第5部 基本戦略推進のためのとりくみ・施策
 
第1節 環境学習・教育の展開
 
□様々な場における学習システムの構築
 
目 標】
 ひょうごエコ・ライフスタイルの創造に向けて、家庭や職場、学校等の様々な場で環境について学習できるシステムをつくります
 
【主なとりくみ・施策】
 [県民]
○地域、家庭で環境問題について語り合います。
○地域で環境について学習する様々な機会を用意し、また積極的に参加していきます。
 
 [事業者]
○従業員に対する教育・研修機会の拡充を行い、環境保全意識の向上を図ります。
○施設開放やイベントの開催などを通して地域の環境学習に協力していきます。
 
 [行政*22
○環境学習の全体を網羅した「環境学習プログラム」に基づき、様々な形で情報や学習の機会を提供していきます。
○生涯学習リーダーバンクや講師派遣団の活用を図るなどして、環境学習・教育に関する活動を実践する際のリーダー等の養成及び派遣を進めます。
○清掃センターや上下水道施設等の環境関連公共施設、工場・事業所を、環境学習のための施設としての活用が図られるようにします。
○県民を対象とした自然保護セミナー等の開催や、県内4年制大学による大学連携 「ひょうご講座」などに環境をテーマとした講座を開設する等、社会教育での環境学習を進めます。
○県立博物館の内容の充実を図り、生涯学習への支援や自然・環境シンクタンク(調査・研究・立案)事業を推進します。また、県内の大学等の豊富な環境に関する知恵や情報の活用について検討します。
 
○幼児教育を含め学校教育において、各教科、総合的な学習の時間、特別活動等の時間を活用して、発達段階に応じた体系的な環境教育を、家庭や地域社会との連携の中で展開していきます。
○小中高校生を対象に、県内の企業の協力を得て、工場見学や企業からの講師派遣リスト(名簿)を作成し、企業の環境保全のとりくみについて学習する機会を広げます。
○学習の場を教室から豊かな自然の中へ移し、様々な体験活動を通じて生命に対する畏敬の念など「生きる力」を育成する「自然学校*23」や「トライやる・ウィーク」等の体験型の学習など、地域社会との連携によるとりくみを進めます。また、自然観察指導者など地域の自然学習の指導者と学校をつなぐとりくみを進めます。
○農山漁村にある豊かな自然環境は環境学習の場であり、稲作体験や森林・林業教育などの農林水産業体験学習機会の充実を図ります。
○「水辺の楽校」プロジェクトなど河川を子どもたちの自然体験、環境教育の場として活用するとりくみを進めます。
○中学生・高校生など次世代を担う若者を海外の先進地等へ派遣し、環境に関する知識やとりくみを学ぶシステムを検討します。
○環境問題に関心のない人、薄い人にも、環境について知ってもらうシステムづくりを進めます。
 
○民間団体や事業者、地域の住民など多様な主体と連携をとり、お年寄りから子どもたちへ環境の大切さを伝えるといった環境に関する知恵が世代間・主体間で受け継がれていくしくみをつくります。
 
□実践に向けての学習・教育活動の展開
 
目 標】
 すべての人が環境問題を考えるための知識や経験を持てるよう、学習・教育活動の充実を図ります
 
【主なとりくみ・施策】
 [県民]
○人間と環境との関係などについて進んで学ぶとともに、自らが修得した知識や体験を子どもたちに伝えます。
○地域の営みそのものが展示物であり、地域まるごと博物館とも言えるエコミュージアム*24づくりを県内各地で進め、自然遺産や文化遺産を通じた環境学習を促進します。
○河川の上下流や沿岸域など、環境との関わりを通じた地域間の交流を促進することにより、漁業者による森づくりなどに示される環境に関する知恵を地域間で受け継いでいきます。
 
 [事業者]
○事業活動における環境配慮の状況などを広報するとともに、工場、事務所等の開放を通して、県民の環境学習・教育活動の理解を促進します。
○従業員に対する環境学習・教育の機会を一層確保するとともに、多様なチャンネルを活用して学習・教育活動の充実を図ります。
 
