記 者 発 表 ( 資 料 配 布 )       平成26年9月24日



       電源開発株式会社高砂火力発電所新1・2号機設備更新計画に係る
       計画段階環境配慮書に対する知事意見について
 
  
 標記事業の計画段階環境配慮書(※)(以下「配慮書」という。)について、環境影響評価法に基づき下記のとおり知事意見を作成し、本日、事業者へ回答しましたので、お知らせします。
 この知事意見は、環境影響評価審査会(会長:服部 保 兵庫県立大学名誉教授)答申(平成26年9月22日)に沿って作成したものです。
 (※) 計画段階環境配慮書: 事業者が、事業の位置・規模等の検討段階において、環境保全
    のために適正な配慮をしなければならない事項について検討を行い、その結果をまとめた
    図書。
 
 記

1 事業の概要
   事 業 者   電源開発株式会社
              代表取締役社長 北村 雅良
   事業の種類  火力発電所の設置の工事
   事業の場所  高砂市梅井六丁目
   事業の規模  出力120万kW(現行は50万kW)

2 知事意見
(1)全体的事項
 ア 事業計画の決定にあたっては、発電方法や発電出力等に関する検討経過を、環境影響評価
  方法書(以下「方法書」という。)に記載するとともに、住民等関係者へ十分に説明するよう
  配慮すること。
 イ 事業計画の決定にあたっては、工事期間が長期にわたることも考慮した上で、工事期間と
  供用期間の重複等による環境影響について、その最小化や平準化に十分配慮すること。
 ウ 環境影響評価の実施にあたっては、各環境要素に対する影響について改めて検討し、
  環境影響評価項目を選定するとともに、適切な調査・予測及び評価の実施及び具体的な
  環境保全措置の検討を行うこと。

(2)個別的事項
 ア 大気質
  (ア) 施設の供用に伴う大気質が計画段階配慮事項に選定されておらず、事業実施想定区域
    周辺は光化学オキシダント及び微小粒子状物質が環境基準を達成していないことから、
    これらの原因物質となる硫黄酸化物、窒素酸化物、ばいじん等を含む石炭の燃焼ガスに
    よる影響の最小化を図るため、高度なばい煙処理施設を導入するとともに、その効果を
    考慮した上で環境影響評価を実施すること
  (イ) 施設の供用に伴う粉じんについて、屋外貯炭場が既存施設よりも規模が拡大し発じん量が
    増加するおそれがあり、また粉じんは住民生活への直接的な影響になり得ることから、
    事業計画の決定にあたり、屋内貯炭場の設置も含めた検討を行い、粉じんの発生抑制に
    特段の配慮を行うとともに、その効果を考慮した上で環境影響評価を実施すること。
  (ウ) 煙突高を既存煙突と同じ高さとする計画であるが、煙突高による影響の比較を行うなど
    可能な範囲で影響を低減する検討を行い、その検討過程や決定理由を方法書以降の図書
    に記載すること。
  (エ) 施設の供用に伴う大気中の微小粒子状物質への影響について、最新の知見を収集する
    など実態の把握を進め、環境影響評価の実施について検討すること。また、重金属類に
    ついては、環境の保全と創造に関する条例(平成7年兵庫県条例第28号)に基づく規制
    基準を踏まえて、環境影響評価を実施すること。
 イ 騒音、低周波音、振動
  (ア) 施設の供用に伴う騒音等について、発生源対策に配慮するとともに、環境影響評価の
    実施にあたっては、関係する地域内において地点選定等を適切に実施すること。また、
    低周波音についても、あわせて環境影響評価を実施すること。
  (イ) 工事用資材等の搬出入に伴う車両運行について、住宅地等の通過が想定されることから、
    騒音及び振動の影響を低減するよう配慮すること。
 ウ 水質
  (ア) 施設の供用に伴う水質について、事業実施想定区域周辺海域で環境基準値を超過して
    いる地点がある上、既存施設と比較して影響が大きくなるおそれがあることから、適切な
    排水処理施設を導入するとともに、その効果を考慮した上で環境影響評価を実施すること。
  (イ) 温排水について、深層取水及び表層放水として計画されているが、他の方法による影響の
    比較を行うなど可能な範囲で影響を低減するよう検討を行い、その検討過程や決定理由を
    方法書以降の図書に記載すること。また、既存施設からの温排水の影響を考慮した上で
    環境影響評価を実施すること。
 エ 廃棄物等
  (ア) 既存施設の撤去工事に伴い発生する廃棄物について、石綿含有廃棄物、燃え殻等が
    付着したがれき類等の適切な撤去工事の実施及び適正処理に配慮するとともに、その
    具体的な計画を方法書以降の図書に記載すること。
  (イ) 施設の供用に伴い発生する廃棄物について、その増加が見込まれることから、これまでの
    用途に限らず適切に再生利用を行うことで再生利用率を向上させ、最終処分量の削減に
    配慮すること。
 オ 動物・植物・生態系
  (ア) 事業実施想定区域周辺海域では漁船漁業や養殖業が営まれていることや、隣接地に
    人と自然との触れ合い活動の場に選定されている魚釣り場があることから、貴重な生物種
    だけでなく、漁獲・採補対象生物や養殖対象種となっている藻類や貝類等及びそれらの
    餌生物等の生息環境を含む生態系や育成環境への排水(温排水を含む)の影響について、
    可能な限り低減するよう配慮するとともに、適切に環境影響評価を実施すること。
  (イ) 陸域の貴重な動植物への影響について、事業実施想定区域内における生息・生育地
    面積に対する消失面積の割合や工事による一時的な土地改変が及ぼす影響について
    考慮し、事業計画の進捗状況に応じた配慮や環境保全措置を行うこと。
 カ 人と自然との触れ合い活動の場・景観
    施設存在による眺望景観への影響について、事業実施想定区域の隣接地で人と自然との
   触れ合い活動の場に選定されている魚釣り場や定期船航路など人が利用する場からの
   眺望についても配慮すること。
 キ 温室効果ガス等
  (ア) 施設の供用に伴う二酸化炭素の排出について、「東京電力の火力電源入札に関する
    関係局長級会議取りまとめ」(平成25年4月25日、経済産業省・環境省)におけるBAT(Best
    Available Technology)への適合が明確でなく、また地球温暖化に影響する総排出量も
    明らかになっていないことから、発電電力量あたりの二酸化炭素排出量及び二酸化炭素
    総排出量を方法書に記載すること。
  (イ) 施設の供用に伴う二酸化炭素排出量の削減対策について、二酸化炭素総排出量を
    より低減するため、事業計画の決定にあたり、石炭ガス化複合発電(IGCC)など施設稼働
    時点における最良の発電技術を導入し影響の最小化を図るとともに、発電技術以外の
    具体的な削減対策も検討し、その検討経過や結果を方法書以降の図書に記載すること。
 ク その他
    事業実施想定区域の近接地において、高砂市が一般廃棄物処理施設(焼却施設等)の
   建て替えを計画していることから、方法書以降の図書の作成にあたっては、この点を
   考慮すること。

3 今後の予定
  事業者は、配慮書手続で提出された住民意見、知事意見や経済産業大臣意見等を考慮して、
 事業計画の決定を行います。その後、環境アセスメントの方法案(環境影響評価方法書)を作成
 し、住民等の意見を聞きながら環境アセスメントの方法を決め、その後の環境アセスメントを
 進めていきます。
  
 
 審査会の答申文は → ここをクリック(PDFファイル:168KB)

 知事意見の本文は → ここをクリック(PDFファイル:140KB)



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