PM2.5に関するよくある質問

微小粒子状物質(PM2.5)に関するよくある質問(Q&A) 環境省より

Q1.微小粒子状物質(PM2.5)とは、どのようなものですか。

A1.

微小粒子状物質(PM2.5)とは、大気中に浮遊する小さな粒子のうち、粒子の大きさが2.5μm(1μm=1mm の千分の1)以下の非常に小さな粒子のことです。その成分には、炭素成分、硝酸塩、硫酸塩、アンモニウム塩のほか、ケイ素、ナトリウム、アルミニウムなどの無機元素などが含まれます。また、さまざまな粒径のものが含まれており、地域や季節、気象条件などによって組成も変動します。

Q2.微小粒子状物質(PM2.5)は、どのようにして発生しますか。

A2.

微小粒子状物質(PM2.5)には、物の燃焼などによって直接排出されるもの(一次生成)と、環境大気中での化学反応により生成されたもの(二次生成)とがあります。
一次生成粒子の発生源としては、ボイラーや焼却炉などばい煙を発生する施設、コークス炉や鉱物堆積場など粉じん(細かいちり)を発生する施設、自動車、船舶、航空機などのほか、土壌、海洋、火山など自然由来のものや越境汚染による影響もあります。また家庭内でも、喫煙や調理、ストーブなどから発生します。
二次生成粒子は、火力発電所、工場・事業所、自動車、船舶、航空機、家庭などの燃料燃焼によって排出される硫黄酸化物(SOX)や窒素酸化物(NOX)、燃料燃焼施設のほかに溶剤・塗料の使用時や石油取扱施設からの蒸発、森林などから排出される揮発性有機化合物(VOC)等のガス状物質が、大気中で光やオゾンと反応して生成されます。

Q3.どのような健康影響がありますか。

A3.

微小粒子状物質(PM2.5)は粒子の大きさが非常に小さい(髪の毛の太さの30分の1)ため、肺の奥深くまで入りやすく、喘息や気管支炎などの呼吸器系疾患への影響のほか、肺がんのリスクの上昇や循環器系への影響も懸念されています。

Q4.どの程度の濃度になると健康影響が生じますか。

A4.

微小粒子状物質(PM2.5)の環境基準(人の健康を保護する上で維持されることが望ましい基準)として「1年平均値が15μg/m3以下であり、かつ、1日平均値が35μg/m3以下であること」と定められています。
環境省が平成25年2月に設置した「微小粒子状物質(PM2.5)に関する専門家会合」では、健康影響が出現する可能性が高くなると予測される濃度水準として、注意喚起のための暫定的な指針となる値を1日平均値70μg/m3と定めています。但し、呼吸器系や循環器系の疾患のある者、小児や高齢者などでは、個人差が大きいと考えられており、これより低い濃度でも健康影響が生じる可能性は否定できないとされています。
この暫定的な指針となる値については、今後新たな知見やデータの蓄積等を踏まえ、必要に応じて、見直しを行うこととしています。

Q5.平成25年1月の中国の大気汚染の際には、日本で濃度上昇がみられたのですか。

A5.

日本国内では、西日本の広い地域で環境基準を超える濃度が一時的に観測されましたが、全国の一般測定局における環境基準の超過率について、平成25年1月のデータを平成24年や平成23年の同時期と比較すると、高い傾向は認められましたが、大きく上回るものではありませんでした。なお、これまで取り組んできた大気汚染防止法に基づく工場・事業場等のばい煙発生施設の規制や自動車排出ガス規制などにより、微小粒子状物質(PM2.5)の年間の平均的な濃度は減少傾向にあります。

Q6.中国の大気汚染による日本への影響は、どの程度ですか。

A6.

平成25年1月の日本における一時的なPM2.5 濃度の上昇については、西日本の広い地域で環境基準(日平均値)を超えるPM2.5 が観測されたこと、都市汚染の影響の少ない九州西端の離島にある国立環境研究所の観測所でも粒子状物質の濃度上昇が観測され、その成分に硫酸イオンが多く含まれていたこと、国立環境研究所の推計(シミュレーション)結果によると北東アジアにおける広域的なPM2.5 による大気汚染の一部が日本にも及んでいること、などから総合的に判断すると、大陸からの越境大気汚染の影響があったものと考えられます。
一方、PM2.5 は通常でも我が国の大気中で観測されており、濃度上昇は都市汚染による影響も同時にあったと考えられることから、平成25年1月の事象は大陸からの越境汚染と都市汚染の影響が組み合わさっている可能性が高いとされています。越境汚染による影響の程度は地域や期間によって異なるため、その程度を定量的に明らかにするには詳細な解析が必要です。

Q7.季節によってPM2.5 濃度は変動しますか。

A7.

