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第3部 第1章 第4節 資源循環システムの構築

 

第4節 資源循環システムの構築

第1 一般廃棄物

1 一般廃棄物処理の現況

 

 一般廃棄物の処理は、市町の自治事務であり、市町は、その区域内における一般廃棄物の滅量に関し、住民の自主的な活動の促進を図るとともに、一般廃棄物の適正な処理に必要な措置を講ずるよう努めることとされている。
 これら市町に対し、県は技術的支援を、国は技術開発及び財政的支援を行っている。
 一般廃棄物の処理に関して、市町は、当該市町の区域内の一般廃棄物の処理に関する計画を定めなければならないこととなっており、この計画に基づいて、必要な一般廃棄物処理施設を整備するとともに、収集、運搬、分別、再生、保管、処分等の処理を行っている。
 平成12年度における一般廃棄物の総発生量は2,867千tであり、総排出量は団体による集団回収量167千tを除く2,700千tで、一人1日当たりに換算すると1,335gである。
 総排出量の処理内訳は、市町等が収集した量2,382千t、排出者自ら処理施設に直接搬入した量317千tであり、その処分の方法は、焼却、再資源化、埋め立て等で、焼却量は前年度比3.5%増の2,186千tであり、焼却灰として残る312千tを除く1,874千tが焼却による減量化量である。

 

第3-1-59図 ごみ処理内訳

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 また、再資源化量は、155千tであり、集団回収量167千t、焼却灰からの資源化量28千tを加えた350千tが再資源化されており、資源化量+集団回収量/総排出量+集団回収量で示したリサイクル率は12.2%で、平成10年度の11.0%を上回ってはいるものの、12年度の全国平均14.3%を下回っている。

 

第3-1-60図 計画収集処理内訳の推移

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 平成12年度に市町が処理した廃棄物の量は、自家処理量を除く一般廃棄物の総排出量2,699千tと産業廃棄物等21千tとの合計2,720千tとなっている。
 ごみ及び粗大ごみの総排出量は、1日平均で7,398tと推定されるが、そのうち、計画収集量は、6,525tとなっており、前年度と比較して4.3%増加となっている。(第3-1-61図、第3-1-62図)

 

第3-1-61図 ごみ一人一日平均排出量の推移

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第3-1-62図 し尿処理状況の推移

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 一人一日平均排出量は昭和60年度以降増加しつづけてきたが、平成8年度以降はほぼ横ばいとなっている。
 処理の内訳については、焼却量が80.9%、埋め立て量は13.0%、前年度に比較してそれぞれ1.1ポイント増加、1.7ポイント減少となっている。

 

2 ごみ処理対策の推進

 

 一般廃棄物(ごみ・し尿)の処理は、市町の責任において当該市町の区域内の一般廃棄物の処理に関する計画を定め、その計画に従って、一般廃棄物を生活環境の保全上支障が生じないうちに収集し、これを運搬し、処分することとなっている。
 県では、市町の責務が十分に果たされるよう、廃棄物処理施設等への立入検査を実施するとともに、学識経験者による清掃事業相談を実施し、技術的支援を行っている。
 また、平成13年度に県が策定した「廃棄物処理計画」及び容器包装リサイクル対策等との整合を図りつつ、一般廃棄物の資源化・減量化の推進が図れるよう、市町等に対し一般廃棄物処理基本計画の改訂(原則5年毎)を要請している。

 

(1)県ごみ処理広域化計画の推進

 ごみ処理の広域化を進めることは、リサイクル対象物も一定量が確保され、ごみの減量化・リサイクルの推進に寄与するとともに、ダイオキシン類の排出削減や施設建設費、維持管理費の軽減等の観点からも有効とされている。
 このため、県では、平成11年3月に「兵庫県ごみ処理広域化計画」を策定し、新たに広域処理ブロックを構成する市町に対し、広域化推進協議会等の設置を要請するほか、必要に応じて協議会に参画するなど、広域化の早期実現に向けての市町間調整、施設整備に係る技術的支援に努めている。
 また、広域化に伴う施設整備を円滑に推進するため、ごみ処理施設の設置に住民の意見を十分反映させることを目的に、施設整備実施計画の策定から施設建設の段階に至るまでの手順等を盛り込んだ「一般廃棄物処理施設設置マニュアル」を平成12年3月に策定し、市町等に提供している。

 