 [行政]
○環境関連施設での学習や豊かな自然環境などにふれる体験型の環境学習の機会を提供するエコツーリズム*25を推進します。
○瀬戸内海など地域に関わりが深く、大きな特徴をもった自然を対象とするなど、地域に密着したテーマに基づく環境学習を推進します。
○子どもから大人まで「食」や農林水産業、環境について学び、理解を深めるとりくみを、学校や家庭、地域において推進し、「アグリライフ*26」の理解促進を図ります。
○家庭において、環境についての話し合いや学習が自然に進むよう、情報の提供などを行います。
 
第2節 環境に配慮した経済活動の推進
 
□「環境の保全と創造」の意識を持った生産・消費活動の展開
 
目 標】
 「環境の保全と創造」の意識が内在した経済活動の展開をめざし、グリーン購入や環境マネジメント(環境管理)システムの導入、環境を重視した市場メカニズムの育成を進めます
 
【主なとりくみ・施策】
 [県民]
○エコマーク、グリーンマーク等環境ラベルのついた商品や、季節の野菜や果物、地場産の作物など、「環境にやさしい商品」を購入します。 
○「環境にやさしいことは家計にもやさしい」ことを理解し、リサイクル製品や環境への負荷の少ない商品を選ぶグリーン購入に取り組みます。
 
 [事業者]
○事業活動を展開することが、環境の保全と創造を併せて推進するようなしくみをつくります。
○事業所における環境マネジメント(環境管理)の徹底や研究開発を進め、環境負荷の少ない製品・サービスの提供など、事業活動の環境適合化を進めます。
○環境会計や環境報告書などの環境マネジメント(環境管理)システムの導入、環境パフォーマンスの公表を進めます。
○ライフサイクル・アセスメント*27の考え方を踏まえた製品の開発に努めます。
○消費者が環境に配慮した製品を選択しやすくするため、環境に配慮した商品の販売に努めるとともに、消費者が購入選択する際に役立つ情報提供を積極的に行います。
○リサイクル製品や環境への負荷の少ない商品を選択するグリーン購入に取り組みます。
 
 [行政]
○事業者に対して、環境調和型の製品・サービスの選択を通じて企業活動をより質の高いものに変革することについて理解を求めていきます。
○循環型社会を先導する民間プロジェクトやモデルとなるような事業者のとりくみを育成・支援していきます。
○事業者に対して、環境会計や環境報告書などの環境マネジメント(環境管理)システムの導入、環境パフォーマンスの公表について理解を求めていきます。
 
○先導的な海外のとりくみを学び、環境に配慮した産業の育成に向け、市場メカニズムを活かした事業の具体的展開方策を検討します。
○全国的・広域的に連動することが避けられない市場メカニズムの性質から、全国又は府県を超えた広域連携によるとりくみの可能性を追求していきます。
○環境に配慮した産業の育成に資する事業展開の可能性を広げるため、環境分野における様々な規制緩和や権限移譲、あるいは新制度の創設を進めるよう国に働きかけるとともに、県において可能なものを積極的に進めます。
○環境ラベル*28や環境報告書等の情報的手法の活用により環境に関する情報開示を進め、環境を
重視した市場メカニズムの育成に努めます。
 
○動脈産業の施設や技術を活用したリサイクルのしくみを確立し、静脈産業と動脈産業の統合・一体化による「健全な物質循環の輪」を構築します。
○本県の特性を最大限に活用しながら、「環境共生型都市(エコハーモニーシティ)構 想*29」の推進をはじめ、環境・エネルギー関連企業の集積を図ります。また、ゼロエミッション(ごみゼロ)のとりくみや省エネルギーの推進など様々な観点から資源・エネルギーを効率的に利用する事業者が集積した拠点の整備を検討します。
 
□エコビジネス*30(環境産業)の育成
 
目 標】
 環境分野における新産業の創出のみならず、コミュニティ・ビジネス*31の育成や環境創造型農林水産業の推進などを通してエコビジネスを育成します
 
【主なとりくみ・施策】
 [県民]
○地域の環境の保全と創造に資するコミュニティ・ビジネスの起業などに積極的に参画します。
○環境に配慮された農業等により生産された農産物への理解を深め、その購入に努めます。
 
