準備書についての意見及び見解[住民意見]

準備書についての意見を有する者の意見の概要及びそれに対する都市計画決定権者の見解

 平成16年7月20日から平成16年8月20日に準備書の縦覧を行い、平成16年9月3日までの期間に、準備書について環境の保全の見地から意見を有する者の意見の提出期間を設けました。
  準備書についての意見を有する者の意見の概要及びそれに対する都市計画決定権者の見解は次に示すとおりです。

注) 平成17年4月1日に豊岡市、城崎町、竹野町、日高町、出石町及び但東町の合併及び市制が施行されたことに伴い、行政区名は豊岡市となったが、「意見の概要」は意見書提出時、「意見に対する都市計画決定権者の見解」は見解書送付時のまま旧町名で記載している。
  平成16年11月1日に柏原町、氷上町、青垣町、春日町、山南町及び市島町の合併及び市制が施行されたことに伴い、行政区名は丹波市となったが、「意見に対する都市計画決定権者の見解」は見解書送付時のまま旧町名で記載している。

 

意見の概要 意見に対する都市計画決定権者の見解
1.環境について
[養父市八鹿町口三谷の環境]
1)このたび提示された都市計画原案ルート上には、私たちの住む口三谷の集落がある。養父市における計画原案の説明会、兵庫県における環境影響評価説明会を経て、口三谷地区での説明会を二回開いてもらったが、そのルート計画については口三谷の住人一同共に、承諾しかねるところである。
 まず、この北近畿豊岡自動車道八鹿ICから八鹿PA間のルートは、私たちの住む小さな村の中央を縦断する計画になっている。この計画通りに開通すると、山に囲まれた狭い谷間の集落を大きな道路橋が横切っていくことになり、非常に圧迫感を感じるだけでなく、この谷間に存する、限られた耕地も潰れてしまう。
 平成15年度には農振地指定を受け、多額な地元負担をして農道を開設し、荒廃の進む農地の活用を図れるように取り組んでいるところである。更には現在進めている都市交流の中でその耕地の活用も考えられたわけだが、この自動車道路の開設により、これらの計画も損なわれ、村の発展にとって大きな障害となる。
 また、この自動車道路の開設により長閑な山村の風景を壊すだけでなく、空気の汚染、騒音等、昼夜を問わずに通過する自動車による影響は甚大であり、これまで、静かな環境で生活していた人間にとっては非常に大きなストレスとなり、健康的にも悪影響を与えるものと感じる。
 環境影響評価の数値では許容基準を超えない範囲と評価しているが、あくまで想定数値であり、実際に出来てから、予想を越えていた場合には、この道を取り壊すわけにはいかないと思う。
 現に当地区内に建設された畜産団地における公害問題についても善処すると言いながら未だに改善される事のない状況にあり、結局泣かなければならないのは、被害を受ける住民である。その事を考えると、はじめから、その危険性を避けることを求めるのは当然のことである。
 また、今は村外に住んでいる子供たちも、毎年、孫を連れて帰ってくる。そして、この長閑な田舎で、のんびりと過ごすことを楽しみとして、将来はまた、この静かな故郷でのんびりと暮らす事も計画している子供たちもある。
 しかし、この道路ができることで、自然豊かなこの静かな三谷の良さが損なわれ、その気持ちも失われ、祖先から預かってきたこの地を荒廃させてしまうのかと思うと、このルートの選定は決して地域の発展にはつながらないと考える。
 どうか、この口三谷区の集落内を通過するルート計画の見直しを是非ともお願いする。
2)自然への配慮ということでのルート選定もあるようだが、クマタカ棲息区域を避ける形で口三谷集落を通過するように見受けられる。確かにそれだけではない事も理解出来るが、奥三谷地区から畜産団地方向に地下部を通り、八鹿PA付近までトンネルを延長するというルートが考えられないかと提案する。
 トンネルであればクマタカには大きな影響はないと聞く。
 現計画ルートでは、いくら騒音や振動、排気ガスの影響が評価基準レベルを下回るからと言っても、ゼロに近いところからレベルアップするということは、これまで住み慣れた静かな生活環境が壊され、景観上の問題と合わせて身体的にも精神的にも非常に大きなストレスになる。
