資源・エネルギー対策や廃棄物対策等)を踏まえた環境保全対策の推進と情報公開を柱とし、事業者の自主的・率先的な努力を推進する新環境保全協定の改定締結に向け、事業者、市町等と協議を行っている。

 

第3-2-3表 環境保全(公害防止)協定の締結状況

(平成17年9月30日現在)

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協定名最終改定年月日事業所数対象基準備考
関西電力(株)
姫路第1発電所
姫路第2発電所
平成3年8月20日 2 大規模発生源 環境保全協定
関西電力(株)
相生発電所
昭和55年3月3日 1 公害防止協定
関西電力(株)
赤穂発電所
平成17年9月30日 1 環境保全協定
新日本製鐵(株)
広畑製鐵所
平成 6年 4月19日 1
(株)神戸製鋼所
加古川製鉄所
関西熱化学(株)
加古川工場
昭和51年2月13日 2 公害防止協定
姫路市域 昭和55年3月31日 27 重油使用量  3kl/日
尼崎市域 昭和58年3月23日 32 排出ガス量 10,000Nm3/時
排水量    1,000 m3/日
明石市域 昭和53年2月23日 19 重油使用量  2kl/日
排水量    500 m3/日
西宮市域 平成17年3月31日 8 排出ガス量 10,000Nm3/時
排水量   1,000 m3/日
環境保全協定
伊丹市域 平成17年3月31日 15 排出ガス量 10,000Nm3/時
排水量   1,000 m3/日
加古川市域 昭和52年2月23日 13 重油使用量  3kl/日
排水量    500m3/日
公害防止協定
赤穂市域 平成17年 9月30日 13 排出ガス量 10,000Nm3/時
排水量    1,000 m3/日
環境保全協定
高砂市域 昭和52年3月12日 24 重油使用量  3kl/日
排水量    500 m3/日
公害防止協定
播磨町域 昭和53年3月31日 5 重油使用量  3kl/日
排水量   500 m3/日
加古川・播磨 昭和53年3月15日 2 重油使用量  3kl/日
排水量   500 m3/日
明石・播磨 平成元年 6月27日 2   環境保全協定
生野鉱山・明延鉱山 昭和48年3月15日 2   公害防止協定
合 計 169
 

第4節 県の率先的な取組の推進

 

第1 環境率先行動計画

 

 県内の事業主体として大きな位置を占めている県では、県自らも環境負荷の低減への取組を計画的に推進すべく、平成10年度以来「環境率先行動計画」(ステップ1)を策定し、環境負荷の低減等に率先して取り組み、平成13年度からは、ステップ2として、平成16年度までの4年間を計画期間とし、県立学校等を含む県の全機関に対象を拡大して取組を進めてきた。
 平成17年度からは、ステップ2の取組結果を踏まえ、平成22年度までを計画期間とした新たな環境率先行動計画(ステップ3)を推進している。

 
[環境率先行動計画(ステップ2)の取組結果]

 ステップ2の取組結果は、第3-2-4表のとおりである。
 数値目標を掲げる7項目のうち温室効果ガス削減、廃棄物(可燃ごみ)削減、水資源の節約、グリーン調達等、事業活動に伴う環境負荷に関する主要な分野で環境負荷低減に向けた取組が進展したが、施設間で取組に格差が生じ、本庁では、ほぼすべての項目で目標を達成する見込みである一方、病院や警察等、基準年より環境への負荷が増大した施設も存在し、全体としては、目標達成に向けて、一層の努力が必要な結果となった。

 
[ステップ3の目標と取組]

 環境率先行動計画の最終段階(6年間)の計画として、ステップ2の取組結果を踏まえ、取組項目の追加、再整理等を行い、環境率先行動計画の集大成を図る。

①温室効果ガス排出量の削減

目標:15年度比で5.4%以上削減、単位面積当たり電気等使用量を
毎年1%削減

取組:ア 職員の省エネ行動徹底
イ 施設の省エネ化改修(注1)
ウ 自然エネルギー(太陽光、風力)の導入(注2)

②ごみ排出量の削減
 目標:ごみ(可燃、不燃共)排出量を15年度比で20%以上削減
 取組:分別の徹底、リサイクル推進
③省資源の推進

ア コピー用紙発注枚数

目標:15年度比で25%以上削減(警察は20%以上削減)