 [事業者]
○これまで培ってきた環境保全・創造に関する技術やノウハウ等を通して、エコビジネスの振興に寄与していきます。
 
 [行政]
○環境行政と産業行政との連携を強め、エコビジネスの実態把握と振興に努めます。
○環境分野における新産業の創出を一層促進していくとともに、既存の県内産業が環境対応を図るための主体的なとりくみを支援していきます。
○低環境負荷型の技術開発を進めるため、エネルギー技術、素材技術、バイオ技術、情報技術、製造技術等の先端的な技術を相互に関連づけた総合的な技術開発・製品開発を支援します。
 
○本県企業が有する高い技術集積等を活かし、ビジネスコンソーシアム(企業連合)の形成等により循環型社会システムへの転換をめざすとりくみを支援する循環型社会先導プロジェクトを推進します。
○エコビジネス・フェアの開催などにより、静脈産業を含むエコビジネスの振興と一般への啓発やイメージアップを進めます。
○コミュニティ・ビジネスやベンチャービジネス*32など、地域住民や地場産業・地域産業による地域の環境の保全と創造に貢献する経済活動の育成を図ります。
 
○有機農法の振興や情報システムの整備等、消費者に安心な農産物を提供する産地直送システムの確立への支援などを通じて、環境創造型農林水産業を推進していきます。
 
○たい肥等による土づくりと化学肥料・化学農薬の使用の低減を一体的に行う「環境に配慮した農業生産方式」の導入を促進するとともに、農業用資材の適正な処理を進め、環境と調和のとれた持続的な農業生産(環境創造型農業)を推進します。
 
□経済的手法の開発と導入
 
目 標】
 県民、事業者の自発的なとりくみにインセンティブ(誘因)を与える経済的手法の導入をめざします
 
【主なとりくみ・施策】
 [行政]
○環境の保全と創造を進めるためには費用をどのように負担するのが公平であるかを研究し、ごみ処理費用などの算定ルールの公開や汚染者負担原則*33の啓発などを通じて、県民、事業者等に十分理解してもらいます。
○各主体の役割の分担を公平なものにするため、環境利用のコストを価格に織り込むことを求める「汚染者負担原則(PPP)」や、生産した製品などについて生産者自らが、製品などが使用されて廃棄物となった後まで一定の責任を負う「拡大生産者責任(EPR)」の考え方を踏まえ、各主体の責任ある行動を促進します。
○県民、事業者の自発的なとりくみにインセンティブ(誘因)を与える環境税、デポジット制度*34、パーク・アンド・ライド*35などの各種の経済的手法について、他の手法との比較を行いながら、環境保全上の効果、経済に与える影響、技術革新を促進する効果、必要とされる行政コストなどを総合的に考えて、その適切な活用について検討します。
○経済的手法の導入に際しては、これまで支払われてこなかった新たな負担を県民に求める可能性もあることから、県民の理解と協力を得るよう十分配慮します。
○経済的手法を研究する際には、国内外の事例を収集・分析するなど、近隣府県とも共同して実現に向けた検討を進めるとともに、国へも必要な制度改正を働きかけていきます。
○当面の対策として、自動車税のグリーン化*36を導入するとともに、中・長期的な課題として、廃棄物や大気汚染など、県民に身近で地域の実情を踏まえた対応が求められる環境問題については、排出削減に向けたインセンティブ等のための税制の導入可能性についても、検討を進めます。
○特定エリアへのディーゼル車流入抑制のため、課金型ロードプライシング*37の導入について検討を進めます。
○廃棄物の発生抑制や負担の公平化を図る観点から、経済的誘導策についても多角的方向から研究・検討していきます。
 
第3節 ネットワークと協働によるとりくみの推進
 
□自発的とりくみの推進
 
目 標】
 県民や民間団体、事業者、行政等が責任を自覚し、意思と創意を行動に発揮します
 
【主なとりくみ・施策】
 [県民]
○日々の生活を通じて、家族や知人などと協力し合い、また自己実現につながる喜びを分かちあいながら、環境にやさしいライフスタイルを確立します。
○環境負荷の少ない製品の使用・購入(グリーン購入)に努めます。
○日常生活から生じる環境負荷について、省エネや水資源の有効利用、公共交通の利用などのちょっとした工夫と努力により、負荷の軽減を図ります。
○行政や民間団体の開催する環境学習や環境保全活動等に積極的に参加し、環境問題への理解を深め、さらに積極的なとりくみを行っていきます。 
○環境家計簿の推進等により自らの環境への負荷を実感し、具体的行動に結びつけていきます。
○家庭や地域で環境問題についての話題を取り上げる等により環境保全行動の輪を広げていきます。
○地域の環境情報やエコマーク*38商品に関する情報など様々な環境情報に関心を持ち、環境負荷の小さな商品の積極的購入など具体的行動に結びつけていきます。
 