 このような障害を「技術力で極力押さえます。」と言える技術力があるなら、トンネルを延長し、その出口箇所の構造や、その事で発生する山腹の切土法面を安定緑化させる技術を研究してもらいたい。
3)私は但馬外から口三谷に嫁いできた。家の前は山、後ろも山という環境で、嫁いできた当初は、なぜか圧迫感を感じながら生活していた。
 しかし今では、この地で2人の子供を育て、前も後ろも山という静かな環境の中で、杉花粉が飛ぶ様子・強風で杉の木が揺れる様子・杉林の中からところどころに咲いている桜の花など、窓から見える山の様子を当たり前のように暮らしている。
 私は、但馬地域の交通網が良くなることを強く望むが、今回の都市計画原案では、口三谷地域を自動車道が縦断するとのこと。
 都市部では、家の前を高速道路が通過しているということは珍しい事ではないかもしれない。しかし、当地は山間部です。地図で見る限り、どうして口三谷地区を縦断する計画なのか。
 自然環境への配慮という事も理解できるが、トンネルを延長することで、この地の中心部を縦断することを避ける事ができないものか。
 ルートについて再検討してもらいたい。
4)私は、口三谷に住んでる。口三谷は、自然がたくさんあって空気もとてもきれいだ。自動車道ができたら空気もよごれ、自然も壊れる。そうなると、私達の生活環境が悪くなる。だから、ルートの変更をお願いする。
 口三谷は、静かで鳥や動物もたくさん住んでいて、自然がとても豊かだ。
 小さいころからたくさんある山の景色を見て育ってきたので、自動車道ができてしまったら景色がとても大きく変わってしまう。
 ルートについて、再検討してもらいたい。
5)私は、北近畿豊岡自動車道をつくるのは反対だ。  それは、私の家の前に道ができたら、たくさんの車が朝も夜も通っていたら、うるさくてねむれない。
 それに、三谷の一番良いのは、静かなところと空気がいいところと山(森)がたくさんあるところだ。自動車道ができたら、その三谷の良いところが全部こわれてしまう。
 それに、自動車道ができたら、家のお墓がなくなる。
 そこには、たくさんの思い出があるし、大切な人がねむってるし大切な動物もねむっている。山にいる動物は住む所もなくなるし、かわいそうだ。
 兵庫県知事も1度このすばらしい三谷に来てみてください。
 私達の住んでいる、静かな三谷をこわさないようお願いする。
6)当口三谷部落は過疎化が進み、現在戸数5戸、人口15名の将来は消滅するだろうとおもわれる、ちっぽけな集落である。
 でも、現在ここに住んでいる住民は、何とかこの自然環境を生かし、先祖から戴いた大切な自然と財産を守り、自然と共存した生活を望みながら必死に生活を続けている。
 現在迄、部落の住民は、数々の行政と現状のミスマッチを経験してきた。
 その為、何とか自分達の手で、生活を守っていくべき方策を考えながら、多額の個人負担をしながらも、生活道、農道の整備、自然環境を生かした都市との交流等色々と試みている。
 この度、北近畿自動車の原案ルートが公表され、なぜ?どうして?なぜ我々の部落がと思われた。現ルートの原案によると、この小さな部落の中央を大きなコンクリートの塊が横たわり僅かな耕地の1/3程度を潰すと共に非常に圧迫感が感じ取られる。
  また、環境影響評価の数値は許容数値を超えていないが、これはあくまでも紙上想定数値であり、我々動物的感覚としては、数々の公害を受けるだけで、壊滅的な自然環境破壊となる事が本能的に身にしみて感じられる。
 また、墓地の一部も計画ルートに入っており、我々部落民としては、この原案が可決されれば、先祖、子孫に誠に申し訳なく悔いを残す。
 北近畿自動車道の早期実現は誰もが望むものであり、我々も出来る事は協力するのでせめて部落内だけは通過しない様、現代の技術と科学を駆使してルート変更を願いたく強く要望する。
1)、2)、3)、4)、5)、6)
本事業は、但馬地域における交通の円滑化や、災害時の代替性を確保するとともに、地域の産業経済活動の発展及び豊富な観光資源の利用促進・開発等に寄与するものである。
 ルートについては、土地利用、環境への影響、走行性、経済性、施工性、防災面及び事業の効果等を総合的に勘案して選定した。
