● 現況調査の結果
(1)
現況調査の方法等
調査項目 | 調査期間及び頻度 | 調査地域 | 調査方法 | |
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哺乳類 | 平成12年6月、11月 | 計画区域及びその周辺約100mの範囲 (現況調査の範囲はここをクリック!) |
糞、足跡等のフィールドサイン等の確認 | |
鳥 類 | 一般鳥類調査 | 平成12年2月、4月、5月、6月、7月、11月、12月 | ラインセンサス法による任意観察調査 | |
オオタカ等の猛禽類調査 | 平成13年2月、5月、6月の各3日間 | 定点調査法による生息状況調査 | ||
は虫類 | 平成12年6月、9月 | ルートセンサス法による任意観察調査 | ||
両生類 | 平成12年3月、6月、9月 | |||
昆虫類 | 任意採取調査 | 平成12年5月、7月、9月 | ルートセンサス法で捕虫網のビーティング等による調査 | |
ライトトラップ調査 | 平成12年7月 | 光源に誘引される昆虫類を対象とした調査を6地点で行った。 | ||
チョウ類調査 | 平成12年5月、6月、9月 | チョウ類を対象とした種や個体数の分布調査 | ||
トンボ類調査 | 平成12年5月、7月、9月 | トンボ類を対象とした種や個体数の分布調査 | ||
陸産貝類 | 平成12年6月 | ラインセンサス法による任意観察調査 | ||
貴重な 動物 |
− | 各動物相の調査結果から抽出した。 |
(2) 調査結果
調査項目 | 調査結果 | |
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哺乳類 | 調査の結果、調査区域で5目6科8種の哺乳類を確認した。 確認頻度が最も多かった種はニホンイノシシであり、次いでテン、コウベモグラの順となっている。一方、確認頻度が少なかった種は、ノウサギ、ネズミ科の一種、タヌキ、キツネである。 聞き取り調査では、コウベモグラ、ノウサギ、タヌキ、キツネ、イタチ属の一種及びニホンイノシシ、計4目5科6種の哺乳類の生息情報が得られた。 |
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鳥 類 |
一般鳥類調査 | 調査の結果、6目18科35種の鳥類を確認した。 渡り区分別では、留鳥が22種と多くを占め、次いで冬鳥の8種、夏鳥の5種であった。 調査の結果、確認された種は兵庫県下の丘陵地や低山地などで普通にみられる種がほとんどであったが、淡路島の特徴であるメジロが多く確認されたほか、森林性のヒヨドリや草原性のホオジロ類、春の渡りの季節である5月にはツグミ類が多く確認された。 |
オオタカ等の猛禽類調査 | 調査の結果、留鳥4種、夏鳥2種、冬鳥2種の計8種の猛禽類を確認した。そのうち、繁殖行動が確認できたものは、オオタカ(留鳥)及びサシバ(夏鳥)の2種であり、サシバについては、計画区域内で営巣しているのを確認した。 | |
は虫類 | 調査の結果、調査区域で2目5科8種のは虫類を確認した。 カメ類は、生息が確認できたため池は限られており、生息密度は比較的低いと推定される。また、カナヘビは、全調査ルートで確認され、調査区域の広い範囲に生息しているものと考えられる。 |
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両生類 | 調査の結果、調査区域で2目5科8種の両生類を確認した。 調査区域では、3月にニホンアカガエルの卵塊と幼生が、6月にアマガエルの幼生などが谷筋の耕作地周辺で数多く確認されている。 |
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昆 虫 類 |
任意採取及びライトトラップ調査 | 調査の結果、調査区域で16目148科488種の昆虫類を確認した。 確認種の中では、耕作地周辺などの草地に生息する種群(コオロギ類、バッタ類、カメムシ類、テントウムシ類、ハムシ類、ハバチ類、メイガ類)が比較的多く確認されているが、これらに加えて止水域または流水域に依存しているトンボ類と樹林性の種(アオマツムシ、カシルリオトシブミ、マツアワフキ、クロカタビロオサムシなど)なども確認されている。 |
チョウ類調査 | 調査の結果、調査区域全域で34種334個体のチョウ類を確認した。 確認種のほとんどがごく普通にみられる種であり、ヤマトシジミ、ヒメウラナミジャノメ、キチョウなどが多く確認されたが、個体数は少ないものの、クロコノマチョウ、ナガサキアゲハ、アサギマダラなどの南方系の種も確認された。 |
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トンボ類調査 | 調査の結果、調査区域全域で34種889個体のトンボ類を確認した。 止水性の種としては、ウスバキトンボ、オオシオカラトンボ、シオヤトンボなどが数多く確認されており、流水性の種としては、ニシカワトンボ、オニヤンマなどが比較的多く確認された。 |