第3-1-63図 広域化推進協議会等の設置状況

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(2)一般廃棄物処理施設の整備促進

 市町においては、一般廃棄物処理基本計画に基づき、廃棄物の排出抑制に努め、リサイクル可能なものは極力リサイクルを行い、その後になお排出される可燃性のものは焼却処理等を行うとともに、積極的に熱エネルギーの活用等を図るための施設整備が求められている。県では、市町等が責任を持って的確な施設整備が出来るよう国庫補助金の確保に努めている。
  なお、平成14年度までの一般廃棄物処理施設の整備状況は第3-1-38表のとおりである。
(注) 国庫補助率については、補助対象事業費の1/2~1/4となっており、地域・施設種別によって異なる。

 

第3-1-38表 一般廃棄物処理施設の整備状況

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第2 産業廃棄物

 

1 産業廃棄物処理の現況

 

 平成12年度の兵庫県下における産業廃棄物の推計排出量は26,277千tである。

 一方、環境省が把握している平成11年度の全国における産業廃棄物の推計排出量は399,799千tであり、これと比較すると、兵庫県における産業廃棄物排出量は全国の約7%を占めている。

 排出された産業廃棄物のうち、約17%にあたる4,414千tはそのまま再生利用され、約4%にあたる907千tはそのまま最終処分されるため、残りの約80%にあたる20,956千tが焼却等により中間処理されている。このうち15,418千tが中間処理によって減量化され、さらに、4,722千tが再利用、816千tが最終処分されるため、最終的には発生量の約7%に相当する1,723千tが最終処分(埋め立て)されている。

 産業廃棄物処理については、事業者自ら行うことが原則であり、処理に際しては、処理基準に従い、適正処理することとされている。また、事業者は、自ら処理する他、産業廃棄物処理業者に委託することができることとなっている。

 排出事業者の委託を受けてその処理を担う処理業者は、知事(神戸市、姫路市、尼崎市及び西宮市(以下「保健所設置市」という)にあっては市長)の許可を受け、事業者と同様の処理基準に従い、産業廃棄物を適正処理しなければならないこととされている。

 産業廃棄物処理業者数は、平成15年3月31日現在で第3-1-39表のとおりであり、収集運搬業が大部分を占めている。

 

第3-1-39表 産業廃棄物処理業者数

(平成15年3月31日現在)

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 廃棄物処理法に規定する産業廃棄物処理施設を設置する場合、知事(保健所設置市においては市長)の許可を受けなければならない。この産業廃棄物処理施設の種類ごとの設置状況と設置数の推移は、平成14年3月31日現在でそれぞれ第3-1-40表、第3-1-41表のとおりである。

 

第3-1-40表 産業廃棄物処理施設設置数の推移

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第3-1-41表 産業廃棄物処理施設

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第3-1-64図 産業廃棄物排出状況(平成12年度集計)

 

 産業廃棄物の適正処理の推進には、排出量及び処理の状況や将来動向を的確に把握することが必要であり、県では、産業廃棄物処理実態調査を実施している。この実態調査から集計された平成12年度の産業廃棄物排出量は第3-1-64図のとおりであり、地域別で見ると、全体の9割以上を阪神・播磨地域で占めている。種類別で見ると、最も多い汚泥が全体の6割を占め、以下、鉱さい、がれき類となっており、この3品目で全体の排出量の約8割を占めている。

 また、産業廃棄物の処理状況は第3-1-65図のとおりであり、排出量の約35%に相当する9,136千tが直接又は中間処理の後に再生利用されている。また排出量の約59%が減量化され、最終的には排出量の約7%に相当する1,723千tが最終処分(埋立)されている。

 

第3-1-65図 産業廃棄物の処理状況(平成12年度集計)

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2 産業廃棄物処理対策への取組

 

 産業廃棄物処理対策については、①排出事業者責任の原則 ②減量化・再資源化の推進 ③適正処理の確保の3原則のもと、排出事業者及び処理業者への指導強化により、廃棄物適正処理体制の整備促進を図ってきた。

 一方、平成12年6月の廃棄物処理法の改正により、排出事業者責任の徹底や不法投棄に係る罰則の強化など、不適正処理に対する規制の強化を図り、平成13年4月から完全施行されている。

 県では、これら強化・充実された法制度について排出事業者及び処理業者に周知徹底するとともに、立入検査等による規制・指導を強化している。

 とりわけ、多発する不法投棄や野外焼却等の不適正処理に対応するため、県警をはじめとする関係機関と連携した監視・指導体制を強化するとともに、不法投棄防止のための新たなシステムの構築等総合的な対策を講じていく。

 

3 排出事業者に対する指導

 

(1)産業廃棄物管理票(マニフェスト)制度の徹底

 排出事業者に対する規制・指導の徹底を図るため、平成12年6月の法改正により、排出事業者に対して、マニフェストによる最終処分の確認を義務づけ、マニフェスト不交付の場合の罰則規定を設ける等、排出事業者に対する規制を大幅に強化した。

