意  見  書
  
      環境影響評価実施者
                 都市計画決定権者
                     兵庫県知事 貝 原 俊 民



 八鹿都市計画道路1.3.1号北近畿豊岡自動車道及び和田山都市計画道路1.3.2号北近畿豊岡自動車道に係る環境影響評価準備書(以下「準備書」という。)に関し、環境影響評価法(平成9年法律第81号)第40条第2項の規定により読み替えられて適用される同法第20条第1項の規定に基づく意見は、下記のとおりである。


 平成11年10月22日
 
 
                    兵庫県知事 貝 原 俊 民
                  
 

 本事業は、すでに供用中の近畿自動車道敦賀線、一般国道9号、312号及び工事中の北近畿豊岡自動車道(春日和田山道路)、播但連絡道路などと一体となって交通ネットワークを形成し、交通流の円滑化に資するとともに、兵庫県北部地域の活性化に寄与することを目的としている。
 準備書では、自然環境の一部を改変するものの、計画路線は大部分がトンネル構造で、改変面積は少なく、影響は軽微であるとしている。
 しかしながら計画路線及びその周辺は、県内でも優れた自然環境を有する地域の一つであり、貴重種も多く確認されており、局地的な土地の改変によっても、生態系の構造に影響を与えることも考えられる。
 このため、事業実施に当たっては、準備書に記載されている環境保全対策を着実に実施するほか、以下の点に留意する必要がある。

1 大気汚染については、工事中において粉じん対策を確実に行うとともに、浮遊粒子 状物質については、事業実施後、影響の有無を確認すること。
 2 水質汚濁については、地形・地質等の状況から、以下の点に留意すること。

(1)トンネル工事については、周辺地域の地下水脈への影響に注意すること。
(2)特に和田山町岡付近では風化した花崗岩が露出しているため、切土・盛土工事に当 たっては細心の注意を払うこと。また、その他の地域についても、豪雨等による土砂 の流出による汚濁を防ぐなど濁水対策に万全を期すること。
(3)橋梁基礎工事については、下流域への影響を軽減するよう細心の注意を払うこと。

3 騒音については、予測値が高い地域もあることから、環境基準を超えないよう必要 に応じて環境保全対策を講ずること。
  また、周辺地域への騒音、振動の影響に配慮して工事計画を策定し、工事内容等を十分説明するなど周辺住民の理解が得られるよう努めること。

4 植物については、貴重種の段階的な移植を検討し、また、動物については、生息域 の分断を回避するよう配慮すること。

5 景観については、構造物の設計に当たって、地域の自然景観とのバランスを図りながら、検討を行うこと。

6 廃棄物等については、伐採樹木のチップ化等を行い、焼却処理をできる限り行わないこととするほか、建設残土、スラッジについても、減量化、有効利用を図ること。

7 事後監視調査については、予測年次に至るまでの間において、関連道路の供用時期の違い等から局所的な交通渋滞などによる影響が生じることが考えられるので、適切な調査を実施すること。事後監視調査結果については、定期的に公表するとともに、現時点では予測できない事項や環境に著しい影響が生じるおそれがある場合には、関係機関と協議し、必要な措置を講ずること。
 また、事業の実施に当たっては、地元住民からの要望・苦情等に適切に対処すること。