審査意見書

環境影響評価実施者


都市計画決定権者 兵庫県
代表者 兵庫県知事 井戸 敏三
 豊岡都市計画道路北近畿豊岡自動車道・日高都市計画道路北近畿豊岡自動車道・八鹿都市計画道路北近畿豊岡自動車道に係る環境影響評価方法書に関し、環境影響評価法(平成9年法律第81号)第40条第2項の規定により読み替えて適用される同法第10条第1項の規定に基づく審査意見は下記のとおりである。
 平成14年5月22日
兵庫県知事 井 戸 敏 三

 標記の環境影響評価方法書(以下「方法書」という。)について、環境の保全の観点から審査を行った。
 標記事業の環境影響評価の実施にあたっては、方法書に記載の調査、予測、評価等を着実に行うほか、次の点に留意する必要がある。

 1 全体的事項
(1) 事業計画について
 
  
@  当事業については、山林・田畑等が広がり、周辺では貴重な動植物が見られる農山間地域で実施されることから、こうした地域の特性に配慮したルートや道路構造を検討すること。改変する場合にあっては、実行可能な範囲で動物の移動空間の確保や緑地の復元など、動植物の生息・生育にも配慮し、周辺環境に調和して実施することが望まれる。
 
  
A 事業の具体化にあたっては、動植物の生息・生育区域の分断、病院や学校など特に配慮が必要な施設などについて、環境保全(環境影響の回避、低減)の観点から検討を行い、当該配慮事項や環境保全措置の検討過程を環境影響評価準備書に記載すること。
(2) 環境影響評価について
 
  
@  想定される事業計画に基づき調査地点、調査方法及び予測手法を選定する際には、必要に応じ専門家の助言を受けて、方法書に記載した選定方法に沿って、詳細な検討を行うこと。
 
  
A 環境影響評価を行う過程において新たな事情が生じたときは、必要に応じ、調査等の項目及び手法を見直し、追加的に調査、予測及び評価を行う等適切に対応すること。
B 環境保全措置については、実行可能な範囲において、複数案の比較検討や、よりよい技術の導入の検討を行うこと。
 2 個別的事項
(1) 大気環境
@ 自動車の走行に伴う大気質及び騒音の影響については、盛土、高架構造等にあっては断面予測とし、トンネル坑口やインターチェンジ等の特殊部にあっては面的予測を実施すること。
A 騒音の現況調査については、環境基準の時間区分により行う必要がある。また、住居等の状況に応じ、高さ方向についても、予測及び評価を行うこと。
B 騒音の予測及び評価については、住居等の地域以外に、必要に応じて主要な眺望点や人と自然との触れ合いの活動の場で実施するなど、地域特性を踏まえて的確に行うこと。
(2) 水環境、土壌に係る環境等
@ 工事中の水底の掘削及び土工事等に伴う水の濁りの予測及び評価については、仮設沈砂池等の設置による効果を予測するなど、具体的な低減策に基づき行うこと。
A

コンクリート打設工による水の汚れ(アルカリ排水の発生)について、予測及び評価を行うこと。

B 凍結防止剤、融雪剤の使用及び路面排水により農業用水用ため池等の公共用水域や動植物への著しい影響を及ぼすおそれがある場合は、下流域の利水状況や水生動植物の分布を考慮し、調査、予測及び評価を行うこと。
C 切土工又は掘削工が予定される区域においては、既存資料の事前調査により土地の履歴などを把握し、必要に応じて土壌環境基準項目について調査、予測及び評価を行うこと。
(3) 動物、植物、生態系
@ 動物・植物の現況調査区域のうち、文献調査や地元の専門家の情報により貴重な動物・植物の生息・生育及び植物群落の存在が近傍で確認されている地域については、調査区域を拡大して実施すること。なお、特に絶滅のおそれが高いとされる種については、専門家の意見等を踏まえ、十分な調査を行うとともに、新たに貴重な種が確認された場合は、追加的に調査、予測及び評価を行うこと。
A 猛禽類については、事業実施区域周囲にクマタカ等の貴重な猛禽類の生息が確認されているため、現地調査において営巣又は繁殖が確認された場合は、「猛禽類保護の進め方」(1996年9月、環境庁自然保護局)に沿って、専門家の指導・助言を得ながら、調査、予測及び評価を行うこと。
B

生態系については、当該地域の自然環境の状況、食物網の模式図等を基に生態系の構造等の整理を踏まえ、抽出した注目種の生息・生育環境等を考慮した解析を行う必要がある。このため、動植物の現地調査については、生態系の把握を念頭に置き、専門家の指導・助言を得ながら、個体数・現存量などの生態系の量的な側面を考慮し、動植物の調査項目間の関係を明らかにできるような調査を行うこと。

(4) 景観
景観については、眺望景観だけではなく、身近な生活空間としての景観、いわゆる囲繞景観についても、必要に応じて視点場を設け、調査、予測及び評価を行うこと。
(5) 廃棄物等
建設発生土及び廃棄物については、発生量、再利用量及び処分量等について、必要に応じ定量的な予測及び評価を行うこと。

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