平成13年度PRTRデ−タ集計結果の概要について
 
平成15年3月28日
 
兵庫県県民生活部環境局環境情報センタ−
   
【概 要】
 
 平成13年4月から平成14年3月までの排出量・移動量について、化学物質排出把握管理促進法(以下PRTR法という)に基づく事業者による初めての届出が平成14年4月から7月1日までの間に実施された。
 平成15年3月6日付けで当該届出事項及び届出外排出量デ−タの集計結果について、PRTR法第8条第2項及び第4項の規定に基づいて経済産業大臣及び環境大臣から兵庫県の区域に係る関係デ−タについて通知があった。
 国の集計・公表が3月20日に行われたことを受け、本県では、同条第5項の規定に基づいて通知のあったデ−タについて集計したのでその結果を公表する。
 概要は、以下のとおり。
 
1.背景
 
(1)PRTR(Pollutant Release and Transfer Register)について
 PRTRは、人の健康や生態系に有害なおそれのある化学物質について、その環境中への排出量及び廃棄物に含まれて事業所の外に移動する量を事業者が自ら把握し、行政庁に報告し、行政庁は事業者からの報告や統計資料等を用いた推計に基づき、排出量・移動量を集計・公表する仕組みです。
 PRTRには、以下のような多面的な意義が期待されている。
@環境保全上の基礎データ
A行政による化学物質対策の優先度決定の際の判断材料
B事業者による化学物質の自主的な管理の改善の促進
C国民への情報提供を通じての、化学物質の排出状況・管理状況に係る理解の増進
D化学物質に係る環境保全対策の効果・進捗状況の把握
 
(2)経緯
 PRTRは、既に、米国、オランダ等の欧米諸国において制度化されており、1996年(平成8年)2月には、OECD(経済協力開発機構)が加盟国に制度化を勧告した。
 この勧告を受け、我が国では平成11年7月「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律」(PRTR法)が制定された。
本法の規定に基づいて事業者による初めての届出が平成14年4月から7月1日までの間に実施されるとともに、これらの届出デ−タ等が国により集計され、このたび第1回の公表が行われた。
 また、この公表を受け、個別事業所の届出デ−タ等についてどなたでも主務大臣に開示請求することができる。(ただし手数料が必要。)
 
2.平成14年度PRTR集計・公表の仕組みとその構造
 
(1)集計・公表の仕組み
 
@届出デ−タ(点源)
 経済産業省及び環境省は共同で、届出された情報を電子ファイル化し、物質ごとに、業種別、地域別等に集計・公表し、事業所管大臣及び都道府県知事に通知されてきたもの。
 
A届出対象外デ−タ(非点源)
 経済産業省及び環境省は共同で、本法の届出義務対象外の排出源(家庭、農地、自動車等)等からの排出量を推計して集計し、@と併せて公表されたもの。
   ・届出外排出量の推計
     □対象業種を営む事業者からの排出量のうち届出がなされていないもの
       ▽従業員20人以下の事業所                 
       ▽年間取扱量が1d未満(当初2年間は5d未満)の事業所   
     □対象業種以外の業種のみを営む事業者からの排出量        
       ▽農薬、接着剤、塗料、洗浄剤、医薬品、漁網防汚剤      
     □家庭からの排出量                       
       ▽農薬、接着剤、塗料、洗浄剤、化粧品、防虫剤、消臭剤    
     □移動体(自動車、船舶、鉄道、航空機)からの排出量
  
(2)「排出量」の構造と分類
 
3.集計結果の概要
  
(1)届出デ−タについて
 
@届出出事業所数
 対象事業所から平成13年度の第1種指定化学物質の排出量及び移動量の届出を届出期間である平成14年4月1日から7月1日までの間、PRTR法第5条に基づい て受理を行った。届出の区分別及び数は表−1に示すとおり。
  
 表−1に示すとおり、兵庫県で受理した届出件数は1,515件にのぼった。  全国では34,830件受理されており、兵庫県は4.3%を占めている。なお各都道府県別の届出数は上記参考図のとおりで、1位は愛知県の2,150件で本県は、静岡県についで全国6位となっている。
 
A事業所業種別の届出事業所
 届出があった事業所を業種別で見ると最も多かったのが燃料小売業で715件、以下、化学工業、下水道業、金属製品製造業、一般廃棄物処理業、電気機械器具製造業の順となっていた。
 
B事業所規模別(従業員数)の届出物質数及び1事業所あたりの平均届出物質数
 事業所規模別(従業員数)の届出物質数及び1事業所あたりの平均届出物質数をとりまとめたのが、表−2、図−1である。
 対象化学物質の平均届出物質数で見ると、0〜20人の事業所が6.7と最も多く、ついで501人以上の事業所の6.2となっていた。
 全対象事業所の届出物質数の平均は、6.1であった。
 これは主として少人数で事業が行われ、また平均4〜5物質の届出がある燃料小売業の届出が多かったこと、一方報告物質数が多いにもかかわらず、事業所の管理運営が少人数で行われている下水道業や廃棄物処理業ので報告物質数が多かったためと考えられる。
 届出物質の種類でみると従業員数21〜100人の事業所で144物質の届出が、続いて従業員数201人〜500人の事業所が129物質となっていた。
 
