2 計画案(概要)

第1章 序説
1 計画策定の趣旨
 本計画は、自動車NOx・PM法第7条及び第9条に基づき、本県対策地域における自動車排出窒素酸化物及び粒子状物質の総量の削減に係る対策を、県民、事業者、行政等の参画と協働のもとに推進するために策定するものである。
2 計画の対象地域
 本計画の対象地域は、自動車NOx・PM法第6条第1項及び第8条第1項に基づき定められた対策地域(神戸市、姫路市、尼崎市、明石市、西宮市、芦屋市、伊丹市、加古川市、宝塚市、高砂市、川西市、加古郡播磨町及び揖保郡太子町の区域)とする。
第2章 計画の目標及び計画達成の期間
1 計画の目標及び計画の達成期間
(1) 計画の目標
  @ 二酸化窒素
    平成22年度までに二酸化窒素に係る大気環境基準を達成すること
  A 浮遊粒子状物質
    平成22年度までに自動車排出粒子状物質の総量が相当程度削減されることにより、
  浮遊粒子状物質に係る大気環境基準を達成すること
(2) 目標達成に必要な削減量
 @ 窒素酸化物
    目標を達成するため、対策地域における自動車排出窒素酸化物の総量を平成22年
  度に12,000t/年とする。(また、着実な目標の達成に向けた施策の進行管理を行う
  ために、平成17年度を中間目標年度とする。)

  

 A 粒子状物質
    目標を達成するために、対策地域における自動車排出粒子状物質の総量を平成22
  年度に431t/年とする。(また、着実な達成に向けた施策の進行管理を行うために、平
  成17年度を中間目標年度とする。)

  
第3章 対策地域の現状
1 窒素酸化物及び粒子状物質の排出状況
(1) 窒素酸化物
 平成9年度における窒素酸化物総排出量の内、工場・事業場から排出されるものが約55%、自動車から排出されるものが約34%となっているが、沿道環境(自動車排出ガス測定局)への寄与割合では、自動車が約70%を占めている。
 また、自動車から排出される窒素酸化物の総量のうち、普通貨物自動車、小型貨物 自動車、特種自動車からの排出量が約81%を占めている。
(2) 粒子状物質
 平成9年度における粒子状物質総排出量の内、工場・事業場から排出されるものが約75%、自動車から排出されるものが約17%となっているが、沿道環境(自動車排出ガス測定局)への寄与割合では、自動車が約47%を占めている。
 また、自動車から排出される粒子状物質の総量のうち、小型貨物自動車、普通貨物自動車、特種自動車からの排出量が約90%と大部分を占めている。
 
2 二酸化窒素及び浮遊粒子状物質に係る環境の状況
(1) 二酸化窒素
 平成13年度で自動車排出ガス測定局25局中4局において環境基準を達成しなかった。環境基準未達成の局は、国道43号及び阪神高速道路3号神戸線、国道171号の沿道にある。
(2) 浮遊粒子状物質
 平成13年度において、自動車排出ガス測定局10局のうち、年間2%除外値が0.10mg/m3を超過することにより環境基準を達成しなかった局は、国道2号及び国道250号沿道の2局であり、2日連続で日平均値が0.10mg/m3を超過することにより環境基準を達成しなかった局は国道43号(阪神高速道路3号神戸線)、阪神高速3号神戸線、国道171号、国道176号、県道米谷昆陽尼崎線、県道明石高砂線沿道の8局である。
3 自動車保有状況
(1) 自動車保有台数
 平成13年度末現在の対策地域における自動車保有台数(被けん引車及び小型二輪車は除く。)は、約180万台であり、車種規制の対象となる自動車の保有台数は、約29万台である。
(2) 低公害車保有台数
 平成13年度末の兵庫県内における低公害車の保有台数は約86千台となっている。近年、低公害車の普及台数は増加している。
4 道路・鉄道等の状況
(1) 道路
@ 兵庫県内の道路延長は合計約34,700kmである。(平成13年4月1日現在)
A 昼間12時間交通量が5万台以上の地点は5路線、32地点で、これらの路線における大型車混入率は13.0%〜31.7%である。また、混雑時平均旅行速度の平均値は約30km/hである。(平成11年度道路交通センサス:対策地域内)
B 平日の自動車交通量(平成11年度:対策地域内)は約683万トリップエンドである。
(2) 鉄道
 兵庫県内で14の事業者が鉄道事業を行っており(対策地域内は11事業者)、鉄道の総延長は約967kmである。(平成14年4月1日現在)
5 物流の状況
 平成11年度の輸送機関別の貨物流動量は以下のとおり。
輸送機関別貨物流動量(百万トン)
県内→県内 県内→県外 県外→県内  合  計 
自 動 車 193 51 55 299
鉄  道 0.0 0.4 0.3 0.7
内航海運 10 24 33 67
合  計 203 76 88 367


