● 現況調査の結果
(1) 現況調査の方法等

環境要素 調査項目 調査期間
及び頻度
調査地域 調査方法
水象 河川流量 平成12年2月〜平成13年2月(毎月1回) 河川:5地点
・長谷川上流
・長谷川中流
・長谷川下流
・片谷川
・藤八川

ため池:3地点
・長谷池
・茂谷池
・片谷川下流ため池

(現況調査地点位置図はここをクリック!)
 流量:JIS K 0094 8.3に準拠した現地調査を行う。
水質 生活環境項目等
(pH,BOD,SS,DO,大腸菌群数,全窒素,全燐)
河川:
平成12年2月〜平成13年2月(毎月1回)
ため池:
平成13年1月〜10月
(四季各1回)
 水質調査方法、環境庁告示等に準拠した現地調査を行う。
健康項目
(カドミウム、全シアン等26項目)
河川:
平成12年7月
ため池:
平成13年7月


(2) 調査結果

(1) 河 川
 生活環境項目については、長谷川では流下に伴って水質が悪化する傾向がみられた。また、長谷川上流、長谷川中流及び藤八川は、比較的水質が良好であった。なお、健康項目については、いずれの地点においても全ての項目が環境基準に適合した。
(2) ため池
 調査を行った3つのため池はほぼ同程度の水質を示しており、河川調査において水質が比較的良好であると考えられる長谷川上流等と同程度の水質であった。なお、健康項目については、いずれの地点においても全ての項目が環境基準に適合した。

 生活環境項目等の調査結果は以下のとおりである。


(河川調査結果)

項目 単位 St.1
(長谷川上流)
St.2
(長谷川中流)
St.3
(長谷川下流)
St.4
(片谷川)
St.5
(藤八川)
水 温 16.1
(7〜35.5)
15.7
(7.5〜27.0)
19.6
(7.8〜37.5)
17.2
(7.6〜30.5)
17.6
(7.8〜30.6)
流 量 3/日 156
(3〜296)
623
(47〜1,290)
336
(3〜1,720)
114
(16〜669)
97
(9〜432)
pH 7.2〜9.0 7.6〜8.1 8.5〜10.5 7.5〜8.5 7.8〜8.9
BOD mg/L 0.6
(<0.5〜1.5)
0.5
(<0.5〜0.5)
16
(1.5〜58)
6.8
(1.6〜14)
0.8
(<0.5〜1.4)
COD mg/L 2.6
(0.8〜5.1)
1.7
(0.5〜2.7)
17
(4.4〜56)
8
(4.7〜14)
2.2
(0.9〜6.1)
SS mg/L 3
(<1〜9)
2
(<1〜7)
10
(2〜24)
4
(2〜11)
1
(<1〜3)
DO mg/L 9.2
(7.0〜11)
9.5
(7.6〜11)
11
(7.3〜13)
8.5
(3.8〜10)
10
(8.5〜13)
大腸菌群数 MPN/
100mL
10,000
(170〜
54,000)
9,600
(130〜
54,000)
120,000
(220〜
>240,000)
93,000
(13,000〜
>240,000)
13,000
(79〜
54,000)
T−N mg/L 0.46
(0.28〜0.69)
0.68
(0.30〜1.3)
3.4
(0.97〜7.5)
2.5
(1.1〜5.2)
0.51
(0.26〜1.2)
T−P mg/L 0.012
(0.005〜
0.052)
0.014
(0.005〜
0.052)
0.44
(0.11〜
0.91)
0.28
(0.090〜
0.54)
0.019
(0.008〜
0.069)
塩素イオン mg/L 23
(13〜33)
23
(16〜35)
38
(20〜83)
29
(17〜49)
30
(16〜44)
濁 度 2
(<1〜4)
1
(<1〜2)
9
(1〜27)
4
(1〜8)
1
(<1〜3)

〔備考〕数値は平均値を示す。なお、pH及び( )内の数値は範囲を示す。


(ため池調査結果)

項 目 単位 St.A(長谷池) St.B(茂谷池) St.C(片谷川下流ため池)
水 温 17.9(6.1〜31.6) 17.3(5.0〜31.5) 19.8(8.8〜32.8)
貯水位 p -15(+3〜-48) -19(+1〜-73) -6(±0〜-9)
pH 7.5〜8.7 7.6〜8.2 7.8〜8.8
COD mg/L 4.3(2.7〜5.8) 3.6(2.7〜4.8) 7.8(6.8〜9.1)
SS mg/L 4(2〜5) 3(1〜5) 8(4〜17)
DO mg/L 9.6(7.7〜12) 9.1(7.4〜11) 12(8.4〜15)
大腸菌群数 MPN/100mL 1,800(70〜4,900) 2,400(49〜7,000) 1,100(23〜2,600)
T−N mg/L 0.7(0.57〜0.83) 0.51(0.30〜0.74) 0.6(0.43〜0.71)
T−P mg/L 0.025(0.012〜0.050) 0.015(0.008〜0.023) 0.031(0.020〜0.051)
塩素イオン mg/L 19(14〜23) 22(19〜24) 30(13〜47)
濁 度 4(3〜6) 4(2〜8) 5(2〜8)
〔備考〕数値は平均値を示す。なお、pH及び( )内の数値は範囲を示す。


● 環境保全目標

評価項目 環境保全目標
工事中の濁水の影響  生活環境にほとんど支障がないこと。

 なお、以下の値をもって評価を行った。
 「面整備事業環境影響評価技術マニュアル」(建設省、平成11年11月)による人間活動が認められる日常的な降雨量である3mm/時間(気象観測法の降雨強度の弱雨)における計画区域界での濁水(SS濃度)が、「生活環境の保全に関する環境基準(A及びB類型)」の浮遊物質量(SS)濃度25mg/L以下。
裸地の出現による流況の変化の影響  生活環境にほとんど支障がないこと。


● 環境に及ぼす影響の予測及び評価

(1) 予測方法等

予測項目 予測の対象時期 予測地域 予測方法
工事中の濁水の影響 造成工事の最盛期 長谷川中流の上水取水口付近、片谷川及び藤八川
(予測地点位置図はここをクリック!)
 事業計画に基づき、濁水等の流出防止対策を検討し、定量的に予測した。
裸地の出現による流況の変化の影響 造成工事の最盛期 長谷川、片谷川及び藤八川  事業計画に基づき、裸地の出現による影響について定性的に予測した。

(2) 予測結果

予測項目 予測結果
工事中の濁水の影響  濁水処理施設を導入する計画であり、日常的な降雨時に発生する濁水の予測結果は、以下のとおりである。また、濁水処理施設においてpH(水素イオン濃度)を調整しながら放流することから、濁水の流出及びpHの変化が及ぼす公共用水域への影響は小さいものと予測される。

 予測結果は以下のとおりである。
・St.a(長谷川):13mg/L
・St.b(片谷川):22mg/L
・St.c(藤八川): 3mg/L
裸地の出現による流況の変化の影響  土地改変中の雨水流出量の増加率は約8%と小さいことなどから、流況に及ぼす影響は小さいものと予測される。

(3) 評価結果

評価項目 評価結果
工事中の濁水の影響  濁水の予測結果は、全てが環境保全目標値を下回っていることなどから、環境保全目標を満足するものと考えられる。
裸地の出現による流況の変化の影響  予測結果から環境保全目標を満足するものと考えられる。