 また、構造については、土工構造を基本に地形制約上やむを得ない場合において橋梁構造やトンネル構造としている。
 事業中の八鹿インターチェンジ(仮称)と日高インターチェンジ(仮称)を結ぶルートについては、クマタカの生息範囲への影響、日高市街地とのアクセス性、施工性を考慮するとともに、現在事業中の山東インターチェンジ(仮称)〜和田山インターチェンジ間(仮称)に計画されている山東パーキングエリア(仮称)からの距離を考慮し、両インターチェンジ間の土工部にパーキングエリアを設置することを視野に入れて検討した。
 口三谷地区付近のルートについては、土石流危険渓流などに対して配慮するとともに、大規模な構造物(トンネル、橋梁)とならないよう三谷川沿いにルートを選定するものとし、集落内の家屋や神社を避けるとともに、冬季の路面凍結を防止する観点から三谷川の西側斜面を通過する計画とした。
 生活環境への影響については、環境基本法第16条の規定に基づき「人の健康を保護し、及び生活環境を保全する上で維持されることが望ましい基準」として定められた環境基準等との整合を図るだけでなく、その影響をできる限り低減するため、住居等が近接する区間については法面への植栽の検討等を行うこととしている。
 また、景観については、設計・計画段階において構造物の高さを低くすること、構造物のデザインへの配慮、及び法面へ周辺地域に存在する種を用いた植栽を行うこと等により、圧迫感の軽減や周辺の自然景観との調和を図ることとしている。
 今後、地権者や関係者に理解が得られるよう努めていくとともに、測量、地質調査及び詳細な設計等を行う各段階において具体的な協議等を行っていく。
 なお、工事中及び供用後において、現段階で予測し得なかった著しい影響が生じた場合には、必要に応じて調査を実施し、適切な措置を講じることとする。
[日高インターチェンジ(仮称)の景観]
 私は説明会において2度にわたって要望した。説明のあった計画では久斗地区(仮称)日高ICを含む計画道路が10mを超える高さの盛土方式で山から山の平地を久斗以西をダムのように、いや表現では多少適切さを欠くかも知れないが、万里の長城のような方法で分断することは地理的、環境的にも見通しのない行き詰まった閉塞感と、一層の僻地感を助長するものである。
 従来過ごしてきた生活環境に大きな影響を与えかねず、かなりの地域で秋の紅葉、降雪、残雪など神鍋連峰に映し出される季節感が視野から消えることは見慣れた者にはさみしい限りである。従って出来る限り高架方式により見通しのよい構造にお願いしたい。
 高架式にすることで見通しもよくなり、平地を横断し山から山をまたぐ高架方式の高速道路が近代的な文明をかもし出す一方で橋脚からかいま見られる、季節感ただよう神鍋連峰がまた一段と風情を高めてくれるに違いない。このことは長年地域に住みなれた者にとっては大変重要なことである。
 のり面を伴う盛土方式はかなりの用地の買収が必要となり、高架式にすることで、盛土方式に比べ買収用地も相当縮小する筈である。にもかかわらずなぜ盛土方式を計画するのか理解に苦しむ。
 7月28日の私の「高架方式に」との質問にIC部分では構造上困難との説明もあったが現在の土木技術でなぜ困難なのか。私は説明会での質問で盛土方式の根拠として長い2本のトンネルの掘削に伴う膨大な量の岩石、土砂の処理場としての盛土方式では困ると指摘したが、あとに禍根を残さないためにも是非高架方式にお願いする。
 新しい環境の中で住みよく生きていけるよう、私たちの立場で視線で計画をできるだけ推進してもらいたい。
 インターチェンジの構造については、経済性、施工性、防災面等から盛土構造を基本としている。
 日高インターチェンジ(仮称)の計画にあたっては、環境面及び用地の面積を低減する観点から、盛土高さを可能な限り低く計画した。
 なお、盛土法面については周辺地域に存在する種を用いた植栽を行うこと等により、周辺の自然景観との調和を図ることとしている。
2.事業計画について
[北近畿豊岡自動車道の計画]
1)
結論
 この計画には以下の理由で反対である。
理由