 これを受けて、県では、「兵庫県環境保全管理者協会」等の各種団体を通じ、排出事業者に対する説明会等を行い、改正された制度の周知と指導の徹底を図っている。

 

(2)多量の産業廃棄物排出事業者に対する指導

 平成12年6月の法改正により、多量排出事業者の範囲及び処理計画策定や実績報告等が義務づけられた。

 県では、法が改正される以前から、指導要綱に基づき排出事業者に対して計画策定や実績報告を求めてきたところであり、今後、改正法に基づき、さらに排出事業者指導を強化していく。

 

第3-1-42表 多量排出事業者の範囲等

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4 処理業者に対する指導

 

 産業廃棄物処理施設の設置及び産業廃棄物の処理業を行うにあたっては、廃棄物処理法に基づく許可が必要である。

 許可にあたっては、廃棄物処理法に規定する構造基準、維持管理基準及び処理基準等を踏まえ厳正に審査を行い、適正な処理施設の設置及び処理業者の確保に努めている。

 また、処理業者の資質向上を図るため、県では政令市と協調し、(社)兵庫県産業廃棄物協会による研修会の開催について支援している。

 

第3-1-43表 処理業者数

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5 不適正処理防止対策の強化

 

(1)不適正処理の現状

 近年、産業廃棄物の不法投棄や野外焼却等の不適正処理が、全国的にも、増加・悪質化する傾向にある。本県管轄区域における産業廃棄物の不法投棄・野外焼却に係る通報件数は下表のとおりであり、平成9年度以降急増しその対策が大きな課題となっている。

 

第3-1-44表 不適正処理に係る通報件数の推移

(平成14年3月末現在)

横スクロール

年度7891011121314
不法投棄 17 27 15 24 57 85 129 79
野外焼却 50 60 159 148 191 252 182 79

(注1)平成11年度までは、神戸市、姫路市及び尼崎市の区域を除く。
(注2)平成12年度以降は、神戸市、姫路市、尼崎市及び西宮市の区域を除く。

 

(2)不適正処理防止体制の整備

ア 兵庫県不法投棄防止対策協議会等の設置

 県及び国の関係機関、市町、関係団体で構成する「兵庫県不法投棄防止対策協議会」や地域ごとの「地域廃棄物対策会議」において、連絡情報網の整備や個別事案の対応協議等により関係機関と連携を図りながら不適正処理の防止を図っている。

 

イ 不法投棄を防止するためのシステムの構築

 本県における不法投棄等の不適正処理事案は、年々増加・悪質化しているが、いったん不法投棄されると原状回復するのに莫大な費用と労力が必要となる。

 このような不適正処理事案を未然に防止し早期に是正するため、早期発見・指導から撤去に至るまでの総合的な防止システムを構築し運用する。

(ア)「産業廃棄物等の不適正な処理の防止に関する条例」の施行

 産業廃棄物等の不適正な処理を未然防止するため、学識経験者、関連業界、市町等で構成する「廃棄物不適正処理防止方策検討委員会」において検討を行い、産業廃棄物及び特定物(使用済自動車、使用済みの自動車用タイヤ、使用済特定家庭用機器)の保管の届出制、及び土砂による埋立て等の許可制を内容とする「産業廃棄物等の不適正な処理の防止に関する条例」を制定し、施行した。

(イ)原状回復等に関する方策

 不法投棄された廃棄物に係る原状回復等については、兵庫県廃棄物等不適正処理適正化推進基金の活用を図る。

 

(3)監視体制の強化

ア 監視機動班の創設

 刑事告発を目的とした不法投棄現場の監視、広域的な不法投棄事案に対応するための追跡調査等を行うため、県警からの出向職員による監視機動班を創設し、不法投棄事案に対して機動的な対応を図る。

 

イ 不法処理監視員の配置

 管内パトロール及び事業所への立入検査の強化・充実により不適正処理の防止を図るため不法処理監視員を配置しているが、不法投棄監視係との強力な連携を図るため、体制の充実に努めていく。

 

ウ 不法投棄監視サポート事業の実施

 不法投棄監視サポーターを配置し、県民局と連携して、不法投棄の早期発見及び早期対応を図るとともに、不法投棄に係る情報の収集にも努める。

 

(4)立入検査による不適正処理の是正

 廃棄物処理法に基づき、排出事業者及び処理業者に対して立入検査を実施し、処理施設の維持管理等について、不適正な場合には、厳格な是正指導を行っている。

 また、悪質事案については改善命令を発するなど厳格な対応をとっている。

 

