1 平成10年度光化学スモッグ広報等の発令回数
 
 平成10年度の光化学スモッグ広報等の通報及び発令は、予報4回、注意報4回であり、昨年度(予報1回、注意報2回)と比較して増加した。
 また、広報等の最初の通報及び発令は、6月12日、最後の通報及び発令は9月12日であり、平成3年度以来7年ぶりの9月の発令となった。
 なお、被害の届け出は、昭示53年度以降皆無である(表1及び表2)。
 
2 平成10年度の光化学スモッグの発現状況と気象
 
(1)期間を通じての特徴
 
 本年度の光化学スモッグの特徴としては、急激な濃度変化及び異常気象による高濃度となる時期のシフトが挙げられる。
 このため、例年最盛期である7月下旬から8月中旬の発令は1回のみとなっており残りの7回の発令は、例年は発令の少ない時期に集中した。
 また、予報→注意報という一般的な発令パターンが急激な濃度変化によりとりづらかった。
 気象状況としては、本年度は、近畿地方は6月2日に梅雨入りしたが、6月中旬には梅雨前線が山陰沿岸まで北上し、南から暖かい空気が入り込んだため、気温が上昇し、6月中旬に広報等を発令するに至った。
 しかしながら、梅雨期間が長く、平年より12日遅い7月31日に梅雨明けとなったため、7月にはオキシダント濃度はあまり上昇しなかった。
 また、台風第1号の発生は、7月9日であり、1951年以降最も遅い発生であった。
 8月の上中旬は、気温は平年よりやや高めに推移したが、曇りや雨の日が多く、風も比較的強かったため、オキシダント濃度はあまり上昇しなかった。
 8月の下旬に、移動性高気圧に覆われ、風の弱い日があったため、一部の地域でオキシダント濃度が上昇し、8月22日には広報等を発令するに至った。
 9月の前半は移動性高気圧に覆われ、気温が上昇し、オキシダント濃度も上昇したため、9月12日に注意報を発令するに至った。
 
(2)月別の経過
 
5月
 上旬は、低気圧や前線の影響で曇や雨の日が多かった。
 中旬は低気圧と高気圧が交互に通過し、天気は周期的に変化した。
 下旬の後半には、移動性高気圧に覆われる日が多く一部の地域でオキシダント濃度が上昇したが、発令には至らなかった。
 
6月
 上旬は、本州南海上の前線が明療となり、近畿地方は2日に梅雨入りした。
 中旬には、梅雨前線が山陰沿岸まで北上し、南から暖かい空気が入り込んだため、気温が高くなり、オキシダント濃度も上昇したため、広報等を発令するに至った。
 下旬は梅雨前線が西日本に停滞し、雨の日が多かったため、オキシダント濃度はあまり上昇しなかった。
 
7月
 上旬は大平洋高気圧の勢力が強まり、晴れの日が多く気温も上昇したため、一部の地
域でオキシダント濃度が上昇し、広報等を発令するに至った。
 中旬は、上空に寒気が入り、前線の活動が活発となり、雨の日が多かった。
 下旬の初め、西日本では大平洋高気圧から南東風が入り、気温が上昇したため、オキシダント濃度が上昇し、広報等を発令するに至った。
 
8月
 上旬は、日本海を前線を伴った低気圧が次々と通過したため雨天の日が多かった。
 中旬は梅雨前線が山陰沿岸に停滞したが、大平洋側は大平洋高気圧に覆われれ、晴れの日が多く、気温も上昇したが、前線に吹き込む南風が強く、大気汚染物質の拡散が進ん だため、オキシダント濃度はあまり上昇しなかった。
 下旬は移動性高気圧に覆われ、日中は風も弱かったため、阪神開から東播磨地域の広範囲に亘ってオキシダント濃度が上昇し、22日に広報等を発令するに至った。
 
9月
 上旬は、移動性高気圧に覆われる日が多く、各地でオキシダント濃度がやや上昇したが、広報等の発令には至らなかった。
 中旬の12日は、北から張り出す高気圧に覆われたが、昼前から南風が入り、気温が急激に高くなったため、オキシダント濃度が上昇し、注意報を兎令するに至った。
 下旬は、台風や前線の影響で雨の日が多く、オキシダント濃度はあまり上昇しなかった。
 
10月
 上旬の初めは低気圧が北日本を通過したため、西日本は曇りがちの日が多かったが、その後は移動性高気圧に覆われ、療れの日が続いた。
 中旬の中頃からは低気圧や台風の影響で雨の日が多かった。
 下旬は、移動性高気圧と低気圧が交互に通過し、天気は周期的に変化した。
 月間を通して気温は平年よりやや高かったが、日滑時間が少なかったため、オキシダント濃度は全体的に低濃度であった。