 この道路の計画線がなぜ円山川左岸の空港周辺になるのか、豊岡市民に説明されていない。私は円山川右岸の広域農道を活用し豊岡市港地域・城崎方面に接続できる道路として計画すべきと考える。こうした意見を持つ市民も多いと思うが、計画線いわゆるルート問題については市民の意見を聞く公的な場があるのか。
1)本事業は、但馬地域における交通の円滑化や、災害時の代替性を確保するとともに、地域の産業経済活動の発展及び豊富な観光資源の利用促進・開発等に寄与するものである。
 ルートについては、土地利用、環境への影響、走行性、経済性、施工性、防災面及び事業の効果等を総合的に勘案して選定した。
 住民の意見を伺う場としては、都市計画市町素案のとりまとめに際して関係市町において説明会を開催し、ルートを始めとする道路計画の内容等について説明した。また、平成16年7月に都市計画法に基づく縦覧により都市計画の案について広く周知するとともに、意見書の受付手続を実施し、住民の意見を伺うために必要な措置を講じた。
 今後とも、地権者や関係者に理解が得られるよう努めていく。
 この道路計画を仮りに認めるとしても、道路終点が但馬空港線道路であっては、いわゆる行止りに近く、豊岡市街地や港・城崎方面に向かうためにはいかにも不合理で、この道路はこれより北へ延長する計画を一体的に検討すべきである。
 考えられることは空港周辺の兵庫県と豊岡市土地開発公社が所有する土地を利用する延長道路計画が将来設定されることであるが、環境影響調査を含め今回の都市計画にいれるべきである。
 環境影響調査の方法書の縦覧の際にも意見を出したが、「その時が来たら検討する」という趣旨の木で鼻をくくったような回答であった。誠に市民県民を軽視した態度と言わざるを得ない。
 上述のように、道路終点について異議があるので、出入り口についても同意できない。
 北近畿豊岡自動車道は、豊岡市から氷上郡春日町に至る全長約70kmの高規格幹線道路であり、近畿自動車道敦賀線、播但連絡道路などと連結して広域交通ネットワークを形成するものである。
 また、当該事業実施区域(豊岡市上佐野〜養父市八鹿町高柳)以北については、計画が具体化した段階で環境調査等の所定の手続を適切に行う予定である。

2)日高都市計画道路を含む北近畿豊岡自動車道建設については、各自治体とも早期着工・完成の方針で臨んできた。
 しかし北但1市5町においては「財政難を打開するため」「このままでは5年以内に町は財政破綻する」という理由のもと、2005年4月に市町合併を実施することを決定した。
 財政上の理由で合併するのであるから、本来は節約の上にも節約を重ね、極力ムダ使いを廃する道こそ、国・県・町にも求められている。
 ところが北但合併においては合併直後からすぐに新庁舎建設、大型ごみ処理場建設に合併特例債を使った大公共事業を計画している。日高都市計画道路を含む北近畿豊岡自動車道計画は合併後の公共事業の中で唯一明確になっている公共事業であり、合併特例債を使った大事業のすべてが本「道路計画」を軸に計画されてくる。新庁舎位置、北但11市町の巨大ごみ処理施設建設等すべてが関連してくる。
 しかし、北但合併協の計画に対し、すでに住民団体等から「96人もの議会はムダ使い。合併後即設置選挙を」求める意見が出され、「建設費が高すぎる」と批判のあった巨大ごみ処理施設も費用の見直しがはじまっている。
 「子々孫々に自分たちの借金の負担は負わせられない」という率直な気持ちから、住民はやむなく「合併」を了承したのであって、合併特例債をめいっぱい使う公共事業のムダ使いを認めたものではない。
 「合併しないと交付金が減らされてたいへん」と言われてきたが、実際には合併しても地方への交付金は減らされる。合併による節約効果もあまり期待できない中、ムダな公共事業を誘発しかねない「自動車専用道路」早期着工計画は財政的観点から見直しを求めるものである。
 日高都市計画道路は、町内を日高バイパスとほぼ平行して走ることになる。バイパスの一部完成によって、町内国道の通行の利便性、住民の安全性は飛躍的に向上し、住民多数から一刻も早いバイパスの完成、豊岡市内への通行の要望が出されている状況である。