第3-1-45表改善指示等の状況(平成12~14年度)

横スクロール

年度措置命令事業全部停止命令改善命令文書指示
12 3 2 2 21
13 0 0 2 24
14 0 0 4 46

 

6 産業廃棄物処理施設整備の促進

 産業廃棄物処理施設の設置に際しては、近年、生活環境上の不安感等から事業者と地域住民との間で紛争が多発し、その解決が極めて困難な状況となっている。

 このため、平成元年度に施行した「産業廃棄物処理施設の設置に係る紛争の予防と調整に関する条例」に基づき、住民のコンセンサスを得た事業となるよう手続きを進めている。本条例に定める手続きは、処理施設の設置にあたって、事業者に対し、地元住民に説明会等を実施させるとともに、地域住民の意向を踏まえつつ、必要に応じ、地元市町長への協力要請、紛争のあっせん、産業廃棄物審議会の意見聴取等を行うこととなっている。本条例の施行により、平成15年3月末までに条例対象事案208件のうち、183件の手続きが終了し、25件については手続きを継続実施している。

 

7 PCB廃棄物対策の推進

(1)国の取り組み

ア ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法の制定等

 PCBを含むトランス、コンデンサ等の廃棄物については、廃棄物処理法により保管が義務づけられているが、保管が長期間となった結果、事業者の倒産、移転等による紛失が発生しており、これらの早期処理が望まれていた。

 このため、国(環境省)では、「ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法(以下「PCB特措法」と言う。)」を平成13年6月22日に制定し、保管事業者に対して、一定期間内での適正処理を義務づけるとともに、都道府県等による処理計画の策定や保管事業者に対するPCB廃棄物の届出義務等が規定された。

 さらに、平成15年4月には、PCB特措法第6条に基づき、「ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理基本計画」を策定し、PCB廃棄物の確実かつ適正な処理を総合的かつ計画的に推進することとしている。

 

イ 処理施設の整備等

 国においては、PCB特措法の制定に加え、処理施設整備の促進を図るため、環境事業団法を改正し、PCB廃棄物処理事業を業務として追加した。また、中小事業者の処理を支援するため、国、都道府県が出捐する基金を環境事業団内に設置する等、処理の実現に向けた取組を実施している。

 

(2)県の取り組み

ア 適正保管の徹底

 県が全国に先がけて制定した「ポリ塩化ビフェニール(PCB)等の取扱いの規制に関する条例」やPCB特措法等に基づき、保管事業者等に対して立入検査や保管状況調査等を実施するなど、適正保管について一層の周知徹底を図っている。

 

イ PCB廃棄物処理基金への出捐

 PCB廃棄物の処理にあたって、中小企業者の処理費の負担を軽減するため、環境事業団に設置される基金に各都道府県が出捐することとなっており、県においても、平成15年度当初予算で8,900万円の予算措置をしている。

 

ウ PCB廃棄物処理推進検討委員会での検討

 県では、県域内でのPCB廃棄物の適正処理に向け、平成15年3月に専門家で構成する「PCB廃棄物処理推進検討委員会」を設置し、PCB廃棄物処理計画の策定や処理技術の安全性評価、広域的なPCB廃棄物処理施設の整備等について検討を進めている。

 

第3 循環型社会システムの構築

 

<コラム>「5R」は資源循環型社会形成のキーワード

 

1 資源循環利用の促進

 

 持続可能な循環型社会を目指して、廃棄物の発生抑制、再使用、再資源化及び適正処分に係る各種施策を推進するとともに、推進体制を整備し、県民・事業者の意識啓発を図ることにより、廃棄物の減量化・リサイクルを進め、資源の循環利用の促進を図る。

 

(1)ひょうご循環社会ビジョンの推進

 21世紀を迎え、目指すべき循環型社会の姿を明らかにするとともに、地方からの積極的な情報発信を図るため、単なる既存事業や既存施策の枠組みにとらわれることなく、長期的な視点に立った、今後の廃棄物・リサイクル対策のあり方として、平成13年5月に「ひょうご循環社会ビジョン」を策定した。

 本ビジョンでは、目指すべき社会とその実現を図るための基本的方策として、以下のことを掲げている。

ア 目指すべき社会:持続可能な循環型社会

イ 具体的な姿:

