兵庫県ごみ処理広域化計画(概要版)
1 計画の策定趣旨等
(1) 県では、平成10年4月に、ごみの減量・リサイクルの推進及びごみ焼却施設から排出されるダイオキシン類の削減を図るため、21世紀初頭までのごみ処理施設の整備のあり方についての基本的な考え方を示した「兵庫県ごみ処理施設整備基本方針」(以下「基本方針」という)を策定し、市町に対し周知してきた。
(2) 「兵庫県ごみ処理広域化計画」(以下「計画」という。)は、市町において、基本方針に基づき複数市町等が連携してごみ処理を行う区域として確定したブロック(以下「ごみ処理ブロック」という。)及びブロックごとに策定された施設整備計画を踏まえ、県域での総合的かつ計画的な施設整備を進めるため、策定するものであり、今後、市町等が策定する「ごみ処理施設整備実施計画」の指針となるものである。
(3) 本計画の期間は、今後の社会情勢、技術開発動向等を踏まえ、平成10年度から平成19年度までの10年間とし、必要に応じて見直すものとする。
なお、計画による施設整備が完了する予定は、平成28年度である。
2 ごみ処理ブロック
(1) ブロック設定の確定
市町において確定したごみ処理ブロックは、次表のとおりであり、単独処理を行うのは、神戸市等の10市及び家島町のみとなる(詳細は、別紙のとおり。)。
表1 ごみ処理ブロックの現状と計画
現状(平成10年4月) | ブロック数 | 計画 | ブロック数 | |||
市単独 | 15市 | 15 | 単独処理ブロック | 市単独 | 10市 | 10 |
町単独 | 17町 | 17 | 町単独 | 1町 | 1 | |
事務組合 | 6市53町 | 17 | 広域処理ブロック | 12市65町 | 13 | |
計 | 49 | 計 | 24 |
(2) 新たに広域化するごみ処理ブロック
広域化により施設整備を図る13ブロックのうち、従来から広域処理されている豊中・伊丹及び揖龍の2ブロックを除く次表の11ブロックが新たに広域化されることとなる。
表2 新たに広域処理を行うブロック及び構成市町
地 域 | ブロック | 構 成 市 町 |
阪 神 | @川西・猪名川・豊能郡ブロック | 川西市、猪名川町(大阪府豊能郡を含む) |
東播磨 | A三木・吉川ブロック B稲美・播磨ブロック C東播磨北ブロック |
三木市、吉川町 稲美町、播磨町 西脇市、小野市、加西市、加東郡3町、多可郡4町 |
西播磨 | Dにしはりまブロック E相生・赤穂ブロック F神崎・飾磨ブロック |
佐用郡4町、宍粟郡5町、新宮町、上郡町 相生市、赤穂市 神崎郡5町、飾磨郡夢前町 |
但馬 | G但馬ブロック | 豊岡市、城崎郡4町、出石郡2町、美方郡4町 養父郡4町、朝来郡4町 |
丹波 | H丹波ブロック | 篠山市、氷上郡6町 |
淡路 | I洲本・三原ブロック J津名ブロック |
洲本市、三原郡4町 津名郡6町 |
3 施設整備計画
(1) 地域別ごみ処理施設の整備計画
各ごみ処理ブロック(24ブロック)から提出された施設整備計画書を集計した結果、現状及び施設整備が完了する平成28年度における計画は、次表のとおりである。
表3 地域別ごみ処理施設の整備計画
地域別 | 神戸 | 阪神 | 東播磨 | 西播磨 | 但馬 | 丹波 | 淡路 | 県全体 | ||||||||
施設別 | 現状 | 計画 | 現状 | 計画 | 現状 | 計画 | 現状 | 計画 | 現状 | 計画 | 現状 | 計画 | 現状 | 計画 | 現状 | 計画 |
焼却施設 | 5 | 5 | 12 | 9 | 10 | 5 | 13 | 7 | 5 | 1 | 5 | 1 | 10 | 2 | 60 | 30 |
RDF化施設 | 1 | 1 | 0 | 2 | ||||||||||||
堆肥化施設 | 1 | 1 | 0 | 2 | ||||||||||||
資源化施設 | 2 | 5 | 9 | 12 | 12 | 13 | 11 | 12 | 6 | 9 | 6 | 8 | 8 | 12 | 54 | 71 |
最終処分場 | 2 | 2 | 1 | 1 | 12 | 12 | 15 | 9 | 6 | 2 | 10 | 6 | 3 | 49 | 32 | |
し尿処理施設 | 7 | 5 | 8 | 7 | 12 | 10 | 5 | 5 | 2 | 2 | 4 | 3 | 38 | 32 |
@ 焼却施設については、離島である家島ブロックを除き、計画では全て100t/日以上で整備され、施設数は、現状の60施設から30施設に半減する。
