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兵庫の環境
さわやかな空気を

 空気は、私たち人間が生活していくうえでなくてはならないものです。「空気のような存在」といわれるように、ふだん、私たちは空気をあまり意識していません。
 しかし、その空気が、健康に害のある物質によって汚染されていると、人体にさまざまな影響を及ぼすことになります。
 これらの汚染物質の代表的なものとして、硫黄酸化物(二酸化硫黄など)、窒素酸化物(二酸化窒素など)、一酸化炭素、浮遊粒子状物質(ばいじん・粉じん)、光化学オキシダント、ベンゼン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、ダイオキシン類などがあげられます。
 この9つの物質について、人の健康を保護する観点から、環境基準が定められており、これを目標に対策を進めています。
 また、このほかにも、アスベストなど有害性のある化学物質問題や、地球の温暖化、フロンガスによるオゾン層の破壊などの地球規模の環境問題が起こっています。

物 質 二酸化硫黄 二酸化窒素
環境基準
0.04ppm
0.1ppm
0.04ppmから0.06ppm
1時間値の1日平均値
1時間値
1時間値の1日平均値
物 質 一酸化炭素 浮遊粒子状物質
環境基準
10ppm
20ppm
0.10mg/m3
0.20mg/m3
1時間値の1日平均値
1時間値の8時間平均値
1時間値の1日平均値
1時間値
物 質 光化学オキシダント ベンゼン トリクロロエチレン
環境基準
0.06ppm
0.003mg/m3
0.20mg/m3
1時間値
1年平均値
1年平均値
物 質 テトラクロロエチレン ジクロロメタン ダイオキシン類
環境基準
0.20mg/m3
0.15mg/m3
0.6pg-TEQ/m3
1年平均値
1年平均値
1年平均値


大気の現状

●硫黄酸化物
 硫黄酸化物は、主に工場などが、硫黄分を含む化石燃料を燃やすことによって発生します。この物質による汚染は、昭和45年度をピークにして、その後の「大気汚染防止法」に基づく総量規制や公害防止協定に基づく指導などにより着実に低減し、近年は、すべての測定局で環境基準を達成し、低濃度で推移しています。

●窒素酸化物
 窒素酸化物は、物の燃焼に伴って発生するため、発生源は広範囲にわたりますが、工場などの固定発生源と自動車などの移動発生源に大別されます。特に幹線道路沿道では、環境基準を超える高い濃度の測定局がみられます。近年の汚染状況は昭和61年以降若干濃度が上昇し、その後横ばいで推移しています。このため引き続き総合的、計画的な窒素酸化物対策を実施しています。

一般環境大気汚染の推移

●一酸化炭素
 一酸化炭素は、物が不完全燃焼するとき発生する物質で、屋外では自動車からの排出によるものがほとんどです。しかし、自動車からの排出ガスの規制が昭和45年度から順次強化されたため着実に低減を続け、近年は、すべての自動車排出ガス測定局で環境基準を達成しています。

●浮遊粒子状物質
 浮遊粒子状物質は、大気中に浮遊する粒子径10ミクロン(100分の1ミリ)以下の粒子状の物質のことです。燃焼などに伴い発生する「ばいじん」、破砕や鉱物や土石の堆積等に伴い発生、飛散する「粉じん」、自動車走行に伴い発生する「粒子状物質」、風による土砂の舞いあがり等発生源は多様です。発生源対策として、「ばいじん」については、濃度による排出基準を定め、集じん装置の設置を指導し、「粉じん」についても、施設の構造や使用・管理の基準を定め、防じんカバーの設置や散水等の防止対策を指導しています。また自動車排出ガスについても排出基準が定められており、順次基準の強化が行われています。しかし、自然現象などで発生するものもありますが、環境基準の達成状況は徐々によくなっています。

自動車排出ガスによる大気汚染の推移

●光化学スモッグ
 光化学スモッグは、光化学オキシダント(酸化性物質)と呼ばれる物質による大気汚染のことです。光化学オキシダントは、工場や自動車などから排出された窒素酸化物や炭化水素などが、太陽光線中の紫外線を受け、光化学反応を起こすことにより、生成されます。光化学オキシダント濃度が上昇すると、目やノドなどに痛みを感じたりする被害が発生するため、濃度が一定以上になると、光化学スモッグ広報(予報や注意報)を発令しています。

●ベンゼン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、ジクロロメタン
 低濃度であっても、継続的に摂取される場合には人の健康を損なうおそれがあり、その排出を早急に抑制しなければならないものとして、ベンゼン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレンについて平成9年2月に、ジクロロメタンについて平成13年4月に環境基準が定められました。また、大気汚染防止法が改正され、ベンゼン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレンの3物質が「指定物質」に指定され、施設からの排出濃度について「指定物質抑制基準」が定められました。
 平成9年度から、この4物質を含めた有害大気汚染物質のモニタリングを実施するとともに、指定物質抑制基準に基づき排出事業所に対する指導を行っています。

●ダイオキシン類
 ダイオキシン類による環境汚染が大きな社会問題となっていることから、学識者などによる『ダイオキシン類対策検討委員会』の指導助言のもと、平成9年12月に策定した『兵庫県ダイオキシン類削減プログラム』に基づき、ごみ処理の広域化を進めるほか、産業廃棄物焼却施設を設置する事業者に対する適正な施設の設置や維持管理の指導等に取り組むなど、ダイオキシン類発生源対策を総合的、計画的に推進しています。 
 また、平成11年7月に『ダイオキシン類対策特別措置法』が制定、平成12年1月に施行され、ダイオキシン類に係る大気汚染・水質汚濁・土壌汚染・廃棄物処理にかかわる基準及び措置等が定められました。これに基づき、特定施設に係る届け出の受理、立ち入り検査により排出基準適合状況等の審査及び指導を行うとともに、ダイオキシン類による環境の汚染状況の常時監視を行っています。
 