①自然生態系との共生が図られている社会

②市民の自律による安全で快適な社会

③環境と経済が調和し環境ビジネスが発展する社会

ウ 基本的方策

①廃棄物となるものの発生抑制を第一に、次いで廃棄物の再使用、

 再資源化を行い、最終的に適正処分を行うという原則に基づいた

 「物質循環の促進」を図ること

②事業活動や消費活動における「環境負荷の低減」を図るとともに、

 それらに起因する「リスクの管理」を行うこと

③社会のすべての構成員による合意と実践により持続可能な循環型

 社会を達成するために、「社会のあらゆる主体の参画と協働」を実現

 すること

④持続可能な循環型社会の実現の障害となっている法制度や経済

 ルールの見直しによる「新たな仕組みづくり」を推進すること

エ 重点戦略

①すべての社会活動における物質循環フローを把握する

②広域リサイクル拠点の整備を促進する

③広域的かつ公共関与による適正処理を推進する

④県民と行政の情報交流、事業者情報の自主的公開を進める

⑤ごみ処理の従量料金制の推進を図る

 

(2)廃棄物処理計画の策定

 平成12年6月の廃棄物処理法の改正により、都道府県の区域内における一般廃棄物と産業廃棄物を併せた、廃棄物の減量その他その適正処理に関する計画を定めなければならないことになり、県では、「ひょうご循環社会ビジョン」の趣旨や国が定めた基本方針を踏まえて、平成13年度に「兵庫県廃棄物処理計画」を策定した。

 同計画に定める基本方針及び計画の目標は次のとおりである。

ア 基本方針

(ア) 5Rの推進

・健全な物質循環を促進するためのシステムづくり

・個別品目毎のリサイクルの促進

・事業者の自主的な取組の推進

(イ) 適正処理の確保

・廃棄物の適正処理の確保

・公共関与による適正処理の推進

・不適正処理の未然防止と不法行為に対する厳正な対処

・PCB廃棄物の適正処理

イ 減量化の目標

 計画の目標年次である平成22年度に、一般廃棄物及び産業廃棄物の最終処分量を平成9年度からほぼ半減させるという主目標に加え、排出量を抑制し、再生利用量を増加する目標を定めている。具体的な目標値は第3-1-46表、第3-1-47表のとおりである。

 

第3-1-46表 一般廃棄物の減量化の目標値

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第3-1-47表 産業廃棄物の減量化の目標値 (単位千t/年)

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(3)ひょうごエコタウン構想の推進

 健全な物質循環を促進し、持続可能な循環型社会を構築していくためには、使用済み製品等の資源をリサイクルするための受け皿施設の確保が不可欠である。

 このため、県の提唱により、平成12年10月に「広域リサイクル拠点整備協議会」(事務局:(財)兵庫県環境クリエイトセンター)を設置し、産学官が一体となってリサイクル拠点の事業化検討を進め、複数の事業計画が具体化してきた。(44社が9研究会に参加)

 県では、これらの検討成果をもとに、既存の産業基盤等を活用した広域的な資源循環体制の構築を目指す「ひょうごエコタウン構想」を策定し、平成15年4月25日付けで、環境省及び経済産業省から「地域におけるゼロ・エミッション構想推進のためのエコタウンプラン」として承認を受けたところである。(近畿では初、全国では18番目のプラン承認)

 この構想は、県内全域を対象地域とし、他地域にはない独創性・先駆性を有しており、その概要は第3-1-66図のとおりである。

 今後は、この構想を推進していくため、平成15年12月5日に「ひょうごエコタウン推進会議」(事務局:(財)兵庫県環境クリエイトセンター)を設立し、リサイクルの事業化支援や産学官の協力・連携による調査研究等を行うなど、循環型社会の形成に向けた取組を推進するとともに、エコタウン事業の推進を図り、環境と調和したまちづくりを創造していく。

 

第3-1-66図 ひょうごエコタウン構想・概念図

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(4) 物質循環プログラムの作成

 「ひょうご循環社会ビジョン」の目標である持続可能な循環型社会を形成するためには、その政策効果を測定し、目標とすべき指標が必要となる。この指標の策定に向けて、生産から流通、消費、再生等に至る物の流れを定量的に把握するため、平成14年度に行った物質循環フローの基礎調査を基に物質循環プログラムを作成する。

 

(5) 先導的容器回収システムの支援

 空き缶の散乱を防止するとともに、貴重な資源の確実な改修を図るためには、使用済み容器の回収に一定の経済的インセンティブを与えるデポジット制度が有効である。

 このため、平成14年度に実施した兵庫型デポジットパイロット事業の結果を踏まえ、先導的かつ主体的な取り組みを進める事業者の活動を支援するため、県と連携しながら取り組みを推進する市町に対して技術的・財政的支援を行う。

 

(6)減量化・資源化の推進

 「環境の保全と創造に関する条例」(平成7年兵庫県条例第28号)に基づき、県民・事業者・行政の参画と協働による廃棄物の減量化・資源化に取り組んでいる。

ア 再生資源利用促進基準の適用(生産)