6 人流の状況
 平成11年度の輸送機関別の人員流動量は以下のとおり。
輸送機関別人員流動量(百万人)
県内→県内 県内→県外 県外→県内  合  計 
自 動 車 2,488 117 120 2,725
鉄  道 806 220 219 1,245
船  舶 3.7 0.7 0.7 5.1
合  計 3,298 338 339 3,975

第4章 計画達成の方途
1 自動車単体対策の推進
大気汚染防止法に基づく自動車単体規制(新車に適用される排出ガス規制)の強化や、車両検査・点検整備の徹底等により、自動車排出ガス低減対策を推進する。
 ディーゼル自動車から排出される粒子状物質を除去する装置(DPF装置)等の普及を図るとともに、軽油中の硫黄分の低減等の対策を推進する。
2 車種規制の実施等
自動車の最終使用可能日の周知等により、車種規制を徹底するとともに、最新規制適合車への早期転換を促進する。
対策地域外の車種規制が適用されない車両の流入規制を検討し、その推進を図る。
3 低公害車等の普及促進
低公害車(電気自動車、ハイブリッド自動車天然ガス自動車等)及び低排出ガス車を100万台普及する。
公用車への低公害車等の率先導入を行う。
低公害車の導入に対する補助等の支援や、エコ・ステーションの整備促進により低公害車等の普及を図る。
燃料電池自動車の実用化や次世代低公害車の技術開発を促進し、普及を図る。
4 交通需要の調整・低減
貨物自動車の効率的運行、適正な輸送機関の選択、物流拠点の整備を促進する。
公共車両の優先システム(PTPS)の整備等、公共交通機関(鉄道、バス)の利便性の向上を図るとともに、歩道、自転車道等の整備により、自動車利用の抑制を図る。
自動車NOx・PM法に基づき、適切な自動車利用について事業者指導を行う。
自動車から公共交通機関への転換など総合的な交通需要マネジメント(TDM)施策を推進する。
5 交通流対策の推進
バイパス道路の整備や環境ロードプライシング立体交差化等により、交通流の分散、円滑化を図る。
高度道路交通システム(ITS)新交通管理システム(UTMS)を整備、充実する。
6 局地汚染対策の推進
環境濃度の高い交差点周辺部等の汚染メカニズムの解析調査等を行い、効果的な対策を推進する。
7 普及啓発活動の推進
アイドリング・ストップを始めとするエコドライビング運動を推進するなど、普及啓発を行い、自動車公害防止に関する意識の高揚と実践を促す。
第5章 その他重要事項
1 関係機関の連携
自動車NOx・PM法の対象都府県や京阪神六府県市の連携を確保するとともに、国道43号・阪神高速神戸線環境対策連絡会議等において具体的対策を検討、推進する。
2 総量削減計画の進行管理等
計画の進行管理及び結果の公表を行うとともに、県民、事業者、行政等が連携した体 制の整備よる各種対策の総合的な推進を図る。
3 調査研究
大気汚染の状況や発生源に係る実態の把握、PM2.5の測定手法の確立等を実施する。
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