第4 大気保全活動
1 スターウォッチング・ネットワーク(星空継続観察)
星の光は、大気を通過する間に弱められるが、特に大気中のほこりや水滴などは星の光を屈折させたり散させたりするので、星の見え方と大気の状態とは深い関係がある。
昭和63年度から、環境庁の呼びかけにより、全国で同時に星空を観察することによって、その地域の状況を把握してもらうとともに、大気環境保全に対する関心を深めてもらうことを目的として、一般県民に年2回(夏、冬)観察目標を設定し(夏:夏の大三角形、冬:すばる星団)、星空を継続的に観察する「スターウォッチング・ネットワーク(星空継続観察)」を実施している。
2 光化学スモッグによるアサガオの被害観察
植物は、大気汚染による環境の変化に極めて鋭敏であるため、大気汚染の優れた指標となる。特にアサガオは光化学オキシダントに対して敏感な植物の一つであり、光化学スモッグによる被害がアサガオの葉の表面に現れるという特性を利用して、汚染に対するものさし(指標生物)として活用することができる。
平成4年度からアサガオの葉に現れる被害を観察することにより、光化学スモッグをはじめとする大気の汚染状況及びその改善についての理解の促進を図ることを目的として「生物による大気汚染の観察実践活動事業」を県下の小中学校を対象に募集し実施した。
その結果、平成14年度は光化学スモッグ広報等発令区域内の学校を中心に小学校35校、中学校14校の合計49校(他に自治体等での参加が3団体)の参加があった。これらの学校で7月の上旬と中旬の2回にわたり、一斉にアサガオの葉に生じる被害の程度を観察したところ、光化学スモッグによるアサガオヘの被害が観察地点のほぼ全域で確認された。
3 兵庫県大気環境保全連絡協議会
地球の温暖化、オゾン層の破壊、酸性雨等による地球規模の環境問題、窒素酸化物等による地域の大気環境問題の解決に資するため、県民・事業者・行政が一体となり、相互に協力し行動するとともに、大気環境保全に関する思想の普及及び意識の高揚を図ることを目的として、住民団体、工場・事業場、運輸関係、市町及び県等を会員として、平成4年に設立された。
地域別研修会の開催、情報誌「あおぞら」の発行、アイドリング・ストップ運動の推進、環境保全に関する惰報資料の提供、環境教育用のビデオの貸し出し、県・市町及び関係団体事業に対する協力支援等の活動を展開している。
第5 自動車公害防止活動
1 エコドライビング運動
自動車の利用は、県民・事業者等の日常の活動と深くかかわっているため、環境に配慮した自動車の利用についての具体的な行動を「エコドライビング運動」と名付け、県民・事業者・行政が連携し、一体的な実践に取り組んでいる。また、その運動の中でも、特に駐停車における不必要なアイドリング(エンジンのかけっぱなし)については、平成7年に制定した「環境の保全と創造に関する条例」の中で、全国に先駆けて禁止規定・罰則規定が盛り込まれたのを契機として、広く県民・事業者の意識啓発を推進するため、「アイドリング・ストップ運動」として展開している。なお、アイドリング・ストップ運動は、兵庫県大気環境保全連絡協議会内に設置した兵庫県アイドリング・ストップ運動推進本部を運動の母体として、運転免許試験場、免許更新センターや県下全自動車運転教習所等に啓発資料を配布するなど、さまざまな啓発活動により県民の意識改革を促すこととしている。
2 自動車公害防止月間等キャンペーン活動
平成14年度は、自動車公害防止月間(6月及びll~1月)において、関係機関の相互連携のもとに環境一斉調査、ノーマイカーデーやアイドリング・ストップ運動の普及PR等の事業を実施した。
また、平成14年10月に西宮市及び姫路市において低公害車の展示、普及啓発資材の配布等を中心とした低公害車フェアを開催した。
第6 自然環境保全活動
1 自然観察指導者研修会等の開催
自然観察会の指導や運営に携わる指導者の養成と資質向上、交流を目的に、(社)兵庫県自然保護協会と共催で研修会を開催している。
2 ナチュラルウオッチャー制度の実施
県民の自然観察活動を促進するとともに、自然環境の保全を県民参加のもとに推進するため、県民から募集・登録を募るナチュラルウオッチャー制度を、(財)ひょうご環境創造協会の協力を得て実施する。
ナチュラルウオッチャーには、情報誌「自然とともに」(年3回発行)を送付し、自然保護に関する行政の情報を提供するとともに、自然保護団体、自然保護指導員などと情報の相互交流を図る。
3 「県花のじぎくの里」づくり
ノジギクは、兵庫県の瀬戸内海沿岸がその分布の東北限といわれており、昭和29年にNHKが郷土の花を募ったとき、兵庫県の花として選ばれて以来、広く県民に親しまれている。
しかしながら、姫路市南部の大塩、的形地区を中心に播磨地域臨海部に広く見うけられた自生ノジギクが、工場や住宅地の造成によってその姿を消しつつある。
そこで、ノジギクを守り育てるため、自生地である瀬戸内海沿岸地域を対象に、昭和62年度から苗の配布、県民による植栽の実施など「のじぎくの里」づくりを推進している。
第7 グリーン購入の推進等
1 グリーン購入運動の支援
県民すべてが主体的に取り組むグリーン購入推進運動を展開するため、兵庫県連合婦人会、兵庫県消費者団体連絡協議会、神戸市消費者協会の3団体が中心となって進めている「環境にやさしい買物運動」を支援している。
また、環境にやさしい商品を製造、販売したり、積極的にリサイクルに取り組むなど、環境に配慮した事業活動を行っている事業者を省エネルギー月間に開催する「兵庫県省資源・省エネルギー運動県民大会」(毎年2月)で表彰している。
2 省資源・省エネルギー運動の推進
県民一人ひとりが資源とエネルギーを大切にし、環境と調和したライフスタイルへと転換していくため、女性団体をはじめ関係団体と連携し、省資源・省エネルギー運動を展開している。
省資源・省エネルギー運動を推進するため、女性団体及び消費者団体に対し、普及啓発事業及び家庭用品修理会実施事業を委託している。