 一定規模以上の製造業者等(大手製造業、電気業等(約80社))における再生資源の利用等を促進するため、「再生資源利用促進基準」を定めている。

イ 再生資源利用促進製品の指定(消費)

 一定規模以上の事業所等における再生紙等の再生製品の利用を促進するため、「再生資源利用促進製品」として、印刷用紙等の紙製品を指定している。

ウ 回収促進製品及び回収促進区域の指定(回収)

 飲料容器の回収と再資源化を促進するため、「回収促進製品」として自動販売機で販売される飲料容器を指定するとともに、「回収促進区域」を指定し、自動販売機設置業者に回収量等の帳簿記載を義務づけている。

 

(7)容器包装リサイクルの推進

 容器包装リサイクル法は、市町が分別収集した容器包装廃棄物を、事業者の負担により再商品化し、住民、行政、事業者の三者の取組により容器包装廃棄物の効率的なリサイクルを行おうとするものである。市町・事務組合の策定する「分別収集計画」及び県の策定する「兵庫県分別収集促進計画」に基づき、それぞれの市町において取組が進められており、平成14年度は、平成15年度から19年度を計画期間とする第3期計画を策定したところである。

 分別収集品目は、平成9年度にスチール缶、アルミ缶、ガラスびん(無色、茶色、その他)、紙パック及びペットボトルの7品目を対象にスタートし、平成12年度からは、段ボール、紙パック及び段ボール以外の紙製容器包装とペットボトル以外のプラスチック製容器包装の3品目が加わり、計10品目を対象としている。

 平成13年度実績では、スチール缶、アルミ缶について全市町が分別収集に取り組んでおり、他の品目についても順次取組の充実が図られている。平成15年度からの第3期計画においては、さらに取組を拡大することとし、平成19年度には、無色及び茶色ガラスびんについて全市町が、ペットボトルについて87市町が取り組むこととしている。

 

(8)家電リサイクルの推進

 平成13年4月から家電リサイクル法により、家電小売店や家電メーカー等に対し廃家電(エアコン、テレビ、冷蔵庫及び洗濯機の4品目)の回収と再商品化が義務づけられた。この法律の趣旨を踏まえ、県では、消費者の理解と協力を得ることが最も重要であるという認識に立って、兵庫県電機商業組合、家電メーカー、県下各市町及び(財)兵庫県環境クリエイトセンターと協議して、県独自の廃家電の回収・運搬システムを構築し、平成13年4月から運用を開始した。

 このシステムは、運営主体を兵庫県電機商業組合とし、廃家電の引き取りル-トの販売店への一元化等により、効率化を図っている。

 また、廃家電の不法投棄等があった場合には、市町、県警等との連携のもとに適切に対処することとしている。

 

(9)建設リサイクルの促進

 建設廃棄物は、産業廃棄物全体の排出量の約2割、最終処分量の約4割を占め、さらに不法投棄の約6割を占めている。今後も建築解体廃棄物の増加が予想される一方、最終処分場の新設は困難であることから、最終処分量を削減し、使用されていた資材の再資源化に積極的に取り組むことが急務となっている。

 これらの対策のため、「建設工事に係る再資源化等に関する法律」(建設リサイクル法)が制定され、一定規模以上の建築物やその他工作物の解体工事、新築工事等については、コンクリート、アスファルト、木材等についてこれらを現場で分別し、再資源化することが義務づけられた。(平成14年5月30日施行)

 本県においては、工事の届出及び分別解体に係る事務を県土整備部が、再資源化等に係る事務を健康生活部が受け持ち、普及啓発に努めることとしており、健康生活部としては、再資源化等の実施のための助言・勧告を行うとともに、建築部局との合同パトロールも定期的に実施している。

 また、平成14年4月に「建設リサイクルに関する兵庫県の実施指針」を定め、再資源化等に関する目標を設定し、関係者の役割等を示している。

 

(10)食品廃棄物対策

 農林水産業・農山漁村及び食品製造業等から排出される食品廃棄物、水産残さ等有機性資源(バイオマス)の一元的かつ総合的な利活用を図るため、平成13年度に策定した「ひょうご食のゼロエミッション推進基本計画」に基づき、地域ぐるみのリサイクルや、食品関連事業者、処理業者及び農林漁業者等の連携によるリサイクルを推進しており、各家庭でのコンポスト化や、一部企業で先導的に肥・飼料化、エネルギー化の取組が始まっている。

 

2 減量化・再資源化の意識啓発

 