 [事業者]
○環境の保全と創造に資する効果的なとりくみを推進するため、環境マネジメント(環境管理)システム*39の導入及び環境会計*40や環境報告書*41などの環境パフォーマンス*42の公表を進めます。
○NPO等を含めた県民や行政のパートナーシップによる枠組みづくりと自主的なとりくみにより、創意工夫を活かした透明性の高い環境保全型事業の展開を図ります。
○地域で行われる環境保全活動に積極的に参画し、リーダーシップを発揮するなど活動の中核となります。
 
 [行政]
○ISO14001の認証を受けるとともに、県民、事業者などへの模範として、環境の保全と創造に関する率先行動を示していきます。また、県職員一人ひとりが環境に配慮したライフスタイルを実践し、県民に啓発していきます。
○環境家計簿*43などを利用した県民一人ひとりが自己診断できる環境保全手法の普及を進めます。
○リサイクル活動への協力等を行う商店・事業所を認定・紹介することなどにより、事業者が環境に配慮した事業活動を行うように促します。
○環境の保全と創造に関する活動への積極的な参加者を増やしていくため、自発的とりくみの意義などについて、学校・家庭・職場などへ広く啓発を進めます。
○すべての主体の環境への関心を高め、自発的な活動を行う動機とするため、多様なメディアを活用した普及啓発や催し等を効果的に展開します。
○環境保全創造活動に資する「ひょうごエコファンド」の創設・活用や、各主体が活動を通して資金を調達できるしくみの整備について検討します。
○公害防止や環境保全施設等の設置に関する中小企業者等に対する融資を引き続き推進します。
 
□相互理解を基盤とした協力・連携活動の推進
 
目 標】
 すべての活動主体の相互理解を深め、協力・連携できるしくみづくりを進めます
 
【主なとりくみ・施策】
 [県民]
○県民、事業者、行政のパートナーシップの形成に努めるとともに、責任を持って環境づくりに発言、行動していきます。
○事業者、行政等と協力・連携し、環境保全に積極的に参加します。
 
 [事業者]
○県民、事業者、行政のパートナーシップの形成に努めるとともに、責任を持って環境づくりに発言、行動していきます。
○地域社会での自然保護や環境保全のための様々な活動に積極的に協力、参加していきます。
 
 [行政]
○県民運動の一層の高揚を支援することとし、県民の参画と協働への新たなしくみづくりをめざして、新しい条例制定をはじめ具体的な検討を進めるなど、住民と行政の協働を一体的に推進するしくみづくりを進めます。
○平成3年度から県下の女性団体が中心になって展開されてきた「環境にやさしい買物運動」について、一層多くの県民にこの運動を広げるとともに、他府県や経済界などと連携して広域的な展開を支援します。
○県民運動の推進の一環として、グラウンドワーク活動*44をはじめとする地域における環境改善活動を支援していきます。
○ナショナルトラスト運動*45などを参考にして、地元住民や民間活動団体、行政などが連携して自然環境の保全や自然とのふれあいなどの実践活動を展開します。
○道路や河川等の社会基盤に関して、区間を区切って地域住民が「養子縁組」を行い、養子となった道路等の清掃・美化活動等を行うことにより、快適な生活環境の創造に取り組む兵庫県版アドプト・プログラム(養子縁組を基調とした環境保全創造のとりくみ)*46を推進します。
○県民共同太陽光発電所の建設等を進める「ひょうごグリーンエネルギー基金」など住民参画による手法を進めます。
○民間団体や事業者等のネットワークづくり及びリーダー養成や活動費の助成などにより、環境保全創造活動を行う団体を育成・強化します。
 
