兵庫県における平成16年度PRTRデータの概要


 「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律(化学物質排出把握管理促進法:PRTR法)」に基づき「PRTR制度(化学物質排出移動量届出制度)」が導入され、人の健康や動植物に対し有害性のある354種類の化学物質(第1種指定化学物質)について、事業者は毎年度、環境への排出量や廃棄物としての移動量を把握し、届出を行うこととなっています。
 この制度に基づく4回目の届出となる平成16年度の排出量・移動量データについて、兵庫県における届出排出量・移動量の状況、および、届出対象外(対象業種の届出対象外事業所からの排出量、非対象業種の事業所からの排出量、家庭からの排出量、自動車など移動体からの排出量)排出量の状況をとりまとめました。
 その結果は、以下のとおりでした。

1. 排出・移動量の届出状況

 兵庫県内の届出対象事業者が把握した平成16年度における化学物質の排出量・移動量について、平成17年4月1日〜6月30日の間に、1,845事業所から届出がありました。これは、全国の届出事業所数40,341事業所の4.6%にあたり、都道府県別には愛知県、北海道、大阪府に次いで全国第4位の届出事業所数となっています。
 兵庫県における業種別及び地域別の届出状況は、次のとおりでした。

(1)業種別届出件数

 業種別の届出事業所数は、表1のとおりであり、燃料小売業が767事業所と最も多く全体の41.6%を占めており、ついで化学工業159事業所、自動車整備業123事業所などとなっています。

表1 業種別の届出事業所数
業種名 事業所数 構成比 業種名 事業所数 構成比
500 金属鉱業 3 0.2% 3100 輸送用機械器具製造業 32 1.7%
1200 食料品製造業 14 0.8% 3200 精密機械器具製造業 7 0.4%
1300 飲料・たばこ・飼料製造業 8 0.4% 3400 その他の製造業 32 1.7%
1400 繊維工業 11 0.6% 3500 電気業 6 0.3%
1500 衣服・その他の繊維製品製造業 4 0.2% 3830 下水道業 114 6.2%
1600 木材・木製品製造業 10 0.5% 3900 鉄道業 3 0.2%
1700 家具・装備品製造業 4 0.2% 4400 倉庫業 8 0.4%
1800 パルプ・紙・紙加工品製造業 19 1.0% 5132 石油卸売業 5 0.3%
1900 出版・印刷・同関連産業 14 0.8% 5220 自動車卸売業 17 0.9%
2000 化学工業 159 8.6% 5930 燃料小売業 767 41.6%
2100 石油製品・石炭製品製造業 12 0.7% 7210 洗濯業 5 0.3%
2200 プラスチック製品製造業 30 1.6% 7700 自動車整備業 123 6.7%
2300 ゴム製品製造業 15 0.8% 7810 機械修理業 1 0.1%
2400 なめし革・同製品・毛皮製造業 7 0.4% 8620 商品検査業 1 0.1%
2500 窯業・土石製品製造業 27 1.5% 8630 計量証明業 5 0.3%
2600 鉄鋼業 28 1.5% 8716 一般廃棄物処理業(ごみ処分業に限る) 59 3.2%
2700 非鉄金属製造業 40 2.2% 8722 産業廃棄物処分業 15 0.8%
2800 金属製品製造業 96 5.2% 9140 高等教育機関 2 0.1%
2900 一般機械器具製造業 41 2.2% 9210 自然科学研究所 6 0.3%
3000 電気機械器具製造業 95 5.1% 合計 1,845 100.0%


(2)地域別届出件数

 届出のあった1,845事業所の地域別事業所数は表2のとおりであり、神戸地域が341事業所と最も多く、ついで中播磨地域の263事業所、東播磨地域の231事業所などとなっています。

