風力発電所環境配慮暫定指導指針
   第1章 総則
 (目的)
第1条  この指針は、風力発電所に係る環境配慮に関して必要な事項を定めることにより、発電所の建設等に際して、健全で恵み豊かな環境の保全及びゆとりと潤いのある環境の創造(以下「環境の保全と創造」という。)について適正に配慮がなされることを推進することを目的とする。
 (定義)
第2条  この指針において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1)  環境配慮 対象事業の実施に際し、環境影響評価の結果を勘案し、立地(位置)の妥当性を検討するとともに、必要に応じ、環境保全措置を講じることをいう。
(2)  環境影響評価 対象事業の実施に際し、事前に、当該対象事業の実施又は実施後の工作物の存在及び稼動が環境に及ぼす影響について、調査、予測又は評価(以下「調査等」という。)を行うことをいう。
(3)  対象事業 風力発電所の建設であって、出力が1,500キロワット以上の新設及び出力が1,500キロワット以上増加するものをいう。
(4)  事業者 対象事業を実施し、又は実施しようとする者(委託に係る対象事業の実施にあっては、その委託する者)をいう。
(5)  関係地域 事業者が対象事業を実施し、又は実施しようとする地域及びその周辺地域で当該対象事業の実施等が環境に著しい影響を及ぼすおそれがある地域をいう。
(6)  関係市町 関係地域の存する市町をいう。
(7)  事後監視調査 対象事業に係る工事の施行中及び完成後に対象事業の実施等による影響について調査することをいう。
   第2章 環境影響評価に関する手続等
    第1節 環境影響評価準備書の作成等
 (調査等の実施)
第3条  事業者は、対象事業を実施しようとするときは、騒音、地形・地質、植物、動物、生態系及び景観について、環境影響評価指針(平成10年1月9日兵庫県告示第28号)及び風力発電のための環境影響評価マニュアル(平成15年6月 新エネルギー・産業技術総合開発機構。以下「風力マニュアル」という。)に基づき調査等を行うものとする。
 猛禽類の飛翔が確認された場合には、猛禽類保護の進め方(平成8年8月 環境庁自然保護局野生生物課編)に基づき調査等を行うものとする。
 (準備書の作成)
第4条  事業者は、前条の規定により調査等を行ったときは、次の事項を記載した環境影響評価準備書(以下「準備書」という。)を作成するものとする。
(1)  氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名
(2)  対象事業の名称、目的及び内容
(3)  関係地域
(4)  調査等の結果
(5)  環境配慮の内容
(6)  事後監視調査の内容
(7)  その他必要な事項
 (準備書の送付)
第5条  事業者は、準備書を作成したときは、知事及び関係市町の長に準備書を送付するものとする。
 (準備書の公告及び縦覧)
第6条  事業者は、準備書を作成したときは、準備書の内容について環境の保全と創造の見地からの意見を求めるため、準備書を作成した旨その他必要な事項を公告し、関係地域内において、準備書を公告の日から起算して30日間縦覧に供するものとする。
 (説明会の開催等)
第7条  事業者は、前条の縦覧期間内に、関係地域内において、準備書の記載事項を周知させるため、説明会の開催等必要な措置を講ずるものとする。
 (住民意見の聴取)
第8条  事業者は、第6条の規定による公告の日から起算して45日間準備書の内容について環境の保全と創造の見地からの意見を有する者の意見(以下「住民意見」という。)を聴くものとする。
 (見解書の作成)
第9条  事業者は、前条の規定により住民意見の提出があったときは、当該住民意見及びそれに対する見解を記載した書面(以下「見解書」という。)を作成し、知事に提出するものとする。
 (準備書についての知事の助言)
第10条  知事は、第6条の規定による公告の日から起算して180日以内に、住民意見及び見解書の内容を勘案して環境の保全と創造の見地から準備書について審査を行い、事業者に対し、環境の保全と創造のための措置その他必要な事項に関する助言(以下「助言」という。)を行うものとする。
 知事は、事業者に助言を行おうとするときは、附属機関設置条例(昭和36年兵庫県条例第20号)第1条第1項に規定する環境影響評価審査会(以下「審査会」という。)の意見を聴くものとする。この場合において、知事は、環境影響評価に関する条例(平成9年兵庫県条例第6号)の手続に準じ必要な措置を講じることができる。
 知事は、事業者に助言を行ったときは、遅滞なく、その写しを関係市町の長に送付するものとする。
    第2節 環境影響評価書の作成等
 (評価書の作成等)
第11条  事業者は、知事の助言に基づき、準備書の記載事項について検討を加え、次に掲げる事項について記載した環境影響評価書(以下「評価書」という。)を作成するものとする。
(1)  第4条第1号から第6号までに掲げる事項
(2)  住民意見の概要
(3)  住民意見に関する事業者の見解
(4)  知事の助言
(5)  知事の助言に関する事業者の見解
(6)  その他必要な事項
 (評価書の送付)
第12条  事業者は、評価書を作成したときは、知事及び関係市町の長に評価書を送付するものとする。
 (評価書の公告及び縦覧)
第13条  事業者は、評価書を作成したときは、評価書を作成した旨その他必要な事項を公告し、関係地域内において、評価書を公告の日から起算して15日間縦覧に供するものとする。
    第3節 事後監視調査
 (事後監視調査の実施等)
第14条  事業者は、対象事業の工事の着手後、環境影響評価指針に基づき事後監視調査を行うものとする。
 事業者は、事後監視調査を行ったときは、当該事後監視調査の結果を知事に報告するものとする。
 知事は、事後監視調査の結果の報告があったときは、その内容について審査を行い、対象事業の実施等に関して環境の保全と創造についてさらに適正に配慮する必要があると認めるときは、事業者に対し、必要な措置を講ずることを求めることができる。
   第3章 雑則
 (報告の徴収)
第15条  知事は、この指針に定めるもののほか、この指針の施行に必要な限度において、事業者に対し、必要な事項について報告を求めることができる。
 (補則)
第16条  この指針の施行に関して必要な事項は、別に定める。
   附 則
 (施行期日)
 この指針は、平成17年10月26日から施行する。
 (経過措置)
 この指針の施行の際現に対象事業についてこの指針の規定による手続に相当する手続として次の各号に規定する手続が開始されている場合において、当該対象事業を実施しようとする事業者が当該手続を行うときは、当該対象事業については、当該各号に規定するこの指針の規定は、適用しない。
(1)  風力マニュアルに準じて行われる調査等の実施   第3条
(2)  風力マニュアルに準じて行われる環境影響評価書案の作成、公告及び縦覧   第3条、第4条及び第6条から第9条まで。この場合における第5条及び第10条の適用については、第5条中「準備書」とあるのは「風力マニュアルに準じて作成された環境影響評価書案」と、第10条第1項中「第6条の規定による公告の日」とあるのは「施行の日」とする。

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