第3節 協力・連携による取組の推進
第1 団体などによる環境保全活動の取組
▼コラム 水生生物調査指導者養成講習会の様子
1 環境月間の実施
1972年(昭和47年)6月5日から2週間、ストックホルムで国連人間環境会議が開催され、人類とその子孫のため人間環境の保全と改善を世界共通の努力目標として、その実現の意思を表明するため、「人間環境宣言」が採択された。
この会議において、日本代表は、会議の開催を記念して毎年6月5日からの1週間を「世界環境週間」とすることを提唱し、国連ではこれを受けて「世界環境デー(6月5日)」を定めた。以来、世界各国で、この日に環境保全の重要性を認識し、行動の契機とするため諸行事が行われている。
わが国では、昭和48年度から、この日を初日として「環境週間」を設けた。平成3年度からは、従来の週間の幅を拡大して「環境月間(6月)」を設定し、これまで以上に環境問題に対する国民の責務と自覚を促すとともに、将来に向かってよりよい環境を創出するための努力と決意を新たにする契機とするため、各種催し等が全国的に実施されている。
さらに、平成5年11月に「環境基本法」が制定され、その中で6月5日を「環境の日」とし、環境の保全に関する関心と理解を深め、環境の保全に関する活動を行う意欲を高めるため、国及び地方公共団体は、その趣旨にふさわしい事業を実施するように努めることとされた。
なお、県では、平成14年度の環境月間において、環境保全思想の普及と啓発のため、市町、県民、事業者等の協力を得て、「人と自然との共生」をテーマに環境月間の集い(地球と共生・ひょうごの集い2002)をはじめ、公害発生源の総点検違動、公害監視施設などの一般公開、海・川・道路等をきれいにする運動などの各種行事を展開した(第2-6-5表)。
2 ひょうごエコフェスティバル2002の開催
地域の環境づくりや地球環境の保全についての理解と関心を深め、実践活動への参加の契機とするため、幅広い県民が興味を持って参加できるイベントを開催した。
開催日:平成14年10月12目(土)・13日(日)
場 所:阪急西宮スタジアム
内 容:自然環境、リサイクル等をテーマとしたNGO、企業、行政等による環境体験コーナー・展示、グリーンエネルキーメッセ
3 水質保全活動
(1)河川の水質汚濁防止協議会
県下の主要な河川においては、流域の環境保全のため、関係行政機関や各種団体などで水質汚濁防止協議会を構成している。
協議会では、水質事故等緊急時の連絡体制の整備を図っているほか、水質保全や河川愛護の普及啓発のため、一般の方にも参加を呼びかけて河川の清掃や流域のパパトロール、水生生物調査等の活動を行っている。
なお、水質汚濁防止協議会の概要は、第2-6-6表のとおりである。
(2)水生生物調査
川の中にはさまざまな生き物が生息しており、特に川底に住んでいる生き物は、その場所の川の環境を反映している。
水生生物調査は、指導者のもとで、小中学生や一般の方々のだれもが30種類の指標生物を調べることにより、比較的簡単に水質の状況を判定することができる。
県下でも、地域の身近な環境観察、環境教育の一環として、小中学生や一般県民の方々を中心に広く調査が実施されており、一部の行政機関においても調査を実施している。
また、県では、水生生物調査に関する指導者の養成を目的として、小中学校の教員の方などを対象に水生生物調査指導講習会を実施しているとともに、調査の結果について集計している。
平成13年度に調査結果報告のあった団体は54団体(述べ2173名)であり、調査地点数については第2-6-7表の通りである。
(3)河川環境保全活動の推進
古くから河川は、洪水等を安全に流下させ、水害から生命財産を守ることのほかに、地域への水の供給源として私たちの暮らしを支えてきた。近年は、こうした河川の治水、利水機能に加え、都市化の進展に伴い、残された貴重な自然とのふれあいの一つとしての役割が注目されている。