図1 地域別の届出事業所数の構成

表2 地域別の届出事業所数
地域 事業所数 構成比
神戸 341 18.5%
阪神南 241 13.1%
阪神北 183 9.9%
東播磨 231 12.5%
北播磨 164 8.9%
中播磨 263 14.3%
西播磨 153 8.3%
但馬 148 8.0%
丹波 82 4.4%
淡路 39 2.1%
合計 1,845 100.0%


2. 集計結果の概要


(1)届出排出量・移動量の集計結果

1) 県内事業所の全物質の届出排出量・移動量

 県内1,845事業所から届出のあった化学物質の総排出量は10,391トン、総移動量は14,966トンとなっています。排出量と移動量の合計は、25,356トンであり、これは全国値499,504トンの5.08%にあたり、都道府県別には愛知県、静岡県、山口県に次いで全国第4位となっています。
 排出・移動先別にみると、表3のとおり排出量・移動量のうち、廃棄物としての事業所外への移動量が全体の58.7%と最も多く、ついで大気への排出量が34.9%などとなっています。全国の割合と比べ兵庫県は、廃棄物としての事業所外への移動量の占める割合が多くなっています。

図2 届出排出量・移動量の構成

表3 排出・移動先別の排出・移動量
排出・移動区分 排出・移動量
(トン)
構成比 全国の割合
総排出量 10,391 41.0% 54.0%
大気への排出 8,859 34.9% 46.6%
公共用水域への排出 485 1.9 % 2.3%
土壌への排出 1 0.0 % 0.0%
埋立処分 1,046 4.1% 4.9%
総移動量 14,966 59.0% 46.0%
下水道への移動 70 0.3% 45.4%
事業所外への移動 14,896 58.7% 0.6%
排出量・移動量合計 25,356 100.0% 100.0%

                          * 端数処理のため合計が一致しないことがある。以下の各表について同じ。

2) 業種別の届出排出量

 業種別の届出排出量は表4のとおりであり、化学工業が1,913トンと最も多く全体の18.4%を占めており、ついで鉄鋼業の1,367トン、一般機械器具製造業の1,120トンなどとなっています。

図3 届出排出量上位10業種

表4 業種別・排出先別排出量
業種 排出量(トン)
大気 公水 土壌 埋立 合計 構成比
金属鉱業 0 0 0 1 1 0.0%
食料品製造業 112 2 0 0 113 1.1%
飲料・たばこ・飼料製造業 0 0 0 0 0 0.0%
繊維工業 18 6 0 0 24 0.2%
衣服・その他の繊維製品製造業 15 0 0 0 15 0.1%
木材・木製品製造業 31 0 0 0 31 0.3%
家具・装備品製造業 17 0 0 0 17 0.2%
パルプ・紙・紙加工品製造業 269 0 0 0 269 2.6%
出版・印刷・同関連産業 521 0 0 0 521 5.0%
化学工業 1,566 56 1 291 1,913 18.4%
石油製品・石炭製品製造業 28 0 0 0 28 0.3%
プラスチック製品製造業 729 0 0 0 729 7.0%
ゴム製品製造業 988 0 0 0 988 9.5%
なめし革・同製品・毛皮製造業 116 0 0 0 116 1.1%
窯業・土石製品製造業 242 0 0 0 242 2.3%
鉄鋼業 614 80 0 673 1,367 13.2%
非鉄金属製造業 67 17 0 1 85 0.8%
金属製品製造業 925 4 0 0 929 8.9%
一般機械器具製造業 1,039 0 0 81 1,120 10.8%
電気機械器具製造業 540 7 0 0 547 5.3%
輸送用機械器具製造業 709 2 0 0 711 6.8%
精密機械器具製造業 1 0 0 0 1 0.0%
その他の製造業 79 0 0 0 79 0.8%
電気業 4 0 0 0 4 0.0%
下水道業 0 286 0 0 286 2.8%
鉄道業 11 0 0 0 11 0.1%
倉庫業 92 0 0 0 92 0.9%
石油卸売業 16 0 0 0 16 0.2%
自動車卸売業 0 0 0 0 0 0.0%
燃料小売業 56 0 0 0 56 0.5%
洗濯業 22 0 0 0 22 0.2%
自動車整備業 23 0 0 0 23 0.2%
機械修理業 6 0 0 0 6 0.1%
商品検査業 3 0 0 0 3 0.0%
計量証明業 1 0 0 0 1 0.0%
一般廃棄物処理業 0 25 0 0 25 0.2%
産業廃棄物処分業 0 0 0 0 0 0.0%
高等教育機関 0 0 0 0 0 0.0%
自然科学研究所 0 0 0 0 0 0.0%
全業種 8,859 485 1 1,046 10,391 100.0%