□参画と協働を推進する機能の育成
 
目 標】
 参画と協働を推進するために、学習の機会や場所等を提供するとともに、様々な活動を支援します。
 
【主なとりくみ・施策】
 [(財)ひょうご環境創造協会]
○「ひょうごエコフェスティバル」や「ひょうごエコプラザ」など、環境問題について楽しみながら学べる機会や場所を多く提供することにより、環境に関心のうすい人たちに対する啓発を行います。
○「ひょうごエコプラザ」の活用を図り、情報の収集・分析・発信機能を強化し、交流の促進、活動の促進・支援を積極的に進めます。
○「日常生活での環境負荷の低減」、「生物の多様性」などのテーマについて、民間活動団体や県民等と共同で調査研究を実施し、施策提言などのシンクタンク機能を強化します。
 
 [行政]
○(財)ひょうご環境創造協会を県民、事業者等のあらゆる主体の参画と協働に基づく様々な事業の推進母体と位置づけ、連携して環境適合型社会の形成をめざした各種事業を推進していきます。
○環境ボランティアへの場の提供、行政への意見を施策に反映させる場の設定などを通して、県民、事業者、民間団体、行政を結び付けるコーディネート機能を、(財)ひょうご環境創造協会をはじめ様々な民間団体において強化します。
○地域における参画と協働の推進を図るため、各地域ごとに中核機能の整備を図ります。
 
□環境情報の収集・提供・公開・共有の促進
 
目 標】
 環境に関する情報を容易に入手し、共有できるシステムを構築します
 
【主なとりくみ・施策】
 [県民]
○自らが行う環境保全・創造のとりくみについて、積極的な発信に努めます。
 
 [事業者]
○自らが行う環境保全・創造のとりくみについて、積極的な発信に努めます。
○製品等の原材料や製造・流通・消費・廃棄等に関しての情報及び製品等が環境に与える負荷について、出来る限り、消費者に適切な情報を提供します。
 
 [行政]
○「環境情報総合システム」の拡充などにより、情報収集・整理機能を強化し、情報提供機能をより利用しやすくするなどして、環境コミュニケーション*47の構築を進めます。
○環境関連の各種調査・報告等の既存情報の電子化を推進するとともに、情報全般について、県民にとってわかりやすい内容となるよう工夫します。
○自然環境など現在の環境の姿を、情報として収集・整理・保管・活用することについて検討していきます。
○事業活動にかかる環境情報について、事業者による自主公開が促進されるよう、環境条例に基づき事業者への働きかけを強めます。このため、必要に応じて、公開請求の基準などを規定したガイドライン(指針)を作成します。
○広く県民、事業者が、環境に関する情報を共有できるように、県民、事業者、行政が持つ図書資料等の閲覧センターを各県民局単位に設置します。
○自然環境情報の収集・整理を県立人と自然の博物館で関係機関との連携により行い、その情報の提供・公開・共有を進めます。
○これらのとりくみを通じて情報システムの拡充を図り、県民、事業者、行政が環境に関する情報を共有し、互いに自律的に環境への配慮を行いつつ交流・連携するよう図ります。
 
□新環境保全協定の推進
 
目 標】
 新たな課題(地球温暖化対策、循環型社会の形成)に対応した21世紀型環境保全協定の締結を推進します
 
【主なとりくみ・施策】
 [事業者]
○事業所における環境マネジメント(環境管理)等の自主的とりくみを進め、新たな課題に対応した環境負荷の継続的軽減に努めます。
 
 [行政]
○現行の公害防止(環境保全)協定を抜本的に見直し、県民の参画と協働のもと、県民・事業者・行政の新たな関係を構築します。
○地球温暖化対策や循環型社会の形成などの新たな課題に対応し、環境負荷の継続的軽減、地球環境保全への貢献をめざします。
○IT(情報通信技術)を活用した情報の公開・共有化を推進し、透明性、信頼性の確保に努めます。
 