水と緑のオープンスペースである河川を美しく維持し守っていくために、県民一人ひとりが川を愛する心を持ち、積極的な河川愛護活動への参加を図る「ふるさと桜づつみ回廊」
などの河川環境の整備を行うとともに、毎年7月の「河川愛護月間」を中心に河川愛護思想の普及及び河川愛護活動への支援を図っている。
平成14年度の概要は、次のとおりである。
1.河川愛護思想の普及
県内各小学校への「川の本」配布並びに関係各所へのポスター掲示及びちらし配布を行った。
2.河川愛護活動への支援
地元自治会等の河川愛護活動団体に対し、軍手、ゴミ袋等を配布した。
3.アドプトプログラムの実施
平成13年度より河川の一定区間を、活動団体と河川管理者で「養子縁組」し、活動団体で清掃美化、草刈、植栽等の活動を行ってもらう、アドプトプログラムを実施している。
平成14年度は7河川で実施する。
4 大気保全活動
(1)スターウォッチング・ネットワーク(星空継続観察)
星の光は、大気を通過する間に弱められるが、特に大気中のほこりや水滴などは星の光を屈折させたり散乱させたりするので、星の見え方と大気の状態とは深い関係がある。
昭和63年度から、環境庁の呼びかけで、全国で同時に星空を観察することによって、その地域の状況を把握してもらうとともに、大気環境保全に対する関心を深めてもらうことを目的として、一般の住民に年2回(夏、冬)観察目標を設定し(夏:夏の大三角形、冬:すばる星団)、星空を継続的に観察してもらう「スターウォッチング・ネットワーク(星空継続観察)」を実施している。
(2)光化学スモッグによるアサガオの被害観察
植物は、大気汚染による環境の変化に極めて鋭敏であるため、大気汚染の優れた指標となる。特にアサガオは光化学オキシダントに対して敏感な植物の一つであり、光化学スモッグによる被害がアサガオの葉の表面に現れるという特性を利用して、汚染に対するものさし(指標生物)として活用することができる。
平成4年度からアサガオの葉に現れる被害を観察することにより、光化学スモッグをはじめする大気の汚染状況及びその改善についての理解の促進を図ることを目的として「生物による大気汚染の観察実践活動事業」を県下の小中学校を対象に募集し実施した。
その結果、平成13年度は光化学スモッグ広報等発令区域内の学校を中心に小学校56校、中学校15校の合計71校(他に自治体等での参加が3団体)の参加があり、これらの学校等で7月の上旬と中旬の2回にわたって、一斉にアサガオの葉に生する被害の程度を観察したところ、光化学スモッグによるアサガオヘの被害が観察地点のほほ全域で確認された。
(3)兵庫県大気環境保全連絡協議会
地球の温暖化、オゾン層の破壊、酸性雨等による地球規模の環境問題、窒素酸化物等による地域の大気環境問題の解決に資するため、県民・事業者・行政が一体となり、相互に協力し行動するとともに、大気環境保全に関する思想の普及及び意識の高揚を図ることを目的として、住民団体、工場・事業場、運輸関係、市町及び県等を会員として、平成4年6月に設立された。
地域別研修会の開催、情報誌「あおぞら」の発行、アイドリング・ストップ運動の推進、環境保全に関する惰報資料の提供、環境教育用のビデオの貸し出し、県・市町及び関係団体事業に対する協力支援等の活動を展開している。
5 自動車公害防止活動
(1)エコドライビング運動、アイドリング・ストップ運動
窒素酸化物等による大気汚染は、自動車の保有台数の増加、ディーゼル化及び大型化等により、改善の傾向が見られていない。