3) 届出排出量の多い物質

 届出排出量の上位10物質とその量は表5のとおりであり、合成原料や溶剤として用いられるトルエンが3,705トンと最も多く、次いで、キシレン1,664トン、金属洗浄剤として用いられる塩化メチレン1,227トンなどの順となっています。

図4 届出排出量上位10物質

表5 排出量上位10物質とその量
物質番号 物質名 全県排出量 全国排出量 全国比
(トン) トン)
227 トルエン 3,705 109,719 3.4%
63 キシレン 1,664 46,664 3.6%
145 ジクロロメタン(別名塩化メチレン) 1,227 22,057 5.6%
311 マンガン及びその化合物 689 8,592 8.0%
283 ふっ化水素及びその水溶性塩 495 3,282 15.1%
40 エチルベンゼン 458 13,722 3.3%
96 クロロメタン(別名塩化メチル) 351 3,417 10.3%
211 トリクロロエチレン 172 4,997 3.4%
177 スチレン 152 3,450 4.4%
304 ほう素及びその化合物 144 3,085 4.7%
上記以外の対象化学物質 1,333 50,572 2.6%
合計 10,391 269,558 3.9%


4) 地域別の届出排出量

 地域別の排出量をみると、産業の集積している地域の排出量が多く、表6に示すとおり、東播磨地域が2,566トンと最も多く全体の24.7%を占めており、次いで中播磨地域が2,035トン、神戸地域1,890トンの順になっています。

図5 トルエンの市町別届出排出量の分布

図6 地域別の届出排出量の構成

表6 地域別の届出排出量
地域区分 大気
トン)
公共用水域
トン)
土壌
トン)
埋立
トン)
排出量合計
トン)
構成比
神戸 1,483 116 0 291 1,890 18.2%
阪神南 1,125 136 0 0 1,260 12.1%
阪神北 403 0 0 0 403 3.9%
東播磨 2,476 90 0 0 2,566 24.7%
北播磨 783 12 0 0 794 7.6%
中播磨 1,268 94 0 673 2,035 19.6%
西播磨 938 28 1 81 1,048 10.1%
但馬 224 6 0 1 231 2.2%
丹波 118 3 0 0 121 1.2%
淡路 41 1 0 0 42 0.4%
合計 8,859 485 1 1,046 10,391 100.0%


5) 排出先・移動先別の物質別排出・移動量

 排出先別の届出排出量上位10物質とその量は表7のとおりであり、大気への排出物質ではトルエンが3,703トンと最も多く大気への排出量の41.8%を占めており、公共用水域への排出ではふっ化水素及びその水溶性塩が203トンと最も多く41.9%を占めています。