 運輸体系の整備の観点からいっても日高バイパスが完成すれば自動車専用道路の代替が可能であると考える。この点から見ても日高町内に新たな自動車専用道路は不要であり、税金のムダ使いであると考える。

2)北近畿豊岡自動車道は、豊岡市から氷上郡春日町に至る全長約70kmの高規格幹線道路であり、近畿自動車道敦賀線、播但連絡道路などと連結して広域交通ネットワークを形成するもので、現在、国土交通省において養父市から氷上郡春日町間の整備が進められている。
 本事業は、但馬地域における交通の円滑化や、災害時の代替性を確保するとともに、地域の産業経済活動の発展及び豊富な観光資源の利用促進・開発等に寄与するものである。
 道路の計画に当たっては、都市計画道路を含め総合的に交通ネットワークを考慮している。
 新市におけるまちづくりについては、本事業の整備を踏まえて、住民の利便性、地域の特性やバランス、さらには財政事情を十分考慮しながら検討されるものと考えている。
[トンネル構造]
 この道路のトンネルについて、道路巾が9.5メートルとされている。これでは、火災事故等の発生時に緊急自動車がトンネル内に進入することができないのではないかと危惧する。
 最近、高速自動車道のトンネル内で重大な災害事故が起きているので、計画を見直して下さい。
 道路幅員については、道路構造令(昭和45年10月29日政令第320号)に基づいて定めている。
 トンネル内の防災対策については、必要に応じ通報施設、警報施設、消火施設、その他の非常用施設を適切に設けることとなる。
[八鹿パーキングエリア(仮称)]
 この道路が地域にとって少しでもプラスになるために、宿南地区から八鹿PAへアクセスできる一般道路の開設と、そこからの本線への乗り入れを可能にしてもらえる事も希望する。
 地域の振興策等については、今後、地域の実情に応じて、その効果や周辺に与える影響について十分勘案したうえで検討されるものと考えている。
[養父市八鹿町口三谷の計画]
1)私の居住する口三谷の集落は、正にこのルート上に位置する。しかも、村の中心から見て南西から北東にかけて全域を縦断し、上空から見れば村を真っ二つに分断されるような形になる。
 南西側の山腹斜面からトンネルで抜け出て、高架橋が谷部を斜めに渡り、北東側の山腹を切り崩して道路が延びていく計画になっている。
 この計画ルートで工事が進められると、トンネルから流出する排気ガス、騒音、夜間のライト等、今までこのような事が皆無の状態の中で環境が180度変わってしまう。
 この地区は、八鹿町内でも町部に比較的近い割には山間部に位置し、非常に静かな山里で、フクロウ等も棲息し、自然の豊かな地域である。長い歴史の中で大きな様変わりもなく、この静かな環境が残っている。「国破れて山河あり。」という杜甫の詩にあるように、私が子供の時に見たこの光景が、今もあり、私たちの子供が周りの自然を愛する心を持ち、ここで力強く育ち、一度は出て行ったとしても、またここを故郷として帰ってきたときに同じ山や河が残っている事を望む。
 そして、一番受け入れられない事には、墓地を切り崩して通過する事である。この墓地は、私たちの祖先が彼岸、盆の季節には毎年通ってきた足跡があり、祖先が静かに眠るこの場所を切り崩してしまう事を考えると、「国栄えて山河亡し。」という詩が出てくる思いである。
 また、この地に住んでいなくても、先祖の墓があるため、毎年お盆には遠くからでもこの地を訪れてくれる人たちがあることを考えると、この墓地の移転は一つの故郷を失う事につながる。
 確かに近年過疎、高齢化が進み周囲の山林耕地等は荒廃が進みつつあるが、この静かな地域に魅力を感じて、阪神、加古川方面からも森林ボランティアや田舎暮らし愛好グループが活動の場として訪れてくれる。このような方々のためにも、この道路が早く開通する事は望まれるが、美しい山里、故郷を壊すようなルート選定だけは避けるよう強く望む。
 この道路計画の進捗を遅らせる事を望んでこの意見書を提出しているわけではなく、人が、静かに幸せに生活している区域を、土足で踏み荒らしていくようなルートは避けてほしいということである。(八鹿ICから八鹿PAの間のルート修正で、他地区に対して直接的には何ら影響は考えられない。)
