● 事前調査の結果

区分 事前調査の結果
陸生
植物          
植 生    「兵庫県立人と自然の博物館生物資源研究部資料」(1991年)によると、計画区域周辺の植生は、北淡山地の主稜部にはアカマツ−モチツツジ群集が大半を占めるほか、斜面や谷部の一部はコナラ群落や散在的にモウソウチク−マダケ群落が分布しており、谷部は畑及び水田となっている。
 計画区域では、北部は大部分をアカマツ−モチツツジ群集が占め、南部はコナラ群落とモウソウチク−マダケ群落が分布しており、谷部は畑及び水田となっている。
 また、計画区域周辺には、「兵庫県版レッドデータブック」(兵庫県、平成7年)で指定された貴重な植物群落は分布していない。
(計画区域周辺の現存植生図はここをクリック!)
植物相  「淡路島の植物誌」(小林 禧樹、1993〜1998年)によると、淡路島においては島の地理的な位置や気候条件から、暖地性の植物が優先しており、淡路町から東浦町にかけての丘陵地、山間の水田、池沼を含む範囲では、池や水田の周りに湿地や二次林などがわずかに残され、ときには注目すべき植物がみられるとしている。
 また、「淡路島の絶滅の恐れのある野生生物(T)〜(W)」(自然環境研究所、1993〜1998年)によると、計画区域周辺に生育する貴重な植物として、オグルマ(兵庫県版レッドデータブックCランク、以下( )内は同レッドデータブックの貴重性ランクを示す。)、コモウセンゴケ(Cランク)、スナビキソウ(Bランク)、タキキビ(Bランク)、トラノハナヒゲ(Bランク)、ハマビシ(Aランク)があげられている。
陸生
動物
哺乳類  「第4回自然環境保全基礎調査」(環境庁、平成7年)によると、計画区域周辺では、調査対象とされたニホンザル、ツキノワグマ、タヌキ、キツネ、アナグマ、ニホンイノシシ、ニホンジカの生息が確認されたという情報は得られていない。
 また、「淡路島の絶滅の恐れのある野生生物(T)〜(W)」(自然環境研究所、1993〜1998年)によると、計画区域周辺に生息する貴重な哺乳類として、ジネズミ(Cランク)があげられている。
鳥 類  「兵庫県の鳥類(U)」(兵庫県、平成7年)によると、計画区域周辺には既存資料はみられないが、計画区域に近い調査地である郡家海岸では25種、都志では18種の鳥類が確認されている。
 また、「淡路島の絶滅の恐れのある野生生物(T)〜(W)」(自然環境研究所、1993〜1998年)によると、計画区域周辺に生息する貴重な鳥類として、シロチドリ、ヤマドリがあげられている。
は虫類

両生類
 「第2回自然環境保全基礎調査」(環境庁、1981年)によると、計画区域周辺では、調査対象とされたダルマガエル、モリアオガエル、オオサンショウウオ、カスミサンショウウオ等のは虫類・両生類の生息が確認されたという情報は得られていない。
 また、「淡路島の絶滅の恐れのある野生生物(T)〜(W)」(自然環境研究所、1993〜1998年)によると、計画区域周辺に生息する貴重なは虫類・両生類として、カスミサンショウウオ(Bランク)、ダルマガエル(Aランク)があげられている。
昆虫類  「第2回自然環境保全基礎調査」(環境庁、1981年)によると、計画区域周辺では、ハネビロエゾトンボ、オオエゾトンボ、ハルゼミ、ゲンジボタルが生息しているという情報が得られている。
 また、「淡路島の絶滅の恐れのある野生生物(T)〜(W)」(自然環境研究所、1993〜1998年)によると、計画区域周辺に生息する貴重な昆虫類として、クロシオキシタバ(Cランク)、シルビアシジミ(Cランク)、オオミドリシジミ(地域限定貴重種Cランク)、ウラゴマダラシジミ、オオエゾトンボ(地域限定貴重種Cランク)、キアシハナダカバチモドキ、ニッポンハナダカバチ、チッチゼミ(地域限定貴重種Cランク)、クロカタビロオサムシ(地域限定貴重種Cランク)、ゲンジボタル(地域限定貴重種Cランク)、ヒメボタル(地域限定貴重種Cランク)があげられている。
陸産貝類  「淡路島の絶滅の恐れのある野生生物(T)〜(W)」(自然環境研究所、1993〜1998年)によると、貴重な陸産貝類の生息は、計画区域周辺にはみられない。
水生生物  「第2回自然環境保全基礎調査」(環境庁、1981年)によると、計画区域周辺の海岸線には、藻場が分布しているが、計画区域近傍の岩屋港付近にはみられない。
 また、「淡路島の絶滅の恐れのある野生生物(T)〜(W)」(自然環境研究所、1993〜1998年)によると、貴重な魚類の生息は、計画区域周辺にはみられない。
生態系  計画区域周辺は、淡路島の北部にあたり、主稜部はアカマツ−モチツツジ群集であり、斜面や谷部の一部はコナラ群落や散在的にモウソウチク−マダケ群落が分布しており、谷部は畑及び水田となっている。また、海岸線は、人工護岸が整備されている場所がほとんどである他、一部は自然海岸となっている。
 このため、計画区域周辺では、海岸線を除いて全体的に里山的な生態系が形成されているものと考えられる。