取組:両面コピーの徹底、ペーパーレスの推進

イ 水使用量

目標:単位面積当たり使用量を16年度から増加させない。

取組:節水行動の徹底、漏水の早期発見

④グリーン調達の推進

ア 公用車への低公害車等の導入

目標:低公害車等導入を原則100%
取組:公用車への低公害車等の導入促進

イ 紙、文具類の環境配慮型製品購入

目標:原則100%環境配慮型製品
取組:環境配慮型製品調達方針に基づいた製品の購入

 

(注1)施設の省エネ化改修

17年度実施施設(11施設)

本庁、尼崎港管理事務所、浜坂庁舎、篠山庁舎、三田庁舎、淡路農業技術センター、農林水産技術総合センター、森林林業技術センター、嬉野台生涯教育センター、教育研修所、尼崎工業高校

 

(注2)自然エネルギーの導入

17年度実施施設(5施設)

太陽光:人と自然の博物館、飾磨工業高校、東播工業高校、篠山警察署
風力:本庁

 

第3-2-4表 環境率先行動計画(ステップ2)の取組内容
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第2 環境マネジメントシステムの運用

 

 環境率先行動計画のより確実な推進を図るとともに、県の活動が環境に配慮したシステムのもとに行われているとの客観的評価を得ることと併せ、県内企業への環境マネジメントシステムの普及や今後の支援策に生かすため、環境マネジメントシステムの運用を本庁舎、県立健康環境科学研究センター(須磨)及び県立工業技術センターにおいて行い、県の活動に伴う環境負荷の低減に役立てるとともに、地方機関においても、独自の環境マネジメントシステムを運用している。

 

 

 

第3 環境創生15%システムの推進

 

 平成14年度から運用を開始した「環境創生5%システム」は、県が発注する公共工事(総事業費1億円以上の事業)の工事費の5%以上を環境創生措置(環境の保全と創造に資する措置)に充てることにより、環境優先社会の実現を目指そうとするものである。

 平成16年度の全対象事業は137件であり、その工事費(設計額)は計65,556百万円、環境創生措置費は計13,306百万円(平均20.3%)であった。

 なお、これまでの実績を検証するとともに、昨今の技術革新の進展等の状況を踏まえると、これまで以上の取組が可能であると考えられるため、環境創生措置の質・量両面からの一層の充実を図ることとし、平成17年度対象事業より、従前の制度を「環境創生15%システム」に改め、環境優先社会の実現に向けた取組を一層強化していくこととした。

 

第5節 環境情報総合システム

 

第1 目的

 

 環境行政を効果的かつ効率的に推進するために、関係する各部局、機関等で環境関連情報を共有し、必要な情報を迅速・的確に入手し、活用できるようにすることが必要不可欠である。
 また、社会の構成員すべての参画と協働による環境問題への取組を推進するためには、正確かつ適切な情報提供を行い、それぞれの立場で環境問題への理解を深めることが求められる。
 このため、平成5年度から平成8年度にかけて、「環境情報総合システム」を整備し、関係各部局・機関のネットワークを構築して、情報の総合的・体系的な収集・管理を推進するとともに、インターネット等を利用して県民に情報提供を行うしくみを構築した。
 さらに、平成10年度から14年度にかけて、順次各サブシステムの更新を行い、一層の効率化・高度化を推進するとともに、提供する情報の質の向上を図った。
 平成16年度には大気汚染常時監視システムを更新し、大気汚染等に関する測定データ(速報値)、光化学スモッグ発令情報を、随時、インターネットで提供するようにした。平成17年度には、大気管理システムの更新を行い、平成18年度以降も、順次各サブシステムの更新を行い、最新の情報通信技術に適応した効率的なシステムとする。

 

 

 

第2 環境情報総合システムの構成

 

 環境情報総合システムは、次の5つのサブシステムで構成されている。

 

1 大気汚染常時監視システム

 県下各地に設置した測定局から、大気汚染等に関する測定データを自動的に収集・管理し、光化学スモッグの監視等に活用している。

 

2 大気管理システム

 大気汚染に関する届出情報、発生源情報等のデータ管理を行っている。

 

3 水質管理システム

 水質汚濁に関する届出情報、発生源情報等のデータ管理を行っている。

 

4 廃棄物管理システム

 廃棄物に関する届出情報、発生源情報等のデータ管理を行う。

 

5 環境情報管理システム

 関係各部局・関係機関等から、環境関連情報を収集整備し、インターネットにより、一般県民や事業者に情報提供を行っている。

 

 

第3-2-2図 環境情報総合システムの主要構成図

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