ひとくちメモ
■環境基準
 大気汚染、水質汚濁、騒音などについて、人の健康を保護し、生活環境を保全する上で維持されることが望ましい基準として、国が定めたもの。
■ppm(parts per million)
 濃度を表す単位で、100万分の1を1ppmといいます。例えば1m3の大気中に1cm3の物質が含まれている場合の濃度を1ppmと表示します。
■1pg
 1兆分の1グラム
■TEQ(Toxicity Equivalency Quantity)
 毒性等価量のこと。ダイオキシン類は異性体ごとに毒性の強さが異なるため、検出された異性体ごとに最も毒性が強い2,3,7,8−四塩化ジベンゾ−パラ−ジオキシンの量に換算し、合計した量を算出して毒性量を表します。


大気の監視

 大気の実態を把握し、的確な対応と有効な対策を進めるため、一般環境大気測定局及び自動車排出ガス測定局を設置しています。一方、測定局のない地域では、移動観測車やモニタリングボックスにより測定を行っています。
 これらの測定局で得られたデータは、環境影響評価課で集中管理され、環境基準の達成状況の確認や、汚染の原因解明などに利用されています。
 また、光化学スモッグが発生しやすい4〜10月の間は、日曜、祝日を含め、毎日、監視体制をとっています。
 光化学スモッグ広報等を発令したときは、一斉に県下の主な工場などに対し、窒素酸化物の排出量の削減を要請するとともに、自動車の運転の自粛や屋外でのはげしい運動の自粛を広く県民に呼びかけています。

大気汚染常時監視網(平成21年4月1日現在)
大気汚染常時監視網(平成21年4月1日現在)

 大気汚染数値データ(速報値)
 http://www.kankyo.pref.hyogo.lg.jp/taiki/index.html



大気汚染防止のために

 工場などに対して、「大気汚染防止法」により、ばい煙発生施設に対して排出基準や総量規制基準などが、一般粉じん発生施設に対して施設の管理基準などが、特定粉じん発生施設に対して排出基準などが定められています。
 また、「環境の保全と創造に関する条例」で、工場から排出されるばい煙・粉じん・有害物質や建築物の解体工事等に伴う粉じんやアスベストの飛散について規制基準を定めています。また、平成8年5月には大気汚染防止法の一部が改正され、有害大気汚染物質に対する包括的な取り組みを行っています。
 これらの法律に基づき、ばい煙などの排出規制を行っているほか、主要な工場などとは、県・市町が環境保全(公害防止)協定を締結しています。

規制のしくみ
規制のしくみ


自動車公害対策

 兵庫県では、平成12年度における二酸化窒素の環境基準の達成を目指して、平成5年11月に「兵庫県自動車排出窒素酸化物総量削減計画」を策定し、車種規制や低公害車・低NOx車の普及促進、交通規制の高度化や道路網の整備による交通流の円滑化、ノーマイカー通勤運動の実践や輸送の合理化による交通流の抑制など総合的な対策を進めてきました。
 平成13年6月には、「自動車から排出される窒素酸化物及び粒子状物質の特定地域における総量の削減等に関する特別措置法」(いわゆる「NOx・PM法」)が公布され、対象物質に粒子状物質が追加されるとともに、阪神地域と播磨地域が窒素酸化物対策地域及び粒子状物質対策地域(対策地域)に指定されました。県では、環境基準の達成をより確実なものとするため、平成15年10月に「環境の保全と創造に関する条例」を改正し、特別対策地域(阪神東南部2区4市)内での排出基準を満たさない大型ディーゼル自動車等の運行規制を平成16年10月から開始しました。
 また、「環境の保全と創造に関する条例」より、環境に配慮した自動車利用の実践を促進するため、不必要なアイドリングの停止等のエコドライブ運動を展開しています。
 


自動車排出NOx総量削減計画
自動車排出NOx総量削減計画

ひとくちメモ
■低公害車・LEV-7
 低公害車は、従来のガソリン車やディーゼル車に比べて、NOx、粒子物質、CO2といった大気汚染物質や地球温暖化物質の排出が少ないか、まったく出ない自動車で電気、天然ガス、メタノール、ハイブリッドの各自動車があります。またLEV-7とは、「京阪神七府県市自動車排出ガス対策協議会」において、NOx等の排出量が国の規制値を下回る指定基準を設け、市販されている自動車の中から指定したものです。


● ディーゼル自動車等の運行規制
 自動車NOx・PM法の排出基準を満たさない車両総重量8トン以上の自動車(大型バスは定員30名以上)の阪神東南部地域(神戸市灘区、東灘区、尼崎市、西宮市南部、芦屋市、伊丹市)内の運行を初度登録日(新車として登録された年月)に応じて猶予期間を設けたうえで、平成16年10月より規制を開始しました。これに伴い、カメラ検査、街頭検査、立入検査により運行状況を監視するとともに、買替えが必要となる中小企業者に対し、最新規制適合車買替支援制度をも設けています。
 最新の検査結果等詳しくはホームページをご覧下さい。
  http://www.kankyo.pref.hyogo.lg.jp/JPN/apr/keikaku/diesel/diesel_index.htm


  詳しくは・・・「政策・計画・方針等 : 大気汚染・悪臭
            「環境データ : 大気汚染・悪臭化学物質