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第1部 第2章 環境政策の方向性

 

 本県の環境行政の基本目標である「共生と循環の環境適合型社会」を実現していくためには、兵庫県の環境分野における現状と課題を踏まえ、県民、事業者、行政等のあらゆる主体が、全ての環境分野に渡る多種多様な取組を、総合的かつ計画的に推進していくことが重要となる。

 このため、こうした様々な取組・施策の共通基盤となる4つの事項を「目標達成への基本戦略」として位置づけ、重点的に展開していくこととしている。

 

第1 「ひょうごエコ・ライフスタイル」の創造

 

 今日の豊かな生活水準を支えてきた大量消費・大量廃棄型のライフスタイルや社会経済システムが、今や環境へ過大な負荷をかけるものとなっており、県民一人ひとりの暮らしや産業活動によって引き起こされた環境問題が深刻さを増し、人類の生存さえも揺るがす重大な課題となってきている。

 このため、現状の枠組みの中での努力にとどまらず、生活行動や経済活動自身を環境への配慮が組み込まれたものに変革することが必要となる。

 この解決に向け、県民、事業者、行政等全ての主体が、様々な機会を捉えて知識や経験を拡げ、環境に対する意識を高め、環境にやさしいライフスタイルを提案し、県民の共通認識として、新しい豊かさを持った、健康で文化的で環境に配慮した「ひょうごエコ・ライフスタイル」を創造していく。

 また、意識の変化を実践に結びつけ、県民等各主体の自発的、積極的な取組をより一層活性化していく。

 

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こども環境会議

 

第2 環境へのとりくみが盛り込まれた社会経済システムの構築

 

 前述のとおり、今日の環境問題は、私たちのライフスタイルや社会経済システムと深く結びついていることから、ライフスタイルの変革に併せて、社会経済システム自体の変革を図っていかなければならない。

 このため、経済活動において、「環境の保全と創造」と「健全な経済活動」とを同時に実現できるしくみを構築するとともに、環境への負荷の低減や環境の保全と創造に貢献する産業を育成していくことが必要となる。

 この解決に向け、技術開発や新たなビジネスモデルの育成を通じて環境効率の向上を図るとともに、市場メカニズムを通じて事業活動を環境負荷の低いものへと誘導する経済的手法の導入などを図る。

 また、事業者のみならず県民、民間団体、行政等が、的確な知識を持って、生産者、消費者など様々な立場で「グリーン購入」などの経済活動に参加することを促進する。

 こうした取組を通じて、「環境に良いことをしても損をしない」から、さらに「環境に良いことをしたら儲かる」社会経済システムを築いていく。

 

第3 担い手の育成とパートナーシップの形成


 環境問題が多様化・複雑化し、多岐にわたる取組が必要となっている今日、様々な分野やレベルで、環境に関する多様な知恵を備えた数多くの活動主体(担い手)が必要となる。

 さらに、これらの担い手がお互いのパートナーシップにより多様な取組を推進していくことが重要である。

 このため、生活や事業活動による環境への負荷の程度や将来の環境変化の予測、先進的な環境保全・創造の取組等の様々な情報を体系的に整理し、積極的な情報提供を行う。また、情報公開や環境コミュニケーションを進め、環境に関する事業や取組の透明性を高める。

 また、これらの様々な活動の担い手が、実効ある活動を持続的に繰り広げるため、環境ファンド(基金)などの経済基盤の充実を図るとともに、「環境にやさしい買い物運動」など、県民主体で進められてきたこれまでの取組を踏まえながら、(財)ひょうご環境創造協会との連携・協力のもと、参画と協働の新たなしくみづくりを進めていく。

 

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水生生物調査

 

第4 地域間、世代間の公平性の確保

 

 今日の環境問題が、地球全体の環境問題であることを思えば、県内はもとより国内外のどの地域に住む人々も、等しく快適な環境のもとで暮らすことができるように努める必要がある。

 また、20世紀においては、海辺が埋め立てられ、森林では原生的な自然植生が減少するなど、人の手により環境が大きく改変され、また、利便性の追求から生み出された様々な化学物質が、河川・海域、土壌、地下水や大気の中に蓄積されてきたが、これらの20世紀の負の遺産を将来世代へ残さないよう、その解消に早急に取り組み、そして、将来に向けて負の遺産を新たに発生させないことが強く求められている。

 このため、地域間、国際間の協力体制の一層の強化を図るとともに、森林の荒廃や河川の汚濁、自然海岸の減少、また有害物質による土壌や地下水の汚染、難分解性有害物質の処理問題など、環境面での負の遺産の解消に努めるとともに、有害化学物質による汚染の未然防止など新たな分野をも含めて様々な実態に留意し、新たな発生を防止していく。

 

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第2回日中韓環境産業円卓会議