A RDF化施設については、稲美・播磨、宍粟ブロックと、但馬ブロックのうち養父・朝来の2ブロックで計画されている。
B 堆肥化施設については、稲美・播磨、洲本・三原の2ブロックで計画されている。
C 資源化施設については、容器包装リサイクル法の施行に伴い、現状の54
施設から71 施設に増える計画であるが、川西・猪名川・豊能郡及びにしはりまの2ブロックで7施設から3施設に集約される計画である。
D 最終処分場については、神崎・飾磨及び但馬の2ブロックで9施設から3施設に集約されるほか、大阪湾広域臨海環境整備センタ−への移行により、現状の49施設から32施設に減少する。
E し尿処理施設については、下水道整備等の進捗により現状の38施設から32施設に減少する。
(2) 過渡期の対応
広域化が図られるまでの間、ブロック内の既存施設の更新時期が異なる等により過渡期の対応が必要となることから、丹波ブロックのうち篠山市で焼却施設、神崎・飾磨ブロックのうち神崎町、大河内町、市川町及び丹波ブロックのうち氷上郡でRDF化施設の設置が計画されている。 また、施設整備以外の対応として、にしはりまブロックで近隣市町での委託処理、東播磨北等5ブロックで既設施設の延命化を図ることにより、円滑に広域化に移行していくこととしている。
(3) 灰溶融固化施設の整備計画
灰溶融固化施設は、焼却灰及びばいじんの減量化・リサイクルには不可欠な施設であり、今後新設される焼却施設(溶融炉除く。)には同施設の設置が必要である。
また、処理の効率性の観点から、一定規模未満の焼却施設から排出される焼却灰及びばいじんについては、原則として、財兵庫県環境クリエイトセンターにおいて、一括して広域処理するものとする。
なお、溶融飛灰については、金属回収等リサイクルの観点から、同センターで一括処理するものとする。
4 広域化の効果
(1) ダイオキシン類の排出削減に関する効果
平成13年度末までには、既存施設について恒久対策基準値(0.5〜5ng-
TEQ/N‰)を達成すること、また、その後新設される施設については、新設基準値(0.1ng-
TEQ/N ‰)の適用により最新の排ガス処理が講じられることから、ダイオキシン類の排出量は、次表のとおり、平成14年で約
6.7g−TEQ/年、平成19年で約 4.3g−TEQ/年、平成29年で約
1.1g −TEQ/年と推定され、現状に比べ約96%削減される。
表4 ダイオキシン類の削減効果 (
g-TEQ/ 年)
現状排出量 平成9年) |
恒久対策後 (平成14年) |
平成19年 | 平成29年 |
30.0 | 6.7 | 4.3 | 1.1 |
(2) 余熱利用等効果
ごみ焼却施設で活用できる余熱を発電量に換算するとともに、この発電量が既存の発電所で削減されると想定した場合のCO2 削減量を試算した。その結果は、次表のとおり、発電量は年間約5億KWh増加し、CO2 は年間約6万t削減することが可能と考えられる。
表5 ごみ発電量とCO2 削減効果
@現状 (平成8年度) |
A広域化完了後 (平成28年度) |
A−@ | |
発電可能量(百万KWh/年) | 139 | 647 | 508 |
CO2 削減量(千t/年) | 17 | 78 | 61 |
(3) ごみ処理事業コストの削減効果
ごみ焼却施設(RDF化施設含む)と、今後新設される一定規模未満の焼却施設から排出される焼却灰及びばいじんの灰溶融固化施設とについて、広域化した場合としない場合の施設建設費維持管理費及び輸送コストの増減額を試算した。
その結果、ごみ焼却施設については次表のとおり、年間1,753百万円、灰溶融固化施設については年間694百万円の削減が期待される。
表6 広域化に伴うごみ処理事業コストの削減効果 (百万円/年)
@建設費の削 減額 |
A維持管理費 の削減額 |
B輸送コスト の増加額 |
@+A−B 総削減額 |
|
ごみ焼却施設 | 1,940 | 1,358 | 1,545 | 1,753 |
灰溶融固化施設 | 523 | 361 | 190 | 694 |
注)・ごみ焼却施設に関しては、新たに広域化される11ブロックを対象に試算した。
・灰溶融固化施設に関しては、一定規模未満の焼却施設として、300t/日未満の施設を想定して試算した。
5 計画推進に向けて
(1) 市町の役割
市町等は、一般廃棄物の処理責任を踏まえ、基本方針及び本計画に基づきごみの処理を行う主体として、次の役割を果たすよう努めるものとする。
@ 広域化計画の推進
