意 見 書
環境影響評価実施者
都市計画決定権者
兵庫県知事  貝原 俊民


 神戸国際港都建設計画学園南土地区画整理事業(学園南地区の整備)に係る環境影響評価準備書(以下「準備書」という。)に関し、環境影響評価法(平成9年法律第81号)第40条第2項の規定により読み替えられて適用される同法第20条第1項の規定に基づく意見は、下記のとおりである。

  平成12年6月13日

兵庫県知事  貝原 俊民


 当事業は、神戸市復興計画(平成7年6月)で、良質な住宅を供給するための住宅地整備を推進する地区として位置付けられており、今後の計画的・安定的な住宅・宅地の供給を図るためのものである。
 準備書では、環境影響評価の対象としたすべての項目で、環境保全目標を満足しており、本事業の実施が地域の環境の保全に支障を及ぼすことはないとしている。
 しかしながら、計画区域は、大半がゴルフ場跡地であり自然度は低いものの、住宅地開発が進み都市化した周辺地域の中にあって希少な緑地として機能してきたことに留意する必要がある。計画地約108.4haのうち約98.5haが改変される事業であることから、事業の実施に当たっては、準備書記載の環境の保全のための措置を着実に実施するほか、次の各環境要素ごとに述べる事項に留意する必要がある。なお、留意事項の検討に際しては、当該事業計画案の内容を固定的なものとはせず、自然環境に与える影響をいかに低減、回避するかを柔軟に検討することが重要である。

1 大気質
工事期間が約10年と長期に及ぶことから、周辺地域への影響を可能な限り低減するよう努めるとともに、必要に応じて事後監視調査を行い   適切な対策を講じること。
  また、工事中の裸地からの粉じんの飛散が懸念されるので、周辺の生活環境に支障を生じる場合には、気象条件等に応じて効果的な対策  を講じること。
騒音・振動
 特に民家に接近して工事を実施する場合には、事後監視調査を実施し、必要に応じて準備書に記載の騒音・振動対策を強化するとともに、さらなる効果的な対策を検討するといった配慮を行うこと。
  また、供用後の自動車の走行による騒音については、現状においても環境基準を超過していることから、住宅団地の供用に伴う新たな交通流対策など関係機関と協議して適切な対策を講じること。
水質
 計画区域を流域に含む山田川の河口域の東西には、海水浴場等が存在していることから、工事中の濁水の流出について十分に配慮すること。
 当事業の実施に伴い、計画区域外の水も流入しているため池が失われ、また、雨水の地下浸透量が減少することから、地下水の涵養について検討すること。
植物
 保全緑地として計画されているのが計画区域のわずか約7%にすぎず、貴重な群落・種については、その生育区域のほとんどを改変する計画となっており、既存地形を生かした土地利用などを行うことにより改変量の最小化に努めること。また、貴重種の多く が湿地で確認されているため、湿地保全の具体的な方策を示すこと。植物調査の結果を 踏まえ、当該事業の実施により保全されるもの、失われるものを明らかにするとともに、影響の回避及び保全等を検討した結果を明らかにすること。やむを得ず移植する場合も移植先の選択、移植後の管理体制等など慎重に検討すること。
  なお、植生、植物相ともに調査時期から遷移している可能性があり、必要に応じて再調査を行うこと。
動物
 現存緑地のほとんどを改変する計画であることから、新たな環境の創出や周辺緑地との連続性など、具体的な方策を検討すること。
 なお、植物同様、調査時期からの経過を踏まえ必要に応じて再調査を行うこと。
生態系
 現存緑地のほとんどを改変する計画であることから、新たな環境の創出や周辺緑地との連続性など、具体的な方策を検討すること。
人と自然との触れ合い活動の場
 計画区域には人と自然との触れ合い活動の場はないとしているが、計画地は都市化が進んだ周辺地域の中で希少な緑地として機能してきたことに留意し、供用後の保全緑地、公園をどのように人と自然との触れ合い活動の場として創造、復元するか、環境影響評価の事前配慮の内容4(快適環境の保全・創出)で記述している事項を踏まえて検討すること。
事後調査
 移植方法の検討、事後管理を含め、事後監視調査の実施については責任ある体制を確立すること。

また、周辺地域は住宅密集地域であることから、騒音、振動、粉じん、水質等についても影響等を確認するため、神戸市環境部局とも協議して事後監視調査を適切に実施し、その結果、環境への影響が認められた場合には、適切な環境保全対策を講じること。

9  その他
 神戸市長意見にも留意すること。

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