 減量化・再資源化の推進については、県民一人ひとりが廃棄物の発生者責任を自覚し、そのライフスタイルを、拒絶(Refuse)、発生抑制(Reduce)、再使用(Reuse)、修理(Repair)、再資源化(Recycle)を実践する「5R生活」に変革するよう意識啓発に努める。

 

(1)推進体制の整備

 生産・流通・消費・回収・処理の各段階における廃棄物の減量化・資源化に取り組むため、平成3年度に学識経験者、行政及び関係事業者団体の代表で構成される「廃棄物発生量削減対策委員会」を設置していたが、平成13年度に発展・改組し、「循環型社会推進委員会」を設置している。

 また、全国組織である「ごみゼロパートナーシップ会議」(平成4年設置。平成14年に改称)のもと、生産、流通、消費、再生の各界代表と関係行政機関からなる「兵庫県5R生活推進会議」、県下6ブロックに「地域別5R生活推進会議」を設置し、ごみの発生抑制、減量化・再生利用等、5R生活の実践を推進している。

 

第3-1-67図 5R生活推進体系

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(2)意識啓発事業の実施

ア スリム・リサイクル宣言の店の指定

 兵庫県5R生活推進会議では、空き容器の回収、簡易包装の実施などごみの減量化や再資源化に取り組む県下の店舗等を「ごみ減量化・再資源化推進宣言の店(通称:スリム・リサイクル宣言の店)」として指定している。

 平成7年4月から募集を開始し、平成15年3月末現在1,921店舗を指定している。

 

イ マイ・バッグ・キャンペーンの展開

 ごみゼロパートナーシップ会議の提唱により、消費者の意識啓発を図るため、平成7年度から兵庫県5R生活推進会議の事業として「マイ・バッグ・キャンペーン(買い物袋持参運動)」(重点実施期間:毎年10月)を展開している。

 

ウ ごみをへらすアイデアの募集

 平成4年度から、県下の小学校4年生に対し「ごみをへらすアイデア」を募集し、優秀作品を表彰することにより、ごみの減量化、資源化の意識啓発を行っている。

 平成15年度は、2,260件の応募があり、審査の結果、入賞35作品(入選17、佳作18)を決定し、5R生活推進県民大会において表彰した。

 

エ 5R生活推進県民大会の開催

 廃棄物の減量化、リサイクルの推進の普及啓発を目的として、平成6年度から「ごみ減量化推進県民大会」を開催しており、平成14年度からは、「5R生活推進県民大会」として5R生活の実践を推進している。

 平成15年度は、11月5日に神戸市内において、ごみをへらすアイデア優秀提案やスリム・リサイクル宣言の店優良店舗の減量化への取組の事例発表、講演会を実施した。

 

3 環境美化対策の推進

 

 ごみの散乱を防止し、快適で美しいまちづくりを推進するためには、県民自らが環境美化に配慮した積極的な行動に取り組むことが必要なことから、地域別5R生活推進会議での情報交換などを通じて、市町と一体となって美化意識の啓発及び高揚に努めている。

 

(1)環境美化区域の指定

 環境条例に基づき、公園、道路、海水浴場等公共の場所等で、特に必要があると認められる区域を昭和56年度から環境美化区域(平成14年7月末現在、22市57町で154カ所)として指定し、ポイ捨ての禁止やごみ容器の設置を義務づける等ごみの散乱防止を推進している。

 

(2)環境美化推進事業の実施

 環境月間(6月)、環境衛生週間(9月24日~10月1日)を中心に、県、市町では、不法投棄多発箇所のパトロールや啓発活動を実施している。

 また、市町においては、平成14年7月現在、14市24町において独自の環境美化条例(ポイ捨て禁止条例等)を制定し、地域ぐるみで環境美化対策に取り組んでいる。

 

(3)クリーンキャンペーンの推進

 平成8年度から市町等との連携のもと推進協議会を設置し、県下全域で環境美化統一キャンペーン「クリーンアップひょうごキャンペーン」を展開している。キャンペーン期間はごみゼロの日(5月30日)から7月末であり、各種団体の機関誌等を活用した啓発や資材の提供により、美化活動の実施や美化意識の高揚を図っている。

 なお、平成14年度は、全県で46万人以上が清掃及び啓発活動等に参加し、回収したごみの量は1,899tであった。

 