表7 排出先別の物質別(上位10物質+その他)排出量及び構成比
排出区分
(媒体)
対象化学物質 当該媒体における排出量(トン) 構成比
物質番号 物質名
大気 227 トルエン 3,703 41.8%
63 キシレン 1,664 18.8%
145 ジクロロメタン(別名塩化メチレン) 1,226 13.8%
40 エチルベンゼン 458 5.2%
96 クロロメタン(別名塩化メチル) 351 4.0%
211 トリクロロエチレン 172 1.9%
177 スチレン 152 1.7%
241 二硫化炭素 110 1.2%
43 エチレングリコール 104 1.2%
200 テトラクロロエチレン 92 1.0%
上記以外の対象化学物質 826 9.3%
合計 8,859 100.0%
公共用水域 283 ふっ化水素及びその水溶性塩 203 41.9%
304 ほう素及びその化合物 142 29.3%
1 亜鉛の水溶性化合物 38 7.9%
311 マンガン及びその化合物 28 5.8%
65 グリオキサール 14 2.9%
43 エチレングリコール 6 1.3%
307 ポリ(オキシエチレン)=アルキルエーテル(アルキル基の炭素数が12から15までのもの及びその混合物に限る。) 5 1.1%
232 ニッケル化合物 5 1.1%
346 モリブデン及びその化合物 5 1.0%
68 クロム及び3価クロム化合物 5 1.0%
上記以外の対象化学物質 33 6.7%
合計 485 100.0%
土壌 145 ジクロロメタン(別名塩化メチレン) 1 92.3%
270 フタル酸ジ−n−ブチル 0 6.2%
230 鉛及びその化合物 0 1.2%
68 クロム及び3価クロム化合物 0 0.3%
上記以外の対象化学物質 0 0.0%
合計 1 100.0%
埋立 311 マンガン及びその化合物 660 63.1%
283 ふっ化水素及びその水溶性塩 290 27.7%
68 クロム及び3価クロム化合物 94 9.0%
1 亜鉛の水溶性化合物 1 0.1%
25 アンチモン及びその化合物 0 0.0%
252 砒素及びその無機化合物 0 0.0%
60 カドミウム及びその化合物 0 0.0%
230 鉛及びその化合物 0 0.0%
346 モリブデン及びその化合物 0 0.0%
231 ニッケル 0 0.0%
上記以外の対象化学物質 0 0.0%
合計 1,046 100.0%
総計 10,391 -


 また、移動先別の届出移動量上位10物質とその量は表8のとおりであり、廃棄物としての事業所外への移動では、トルエンが3,781トンと最も多く事業所外への移動のうち25.4%を占め、下水道への移動ではエチレングリコールが17トンと最も多く24.7%を占めています。

表8 移動先別の物質別(上位10物質+その他)排出量及び構成比
移動区分
(媒体)
対象化学物質 当該媒体における移動量(トン) 構成比
物質番号 物質名
廃棄物 227 トルエン 3,781 25.4%
311 マンガン及びその化合物 1,329 8.9%
230 鉛及びその化合物 971 6.5%
1 亜鉛の水溶性化合物 873 5.9%
63 キシレン 820 5.5%
172 N,N−ジメチルホルムアミド 717 4.8%
68 クロム及び3価クロム化合物 586 3.9%
95 クロロホルム 566 3.8%
283 ふっ化水素及びその水溶性塩 479 3.2%
145 ジクロロメタン(別名塩化メチレン) 405 2.7%
上記以外の対象化学物質 4,370 29.3%
合計 14,896 100.0%
下水道 43 エチレングリコール 17 24.7%
68 クロム及び3価クロム化合物 10 14.2%
309 ポリ(オキシエチレン)=ノニルフェニルエーテル 9 13.1%
283 ふっ化水素及びその水溶性塩 6 8.3%
243 バリウム及びその水溶性化合物 5 7.6%
307 ポリ(オキシエチレン)=アルキルエーテル(アルキル基の炭素数が12から15までのもの及びその混合物に限る。) 3 4.8%
44 エチレングリコールモノエチルエーテル 3 4.5%
139 o−ジクロロベンゼン 3 4.2%
304 ほう素及びその化合物 2 2.9%
99 五酸化バナジウム 2 2.9%
上記以外の対象化学物質 9 12.8%
合計 70 100.0%
総計 14,966 -