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陸産貝類 | 調査の結果、2目5科7種の陸産貝類を確認した。 確認地点の大部分は、比較的湿潤な谷筋に位置する河川や池及び水田周辺などの水辺環境の近くであり、乾燥している尾根ルートではほとんど確認されなかった。 |
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貴重な陸生動物 | 確認された貴重な陸生動物は、鳥類ではミサゴ、ハチクマ、オオタカ、ツミ、ハイタカ、ノスリ、サシバ、ハヤブサの猛禽類の他、ツツドリ、コマドリ、アオジ、クロジの計12種、両生類ではイモリ、ニホンアカガエル、シュレーゲルアオガエルの3種、昆虫類ではムスジイトトンボ、ハネビロエゾトンボ、チッチゼミ、ヒメハルゼミ、クロカタビロオサムシ、キアシハナダカバチモドキ、アミメキシタバ、クロシオキシタバの8種であり、全体で23種であった。また、猛禽類調査において、計画区域内でサシバが営巣していることを確認した。 なお、哺乳類、は虫類、陸産貝類では貴重な種は確認されなかった。 |
● 環境保全目標
貴重な陸生動物種の生息する環境を可能な限り保全するとともに、その他の動物相に著しい影響を及ぼさないこと。 |
● 環境に及ぼす影響の予測及び評価
(1) 予測の方法等
予測項目 | 予測の対象時期 | 予測地域 | 予測方法 |
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貴重な動物種の生息環境の消滅の有無及び改変の程度 | (工事) 樹林の伐採及び造成工事中 (存在及び供用) 公園施設の供用開始後 |
計画区域及びその周辺約100の範囲 | 陸生植物の予測結果を参考に、貴重な陸生動物種の生息環境への影響の程度について、事業計画に基づき環境保全措置を検討し、定性的に行った。 |
生息環境の改変が動物の生息状況及び生物多様性に及ぼす影響 | 陸生植物の予測結果を参考に、陸生動物の生息環境の改変が陸生動物の生息状況や生物多様性に及ぼす影響の程度について、事業計画に基づき環境保全措置を検討し、定性的に行った。 |
(2) 予測結果
予測項目 | 予測結果 | ||
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貴重な動物種の生息環境の消滅の有無及び改変の程度 | 貴重な陸生動物への影響について、計画区域内で営巣が確認されたサシバについては、工事期間中は継続的な生息確認調査を行い、その結果を踏まえたうえ、繁殖期には工事を休止するなどの営巣環境への影響の低減に努める。ニホンアカガエルについては、水辺の生物生息空間を創出し、維持管理を行うことにより、本種の生息環境の創出に努めることから、影響は小さいものと予測される。その他の貴重な陸生動物については、土地改変に伴う直接的影響は回避されている。樹林の伐採や造成工事に伴う間接的な影響が生じるおそれがあるが、改変区域は、約8ha(約10%)程度と小さく、水辺の生物生息空間を創出するなど生息環境の多様化が図られるよう努めることから、その他の貴重な陸生動物への影響は小さいものと予測される。 | ||
生息環境の改変が動物の生息状況及び生物多様性に及ぼす影響 | 公園施設の存在により、渡り鳥や地上徘徊性の昆虫類などの移動路への影響が考えられるが、建造物の高さをできる限り低い構造とすること、側溝には小動物が這い上がり易い構造の箇所を設けることなどにより、影響は小さいものと予測される。公園施設の供用による大気汚染等の影響については、大規模な建造物を計画していないことなどから、影響は小さいものと予測される。生物多様性に及ぼす影響については、改変区域外に計画区域及びその周辺の大部分の動物種が確認されており、生息環境の改変が動物の生息状況などに及ぼす影響は小さいものと予測される。 |
(3) 評価結果
評価項目 | 評価結果 | ||
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貴重な動物種の生息環境の消滅の有無及び改変の程度 | 本事業の実施に伴い、影響が及ぶおそれのあるサシバ、イモリ、ニホンアカガエル及びキアシハナダカバチモドキの4種の貴重な動物種については、以下のとおり回避又は低減措置を講じる。 サシバの営巣が確認されているが、繁殖期には工事を休止することなどにより、本種の営巣環境への影響の低減に努める。 イモリの生息地については、土地利用計画の変更を行い、土地改変に伴う生息地への直接的な影響を回避する計画とした。 ニホンアカガエルについては、調整池付近で水辺の生物生息空間を創出するなどにより、生息環境への影響の低減に努める。 キアシハナダカバチモドキについては、柵及び看板の設置により歩行路を明示する保全措置を講じる。 これらのことから、樹林の伐採等に伴う貴重な陸生動物種への影響は可能な限り最小化されているものと考えられる。 以上のことから、環境保全目標を満足するものと考えられる。 |
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生息環境の改変が動物の生息状況及び生物多様性に及ぼす影響 | 予測結果から環境保全目標を満足するものと考えられる。 |