第6次総量削減計画の告示

兵庫県告示第732号
 
 水質汚濁防止法(昭和45年法律第138号)第4条の3等の規定により、化学的酸素要求量、窒素含有量及びりん含有量に係る総量削減計画を次のとおり定める。
 
   平成19年6月22日
 
兵庫県知事 井 戸 敏 三 
 
化学的酸素要求量、窒素含有量及びりん含有量に係る総量削減計画(兵庫県)
 
 この総量削減計画は、水質汚濁防止法(昭和45年法律第138号)第4条の3等の規定に基づき、化学的酸素要求量については瀬戸内海環境保全特別措置法(昭和48年法律第110号)第5条第1項に規定する区域のうち兵庫県の区域について、窒素含有量及びりん含有量については水質汚濁防止法施行令(昭和46年政令第188号)別表第2第3号ハに掲げる区域について、平成18年11月21日付け「化学的酸素要求量、窒素含有量及びりん含有量に係る総量削減基本方針(瀬戸内海)」に定められた削減目標量を達成するため、必要な事項を定めるものである。
 
1 削減の目標
  平成21年度を目標年度とする発生源別の削減目標量は次のとおりとする。
 
(1) 化学的酸素要求量について
 
表1 発生源別の削減目標量
  削減目標量(トン/日) (参考)平成16年度における量(トン/日)
生活排水 29 32
産業排水 21 22
そ の 他 6 7
合  計 56 61
 
(2) 窒素含有量について
 
表2 発生源別の削減目標量
  削減目標量(トン/日) (参考)平成16年度における量(トン/日)
生活排水 25 26
産業排水 15 15
そ の 他 19 20
合  計 59 61
 
(3) りん含有量について
 
表3 発生源別の削減目標量
  削減目標量(トン/日) (参考)平成16年度における量(トン/日)
生活排水 1.7 1.8
産業排水 0.7 0.7
そ の 他 0.7 0.7
合  計 3.1 ※3.3
※各値を四捨五入しているため、合計値が異なる。
 
2 削減目標量の達成のための方途
 
2−1 生活系排水対策
 瀬戸内海の汚濁負荷量の削減を図るためには、工場・事業場排水はもとより、汚濁負荷割合の大きい生活排水を適正かつ効率的に処理することが必要である。
 このため、「生活排水99%フォローアップ作戦」に基づき、市町等と協力しながら、下水道の整備の一層の促進を図るほか、地域の実情に応じ、農業集落排水施設、漁業集落排水施設、コミュニティ・プラント、合併処理浄化槽等の生活排水処理施設及びし尿処理施設の整備を計画的に推進するとともに、排水処理の高度化の促進並びに適正な維持管理の徹底等の生活排水対策を推進することにより、汚濁負荷量の削減を図る。
 
(1) 下水道の整備等
 下水道の整備については、社会資本整備重点計画との整合を図りつつ、目標年度までに表4に掲げる処理人口を目標にその整備を促進するとともに、水洗化の促進等を図る。
 また、下水道終末処理場については、維持管理の徹底により排水水質の安定及び向上に努めるとともに、窒素及びりんの高度処理の導入について、海域の状況を勘案しつつ、その実施を図る。
 合流式下水道については、平成16年度に各下水道管理者が作成した「合流式下水道緊急改善計画」に基づき、計画的かつ緊急的・集中的に改善を推進する。
 
表4 下水道整備計画

 
年度 行政人口(千人) 処理人口(千人)
 
21 5,414 5,006
【1,199】
  ※【  】書きは、高度処理人口を示す(内数)。
  
(2) その他の生活排水処理施設の整備
 農業集落排水施設、漁業集落排水施設、コミュニティ・プラントについては、地域の実情に適した形で計画的、効果的に施設整備を図るとともに、これらの処理施設については、維持管理の適正化並びに放流水質の安定及び向上に務める。
 し尿処理施設については、維持管理の徹底を図ることにより、放流水質の安定及び向上に努める。
 合併処理浄化槽については、設置整備事業に係る国庫交付金の活用により、計画的かつ効率的な設置整備の促進を図るとともに、公共用水域等の水質保全上、水質汚濁負荷が高い既設の単独処理浄化槽については、その撤去に係る国の助成制度の積極的な活用を図るなど、合併処理浄化槽への転換促進を図る。
 また、浄化槽法、建築基準法、兵庫県浄化槽指導要綱(昭和60年9月制定)等に基づき、適正な設置や維持管理の徹底を図る。特に、設置後の維持管理については、保守点検・清掃・法定検査の確実な実施を浄化槽管理者等に対し積極的に働きかけるとともに、法定検査未受験者への指導強化により、放流水質の安定化と向上に努める。
(3) 一般家庭における生活排水対策
 一般家庭からの生活排水による汚濁負荷量を削減するため、水質汚濁防止法及び「兵庫県生活排水対策等推進要綱」に基づき、市町と協力し、家庭でできる雑排水対策についての啓発、普及を行う。
  