6) 過年度のデータとの比較

 平成15年度データからは、法施行後2年間の猶予期間が終了し、届出の対象となる事業所の化学物質取扱量がそれまでの年間5トン以上から年間1トン以上に引き下げられ、表9のとおり届出事業所数は、平成14年度の1,541事業所から、平成15年度は1、862事業所に20.8%増加しました。
 平成16年度の届出事業所数は1,845事業所であり、平成15年度に比べて0.9%減少するとともに、排出量では10,391トンと前年に比べ約4.9%、移動量では14,966トンと前年と比べ約5.6%の減少となっています。 なお、全国の状況においても、平成16年度の届出事業所数は40,341事業所で、前年度の41,075事業所と比べ約700事業所減少し、届出排出量では291千トンから270千トンに、届出移動量では235千トンから230千トンへ、いずれも減少しています。

表9 各年度のデータの比較
排出年度 平成13年度 平成14年度 平成15年度 平成16年度
事業所数 1,515 1,541 1,862 1,845
排出量
トン)
大気 10,008 9,645 9,682 8,859
公共用水域 396 420 503 485
土壌 0 0 0 1
埋立 1,817 1,416 742 1,046
排出量合計 12,221 11,481 10,927 10,391
移動量
トン)
下水道 121 73 106 70
廃棄物 17,260 15,306 15,745 14,896
移動量合計 17,382 15,380 15,850 14,966
排出量・移動量合計トン) 29,603 26,861 26,777 25,356

                 *過年度のデータは、公表後の修正を反映させたものである。

(2)届出外排出量の集計結果

1) 兵庫県における届出外排出量

 表10のとおり、排出量・移動量の届出の対象とはならない事業所、家庭、移動体など届出対象外の発生源からの平成16年度の化学物質の排出量(届出外排出量)を国において推計した結果は、10,699トンでした。
届出対象の事業所からの排出量と届出外排出量の合計は、21,090トンであり、届出排出量が全体の49.3%、届出外排出量が全体の50.7%となっています。
 届出外排出量のうち最も排出量が多いのは、移動体(自動車等)からの排出で、4,769トンと全体の排出量の22.6%を占めているほか、家庭からの排出が8.1%となっています。
 届出と届出外の合計の排出量は、全国の3.36%を占めており、都道府県別には全国第12位となっています。また、全国の状況と比べ、兵庫県は、届出排出量と移動体からの排出量の割合が多くなっています。

図7 届出排出量・届出外排出量の構成

表10 届出・届出外排出量の区分と排出量
区分 排出量(トン) 構成比 全国の割合
届出排出量(集計値) 10,391 49.3% 43.0%
届出外排出量(推計値) 対象業種を営む事業者 2,202 10.4% 9.9%
非対象業種を営む事業者 2,016 9.6% 17.1%
家庭 1,713 8.1% 9.6%
移動体 4,769 22.6% 20.5%
小計 10,699 50.7% 57.0%
排出量合計 21,090 100.0% 100.0%


(ア)  届出対象外の事業所からの排出量

 届出対象外の事業所からの排出量上位10物質は表11に示すとおりであり、キシレンが1,174トンと最も多く、ついでトルエン1,103トン、エチルベンゼン301トンなどの順となっています。

表11 届出対象外事業所からの排出量上位10物質とその量
物質番号 物質名(上位10物質) 排出量(トン) 構成比
63 キシレン 1,174 27.8%
227 トルエン 1,103 26.2%
40 エチルベンゼン 301 7.1%
132 1,1−ジクロロ−1−フルオロエタン(別名HCFC―141b) 240 5.7%
85 クロロジフルオロメタン(別名HCFC―22) 232 5.5%
145 ジクロロメタン(別名塩化メチレン) 115 2.7%
288 ブロモメタン(別名臭化メチル) 112 2.7%
43 エチレングリコール 99 2.3%
211 トリクロロエチレン 45 1.1%
200 テトラクロロエチレン 45 1.1%
上記以外の対象化学物質 752 17.8%
合計 4,218 100.0%