各ごみ処理ブロックの市町等は、ごみ処理の有効性等を検討したうえで、「ごみ処理施設整備実施計画」を策定するものとする。
なお、広域処理ブロックにあっては、広域化推進のための協議会等の調整機関を設置する等構成市町が連携・協力し、広域化の進行管理、事業主体や収集運搬などの体制整備等の推進に努める。
A ごみの排出抑制・リサイクルの推進
容器包装リサイクル法等に基づく分別収集の拡大強化を図り、資源ごみの回収、中間処理に伴う資源化物の回収等によるマテリアルリサイクルやごみ焼却施設におけるサーマルリサイクルの推進等環境への負荷を最小限に抑制するように努めるとともに、集団回収や不要品交換会等のリサイクル活動を支援する等リサイクル率、減量化率等の向上に努める。
また、排出抑制効果がごみ処理施設整備実施計画に反映されるよう努める。
さらに、民間事業所のモデルとなるよう自らも事業者として再生品の積極的な使用を図る。
B 情報公開等の実施
ごみ処理施設の整備には、住民の理解と協力が必要であり、施設整備実施計画の策定から施設建設の決定に至る手続き等について、住民の意見が反映されるよう合意形成のための機会いわゆるリスクコミュニケーションを図る等情報の公開に努める。
C 環境教育・普及啓発の実施
住民・事業者のごみ減量化、資源化、適正処理に関する意識の高揚とごみ処理の広域化に対する理解を深めるため、ごみ処理の実状把握や施設見学等を通しての環境教育や普及啓発を実施する。
D 一般廃棄物処理計画見直しの実施
ごみ処理施設整備実施計画の策定に際しては、ごみの排出抑制、減量化、再利用等ごみの発生から最終処分に至るまでの適正処理を進めるための事項を定める。
また、広域処理を行う事業主体においては、関係市町のごみ処理基本計画の内容と不都合が生じないよう調整に努める。
(2) 県の役割
@ 広域化推進への支援
県は、計画を推進するため、市町の意向を踏まえ各ブロックで設置する広域化推進協議会等への参加を通じ、ごみ処理施設整備実施計画の策定等に係る支援を行うとともに、必要に応じてブロック間の調整を行う。
A 技術的支援等
ごみ焼却施設におけるダイオキシン類削減のため、既設施設の維持管理や改修及び新設の施設整備が適切に実施できるよう、技術的支援を行うとともに、一般廃棄物処理計画策定指導等ごみ処理に関する新たな知見の集積を行い市町等への情報提供に努める。
B RDFの受入施設確保
RDF化施設整備を計画する市町に対し、製造されたRDFの安定的な受入施設の確保方策等を検討する。
C 広域処理施設の活用支援
今後新設される一定規模未満のごみ焼却施設から排出される焼却灰及びばいじん、灰溶融固化施設からの溶融飛灰及びし尿処理施設等から排出される汚泥等を適正処理するために、(財)兵庫県環境クリエイトセンター等広域処理機関との調整を図る。
また、最終処分場については、フェニックス事業を推進する大阪湾広域臨海環境整備センタ−と調整を図る。
D ごみの排出抑制・リサイクルの推進
県内におけるごみの排出抑制・リサイクルの推進によるごみ減量化が図れるよう、資源循環利用促進計画に基づく施策を推進するとともに、自らも率先して環境配慮型製品の積極的な購入等に努める。
また、国に対して、リサイクル技術の開発やリサイクルを促進する法整備等を働きかける。
E 環境教育・普及啓発の実施
ごみ減量化・リサイクルを推進するためには、何よりも県民、事業者の理解と協力が不可欠であることから、生産・流通・消費者等各界の代表で構成するごみ会議やごみ減量化推進県民大会等を通じごみの適正処理に関する意識の高揚と廃棄物行政及びごみ処理の広域化に関する普及啓発を実施する。
ごみ処理ブロックの現状と広域化計画の比較表
地 域 |
現 状 |
計 画 |
||||
ブロック |
人口(万人) |
面積(km2) |
ブロック |
人口(万人) |
面積(km2) |
|
神戸市 |
148 |
550 |
神戸ブロック |
148 |
550 |
|
阪 神 |
尼崎市 |
48 |
50 |
尼崎ブロック |
48 |
50 |
西宮市 |
41 |
100 |
西宮ブロック |
41 |
100 |
|
芦屋市 |
8 |
19 |
芦屋ブロック |
8 |
19 |
|
伊丹市(豊中市) |
19(40) |
25(37) |
豊中・伊丹ブロック |
19(40) |
25(37) |
|
宝塚市 |
21 |
102 |
宝塚ブロック |
21 |
102 |
|
三田市 |
11 |
210 |
三田ブロック |
11 |
210 |
|
川西市 |
15 |
53 |