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コラム

▼「5R」は資源循環型社会形成のキーワード

 資源循環型社会を実現するため、県民や事業者が実践すべき行動を表した言葉として、Reduce(リデュース=ごみの発生を抑制する)、Reuse(リユース=何度も繰り返し使う)、Recycle(リサイクル=再生して利用する)の「3R」という言葉がよく使われます。
  兵庫県では、さらに、Refuse(リフューズ=不要な物は受け取らない)、Repair(リペア=修理して長く使う)を加えて「5R」とし、これら「5R」に配慮した行動を、県民・事業者が実践することを推進しています。
  5Rの実践例としては、買い物にマイバッグを持参し、レジ袋を受け取らなかったり(リフューズ)、詰め替え商品や、量り売り、ばら売りの商品を選んだり(リデュース)、フリーマーケットを活用し、いらない物を人に譲ったり(リユース)、電化製品や家具、おもちゃなどが壊れても、修理や部品交換をして長く使ったり(リペア)、牛乳パックなどの店頭回収や市町の分別収集に協力したり(リサイクル)・・・といったことが挙げられます。
  これらはほんの一例にすぎませんが、自然と共生しつつ、持続可能な発展を続けていくためには、こうした「5R」に配慮した行動を、少しでも多くの県民・事業者が実践し、「資源循環型社会」を形成することが大切なのです。
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第4 廃棄物広域処理対策

 

 一般廃棄物は市町が、産業廃棄物は排出事業者がそれぞれの責任で処理することが原則であるが、用地確保と合意形成の困難性、あるいは多額の初期投資を必要とすること等の問題から、個々の市町や事業者の努力のみでは、最終処分場等の確保が困難な状況である。

 このため、県では、広域的な立場から廃棄物の適正処理を推進すべく、地元市町、業界と連携・協力し、必要性の高い地域毎に広域最終処分場等処理施設の確保対策を推進するとともに、現在実施している広域処理体系を維持・促進するため、各事業主体を支援している。

 

1 大阪湾フェニックス事業

 大阪湾圏域から生じた廃棄物の適正な海面埋め立てによる処理及びこれによる港湾の秩序ある整備を目的として、昭和57年3月に大阪湾広域臨海環境整備センターが設立され、平成2年1月から廃棄物の受け入れを開始した。

 本県は、21市35町が受け入れ対象区域となっており(全体では2府4県195市町村)、現在、本県に関連する施設としては、尼崎沖処分場、神戸沖処分場及び海上輸送のための積出基地である尼崎基地、播磨基地、津名基地、神戸基地、姫路基地が稼働中である。

 尼崎沖処分場では、海面埋め立てが進み、全体計画量1,578万m3のうち、管理型区画478万m3について、平成14年3月末に廃棄物の受け入れを終了した。

 また、平成10年2月から整備を進めていた神戸沖処分場が平成13年12月に完成し、同月から廃棄物の受け入れを開始している。今後は、尼崎沖処分場及び泉大津沖処分場での管理型区画の受入終了により、フェニックス計画の全ての管理型廃棄物が神戸沖処分場に集まることから、同処分場の円滑な運営に努めていく必要がある。

 さらに、建設中の施設としては、大阪沖処分場があり、平成13年7月に公有水面埋立免許を取得し、同月から建設工事に着手しており、今後、施設整備が進められることとなる。

 

第3-1-68図 大阪湾フェニックス事業(埋立処分場の概要)

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2 環境クリエイトセンター事業

 本県では、平成7年8月に(財)兵庫県環境クリエイトセンター(以下「クリエイトセンター」という。)を設立し、同年11月に廃棄物処理法に基づく「廃棄物処理センター」の指定を受けた。

 クリエイトセンターは、これまで網干最終処分場の運営や大阪湾フェニックスセンターからの受託事業等、最終処分場事業を中心に行ってきたが、市町・事業者からの要請や関連法令の新設改廃等の情勢の変化に呼応して、平成10年6月、学識経験者等からなる「事業化方策検討委員会」を設置し、新たな事業展開の検討を行ってきた。

 その結果、委員会での最終報告に基づき、平成13年4月から県電機商業組合の委託を受けて、廃家電の回収・運搬システムの運営を行うとともに、容器包装広域リサイクルシステム及びばいじん・焼却灰の溶融処理のあり方等について引き続き検討を行っている。

 なお、市町から強い要請のあるばいじん等の処理については、当面の措置として、兵庫西エースセンターの施設を利用して、溶融処理事業を平成11年10月から開始しており、その概要は第3-1-69図のとおりである。

 

第3-1-69図環境クリエイトセンター事業

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 さらに、最終処分場が不足している但馬地域において、地元建設業界からの要請を受けて、平成12年3月から安定型最終処分場の整備に着手し、13年9月に完成、同年10月から廃棄物の受け入れを開始しており、その概要は第3-1-70図のとおりである。

 

第3-1-70図環境クリエイトセンター事業

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