(イ)  家庭からの排出量

 家庭から排出される化学物質の上位10物質は表12のとおりであり、防虫剤として用いられるp-ジクロロベンゼン、合成洗剤などとして用いられる直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリ(オキシエチレン)=アルキルエーテルの順となっています。

表12 家庭からの排出量上位10物質とその量
物質番号 物質名(上位10物質) 排出量(トン) 構成比
140 p−ジクロロベンゼン 785 45.8%
24 直鎖アルキルベンゼンスルホン酸及びその塩(アルキル基の炭素数が10から14までのもの及びその混合物に限る。) 308 18.0%
307 ポリ(オキシエチレン)=アルキルエーテル(アルキル基の炭素数が12から15までのもの及びその混合物に限る。) 273 15.9%
63 キシレン 51 3.0%
132 1,1−ジクロロ−1−フルオロエタン(別名HCFC―141b) 43 2.5%
28 イソプレン 33 1.9%
40 エチルベンゼン 28 1.6%
227 トルエン 23 1.3%
166 N,N−ジメチルドデシルアミン=N−オキシド 23 1.3%
84 1−クロロ−1,1−ジフルオロエタン(別名HCFC―142b) 22 1.3%
上記以外の対象化学物質 124 7.2%
合計 1,713 100.0%

(ウ)  移動体からの排出量

 自動車など移動体からの排出される化学物質の上位10物質は表13のとおりであり、ガソリン成分であるトルエン、キシレン、ベンゼンなどや、ガソリンの燃焼により発生するホルムアルデヒド、アセトアルデヒドなどの排出が多くなっています。

表13 移動体からの排出量上位10物質とその量
物質番号 物質名(上位10物質) 排出量(トン) 構成比
227 トルエン 1,674 35.1%
63 キシレン 994 20.8%
310 ホルムアルデヒド 581 12.2%
299 ベンゼン 524 11.0%
40 エチルベンゼン 274 5.7%
11 アセトアルデヒド 234 4.9%
268 1,3−ブタジエン 191 4.0%
224 1,3,5−トリメチルベンゼン 122 2.6%
177 スチレン 96 2.0%
298 ベンズアルデヒド 35 0.7%
上記以外の対象化学物質 44 0.9%
合計 4,769 100.0%

2) 届出排出量と届出外排出量の合計の多い物質

 届出排出量と届出外排出量の合計の排出量の上位10物質とその量については表14のとおりとなっています。 溶剤・合成原料として用いられる他、自動車などの排ガス、接着剤・塗料などに含まれる物質である、トルエン(6,505トン)やキシレン(3,883トン)の排出が最も多く、ついで金属洗浄に用いられる塩化メチレン(1,342トン)の排出が多くなっています。 また、トルエン、塩化メチレンは届出事業所からの排出の割合が多く、自動車からの排出が多いホルムアルデヒド、ベンゼンは届出外からの排出の割合が多くなっています。防虫剤等として用いられるp-ジクロロベンゼンは、届出外の排出がほとんどを占めています。

図8 届出排出量と届出外排出量の合計の上位10物質

表14 届出排出量と届出外排出量の合計の上位10物質とその量
物質名 届出排出量
トン)
届出外排出量
トン)
合計トン) 構成比
227 トルエン 3,705 2,800 6,505 30.8%
63 キシレン 1,664 2,219 3,883 18.4%
145 ジクロロメタン(別名塩化メチレン) 1,227 115 1,342 6.4%
40 エチルベンゼン 458 603 1,061 5.0%
140 p−ジクロロベンゼン 0 785 785 3.7%
311 マンガン及びその化合物 689 13 702 3.3%
299 ベンゼン 63 556 619 2.9%
310 ホルムアルデヒド 4 608 612 2.9%
283 ふっ化水素及びその水溶性塩 495 11 506 2.4%
96 クロロメタン(別名塩化メチル) 351 0 351 1.7%
全物質 10,391 10,699 21,090 100.0%