第4節 優れた環境を公平に享受できるしくみづくり
 
□広域ネットワーク形成の促進
 
目 標】
 市町や府県域を超えた広域ネットワークの形成を図るとともに、環境圏に着目した連携を進めます。
 
【主なとりくみ・施策】
 [県民]
○県民個人のとりくみを通じた府県境を越えた交流と連携を一層進めます。
 
 [事業者]
○事業活動などを通した広域的な交流や協力・連携活動を一層推進します。
 
 [行政]
○自治体、経済界、住民などによる府県境を越えた環境に関する広域的な交流と連携を一層促進します。
○瀬戸内海関係26府県市で構成する「瀬戸内海環境保全知事・市長会議」を通じて、生態系の保全・回復と沿岸域における失われた良好な環境の回復・創造のためのとりくみを広域的に進めていきます。
○国の「総合環境学習ゾーン・モデル事業」で指定された京滋・阪神ゾーンにおいて、各環境学習拠点と連携を図りながら、配備された環境学習用機材やコンピュータ情報ネットワークを活用して、環境に関する体験学習の推進を支援します。
○森の倶楽部や棚田のオーナー制度など環境との関わりを通じた地域を越えた交流を促進します。また、大阪湾全域で取り組まれている「なぎさ海道」のネットワークの輪を広げていきます。
○「関西エコスタイル・キャンペーン」など関西広域連携協議会において推奨される各種の環境施策に協力し、効果的に推進していきます。
○関西の産・官・学・市民からなる「地球環境関西フォーラム」において制定された「地球環境関西フォーラム行動憲章」や各種検討の上取りまとめられた研究成果等について、関係機関と連携しながら普及啓発を進めます。
○「京阪神6府県市自動車排出ガス対策協議会」において、窒素酸化物等の排出量の少ない自動車の普及及びディーゼル車対策を進めるなど、関係機関と協力・連携して自動車排出ガス対策を推進します。
○流域や山並み、海岸線のつながりなど、様々な自然環境的な共通性に着目して、「環 境圏」という考え方を浸透させ、国内外の同様の地域などとの交流・連携の促進を 図ります。
○「環境圏」という考え方に立って、環境面で関連性の高い区域に関して、住民の意見を踏まえ、必要に応じて圏域設定を行い、圏域内での環境関連施策の計画的な推進を図ります。
○沿岸域を含め河川下流側地域の上流域での森づくりへの協力など、山や川やまちなどを介した交流と連携を促進します。
○沿岸域の環境保全創造について、地域特性に応じて、様々な主体の参画と協働によるとりくみを進めるとともに、流域にも着目して、流域それぞれの地域相互の連携・協力を進めます。
 
□国際的な協力・支援の積極的展開
 
目 標】
 本県の技術・ノウハウなどの蓄積を活用して、環境技術をそれぞれの国・地域に対応させて発信し、国際的な協力・支援を積極的に行います
 
【主なとりくみ・施策】
 [県民]
○市民レベルの草の根の国際交流を進め、民間団体等が培ってきたノウハウ・技術を情報発信していきます。
 
 [事業者]
○海外における植樹・植林等の緑化技術、省エネ対策の技術移転等、国際協力に積極的に参画していきます。
○海外研修員の受け入れなどを通し、国際協力を推進していくとともに、海外における事業活動や貿易に関しては、環境に配慮した活動を進めます。
 
 [行政]
○瀬戸内工業地帯を中心とした公害を克服した経験や技術、さらには阪神・淡路大震災から学んだ「自然との共生」の大切さ、を積極的に国内外に伝えていくため、 @姉妹友好州省等との環境保全技術交流、A国際環境研究機関等との連携、B参画と協働による国際協力、の三つの柱に沿って国際環境協力を進めていきます。
 
○本県における公害・環境問題の調査分析・学術機能などを活かし、開発途上国における実態調査や解析あるいは環境教育などに貢献していきます。
○熱帯雨林の乱開発や近代工業の発展に伴う公害の発生など、多くの環境問題を抱えている東アジア地域の環境保全に関して、情報提供や人材育成その他について積極的に支援していきます。
○海外技術研修員受入制度による環境分野における研修生の受け入れを積極的に進めます。
 
○本県の姉妹友好州省である中国広東省との環境保全技術交流を引き続き進めるほか、ブラジル・パラナ州や中国海南省などのその他の友好州省等についても、現地でのシンポジウムやワークショップ(意見や技術の交換・紹介を行う研究会)の開催等を通じて、環境保全に関する技術や情報の交流を進めていきます。
○北東アジア地域連合(NEAR)環境分科会委員会における環境協力事業への参加など、国内府県等が共同して行う国際環境協力事業に協力するとともに、その体制作りを進めます。
 