注)「兵庫県版レッドデータブック」(兵庫県、平成7年)における動植物種の貴重性の程度は、以下のとおりランク
  別等(抜粋)に選定されている。
  Aランク:兵庫県内において絶滅の危機に瀕している種等、緊急の保全対策、厳重な保全対策の必要な種
  Bランク:兵庫県内において絶滅の危険が増大している種等、極力、生息環境、自生地等の保全が必要な種
  Cランク:特殊な環境に生息・生育する種、個体数の極めて少ない種、分布域の極限している種等、兵庫県内
       において存続基盤が脆弱な種
  要注目:最近減少の著しい種、優れた自然環境の指標となる種、特殊な分布をする種等の貴重種に準ずる種
  地域限定貴重種:兵庫県全域で見ると貴重とはいえないが、兵庫県内の特定地域においてはA、B、C、
             要注目のいずれかのランクに該当する程度の貴重性を有する種

● 現況調査の方法等

環境要素 調査項目 調査期間及び頻度 調査地域
(現況調査計画範囲はここをクリック!)
調査方法
陸生植物 植物相
(種子植物及びシダ類)
5月、7月、10月に各1回 計画区域及びその周辺約100mの範囲 任意観察調査
植生 5〜10月の間に1回 植物社会学的調査法
貴重な植物種・植物群落の分布及び生育状況 植物相及び植生の調査結果から抽出する。
陸生動物 哺乳類 6月、11月に各1回 計画区域及びその周辺約100mの範囲 糞、足跡等のフィールドサイン等の探索
鳥 類 一般鳥類調査 2月、4月、5月、6月、11月、12月に各1回(計6回) ラインセンサス法による任意観察調査
オオタカ等の猛禽類調査 2月、5月、6月に各3日間/回(計3回) 定点調査法による生息状況調査
は虫類 6月、9月に各1回 ラインセンサス法による任意観察調査
両生類 3月、6月に各1回
陸産貝類 6月に1回
昆虫類 任意観察調査 5月、7月、9月に各1回 計画区域及びその周辺約100mの範囲 ラインセンサス法で捕虫網のビーチング等による調査
ライトトラップ調査 7月に1回 計画区域及びその周辺約100mの範囲内で3か所 光源に誘引される昆虫類を対象とした調査
チョウ類調査 5月、6月、9月に各1回 計画区域及びその周辺約100mの範囲 チョウ類を対象とした種や個体数の分布調査
トンボ類調査 5月、7月、9月に各1回 トンボ類を対象とした種や個体数の分布調査
貴重な動物種の分布及び発生(繁殖)状況 計画区域及びその周辺約100mの範囲 各動物相の調査結果から抽出する。
水生生物 魚 類 3月、6月に各1回 計画区域及びその周辺約100mの範囲内の長谷川、藤八川及びため池、並びに計画区域直下の片谷川ため池 任意採取調査
水生小動物 任意採取調査及びサーバーネットを用いた定点調査
付着藻類 計画区域及びその周辺約100mの範囲内の長谷川、藤八川 定点調査
植物性プランクトン 計画区域及びその周辺約100mの範囲内の長谷川、藤八川及びため池、並びに計画区域直下の片谷川ため池 採水法
貴重な水生生物の分布及び発生(繁殖)状況 各水生生物の調査結果から抽出する。


生態系を構成する要素間の関連 計画区域及びその周辺約100mの範囲 地形・地質、陸生植物、陸生動物、水生生物等の調査結果を整理し、既存の知見等を参考に、要素間の関連図や生態系の指標となる構成要素の抽出を行う。


● 予測の方法等

環境要素 予測項目 予測の
対象時期
予測地域 予測方法
陸生植物 植生の消滅の有無及び改変の程度 (工事)
樹林の伐採及び造成工事中

(存在及び供用)
公園施設の供用開始後
計画区域及びその周辺 (工事)
 植生への造成工事による影響について、事業計画をもとに図上求積等を行い、定性的に予測する。
 貴重な植物種及び植物群落の生育環境に及ぼす影響について、環境保全対策を検討し、定性的に予測する。
(存在及び供用)
 公園施設等の存在及び供用による影響の程度等について、環境保全対策を検討し、定性的に予測する。
貴重な植物種及び植物群落の消滅の有無及び改変の程度
直接的な植生の改変が周辺の植生及び生物多様性に及ぼす影響
陸生動物 貴重な動物種の生息環境の消滅の有無及び改変の程度 (工事)
樹林の伐採及び造成工事中

(存在及び供用)
公園施設の供用開始後
計画区域及びその周辺 (工事)
 陸生植物の予測結果を参考に、環境保全対策を検討し、定性的に予測する。
(存在及び供用)
 公園施設等の存在及び供用による移動路への影響等の程度について、環境保全対策を検討し、定性的に予測する。
生息環境の改変が動物の生息状況及び生物多様性に及ぼす影響
水生生物 生育・生息環境の消滅の有無及び改変の程度 (工事)
造成工事中

(存在及び供用)
公園施設の供用開始後
計画区域及び下流域  工事中の濁水の影響及び公園管理作業の農薬散布が及ぼす陸水域環境の変化の程度や水生生物の消滅の有無、種類の変化の程度等について、環境保全対策を検討し、定性的に予測する。
水生生物の消滅の有無、種類の変化の程度及び生物多様性に及ぼす影響


計画区域及びその周辺の既存生態系への影響

新たに出現する生態系の構造
(工事)
樹林の伐採及び造成工事中

(存在及び供用)
公園施設の供用開始後
計画区域及びその周辺  陸生植物、陸生動物、水生生物の調査・予測結果をもとに、生態系の指標となる構成要素に対する影響の有無及びその影響の程度について、環境保全対策を検討し、既存の類似事例等から、定性的に予測する。