このため、平成5年11月に策定した「兵庫県自動車排出窒素酸化物総量削減計画」の中で、環境に配慮した自動車の利用についての具体的な行動を「エコドライビング運動」と名付け、県民・事業者・行政が連携し、一体的な実践に取り組んでいる。また、その運動の中でも、特に駐停車時における不必要なアイドリング(エンジンのかけっぱなし)については、平成7年7月に制定した「環境の保全と創造に関する条例」の中で、全国に先駆けて禁止規定・罰則規定が盛り込まれたのを契機として、広く県民・事業者の意識啓発を推進するため、「アイドリング・ストップ運動」として展開している。なお、アイドリング・ストップ運動は、兵庫県大気環境保全連絡協議会内に設置した、兵庫県アイドリング・ストップ運動推進本部を運動の母体として、運転免許試験場、免許更新センターや県内全自動車運転教習所等に啓発資料を配布するなど、さまざまな啓発活動により県民の意識改革を促すこととしている。
(2)自動車公害防止月間等キャンペーン活動
平成13年度は、自動車公害防止月間(6月及びll~1月)において、関係機関の相互連携のもとに環境一斉調査、ノーマイカーデーやアイドリング・ストップ運動の普及PR等の事業を実施した。
また、平成13年10月に西宮市及び姫路市において低公害車の展示及び普及啓発資材の配布等を中心としたフェアを開催した。
6 自然環境保全活動
(1)自然観察指導者研修会等の開催
自然観察会の指導や運営に携わる指導者の養成と資質向上、交流を目的に、(社)兵庫県自然保護協会と共催で研修会を開催しており、さらに、自然保護活動のリーダーとの情報交換・交流を目的に研修会を開催する。
(2)情報誌「自然とともに」の発行(年4回)
自然保護に関する行政の情報を提供するとともに、自然保護団体、研究者、指導者の情報等の相互交流を図るため、自然環境に関する情報誌「自然とともに」を発行している。
(3)ナチュラルウオッチャー制度の実施
県民の自然観察活動を促進するとともに、自然環境の保全を県民参加のもとに推進するため、県民から募集・登録を募るナチュラルウオッチャー制度を、(財)ひょうご環境創造協会の協力を得て実施する。
(4)「県花のじぎくの里」づくり
ノジギクは、兵庫県の瀬戸内海沿岸がその分布の東北限といわれており、昭和29年にNHKが郷土の花を募ったとき、兵庫県の花として選ばれて以来、広く県民に親しまれてきている。
姫路市南部の大塩、的形地区を中心に播磨地域臨海部に広く自生していたが、工場や住宅地の造成によってその姿を消しつつある。
そこで、ノジギクを守り育てるため、自生地である瀬戸内海沿岸地域を対象に、昭和62年度から苗の配布、県民による植栽の実施など「のじぎくの里」づくりを推進している。
7 環境にやさしい買物運動等
地球的規模での環境問題の解決が叫ばれる中、平成3年度から、婦人会や消費者団体が中心となって環境にやさしいライフスタイルの創造をめざして自発的な実践活動として実施されている「環境にやさしい買物運動」等の一層の定着と発展を支援している。
(1)「環境にやさしい買物運動」
兵庫県連合婦人会、兵庫県消費者団体連絡協議会、神戸市消費者協会の3団体を中心として環境にやさしい商品の評価等を行うため、有識者、業界団体の参画を得て、「環境にやさしい商品評価委員会」を設置し、この委員会を中心に日常的に使用する商品について環境との共生の視点から評価し、公表して企業の社会的責任を促すとともに、自らも主体的な消費者として環境にやさしい商品を率先して購入している。
また、環境にやさしい商品を製造、販売したり、積極的にリサイクルに取り組むなど、環境に配慮した事業活動を行っている事業者を省資源・省エネルギー月間(毎年2月)に開催する「兵庫県省資源・省エネルギー運動県民大会」で表彰している。
(2)家庭用品修理会実施事業
限られた資源の中で、ものを大切に生かして使うという意識や態度を養い、環境にやさしいライフスタイルを創造していくため、兵庫県消費者団体連絡協議会に委託して県下6地域において、家庭用品を修理し再利用ができるように修理会を開催している。