川西・猪名川・豊能郡ブロック (大阪府豊能郡能勢町、豊能町) (1市1町+2町) |
18 (4) |
144 (135) |
|
猪名川町 |
3 |
90 |
||||
東 播 磨 |
明石市 |
29 |
49 |
明石ブロック |
29 |
49 |
加古川市 |
27 |
138 |
加古川ブロック |
27 |
138 |
|
高砂市 |
10 |
34 |
高砂ブロック |
10 |
34 |
|
三木市 |
8 |
120 |
三木・吉川ブロック (1市1町) |
9 |
177 |
|
吉川町 |
1 |
56 |
||||
稲美町 |
3 |
35 |
稲美・播磨ブロック (2町) |
7 |
44 |
|
播磨町 |
3 |
9 |
||||
北播磨清掃事務組合 (西脇市、滝野町、黒田庄町、中町、 加美町、八千代町) |
8 |
337 |
東播磨北ブロック (3市7町) |
21 |
719 |
|
小野市・社町・東条町 環境施設事務組合 (小野市、社町、東条町) |
8 |
231 |
||||
加西市 |
5 |
150 |
||||
西 播 磨 |
姫路市 |
48 |
274 |
姫路ブロック |
48 |
274 |
揖龍保健衛生施設事務 組合 (龍野市、太子町、揖保川町、御津町) |
10 |
134 |
揖龍ブロック (龍野市、太子町、揖保川町、 御津町 )(1市3町) |
10 |
134 |
|
相生市 |
4 |
90 |
相生・赤穂ブロック (2市) |
9 |
217 |
|
赤穂市 |
5 |
127 |
||||
佐用郡広域行政事務組合(佐用郡、上月町、南光町、三日月町) |
2 |
308 |
にしはりまブロック (11町) |
11 |
1276 |
|
新宮町 |
2 |
100 |
||||
上郡町 |
2 |
150 |
||||
宍粟郡広域行政事務組合(山崎町、安富町、一宮町、波賀町、 千種町 ) |
5 |
719 |
||||
神崎町大河内町清掃学校給食事務組合(神崎町、大河内町) |
1 |
202 |
神崎・飾磨ブロック (6町) |
9 |
509 |
|
くれさか環境事務組合 (夢前町、福崎町、香寺町) |
6 |
224 |
||||
市川町 |
1 |
83 |
||||
家島町 |
1 |
20 |
家島ブロック |
1 |
20 |
地 域 |
現 状 |
計 画 |
||||
ブロック |
人口(万人) |
面積(km2) |
人口(万人) |
面積(km2) |
||
但 馬 |
北但行政事務組合 (豊岡市、城崎町、竹野町、日高町、 出石町、但東町) |
9 |
698 |
但馬ブロック (1市18町) |
20 |
2,133 |
矢田川流域衛生一部事務組合(香住町、村岡町、美方町) |
2 |
369 |
||||
美西衛生施設一部事務 組合 (浜坂町、温泉町) |
2 |
241 |
||||
養父郡広域事務組合 (八鹿町、養父町、関宮町、大屋町) |
3 |
423 |
||||
朝来郡広域行政事務組合 (生野町、和田山町、山東町、朝来町) |
4 |
403 |
||||
丹 波 |
氷上町・柏原町衛生一部事務組合 (氷上町、柏原町) |
3 |
142 |
丹波ブロック (1市(篠山市)6町) |
12 |
871 |
市島町 |
1 |
77 |
||||
春日町 |
1 |
76 |
||||
青垣町 |
1 |
100 |
||||
多紀郡広域行政事務組合(篠山町、 西紀町、丹南町、今田町、山南町) |
6 |
476 |
||||
淡 路 |
洲本市三原郡緑町衛生事務組合(洲本市、緑町) |
5 |
152 |
洲本・三原ブロック (1市4町) |
10 |
353 |
三原郡広域事務組合 (西淡町、三原町、南淡町) |
5 |
201 |
||||
津名町 |
2 |
55 |
津名ブロック (6町) |
6 |
242 |
|
淡路町 |
1 |
13 |
||||
北淡町 |
1 |
51 |
||||
一宮町 |
1 |
40 |
||||
五色町 |
1 |
58 |
||||
東浦町 |
1 |
24 |
||||
計 |
49ブロック |
552 |
8,390 |
24ブロック |
552 |
8,390 |
注1) 現状欄のブロックは、焼却施設を単位としたごみ処理ブロックを示す 。
(平成10年4月1日現在)
注2) 人口は、平成10年11月1日現在を示す。
人口・面積欄の( )内は、各ブロックのうち大阪府に属する市町の値で外数である。
注3) □は、新たな広域処理ブロックを示す。