第1節 県立健康環境科学研究センター
国の環境基本法、県の環境保全と創造に関する条例等に基づき、行政が各種の施策を遂行するに当たり、地域的な問題はもとより、中域的、広域的な広がりの中で環境対策は、多元的な対応が求められる。
また、社会的に開発が進むなかにあって、環境問題は、より広域的、より微量的かつ長期慢性的な形相が顕著になりつつある。こうしたことから、生態とりわけ人間にとって多種多様の有害物質に対する予見的対応はもとより従来のモニタリングも、なお引き続き息の長い対応が必要であり、生体に及ぼす影響も含めて、化学的、生物学的、疫学的な立場からの総合的な検討評価が不可欠である。
このため、従来、蓄積してきた化学技術と先進的な知識、技術を常に研修し、調査研究、試験検査及び普及啓発活動を通じて、上述の各種施策に対して科学的、論理的なバックアップをするとともに、これらの研究成果をわかりやすく県民に還元するなど、より良き環境文化創造に貢献しようとするものである。
第1 酸性雨・酸性霧の生態系および建築物・文化財への影響に関する研究
酸性雨・雪・霧等の湿性沈着物とガスならびにエアロゾルの乾性沈着物を含めた酸性沈着の実態把握を行うとともに、森林生態系への影響を解明するために実施した。
(1)六甲山での酸性霧の調査では、平成12年度には61回の霧の発生が観測された。霧の発生及び採取霧水量については、概ね春季から夏季に多く、冬季に少なかった。pHの年平均値は低下する傾向にあり、低いpHを示す霧が発生する傾向が強まっている。
(2)六甲山でスギ林内雨を測定することにより、測定地点の標高と霧水沈着量との間には有意な正の相関関係があること、ならびに霧水沈着やイオン成分沈着の量やパターンが地点間で大きく異なること等がわかった。
(3)森林衰退の原因解明のため、土壌微生物の活性度ともいえる土壌の呼吸代謝量を測定することにより、樹木生育地の根圏環境の診断を試みた。酸性沈着からもたらされたと考えられる土壌中の無機態窒素(アンモニア態、硝酸態)濃度は標高が高くなるほど増加し、土壌呼吸活性は低下していることが示された。
(4)乾性沈着の濃度測定法である4段ろ紙法を改良するとともに技術的評価を行った。測定法の手順を詳細に規定すれば、地点間比較等のために簡便に使用することができる。
第2 二次大気汚染物質の挙動とその生態系への影響に関する研究
粒子状物質は環境基準達成率も悪くその低減が急務である。さらに、ディーゼル排ガス中の微粒子はPM2.5問題として注目をあびており、その実態把握と人への影響の解明が求められている。
(1)県下各地でのPM2.5の実態調査で使用できることを念頭にPM2.5サンプラーを試作して性能を評価した。測定体制・経費等の条件を考慮すると1回のサンプリング時間は15~30日として季節変化や経年変化を監視するのが現実的であり、また重量濃度測定の基本であるフィルター法が適切と判断し、これらのサンプリング条件に適合するサンプラーを試作した。サンプラーは10μmと2.5μmを50%カットするインパクター付きサンプラーで、得られる情報は、10μm以上、2.5~10μm及び2.5μm以下の重量濃度である。平成13年8月から半年間神戸市須磨で実施した結果では、PM2.5濃度は11.5~33.3μg/m3、PM10に対するPM2.5の割合は0.42~0.76であり平均値は0.65であった。
(2)スクラバー差量法-化学発光法による大気中ガス状硝酸測定機を開発した。実大気連続測定の結果、硝酸平均濃度は2.6±1.3ppbで、10ppb以上の高濃度硝酸が観測されることもあった。
第3 自動車等交通機関による環境影響の総合的評価手法に関する研究
自動車等交通機関による環境影響を把握し、対策に資する資料を提供するため、道路、鉄道等交通機関による騒音・振動、NO2汚染について研究を行った。
