意 見 書

 
環境影響評価実施者
                                                      都市計画決定権者
                                                      兵庫県知事  貝原 俊民

  神戸国際港都建設計画西神第3地区工業団地造成事業(変更)に係る環境影響評価準備書(以下「準備書」という。)に関し、都市計画における環境影響評価の実施について(昭和60年6月6日建設省都計発第34号建設省都市局長から各都道府県知事あて通知)に基づく審査意見は、下記のとおりである。
 

平成12年6月13日   


                                                      兵庫県知事 貝原 俊民

                                                                           記

 標記の環境影響評価準備書(以下「準備書」という。)について、環境の保全と創造の見地から審査を行った。
 当該事業は、既成市街地の再整備と連携して企業の移転用地を確保するため、既定の西神第3地区工業団地を約25ha拡張するとともに、計画区域に隣接する既定事業区域内の造成緑地の一部約14haを工場用地に変更するものである。
 なお、本事業に伴い発生する土砂は臨海部の埋立用材として再利用することとしている。
 準備書では、環境影響評価の対象としたすべての項目で、環境保全目標を満足しており、本事業の実施が地域の環境の保全に支障を及ぼすことはないとしている。
 しかしながら、当該地域は、貴重種が多く存在するなど豊かな自然が残る地域であり、事業実施に当たっては、それらの保全対策をはじめ準備書記載の環境保全対策を着実に実施するほか、次の環境要素ごとに述べる事項に留意する必要がある。

1 植物
  植物については、他の方法も検討した上で、やむを得ず貴重種の移植を行う場合、移植先としての適合性を事前に調査するほか、移植先の管理者と連携するなど、慎重な配慮を行うこと。特にキンラン、ギンラン等の移植については、今後とも調査、研究を行い、慎重に対応すること。
  そのほか、準備書に記載している法面の緑化を確実に実施するだけでなく、改変部分の表土の再利用に努めること。

2 動物
  行動範囲の小さい小動物の生息環境をやむを得ず改変する場合には、計画区域内の保全緑地や隣接する公園予定地内の新たな環境への移植を行う等の対策を講じるとしているが、移植に関しては、あらかじめ、実験的な試行を行うなど、慎重に対応すること。

3 その他
  計画区域は、自然環境の保全を目的とする法令で指定された地域ではなく、また、既存資料による調査においても学術上の観点から重要と認められた地域ではないため、景観については、予測・評価を行うことになっていない。
  しかしながら、事業計画地周辺は自然に恵まれた良好な景観を有しており、市民に環境教育や自然とのふれあいの場として利用されている。開発により失われる空間は大きいが、可能な限り早期にそれらを回復するとともに、新しく利用できるふれあいの場の創出を検討すること。
  また、事業実施にあたっては、土石搬出のための作業等、周辺地域への影響に配慮して工事計画を策定し、工事内容等を事前に説明することにより地域住民に十分に周知を図ること。

学園南   西神第2地区   トップページへ