 決して、「こう決まったから、我慢してください。都市計画で決定されたから、いくら反対しても強制執行します。」というようなことだけはないように、切に希望する。
2)北近畿豊岡自動車道の原案ルートに対して一言意見を申す。
 私は、30余年前まで旧八鹿町三谷に住んでおり、現在でも自宅から通いながら三谷の昔からの耕地を耕し、米始め野菜等を得ている。
 この三谷は昔から農道と云うものがなく、非常に苛酷な農作業を余儀なくされていた。それで人口の減少と共に、村の中の耕地まで不耕作放任状態が増えてしまった。
 それが去る平成14年、旧八鹿町の暖かい方針により耕地の真ん中に舗装をされた立派な農道が出来た。
 夢の農道の完成によって農作業は手のひらを返したように楽になり、不耕作地、荒廃田が蘇るのも時間の問題と考えたが、この度の北近畿豊岡自動車道のルート原案を見て驚愕した。
 狭い谷間に屋根のように広い高架橋が架けられたら当地の農業はもう壊滅的だと考えられる。
 この口三谷の集落内を通過するルート計画の見直しをお願いする。
3)私は40年余り口三谷に居住して、3回余りの大きな水害を体験した。その後、山林管理上の問題、畜産団地の建設、道路改善等で水害の防災上から考えると、その当時以上に悪化した。今回の道路の建設計画は、その三谷川に沿う計画で、現在の町道と山林がこの道路で遮断されている。
 この影響により林道が整備されていない当地区では木材の搬出上、最悪の条件となる。昭和四十年代以前は、外材の輸入も少なく木炭需要のため雑木林の更新が順調に行われていたが、昨今では放任状態で、パルプ材としての搬出の場合、広範囲の山が丸裸となるのが現状である。
 これは、その搬出上の経費に問題がある。針葉樹についても桧は鹿の害が予測され、杉の木は安価のため搬出経費が高くなれば販売できず、そのまま放任される。このような山林には、雑草が枯れ、地肌が現れた山林形成となり個人的には利用価値の低下、社会的には、防災上、最悪の現状が予想されるので、ルートの変更(トンネル化)又は、この改善対策施行につき、お願いする。
 以上の観点から、これが認められない場合、私の山林の道路敷地提供には同意出来ない。
1)、2)、3)
 本事業は、但馬地域における交通の円滑化や、災害時の代替性を確保するとともに、地域の産業経済活動の発展及び豊富な観光資源の利用促進・開発等に寄与するものである。
 ルートについては、土地利用、環境への影響、走行性、経済性、施工性、防災面及び事業の効果等を総合的に勘案して選定した。
 また、構造については、土工構造を基本に地形制約上やむを得ない場合において橋梁構造やトンネル構造としている。
 事業中の八鹿インターチェンジ(仮称)と日高インターチェンジ(仮称)を結ぶルートについては、クマタカの生息範囲への影響、日高市街地とのアクセス性、施工性を考慮するとともに、現在事業中の山東インターチェンジ(仮称)〜和田山インターチェンジ間(仮称)に計画されている山東パーキングエリア(仮称)からの距離を考慮し、両インターチェンジ間の土工部にパーキングエリアを設置することを視野に入れて検討した。
 口三谷地区付近のルートについては、土石流危険渓流などに対して配慮するとともに、大規模な構造物(トンネル、橋梁)とならないよう三谷川沿いにルートを選定するものとし、集落内の家屋や神社を避けるとともに、冬季の路面凍結を防止する観点から三谷川の西側斜面を通過する計画とした。
 生活環境への影響については、環境基本法第16条の規定に基づき「人の健康を保護し、及び生活環境を保全する上で維持されることが望ましい基準」として定められた環境基準等との整合を図るだけでなく、その影響をできる限り低減するため、住居等が近接する区間については法面への植栽の検討等を行うこととしている。
 また、景観については、設計・計画段階において構造物の高さを低くすること、構造物のデザインへの配慮、及び法面へ周辺地域に存在する種を用いた植栽を行うこと等により、圧迫感の軽減や周辺の自然景観との調和を図ることとしている。
 今後、地権者や関係者に理解が得られるよう努めていくとともに、測量、地質調査及び詳細な設計等を行う各段階において、具体的な協議等を行っていく。