○アジア太平洋地球変動研究ネットワーク(APN)センターの活動を人的・財政面から支援します。また、本県の地域環境課題の解決に資する地球環境に関する研究成果について、県民、事業者、関係機関等に情報提供していきます。
○産業と環境をメインテーマに研究を行う(財)地球環境戦略研究機関(IGES)関西研究センターの活動を支援し、その研究成果をアジア太平洋地域をはじめとする世界に向けて発信・普及していきます。
○(財)国際エメックスセンター等県内に立地する国際機関との連携を図りつつ、企業の参画を得ながら、国際的な環境研究・協力ネットワークの形成を進めます。
○世界閉鎖性海域環境保全会議(エメックス会議)の開催のほか、閉鎖性海域の環境保全に係る情報の国際ネットワークの構築・拡大、技術研修など、(財)国際エメックスセンターが行う閉鎖性海域の環境保全創造に関する国際的とりくみを支援します。
○国際協力事業団(JICA)による技術職員の派遣及び研修生の受け入れに協力します。
○国際協力事業団(JICA)等の国際機関を通じて本県研究機関の職員を派遣するなどして、本県が有する公害防止・環境保全技術を、開発途上国へ移転していきます。
○海外進出している企業に対し、進出先において適切な環境配慮を行い、積極的に相手国での環境保全に貢献するよう働きかけていきます。
○(財)淡路花博記念事業協会を通じ、「人と自然のコミュニケーション」の理念を世界に発信し、花と緑あふれるまちづくり、緑の地球環境の創造を進めます。
○県民、事業者、民間団体、市町による開発途上国への公害・環境問題での国際貢献を促進するため、(財)ひょうご環境創造協会や(財)兵庫県国際交流協会を通じ、必要な協力・支援を行います。
○国際環境研究機関との共同による国際シンポジウムの開催や海外における植林などの国際環境協力に取り組む民間団体の活動を支援するなど、専門家から県民レベルへと環境の保全と創造に関する国際交流の裾野を広げます。
 
□グリーンエネルギー*48の積極的導入
 
【目 標】
 太陽光発電などのグリーンエネルギーの導入を積極的に推進します
 
【主なとりくみ・施策】
 [県民]
○住宅に太陽光発電装置や太陽熱温水器等を設置するなど、化石燃料に過度に依存したエネルギー消費を改め、新エネルギーの積極的活用を図ります。
○エネルギー消費効率の高い機器の使用や省エネ行動により、日常生活の省エネを徹底します。
 
 [事業者]
○コージェネレーション・システム*49や廃熱回収システム、氷(水)蓄熱空調*50や未利用エネルギー回収などのヒートポンプシステムの導入によるエネルギーの高効率利用や太陽光発電等による新エネルギーの活用を通して化石燃料使用量の削減を図ります。
○工場や事業所等において、エネルギー管理の徹底や省エネ化を図ります。
 
 [行政]
○「ひょうごグリーンエネルギー推進プログラム」に基づき、県民、事業者、行政による太陽光発電、風力発電等の自然エネルギーの導入促進や、省エネ行動や省エネ機器の利用による省エネルギーを促進するためのとりくみ・施策を推進します。
○エネルギー問題や環境問題への理解を促進するため、自然エネルギーをはじめエネルギーの循環利用を体験できる宿泊型学習施設の設置を検討します。
○市町単位でのグリーンエネルギーの普及促進を図るため、市町の新エネルギー・省エネルギー導入に向けたとりくみを支援します。
○県民、事業者が、グリーンエネルギーの必要性を理解し、省エネ行動が身につけられるよう、グリーンエネルギーメッセの開催や地球温暖化防止活動推進員等によるきめ細かな普及啓発、情報提供を行います。
○県民の有志から資金を集め、太陽光発電等自然エネルギーを利用した県民発電所を建設する「ひょうごグリーンエネルギー基金*51」への支援を行います。
○県自ら太陽光発電等の導入を進めるとともに、各市町、事業者等から構成する「グリーンエネルギー導入促進会議」を通じ、市町の公共施設での導入促進を進めます。
○「グリーンエネルギー導入促進地域会議」をモデル地域で県民局に設置するとともに、県民の参画と協働によって地域ぐるみで広域的に実施する先進的な事業に対して支援し、地域での導入を促進します。
○本県に立地する太陽光発電メーカー等と連携しつつ、化石燃料に過度に依存したエネルギーシステムからの脱却をめざして、環境負荷の少ない新エネルギーの普及を図ります。
○廃食用油を回収・改質し、バイオ燃料(ディーゼル代替燃料)を製造する「淡路菜の花プロジェクト」、農山村地域での循環型社会の形成を図る「森のゼロエミッション*52構想」等のとりくみにより、バイオマス*53エネルギーの有効利用を推進します。
○モデル地域において、県民、事業者、行政等から構成する協議会を設置し、地域での省エネ対策の計画策定を行い、地域ぐるみの省エネルギー対策を推進します。
○「尼崎21世紀の森構想」の推進等、環境に配慮したまちづくりを推進し、グリーンエネルギーの導入を促進します。
 