2−2 産業系排水対策
 
(1) 総量規制基準の設定等
 指定地域内事業場については、汚濁負荷量の削減のために採られた取り組みとその難易度、原材料等の使用の実態、排水処理技術水準の動向、費用対効果、除去率の季節変動等を考慮し、公平性の確保に努めながら適切な総量規制基準を定め、その遵守を徹底することにより、削減目標量の達成を図る。
 新・増設の施設については、既設の施設に比べ、より高度な技術の導入が可能であることに鑑み、特別の総量規制基準を設定し、削減目標量の達成を図る。
 Cc等の値等については、「化学的酸素要求量についての総量規制基準に係る業種その他の区分及びその区分ごとの範囲」(平成18年環境省告示第134号)、「窒素含有量についての総量規制基準に係る業種その他の区分及びその区分ごとの範囲」(平成18年環境省告示第135号)及び「りん含有量についての総量規制基準に係る業種その他の区分及びその区分ごとの範囲」(平成18年環境省告示第136号)により定めることとし、一部の業種等については、排水量等により区分し、業種等の実態を考慮して適切に設定する。
 また、「窒素及び燐に係る削減指導要領」(平成10年5月制定)に基づき、汚濁負荷量の削減についての指導を行う。
  
(2) 総量規制基準の適用されない事業場等に対する対策
 総量規制基準の適用されない工場・事業場のうち、「水質汚濁防止法第3条第3項に基づく排水基準を定める条例」(昭和49年兵庫県条例第18号)の排水規制の対象となっている排水量30立方メートル/日以上の工場・事業場については、立入検査、水質検査等を行い、排水基準の遵守を徹底する。
 その他の事業場については、排出水の実態等を考慮し、「小規模事業場排水対策マニュアル」(平成13年3月環境省環境管理局)等に基づき、排水処理施設の設置や適正な維持管理等、必要な措置を講じるよう指導を行うことにより、汚濁負荷量の削減を図る。
 
2−3 その他の汚濁発生源に係る対策
 その他の汚濁発生源については、地域における発生特性を踏まえたきめ細かな対策を講じるとともに、発生源が多岐にわたることから汚濁負荷の実態に応じた削減努力を促し、汚濁負荷量の削減を図る。
 
(1) 農地からの負荷削減対策
 「持続性の高い農業生産方式の導入の促進に関する法律」(平成11年法律第110号)及び同法に基づく「兵庫県持続性の高い農業生産方式導入指針」(平成12年3月制定)、「ひょうごのやさしい施肥・土づくり推進要領」(平成12年4月制定)に基づき、肥料の適正な使用を確保すること等により、農地に由来する汚濁負荷量の削減を図る。
(2) 畜産排水対策
 「家畜排せつ物の管理の適正化及び利用の促進に関する法律」(平成11年法律第112号)、「県家畜ふん尿処理施設設置基本計画」(平成8年度制定)等に基づき、家畜ふん尿の適正な管理と良質堆きゅう肥化等による適切な処理、農地還元利用を推進することにより、家畜排せつ物に由来する汚濁負荷量の削減を図る。
(3) 養殖漁場の改善
 養殖漁場の環境改善を図るため、「持続的養殖生産確保法」(平成11年法律第51号)、「兵庫県魚介類養殖指針」(平成12年2月制定)等に基づき、給餌量の低減、汚濁負荷の少ない飼餌料の使用の促進等により、養殖場の環境管理の適正化を推進するとともに、漁場内の水質及び底質の改善を図るため、地域の実情に応じて適切な措置を講じる。
 