 なお、工事中及び供用後において、現段階で予測し得なかった著しい影響が生じた場合には、必要に応じて調査を実施し、適切な措置を講じることとする。
[養父市八鹿町高柳の計画]
 7月27日養父市八鹿町民会館において、北近畿自動車道(豊岡南〜八鹿間)の説明を聞いた。北近畿豊岡自動車道(和田山〜八鹿間)において、八鹿インターの予定地に、思い出多い歴史のある先祖代々の大事な土地を提供した。
 この度、また、高柳の田の一部が豊岡南〜八鹿間のルートの中に入っているので、いささか困惑している。特に、農地の少ない家族一同の食を守って来た、我が家の最後の食糧供給生産の原点である。農地の少ない八鹿の高柳、高速道路も大事な事かも知れないが、これ以上協力することは出来ない。
 今一度ルートの見直しをお願いする。
 本事業は、但馬地域における交通の円滑化や、災害時の代替性を確保するとともに、地域の産業経済活動の発展及び豊富な観光資源の利用促進・開発等に寄与するものである。
 ルートについては、土地利用、環境への影響、走行性、経済性、施工性、防災面及び事業の効果等を総合的に勘案して選定した。
 高柳地区においては、事業中の道路計画との整合を図るとともに、高校等の公共的施設や神社をできる限り回避した計画としている。
 今後、地権者や関係者に理解が得られるよう努めていくとともに、測量、地質調査及び詳細な設計等を行う各段階において、具体的な協議等を行っていく。
3.その他
[縦覧方法]
 縦覧の方法そのものについて一言。豊岡市の縦覧では、道路計画のうち豊岡市部分400メートルのみ地図が示され、日高町部分、養父市八鹿町部分も一括して見たければ兵庫県庁に行かなくてはならないとのことであった。せめて但馬県民局で縦覧が行われておれば時間的経済的にも節約できるが、このようなやり方では事実上縦覧を拒否しているようなものである。法にもこんなに制約を設けることは予定されていないと思うので至急改善を要望する。
 都市計画の案については、一体の都市として総合的に整備、開発及び保全すべき区域として、都市計画を策定する区域の単位となる都市計画区域ごとに作成し、縦覧に供している。
 都市計画の案の縦覧は、その都市計画区域ごとに、兵庫県庁及び関係する市役所又は町役場で実施している。
 なお、県のホームページにおいても、それぞれの都市計画の案を閲覧できるようにしている。
[意見書の対処]
 この意見書に対して、どのように対処してもらえるのか、また、どのような検討がなされるのか、以後地元住民と共に納得の行く形で事業が進められるように、計画決定までに、これからの方針等については説明をしてもらいたい。
 都市計画は、各種の行政機関と十分な調整を行い、相対立する住民の利害を調整し、さらに、利害関係人の権利、利益を保護するため、都市計画審議会の議を経て決定されるが、都市計画法に基づき、提出された意見書は、その要旨を都市計画審議会に提出することとなる。
 また、環境影響評価法に基づき、環境の保全の見地から提出された意見については、都市計画決定権者が環境影響評価書を作成する上で配意するとともに、兵庫県知事(環境)が都市計画決定権者に対して環境の保全の見地から述べる意見にも配意される。
[日高町の都市計画等]
  • 日高町における北近畿豊岡自動車道整備計画に伴う周辺地域の都市計画について、基本的な考え方を明らかにしてもらいたい。
  • 日高インターチェンジ周辺の都市整備計画を検討される過程において久斗区住民が参画できる体制をつくってもらいたい。
  • 整備計画の実現までは、新市になっても、上記の体制を継続してもらいたい。
 日高町においては、北近畿豊岡自動車道等を南北交流軸、国道482号を東西交流軸と位置付け、これらが交差するまちとして、「未来を拓く 但馬の新十字路日高町」をキャッチフレーズに掲げ、他地域との交流を促進するこれら広域幹線道路網の整備を促進するとともに、貴重な自然環境に十分配慮しながら、安全・安心で魅力あふれた計画的なまちづくりを推進することとしている。
 日高インターチェンジ(仮称)周辺の整備計画については、新市発足後も、地域住民の意見を十分に踏まえて検討する必要があると考えている。

このページのトップへ