例年、冬季から春季にかけてはPM2.5 濃度の変動が大きく、上昇する傾向がみられ、夏季から秋季にかけては比較的安定した濃度が観測されています。

Q8.「暫定的な指針となる値」には、どのような意味がありますか。

A8.

環境省が平成25年2月に設置した「微小粒子状物質(PM2.5)に関する専門家会合」において設定された暫定的な値であり、国内外の疫学研究結果等に基づいて注意喚起のための目安として設定されたものです。

Q9.「暫定的な指針となる値」を超えた場合は、注意報や警報が発令されますか。

A9.

専門家会合において、暫定的な指針となる値としての1日平均値70μg/m3に対応する1時間85μg/m3(5~7時の1時間値の平均値)、1時間値80μg/m3(5~12時の1時間値の平均値)を超えた場合は、都道府県等が注意喚起を行うことを推奨しています。ただし、この値は光化学オキシダントの場合のような法令に基づく措置ではないので、注意報や警報は発令されません。
※なお、兵庫県では独自の取組として、上記の環境省指針に加え、日中の濃度上昇や気象状況等により日平均値が70μg/m3を超えるおそれのある場合に注意喚起を行うこととしています。

Q10.「暫定的な指針となる値」を超えた場合は、どのようなことに注意すればよいですか。

A10.

PM2.5 濃度が暫定的な指針となる値を超えた場合には、その吸入を減らすため、屋外での長時間の激しい運動や外出をできるだけ減らすことは有効です。その際、屋内においても換気や窓の開閉を必要最小限にするなどにより、外気の屋内への侵入をできるだけ少なくする必要があります。特に呼吸器系や循環器系の疾患を有する者、小児、高齢者などは、より影響を受けやすい可能性があるので、普段から健康管理を心がけるとともに、体調の変化に注意することが大切です。また喫煙により、室内のPM2.5 濃度が大きく上昇することが知られています。

Q11.「暫定的な指針となる値」を超えた場合は、運動会等の屋外での行事は中止する必要がありますか。

A11.

PM2.5 濃度が注意喚起のための暫定的な指針となる値を大きく超えない限り、運動会等の屋外での行事は中止する必要はないと考えられます。
これは、「長時間の激しい運動でない限り換気量は大きく増加せず健康影響の可能性も高くないこと、及び当該行事を中止することによる社会的影響が大きい」ことを考慮したものです。但し、呼吸器系・循環器系疾患を有する者、小児などは、健康な成人に比べ影響を受けやすく個人差も大きいと考えられるため、普段から健康管理に努めるとともに、PM2.5 濃度が高い場合には、個人の体調に応じてより慎重に行動することが望まれます。
また、運動会等の主催者は参加者に事故等が起こった場合に備えて、養護教諭等の配置や緊急に受診できる医療機関を確保するなどの配慮が必要と考えます。こうした配慮は特別なものではなく、PM2.5 濃度の高低に関わらず、このような行事を開催する場合、主催者が通常取るべき措置と考えます。
なお、「大きく超える場合」の具体的な値については、専門家会合においても「現段階では高濃度域での健康影響に関する十分な科学的知見がないため、具体的な値を示すことは困難」という結論でしたが、米国の空気質指数(AQI)を参考にすると、日平均値が140~150μg/m3を超える場合、すべての人は長時間の激しい運動や屋外活動を中止すべきとのアドバイスがなされています。

Q12.「屋外での長時間の激しい運動」とは、どのような運動を指しているのですか。

A12.

一概に明示することは困難ですが、マラソン大会のように呼吸器系への過度の負担が長時間続くような運動が想定されます。
運動会等の屋外活動は、長時間の激しい運動にはあたらないと考えています。

Q13.窓の開閉でPM2.5 の影響はどれほど違うのですか。

A13.

窓の開閉による屋内濃度への影響を定量的に示した資料はありませんが、窓を開けておくと屋内のPM2.5 濃度は屋外のPM2.5 濃度と同等の値になると推測されることから、窓の開閉や換気は必要最小限にすることにより、外気の屋内への侵入をできるだけ少なくし、その吸入量を減らすことは有効な対策と考えています。

Q14.マスクの着用は有効ですか。

A14.

