第5節 公害紛争の処理
第1 公害審査会
「公害紛争処理法」に基づき、公害紛争の迅速かつ適正な解決を図るため、国においては公害等調整委員会、都道府県においては公害審査会が設置され、あっせん、調停及び仲裁手続きにより、公害の紛争を処理している。
兵庫県では、昭和45年11月の公害紛争処理法の施行にあわせて公害審査会を設置し、現在、弁護士、大学教授など学識経験者12名の委員が紛争当事者からの申請により、あっせん委員(1~3名)、調停委員会(3名)、仲裁委員会(3名)を構成し、紛争の解決に当たっている。
平成13年度は、平成9年に申請のあった事件について、引き続き調停を行った。(第2-5-3表)。
第2-5-3表 公害審査会で取り扱った調停事件(平成14年3月31日現在)

第2 公害苦情の現況
1 県及び市町が新規に受理した公害苦情件数は、平成13年度は3,768件で、平成12年度に比べて165件(前年度比4.6%)増加している。(第2-5-5図)
第2-5-5図 公害苦情件数の推移

2 典型7公害(大気汚染、水質汚濁、騒音、振動、悪臭、土壌汚染及び地盤沈下)の苦情件数は、平成13年度は2,884件(全苦情の76.5%)で、平成12年度に比べて28件減少している。
また、典型7公害以外の苦情(不法投棄、害虫等の発生、動物死骸の放置等)の件数は、平成13年度は884件(全苦情の23.5%)で、平成12年度に比べて193件増加している。
[種類別](資料編第7-1表)
大気汚染が1,275件(全苦情の33.8%)と最も多く、平成12年度に比べて57件(前年度比4.7%)増加している。次いで騒音が638件(全苦情の16.9%)、悪臭455件(同12.1%)、水質汚濁408件(同10.8%)の順となっている。
[市町別](資料編第7-3表)
神戸市の608件(全苦情の16.7%)が一番多く、次いで尼崎市の405件(同11.2%)、姫路市380件(同10.5%)の順となっており、県下22市の合計は、2,936件で全体の77.9%を占めている。
[発生源別](資料編第7-2表)
建設業が900件(全苦情の23.9%)、製造事業所516件(同13.7%)、サ-ビス業319件(同8.5%)の順となっている。
また、典型7公害のうち、苦情件数の多い大気汚染及び騒音についてみると、大気汚染では、建設業が444件、製造事業所185件の順になっており、騒音では、建設業が218件、製造事業所102件の順となっている。
第3 公害健康被害の救済対策
公害の影響による健康被害者の迅速かつ公正な保護を図るため、「公害健康被害補償法」が昭和49年から施行され、神戸市臨海地域、尼崎市東部・南部地域が地域指定を受けて、両市において公害病患者の認定、認定患者に対する補償給付(療養の給付、療養費、障害補償費、遺族補償費、遺族補償一時金、児童補償手当、療養手当及び葬祭料)及び保健福祉事業を実施し、公害被害者の救済を図ってきた。
昭和63年3月には、大気汚染の態様の変化を踏まえて、改正法(「公害健康被害の補償等に関する法律」)が施行されるに伴い地域指定が全面解除された。
また、この改正法では、既に認定された患者(認定患者の状況については資料編第7-4表のとおり)の救済については、引き続き継続されるとともに、健康被害の予防に重点をおいた施策(環境保健事業及び環境改善事業)が展開されることとなった。
兵庫県では、旧第一種地域である神戸市及び尼崎市に西宮市及び芦屋市を加え、これら4市において、法改正後に実施されることとなった健康被害予防事業が広域的に実施できることとなり、公害健康被害補償予防協会(改正法に基づき設置された特殊法人)の助成事業として、平成12年度に策定した大気環境改善のための事業計画に基づき、低公害車普及事業等を実施している。
第4 環境事犯の取り締まり
環境の保全と創造に関する行政施策の一翼を担う視点に立って、「兵庫C(Clean=きれいな)&C(Create=創造する)活動」の推進を業務重点に設定し、産業廃棄物の不法投棄等環境汚染をめぐる悪質事犯に重点を指向した取り締まりを強力に実施した。
平成13年中における環境事犯の検挙状況は、第2-5-4表のとおりである。
第2-5-4表 環境関係事犯の検挙状況