(1)新幹線沿線の騒音レベルは、新型列車の投入に伴い、わずかではあるが低下しつつあることが明かになった。特に、ひかり号は、騒音レベルの大きい100系列車から300系に編成が変わりつつあり、また、0系12両のウエストひかりを廃止し、700系8両編成レールスターの投入などにより騒音レベルが低下している。一方、振動レベルは騒音に比べるとそれほど低下していない。これは、列車の最高速度が500系は300Km/h、700系は285Km/hであるということを考えると、車両重量は低下しているものの速度の上昇により振動レベルへの効果を相殺している可能性が考えられる。
(2)交差点周辺はいわゆる局地NO2,NOx高濃度汚染地区となっている。高架道路が存在する時の影響を風洞実験により検討した結果、高架道路が無い時と比較して風下後背地の濃度は増加するが、沿道の濃度変化はそれほど大きくない。また、沿道内の流れ場はベクトル分布だけを見る限り、高架道路の有無にかかわらず非常によく似ている。さらに国道43号芦屋打出交差点周辺の道路両側のNO2,NOx濃度分布について検討した結果、気象条件、特に風向によって交差点周辺のNO2,NOx濃度の分布が大きく異なることが明らかとなった。
第4 温室効果ガスの排出量推計方法と削減方法に関する研究
温室効果ガスの排出量を見積るとともに、その削減方法を提示し、もって県民の削減行動に科学的根拠を与える資料を提出することを目的として実施した。
兵庫県における過去4年間の排出量を産業別に見た場合、第2次産業と第3次産業が99%を占め第1次産業の排出割合は少なく1%であった。平成8年‐9年は大きな変動がなかったが、平成10年と平成11年は減少傾向にあった。地域ごとの排出傾向では、神戸市・阪神南地域・東播磨地域の瀬戸内海沿岸地域からの排出量が全県下の57%を占めていた。地域ごとの特色があり、神戸市(12.6t-CO2/年)などの都市域より播磨地域(14.2~16.7t-CO2/年)で一人当たりの排出量が多かった。
第5 瀬戸内海沿岸の環境浄化能・汚濁蓄積特性の評価及び経済的環境評価に基づく環境保全・創造施策の提言に関する研究
各種の汚濁物質の排出に伴う海域の水環境汚染は、環境基準・排出基準等の設定・強化により一定の改善がみられるものの、汚濁負荷量の削減と水質改善との関連は明確でなく、依然として赤潮の発生・底層貧酸素化が観測されている。近年、これらの現象の解消にとどまらず、更に良質な海域環境の創造が求められている。このため、河川流域・海域の水環境要素の関連を明らかにし、流域・海域の適切な管理が必要となっている。これらの水環境要素と水質・生態系との関係を解明し、良好な水管理の方策を見出すことを目的として本研究を実施した。
1 干潟・砂浜・藻場・人工海岸等が生態系・ 水質保全に果たす役割の解明
沿岸域における干潟・砂浜・藻場等は、生物活動が盛んなことに由来する有機物分解能、及び窒素・燐除去能に由来する高い水質浄化能から環境保全上重要とされている。これらの水質浄化能の評価のため、千種川河口干潟において二枚貝による窒素、燐の固定を検討するため二枚貝の養成実験を行った。5ヶ月間の養成後の生残率は86%であり、自然の減少を考えると高い生残率を示し、殻の大きさおよび湿重量は経時的に増加し、順調な成長が見られ、軟体部については、軟体部乾燥重量と殻長、殻幅、殻高の積から算出される肥満度により検討したところ11月に最低となった後、増加に転じ、1月には10月の値を超えた。二枚貝は水温が低い冬季においても成長が可能であるという知見が得られた。
2 流入河川の流域管理状況が海域の生態系に与える影響の解明
千種川の河口域に形成された干潟の表層水および底質を採取し、窒素、燐、クロロフィル-a等を測定した結果、窒素、燐ともに低塩分の時は高く、高塩分の時は低めとなり、河口干潟では千種川からの流入負荷の影響が大きいことが示された。溶存酸素は6.5~8.7mg/lで推移し、生物の生存には問題のない範囲であった。
3 貧酸素水塊の発生機構とその未然防止対 策の検討