3 その他汚濁負荷量の総量の削減に関し必要な事項
 
(1)健全な水循環の再構築
 失われた自然や健全な水循環の再生・回復を目指して「ひょうごの森・川・海再生プラン」(平成14年5月策定)に基づき、森・川・海の再生に係る施策・事業を総合的に推進するとともに、流域に暮らす人々と自然のかかわりを回復させながら、参画と協働のもと特色のある取り組みを推進する。
(2)水質浄化事業の推進
 ア 河川、水路等の浄化事業の推進
 水質汚濁の進んだ河川、水路等の水質を改善するため、尼崎地域の庄下川において強制的に水流を生みだすことによる水質浄化事業を行うとともに、同地域の水路において生態系を利用した水質の直接浄化事業等を推進する。
 イ 底質改善事業の推進
 底質汚泥による水質の悪化を防止するため、姫路港や庄下川等の河川及び海域において、港湾計画及び河川計画との整合を図り、底質改善のための底泥のしゅんせつ、覆砂事業を行う。
(3)河川、海浜、干潟等の保全及び再生
 自然浄化能力の積極的な活用を図るため、河川、海浜等の自然環境の保全及び再生に努めるとともに、尼崎の21世紀の森づくりなど生態系に配慮した人工海浜、干潟、浅場等の創出を盛り込んだ事業を推進する。
(4)監視体制の整備
 公共用水域の水質汚濁の状況及び汚濁負荷量の削減状況を正確に把握し、有効かつ適切な対策を講ずるため、公共用水域の水質監視、指定地域内事業場に対する立入検査の実施及びその他の発生源に対する指導等、効果的な監視体制の充実を図る。
(5)環境学習・教育、啓発等
 ア 環境学習・教育
 県民が水質保全に関心を持ち、率先して水質汚濁防止のための行動に取り組むことができるよう、環境学習・教育を総合的・体系的に推進するために設置した「兵庫県環境学習環境教育推進本部」及び各県民局単位の「同地域推進本部」を推進体制として、市町、地域団体等との連携のもと、幼児、小中高校生、大学生からシニアまでの各ライフステージに応じて、森、川、海などの豊かな自然環境をフィールドにした体験型環境学習・教育事業の展開を図る。
 イ 啓発等
 水質総量規制をより効果的に推進するには、関係市町、事業者及び県民の一人ひとりが水質保全に関する認識を深め、水質汚濁防止のための行動を実践することが必要であることから、次の事項等を実施することにより、汚濁負荷量の削減に努める。
 事業者に対しては、各種団体及び講習会等を通じ、本計画の趣旨及び内容の周知徹底を図り、総量規制基準の遵守及び汚濁負荷量の削減のための努力と協力を求める。
 県民に対しては、パンフレット等の広報手段や各種フォーラム等を通じ、家庭でできる生活雑排水対策についての啓発を行い、県民が地域ぐるみで取り組める実践活動の促進を図る。
 なお、これらの事業の実施にあたっては、関係府県及び市町と連携を図り、社団法人瀬戸内海環境保全協会、兵庫県瀬戸内海環境保全連絡会等と協力して行う。
(6)調査研究体制の整備
  本計画の目標を達成するため、海域における富栄養化現象に関する調査研究に努める。
(7)中小企業者等への助成措置等
 中小企業者の事業活動により生ずる公害防止のため、必要な資金を長期かつ低利で融資する「兵庫県地球環境保全資金融資制度」を設けており、今後とも引き続き水質汚濁防止施設の整備を促進する。


(参考)
 県内の大阪湾(注)に係る発生源別汚濁負荷量
(1)化学的酸素要求量について
表5 大阪湾に係る発生源別の汚濁負荷量   (トン/日)
  平成21年度における量 平成16年度における量
生活排水 14 15
産業排水 6 6
そ の 他 2 2
合  計 ※21 23
 ※ 各値を四捨五入しているため、合計値が異なる。
(2)窒素含有量について
表6 大阪湾に係る発生源別の汚濁負荷量   (トン/日)
  平成21年度における量 平成16年度における量
生活排水 15 16
産業排水 3 3
そ の 他 4 4
合  計 22 23
 
(3)りん含有量について
表7 大阪湾に係る発生源別の汚濁負荷量   (トン/日)
  平成21年度における量 平成16年度における量
生活排水 0.8 0.9
産業排水 0.2 0.2
そ の 他 0.2 0.2
合  計 1.2 1.3
 
(注) 県内の大阪湾に係る汚濁負荷量算定の範囲は、和歌山県和歌山市田倉崎と兵庫県淡路島生石鼻を結ぶ線、同島松帆崎と兵庫県明石市朝霧川河口左岸を結ぶ線及び陸岸により囲まれた海域に流入する流域とする。