第3部 21世紀の兵庫がめざす環境の姿
 
第1節 目 標
 
 私たちは、“共生と循環の環境適合型社会”の実現をめざします。
 人と自然、人と社会、人と人との共生のきずなを強め、共生と循環の中で、地球的視野のもとに、人と環境が適正な調和を保つことにより、将来の世代や他の生物の生存を保障しつつ、持続的に発展することが可能な社会をめざします。
 そして、その際には、各主体が共に知恵と力を出し合い、支え合いながら、自らの権限と責任のもとに主体的に「参画」していくことが必要であり、その上で、各主体が対等なパートナーシップのもとに適切な役割分担をしながら、将来に向かって、共に汗を流しながら「協働」していくことが、何よりも重要です。
 
第2節 共生と循環の環境適合型社会の姿
 
1 環境の姿
 
  @ 心地よい陽の光・大気・水・土に包まれた健やかな環境
 
 存分に浴びることができる陽の光、どこでも胸一杯吸えるさわやかな大気、飲み水にすることもできる清らかな水、安心して食べられる農作物を育む豊潤な土壌、静かで心地よい音環境など、豊かな自然の恵みを享受できる健やかな環境を保全・創造し、健康で快適な環境に満ちた美しい地域環境の実現をめざします。
 
  A 多様な生き物が共生する豊かな自然環境
 
 近年、動植物や土壌など自然を構成するものが、複雑な相互関係で互いに支え合って「生態系」として存在していることへの理解が広がっています。私たち人間もその一員であることを認識し、生物多様性を踏まえた自然生態系を大切にし、共生していくことが求められています。
こうした中で、兵庫県の風土に根ざした多くの動植物と共に生きる豊かな自然環境の保全と回復をめざします。
 
  B 個性的な文化や景観に包まれた居住環境
 
 県下各地域において、これまでに形成・蓄積されてきた地域特性を活かすとともに、環境圏*20にも着目しながら、社会的ストック(蓄積)や歴史・文化・伝統などの地域性、花や緑、水辺などの四季ごとに変化する風土の豊かさが活かされた個性的な文化や景観に包まれた居住環境の創造をめざします。
 
2 社会の姿
 
  @ 地域間のみならず世代間の公平が確保されている社会
 
 各地域間・各主体間において、豊かな環境の恵みを公平に享受し、併せて適切な役割を分担するとともに、現世代で解決できないような著しい環境の破壊や負荷の排出を行わず、また、問題を将来世代に先送りしない社会をめざします。
 
  A 環境の保全と創造のしくみが盛り込まれた経済社会
 
 環境への負荷を削減するとともに、環境に配慮した製品やサービスを提供するなど、自らの産業活動の中に環境の保全と創造のしくみを盛り込んだ事業者が活躍する産業経済が定着し、また、事業活動に伴って必要となる環境コストが経済活動の中に内在化された社会をめざします。
 
  B 環境に負荷を与えない知恵や手立てを定着・発展・伝承する社会
 
 家庭・学校・職場における日常的な実践や学習・教育などを通じて、環境を保全し創造する新しいライフスタイルやビジネススタイルを支える知恵や手立てを発展させ、誇りを持って後世の子や孫たちに伝えられる社会をめざします。
 
3 人々の姿
 
  @ 共生と循環を基調とした暮らしを営む人々
 
 人々が、不必要な消費をやめ、資源を大切に使い、環境への負荷を最小限に抑え、社会のあらゆる分野にわたって健全な循環の営みを構築し、環境に配慮した暮らしを営んでいる姿をめざします。
 
  A より良い環境づくりに責任を持って取り組んでいる人々
 
 すべての主体が共通の目標を持ち、自らの責任のもと、参画し協働して、より良い環境づくりに率先して取り組んでいる姿をめざします。
 
  B 健康で文化的な生活を営んでいる人々
 
 豊かな環境の恵みの中で生きがいを持ち、健康で文化的な生活を営んでいる姿をめざします。