尼崎港内の表層泥と底層水を用い底質による酸素消費量を検討した結果、実験開始後直ちに溶存酸素の減少が見られ、24時間後には、強度の貧酸素状態となり、底質による酸素消費が底層の貧酸素化に大きく寄与していることが示唆された。同時に溶存態全窒素が1.8~2倍に増加し、底質からの窒素の溶出量が大きく、貧酸素化対策には注意が必要であることが明らかになった。
第6 河川水質の改善、水量の確保、水辺空間の保全に向けた面源負荷の削減対策や適切土地形態の提言に関する研究
流域の適切な水環境保全のため,河川水質を決定する流域の各種の要因とその負荷量を把握することを目的として、山林集水域や農村集落排水からの汚濁物質の流出特性を解明するため本研究を実施した。また、水性生物の棲息状況からみた水質環境を評価することを試みた。
1 山林集水域からの汚濁負荷流出機構の解明と評価
河川流域水管理における汚濁物質の流出負荷量を算出する場合、各種面源からの汚濁負荷量を見積もる必要がある。県下山林集水域の中で集水域面積の大きく異なる渓流河川とそこに流入する小渓流河川での水質(水温,pH,EC,NO3-など無機イオン)の長期観測から、その水質を比較することにより、山林からの物質流出プロセスについて検討を行った。山林集水域の面積の大小にかかわらず、無機イオンなどの物質流出特性は共通であることが示され、流出の評価を行う上で有用な知見が得られた。また、山林域からの栄養塩類流出負荷量を算出する方法として、降雨時流出について降水量と流出負荷量の関係を用いるL-R法と、河川連続水位の測定値から水位-流量関係式、流量-負荷量関係式を用いるL-Q法により年間流出負荷量を求め比較検討したところ両者の違いは小さく、いずれも比流出負荷量の算出に対して有用であることが明らかになった。
2 農村を流れる小河川の栄養塩流出特性の解明と評価
順次建設されている農業集落排水処理施設の建設の効果と、農作業に伴って栄養塩の形態と挙動を明らかにするため、平田川流域を対象として調査を行い、処理区域周辺の水質が改善されていることが判った。特にBODやCODで顕著であり、懸念された窒素・燐濃度の悪化は認められなかった。 また、態別窒素の構成比、L-Q式のあてはめ、流下負荷量の変化などの検討結果から、水質の変動特性は降雨や流入する地点の汚濁源の種類、地形、水使用の状況などの多くの因子により影響を受けていることが示唆された。
3 底生動物群集による水環境評価
猪名川流域は近年公共下水道の整備と工場排水の改善および大規模な宅地開発などによって、その水環境は大きく変化しているものと考えられ、1986年の底生動物群集と比較、検討することによって水環境の現状と経年的な変化を評価、把握することを目的とした。ゴルフ橋から下流4地点での調査によると上流では以前に底生動物群集の種数が20種以上出現し、BODも1mg/l以下であり、良好な水環境が保たれていたと考えられるが、昨年には種数と多様性指数がやや低下し、水質の悪化が懸念される。中流では以前にはBODなどが最も高かったが、水質が良くなるに従って種数がやや増加する傾向が見られた。最も下流の地点ではBODは経年的に減少する傾向が見られるが、種数は調査年度によって変動する傾向が明らかになった。
第7 不測の環境汚染事故等に備えるための危機管理機能の強化に関する研究
油流出事故、廃棄物の不法投棄、新たな有害物質の出現等による環境汚染に対して、その原因や対策を速やかに見出す調査体制の強化や、環境修復の技術の確立が求められている。昨年度は以下の課題について危機対応能力の強化を図ることを目的として本研究を実施した。
1 油汚染に対する生物学的環境修復技術の評価