□環境影響評価制度の適切な運用と新たな展開
 
目 標】
 県民、事業者、行政、民間団体などの社会的活動(開発工事、施設整備など)を環境の面から評価する制度を整備・拡充します
 
【主なとりくみ・施策】
 [県民]
○環境影響評価手続きに積極的に関与していきます。
 
 [事業者]
○環境影響評価法や環境影響評価に関する条例の対象とならない事業についても、積極的に環境保全上の配慮を行い、自主的な環境影響評価を行うことによって、事業活動を環境適合型社会の形成に支障がないものとしていきます。
 
 [行政]
○県民、事業者、行政の各主体の参画と協働という趣旨から、環境影響評価制度の運用においては、公正さ及び客観性が確保され、相互の信頼に基づき、情報公開も含め、手続が透明かつ民主的に行われるよう徹底します。
○大規模事業の計画立案段階においては、環境配慮の視点から事業計画の代替案の検討を行うとともに、環境影響評価を通して、環境への影響を軽減・緩和させるための手法(ミティゲーション*54)を活用するよう指導します。
○地域環境の状況や開発整備事業の変化に応じて、対象事業の拡充や制度の見直し等を行います。
○環境影響評価手続の実効性を高めるため、環境情報提供システム等環境影響評価 手続を支援するシステムを整備します。
○環境影響評価に関する図書の縦覧等については、住民がより情報を得やすい方法 を検討するとともに、住民等との参画と協働が進むようなしくみを検討します。
○より早い段階からの合意形成を図るため、個別の事業の上位にある 計画や施策の立案に際し、戦略的環境アセスメント*55を導入することにより、事業を実施しないことをも含め、複数の代替案を選択肢とする制度を充実させる方策を検討します。
 
□とりくみ・施策の展開に資する調査・研究、監視・観測の推進
 
目 標】
 県立施設での調査研究の充実を図るとともに、多様な機関との研究の連携を推進します
 
【主なとりくみ・施策】
 [行政]
○県立試験研究機関では、直接、研究・技術開発を行うだけではなく、大学や民間の研究所等の研究成果を地域に結びつけていくコーディネート機能や情報提供を中心とした行政サービス機関としての機能の強化を図ります。
○人、環境、生態系等を総合的に取り扱い、県民の安全・安心を科学的な観点から支えていくための研究を進めます。
○農林水産関係試験研究機関において、農林水産業が持つ環境浄化機能など農山漁村を取り巻く環境に関する研究を進めます。
○研究者等による直接の指導、わかりやすい形での成果の普及や最良技術(ベスト・アベイラブル・テクノロジー)導入の促進など、きめ細かな普及を行います。
○多様な主体が連携して環境に関する研究・開発を進める「コンソーシアム(連合、組合)」の形成など、産学官による研究・開発体制の整備を促進します。
○環境の保全と創造に関するとりくみ・施策を適切に実施するため、大気汚染状況の常時監視など環境の状態の監視・観測を推進します。また、環境への負荷の把握を推進します。
○各地で、県民、民間団体等が自発的に行っている各所調査学術研究などについて、支援を検討します。
 
□適切な環境保健対策、公害紛争処理の実施
 
目 標】
 環境保健対策を引き続き進めるとともに、公害苦情に対する対応を強化します
 
【主なとりくみ・施策】
 [行政]
○健康被害発生時の被害調査や保健指導などを適切に進めます。
○健康被害に関する救済制度の円滑な実施に努めます。 
○環境汚染と健康障害の因果関係等に関する調査研究を推進するとともに、医療関係者や県民への情報提供を進めます。
○公害に関する苦情に対し適切な対応を行うとともに、悪質な違反に対して厳正な対応を進めます。
○公害紛争について、公害審査会で迅速かつ適切な解決を図ります。