微小粒子状物質(PM2.5)に対して、一般用マスク(不織布マスク等)の着用により、ある程度の効果は期待できますが、PM2.5 の吸入防止効果はその性能によって異なると考えられます。また、医療用や産業用の高性能な防じんマスク(N95※1 やDS1※2 以上の規格のもの)は、微粒子の捕集効率の高いフィルターを使っており、PM2.5 の吸入を減らす効果があります。但し、マスクを着用する場合には顔の大きさに合ったものを、空気が漏れないように着用しなければ、十分な効果が期待できません。一方、着用すると少し息苦しい感じがあるので、長時間の使用には向いていません。
※1 米国の規格に基づきNIOSH(米国労働安全衛生研究所)が認定したマスク。
※2 労働安全衛生法に基づく国家検定に合格したマスク。DS1 やDS2 などの種類がある。

Q15.空気清浄機はPM2.5 の除去に有効ですか。

A15.

PM2.5 に対する空気清浄機の除去効果については、フィルターの有無や性能など機種によって異なると考えられます。一部製品については、各メーカーにおいて性能試験により一定の有効性が確認されているとのことですが、個別の製品の効果に関する詳細については、製品表示や販売店・メーカーに確認する必要があります。

Q16.農産物の安全性に影響はないのですか。

A16.

PM2.5 が農産物に付着することは想定されますが、懸念されているPM2.5 の影響は主に呼吸器系へのものであり、摂食による健康影響はこれまで報告されていません。

Q17.PM2.5 と黄砂の関係はどのようですか。

A17.

黄砂は、東アジアの砂漠から強風により大気中に舞い上がった砂(土壌・鉱物粒子)が浮遊しつつ降下する現象です。日本へ飛来する粒子の大きさは4μm付近のものが主ですが、一部2.5μm以下の微小な粒子も含まれているため、PM2.5 の測定値も上昇することがあります。
また、黄砂が輸送される過程で、大気汚染物質の発生が多い地域を通過する場合、これらの物質とともに日本へ飛来することがあります。
なお、明確な結論は得られていませんが、黄砂による健康影響については、喘息等の症状が悪化する等の報告もありますので、黄砂の飛来に伴ってPM2.5 濃度も上昇している時には注意して下さい。

Q18.PM2.5 と花粉の関係はどのようですか。

A18.

花粉の大きさは30μm程度で、PM2.5 よりもかなり大きく、アレルギー疾患の一つである花粉症の原因となることが知られています。
花粉とPM2.5 の複合影響については、現時点で明確な知見は得られていませんが、過去の動物実験ではPM2.5 の一部であるディーゼル排気粒子が鼻アレルギー及びアレルギー性結膜炎様病態を悪化させるとの報告もありますので、PM2.5 濃度が高いときには注意して下さい。

Q19.PM2.5 と喫煙(たばこの煙)はどのような関係がありますか。

A19.

たばこの煙には多くの有害な微小な粒子が含まれており、全席喫煙の飲食店や喫煙室内のPM2.5 濃度は数百μg/m3に及ぶこともあることが報告されています。

Q20.PM2.5 濃度が高くなりやすい気象条件は。

A20.

以下のような気象条件時には、 野焼きなどの地域内の発生源の影響によりPM2.5濃度が高くなりやすいとされています。

1. 弱風時
野焼きは、事故を防ぐため風が弱いときに実施されることがありますが、弱風時は野焼きにより排出された大気汚染物質が大気中に滞留して拡散しにくいため、PM2.5等の濃度が高くなりやすいとされています。

2. 逆転層形成時
野焼きが実施されることの多い秋季~冬季の晴れた日の夜間は、大気下層に逆転層が形成されることがあります。逆転層が形成されると、地表面付近の大気が安定するため、野焼きにより排出された大気汚染物質の濃度が下がりにくくなり、PM2.5等の高濃度事象が発生することがあります。

3. 高湿度時
気温が低く湿度が高い場合、大気中での化学反応により、PM2.5の成分である硝酸塩(NO3-)が二次的に生成されやすくなります。

<参考文献>
・野外焼却の実態とPM 2.5濃度への影響に関する考察、長谷川就一、大気環境学会誌、Vol.52、No.1、p.40-50、(2017)。
・都市・広域大気汚染の生成機構解明に関する研究、若松伸司、大気環境学会誌、Vol.36、No.3、p.125-136、(2001)。
・エアロゾル用語集(書籍)、日本エアロゾル学会、(2004)。
(参考資料) 「微小粒子状物質(PM2.5)と野焼き行為との関連について

(出典) 微小粒子状物質(PM2.5)に関するよくある質問(Q&A)[PDF 42KB](環境省)
https://www.env.go.jp/air/osen/pm/info/attach/faq.pdf