平成9年日本海重油流出事故による海岸の油汚染では、汚染対策として様々な物理的・化学的な油回収・除去が実施されたが、岩場の浅層部の隙間に残る油の完全な除去は困難な状況にあり、微生物による生物学的環境修による油の浄化技術に関心が高まっている。しかし、この技術は現場の状況により効果が異なるなど有効性の問題や、生態系への影響が払拭されていないなど、安全性の問題の解決が十分ではなく、適切な技術の確立が必要となっている。そこで、微生物による環境修復技術として肥料添加の有効性を検討している国立環境研究所の兵庫県香住町海岸実験場での修復技術の安全性を検証した。スケルトネマ・コスタータムを用いたAGP試験による生態系への影響を検討した。各実験区で採取した海水に栄養塩を添加・培養した結果、スケルトネマ・コスタータム増殖量は対照とした大阪湾の海水と差が認められず、肥料添加による環境への影響は少ないことが示唆された。
第8 「兵庫県ダイオキシン類削減プログラム」に基づく各種対策の削減効果の数値的検証及び新たな施策の提言に関する研究
1 ダイオキシン類発生量の把握及び予測モデルによる環境濃度の予測と実測濃度との比較検証
事業所から提出された自主測定報告結果を基にしてダイオキシン類発生量の予測を行い、2000年度の兵庫県下(神戸市除く)の年間排出量が長期平均型プルーム・パフモデルによる環境濃度のシミュレーションを行った結果、計算値と実測値が適合する地域と計算値>実測値である地域とがあることがわかり、今後の課題として、排出量データのより精密な推計方法の検討、ダイオキシンの種類によって異なる物理・化学的特性をモデルに反映させる方法、地形の影響等を考慮したシミュレーションモデルの構築等を抽出した。
2 ダイオキシン類のモニタリング手法の検討
大気中ダイオキシン類濃度のモニタリングについて、従来行われてきた24時間の短期間採取ではなく、1週間以上の長期間採取によるモニタリングの必要性を、両サンプリング法の比較・検討により実証した。
また、ダイオキシンの生成機構や分解過程の解明、毒性評価、起源推定などに重要な情報を提供するとされる低塩素化ダイオキシンの詳細な異性体分布の分析方法を検討した。その結果、従来使われていたSP-2331カラムでは分離が困難であった2塩素化ダイオキシン類の分離特性の向上のためにDB-Dioxinカラムが有効であることを明らかにした。
3 環境中の臭素化ジフェニルエーテル(PBDE)および臭素化ビフェニル(PBB)の異性体分析
これらの化合物は、プラスチック等の高分子材料に難燃剤あるいは防炎材として添加使用されている。熱分解時にはポリ臭素化ジベンゾフラン(PBDF)およびポリ臭素化ジベンゾダイオキシン(PBDD)を生成するとともに、PBDE自体にも環境ホルモン作用があることが報告されている。環境中での実態を把握するために、大気、底質、魚などの調査を行った。臭素化割合の低い同族体は全試料から検出されたが、特に土壌では、2,2',4,4',5,5'-HxBDE(BDE-153)が最も高濃度で検出され、土壌以外では、2,2',4,4'-TeBDE(BDE-47)と2,2',4,4',5-PeBDE(BDE-99)の濃度が高く、この2つの異性体でPBDE全体の4~7割を占めることがわかった。ただし、検出された濃度レベルは、近年欧米で報告されている値の範囲内にあった。
第9 有害化学物質の排出・移動情報(PRTR)と環境モニタリングデータとの整合性の評価及び発生源インベントリー(目録)の整備に関する研究
1 大気中揮発性有機化合物の濃度とその評価
兵庫県下8地点における1997年度から2001年度までの5年間の有害大気汚染物質モニタリング調査結果の解析を行い、大気中揮発性有機化合物の地域毎の汚染状況、ベンゼン濃度の推移について考察した。その結果、ベンゼン排出量の減少とともに年平均濃度も減少していることが明らかになった。また、モニタリング対象物質以外の物質も併せた解析結果からは、工業地域においてPRTRパイロット事業による排出量データと環境モニタリング結果とは比較的整合性が取れる結果が観測されており、概ね報告データを反映した結果が得られたことなどを明らかにした。
2 加古川流域における有害化学物質の実態把握
