第2節 オゾン層の保護
▼コラム フロンとオゾン層の破壊
▼コラム オゾン層破壊による影響
平成7年7月18日に制定された「環境の保全と創造に関する条例」においては、全国的にも初めてのフロン放出禁止規定を罰則規定とともに規定し、平成8年7月1日から施行している。
この他、フロンの回収・処理を推進するため、次の事業を実施した。
(1)融資制度の実施
フロン回収装置の購入、脱フロン化のための空調機器の導入に対して、兵庫県地球環境保全 資金〔公害防止・環境保全施設等設置資金〕を適用し、導入、更新を促進している。
(2)フロン回収状況実態把握調査の実施
フロンの回収・処理の実態把握のため、関係する事業所に対し、アンケート調査を実施した。
第1 特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の確保等に関する法律の施行
平成13年6月22日に「特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の確保等に関する法律」が公布され、冷媒としてフロン類が充てんされている業務用冷蔵・冷凍機器やカーエアコン等を廃棄する際にフロン類の回収等が義務付けられ、オゾン層を破壊し、地球温暖化に深刻な影響をもたらすフロン類の大気中への排出が抑制されることとなった。
第一種特定製品(業務用冷蔵冷凍庫、業務用エアコン)からフロン類を回収する事業者は平成13年12月21日から登録が開始され、3月末で207件の登録が完了している。
第二種特定製品(カーエアコン)からフロン類を回収する事業者は平成14年4月1日から登録を開始する。
また、フロン類の回収・引き取り・引き渡し等にかかる基準等の義務付けについては、第一種特定製品関係は平成14年4月1日から、第二種特定製品は平成14年10月1日から開始される。(第2-4-5図)
オゾン層保護に向けての国際的取組と国内関連法
年 月 | 内 容 |
昭和62年9月 |
成層圏オゾンが破壊され、地表に降り注ぐ有害紫外線が増加することにより、人の健康に影響するのではないかとの指摘から、フロン規制の国際的取組を進めるべく「モントリオール議定書」が採択された。 |
昭和63年5月 |
我が国でもこの議定書を実施に移すため、「特定物質の規制等によるオゾン層の保護に関する法律」(オゾン層保護法)が公布された。 |
平成4年11月 |
「第4回モントリオール議定書締約国会議」で、特定フロンの全廃時期を1996年までに早めること等の既存規制物質削減計画の前倒し(第2-4-4図)並びにHCFC,HBFC及び臭化メチルの新規規制物質追加等の規制強化等が採択された。 |
平成5年9月 |
上記の合意を受け、これに対する国内措置として「特定物質の規制等によるオゾン層の保護に関する法律に基づく告示の一部改正」が公布され、特定フロン等の1995年末全廃が決定した。 |
平成6年6月 |
「特定物質の規制等によるオゾン層の保護に関する法律の一部を改正する法律」が公布され、HCFC等の新規規制物質が特定物質に追加され、既存規制物質と同様、製造数量の規制等が行われることとなった。 |
平成7年12月 |
ウィーン(オーストリア)において「オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書第7回締約国会合」が開催され、HCFCの全廃時期が2030年から2020年に早められ、臭化メチルに係る全廃計画の設定等が合意された。 |
平成9年9月 |
モントリオール(カナダ)において開催された「第9回締約国会合」では、臭化メチルの全廃時期が先進国については2010年から2005年に早められ、開発途上国についても新たに2015年までに全廃することとなった。(第2-4-1表)。 |
平成13年4月 |
オゾン層保護及び地球温暖化防止を推進するためには、フロンの生産規制等だけでなく、既に生産された製品からの排出を抑制することも必要なことからに「特定家庭用機器再商品化法(家電リサイクル法)が施行され、家庭用冷蔵庫及びルームエアコンに使用されているフロンについて、回収・処理が義務づけられた。 |
平成13年6月 |
「特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の確保等に関する法律」(フロン回収破壊法)が公布され,カーエアコン及び業務用冷凍機器等に使用されているフロンについても、平成13年12月以降、段階的に回収・処理が義務づけられた。 |
第2-4-4図 特定フロン等の削減スケジュール

第2-4-1表 新規規制物質の削減スケジュール
第2-4-5図 フロン回収破壊法の概略図

第2 冷媒用特定フロンの回収実態調査結果
平成13年度も引き続き、平成12年4月1日から平成13年3月31日までの冷媒用フロンの回収実態を把握するため、兵庫県フロン回収・処理推進協議会に委託して、自動車整備事業者等の関係事業者に対して調査を実施した。(第2-4-2表)
1 冷媒用フロンの回収状況
ア.フロンの回収状況
フロンを回収している割合を業界順に見ていくと、市町等、自動車ディーラー、カーエアコン関係(自動車ディーラーを除く)、業務用低温機器関係、自動車販売機関係、家電製品販売関係の順となる。
第2-4-2表 特定フロン回収状況

イ.回収フロンの処理
回収後のフロンの処理方法は、市町では100%破壊処理されているが、他の業界では再利用されている場合が多い。
第2-4-3表 特定フロン回収後の処理

2 洗浄用フロン等の使用状況
洗浄用フロンのうち、特定フロン、1,1,1-トリクロロエタン、四塩化炭素等については、平成7年度末で生産等が全廃されており、現在ではほとんど使われていない。
3 今後の対応
冷媒用フロンの回収については、各業界団体で取り組まれているので、その進展状況等を把握する必要がある。
また、代替フロンとして使用が拡大しているHCFC141b、HFC134a等や絶縁剤として使用されている六ふっ化硫黄については、温室効果ガスとしての観点からその対策が必要である。
第3 兵庫県フロン回収・処理推進協議会による取組
兵庫県フロン回収・処理推進協議会では、県民・事業者・行政が一体となったフロン回収・処理を進めるため、次の事業を行っている。
《フロン回収・処理の普及啓発と支援》
(1)フロン回収・処理については広く消費者等の理解と協力を得るため、パンフレット等を作成・配布する。
(2)オゾン層保護対策推進月間及び県その他関係機関が実施する環境保全のための事業に積極的に協力する。
(3)国・県等行政機関及び関連業界の動向の把握及び連携強化に努め、回収・処理等に係る情報収集を行う。
(4)その他フロンにかかる技術的動向等最新の情報を収集し、研修会、講習会を開催する。
(5)フロンの回収・処理状況等実態把握のための調査及び研究を実施する。
《フロン回収・処理のための事業》
会員が回収したフロンを専門業者に委託して収集・保管し、破壊プラントヘの搬送を行う回収フロン処理システムを平成8年度から実施しており、その処理依頼実績は平成12年度が約20.7t、平成13年度が約13.6tであった。(平成14年12月末終了予定)
第2-4-4表 処理依頼実績

《フロン回収装置等のリース事業等》
平成8年8月より推進協議会会員事業者に対し、低料金による回収装置のリースを、平成9年4月よりボンベのリースを開始した。(平成14年12月末終了予定)