平成13年7月13日        

 兵庫県知事 貝 原 俊 民 様

環境影響評価審査会       
会長 藤井 正美       

淡路・東浦都市計画緑地あわじ石の寝屋緑地に係る
環境影響評価概要書の審査について(答申)
 平成13年4月17日付け諮問第5号で諮問のあった標記のことについて、下記のとおり答申します。

 標記の環境影響評価概要書(以下「概要書」という。)について、環境の保全と創造の観点から審査を行った。
 標記事業の環境影響評価の実施にあたっては、概要書に記載の調査・予測・評価等の計画に加え、次の点に留意する必要がある。

1 全体的事項
(1) 事業計画について
 当該事業は、自然環境の保全を図るとともに人と自然との触れ合い活動の場として環境の保全と創造に寄与すること等をコンセプトに県立都市公園として整備されるものである。
 このことから、当該事業の実施にあたっては、21世紀の「美しい兵庫」を築くうえで自然環境を保全する一つの手法として効果的に機能するよう、調査・予測・評価等を通じて当該事業計画の熟度を高めていくことが望まれる。

(2) 環境影響評価準備書の作成について

 当該事業計画地は自然環境が豊かな地域にあることから、特に現況調査の実施にあたっては動植物等自然環境の把握を適切に行う必要がある。
 予測の結果、環境に影響を及ぼすおそれがある場合は、環境影響評価指針に示すミティゲーション手法により適切な措置を講ずるとともに、土地利用計画等の見直しを行う場合には、変更に至った経緯を示すことが望ましい。

2 個別的事項

(1) 水質汚濁

 工事に伴う濁水の予測については、流出防止対策を検討し定量的に行うとしているが、特に淡路町の上水取水口がある長谷川及び展望拠点施設等の流域河川においては適切に実施する必要がある。
 供用後の汚水については、下水道に接続することとしているが、中水化による再利用等水の有効活用に努めるよう検討することが望ましい。

(2) 植物

 植物の調査については、調査区域全体を適切な密度で行い、改変により影響を受ける部分を重点的に行ったうえで、調査箇所ごとに出現種の整理を行う必要がある。
 また、造成法面への樹木の植栽にあたっては、埋土種子の活用、根株植栽等についても検討を行い、既存樹木等を活用するような緑化計画とすることが望ましい。

(3) 陸生動物

 動物の調査については、調査区域全体を適切な密度で行い、改変により影響を受ける部分を重点的に行ったうえで、調査箇所ごとに出現種の整理を行う必要がある。
 また、明石海峡は渡り鳥の通過ルートになっていることから、渡り鳥の飛翔ルートと計画地との位置関係について情報を入手することが望ましい。

(4) 水生生物

 水生生物の任意採取調査については、川の形状等によるタイプ分けを意識した採取が必要であり、小河川においては定量採取よりも定性採取が重要である。

(5) 生態系

 生態系の予測・評価については、陸生植物、陸生動物、水生生物等の調査結果をもとに、主な動植物の分布を整理のうえ代表となる指標種を設定し、それらの生息・生育環境の基盤の分布、食物連鎖に着目し適切に実施することが望ましい。
 また、土工事による流域の変化については、生態系全体への影響が懸念されるため、可能な限りこれを避けるような事業計画とする必要がある。
 なお、動植物の調査結果をもとに、ミティゲーション手法に基づいた適切な措置を講じるとともに土地利用計画等事業計画に反映させることが望ましい。

(6) 景観

 景観の予測については、明石海峡大橋利用者の視点等を考慮し、淡路島の入口部として多面的に景観を検討することが望ましい。このため準備書の作成にあたっては、「淡路島国際公園都市景観デザインガイドライン」(淡路島国際公園都市景観形成推進連絡会 平成9年12月)等を有効に活用する必要がある。
 なお、施設利用者の見る計画区域内の景観については、調整池及び法面等の景観に配慮した事業計画となるよう検討することが望ましい。