HCH類、クロルデン類は残留性有機汚染物質(PersistentOrganicPollutants,POPs)であり、その一部の異性体は内分泌撹乱化学物質(環境ホルモン)としてもリストアップされている。加古川水系14地点における1995年11月から2002年1月にかけての調査結果を取りまとめた結果、全クロルデン類(t-,c-クロルデン、t-,c-ノナクロル)の平均濃度は0.38ng/Lであり、異性体組成は調査時期、調査地点にかかわらずほぼ一定していること、HCH類(α-,β-,γ-,δ-)は、平均濃度は1.9ng/Lであり、濃度や異性体の組成は調査時期や調査地点によって濃度が大きく異なること、などを明らかにした。
3 土壌・地下水汚染調査と浄化対策
兵庫県下の地下水汚染地区を対象とした土壌ガス調査及びボーリング調査結果の解析及びそれらに基づく浄化対策の指導と浄化経過の観測を行った。
その結果、クリーニング事業場に起因する汚染では、古いタイプのパーク機の使用が汚染の原因であった可能性が高いこと、汚染物質は表層部に存在するシルトあるいは粘土を含む地質に強く保持されて土壌の浅い部分に残留する傾向にあること、表層土壌ガス濃度と土壌中の汚染物質含有量や溶出濃度は相関が高いことから、土壌ガス調査が土壌・地下水の汚染調査に有効であること、土壌ガス吸引法による浄化対策の実施によって、土壌ガス濃度だけでなく地下水濃度も同時に低下し、この処理方法が地下水汚染の浄化に有効に寄与していることなどを明らかにした。
4 PRTR法指定化学物質に関する新しい環境モニタリング分析法の開発
PRTR法に指定された物質について、分析法が明らかでない物質について分析法を開発し、それらを用いてPRTR情報と環境データとの整合性を評価する調査に応用することを目的として研究を行った。
今年度は、家庭用洗剤の主成分として市民生活への関わりも大きい陰イオン界面活性剤のLAS(LinearAlkylbenzeneSulfonates)、及びプラスチックの酸化防止剤として広く使用され人体への影響が懸念されているtert-ブチルフェノール類の分析法を検討した。
LASについては、高感度で選択性が高いLC/MS法およびLC/MS/MS法の適用を検討し、LC/MS法では、ESI-SIM-ネガティブモードで、モニターイオンとして[M‐Na]‐を用いる方法、LC/MS/MS法では、各同族体のフラグメントイオンとして共通なm/z184(アルキル鎖脱離によるフラグメンテーション)を用いる方法を検討した。河川水への添加実験から、LASの定量限界として、MS分析では3mg/L,MS/MS分析では10mg/Lが得られた。無濃縮で行った河川水試料の分析結果などから、LC/MS法は低濃度のLASの環境モニタリング調査に十分適用できるが、LC/MS/MS法の適用に関してはさらなる検討が必要と考えられた。
tert-ブチルフェノール類では、固相抽出法をもちいた同時分析法の検討を行い、固相吸着剤として酸化防止剤による汚染の少ないガラスハウジングにODS-18系の吸着剤を充填した吸着剤の使用が適していることを示した。あわせて4種類のブチルフェノール類の適切なGC/MS分離条件等を確立し、河川水、海水及び底質に適用しppbレベルでの定量が可能であることを明らかにした。
第10 廃棄物処分場等処理施設に関する信頼性の高い管理指針の策定に関する研究
産業廃棄物の溶出試験や廃棄物処分場からの浸出水の分析などにおける重金属の迅速分析法を検討し、廃棄物処理施設及び周辺環境の監視、産業廃棄物の不法投棄や災害・不測の事故の発生等にともなう環境汚染の調査等への適用を図った。
水試料の濃縮法として吸水性樹脂の使用および樹脂の乾燥法としてマイクロウェーブ乾燥の採用により、精度を損なうことなく最大300min→10minの時間短縮(96%短縮)が可能になる結果が得られた。今後、この方法により、産業廃棄物の不法投棄や災害・不測の事故の発生等にともなう環境汚染の調査に迅速な対応が可能となるとともに、廃棄物処理施設や周辺への環境汚染の監視等に積極的に活用する予定である。