 
図−1 事業所規模別の1事業所当たりの平均届出物質数
 
C物質別とりまとめ
 
ア 県全体の物質別(排出量上位10物質+その他)の排出量とその全国順位及び全国比
 対象事業所から届出のあった県全体の総排出量は、12,547トンであった。
 これは、国がまとめた総排出量313,733トンの4.00%であった。
 そのなかから物質別に排出量上位10物質の排出量をまとめたのが、図−2である。
 汎用化学物質であるトルエン、キシレンが1位、2位を占めていた。これは国が集計・公表した結果と同じ傾向を示していた。
 以下、マンガン及びその化合物、塩化メチレン、フッ化水素及びその水溶性塩、エチルベンゼンと続いていた。
  
図−2 県全体の物質別(排出量上位10物質+その他)の排出量
 兵庫県下で排出された上記の排出量上位10物質が全国的にどのレベルにあるかをみるため、その全国順位及び全国比を整理したのが、表−3である。
 ふっ化水素及びその水溶性塩及びクロム及び3価クロム化合物が全国順位1位で、それぞれ、全国の13.44%、35.26%を占めていた。
 また、マンガン及びその化合物の兵庫県の排出量は、全国の排出量として2位で、全国比でみると26.86%となっていた。
 これらの排出は、県下に電炉メ−カ−、機械器具製造業が多く立地しているこ とに起因しているものと推測された。
 一方、排出量の最も多かったトルエン、第2位のキシレンを全国的にみるとそれぞれ7位、13位で、全国的な割合でみてもそれぞれ3.57%、3.07%であった。
 
イ 県全体の物質別(移動量上位10物質+その他)の移動量とその全国順位及び全国比
 対象事業所から届出のあった県全体の総移動量は、17,441トンであった。
これは、国がまとめた総移動量223,280トンの7.81%であった。
 そのなかから物質別に移動量上位10物質の移動量をまとめたのが、図−3である。
 汎用化学物質であるトルエンが1位を占めていたが、排出量で2位となっていたキシレンは5位となっていた。代わって2位となったのはマンガン及びその化合物であった。
 
図−3 県全体の物質別(移動量上位10物質+その他)の移動量
 兵庫県下で移動された上記の移動量上位10物質が全国的にどのレベルにあるかをみるため、その全国順位及び全国比を整理したのが、表−4である。
 亜鉛の水溶性化合物、ふっ化水素及びその水溶性塩が全国順位1位となっていた。また、トルエン、N,N−ジメチルホルムアミドが2位となっていた。そのほかの物質も3位、4位と上位を占めていた。
C排出先及び移動先別とりまとめ
 
ア 排出先・移動先別の届出物質数及び延べ届出件数
 
 届出物質数及び届出件数を排出先別、移動先別にとりまとめたのが、表−5、図−4、図−5である。
 354の対象化学物質中、排出ありと届出があった届出物質数は130物質、延べで5,152物質であった。他方移動ありとの届出があった物質は、156物質、延べ1,550物質であった。
 排出先、移動先別でみると「大気への排出」と「廃棄物に含まれての移動」が届出物質数(対象化学物質の種類の数)及び延べ届出件数とも多く、次いで「公共用水域への排出」や「公共下水道への移動」となっていた。
 
図−4 排出先・移動先別の届出物質数
 
図−5 排出先・移動先別の延べ届出件数
イ 排出先別の排出量と排出先別の物質別(上位10物質+その他)構成比
 排出先別に総量を取りまとめたのが表−6である。排出先別にみると大気への排出が量的に最も多く、以下公共用水域、埋立、土壌への順となっていた。
 各排出先について、排出量の上位10物質と、当該排出先における排出量の集計結果等を表−7にとりまとめた。各排出先についての排出量は、上位10物質 の合計で全体の約90〜100%を占めていた。
 また、排出先によって上位10物質の種類も相当に異なっていた。大気へは有 機化学物質が、埋立では金属化合物が上位を占めていた。このような差は、対象化学物質ごとの物性や使われ方の差が反映しているものと考えられた。
ウ 移動先別の物質別移動量と移動先別の物質別(上位10物質+その他)構成比
 移動先別に総量を取りまとめたのが表−8である。移動先別にみると廃棄物が下水道に比較して2桁のオ−ダ−で多かった。
 各移動先について、移動量の上位10物質と、当該移動先における移動量の集計結果等を表−9にとりまとめた。各移動先についての移動量は、廃棄物で約75%を占め、下水道では約90%を占めていた。
 また、移動先によって上位10物質の種類をみてみると、亜鉛の水溶性化合物、クロム及び3価クロム化合物、ふっ化水素及びその水溶性塩が共通していたが、その他の種類は異なっていた。このような差は、対象化学物質ごとの物性や使われ方、処理の方法の差が反映しているものと考えられた。
D地域別とりまとめ
ア 地域別の届出事業所数
 地域別の届出事業所数を表−10にとりまとめた。最も多かったのは神戸地域の260件で、以下阪神南地域、中播磨地域、東播磨地域となっていた。最も少なかったのは淡路地域の44件であった。
 
イ 地域別の排出・移動先別届出物質数及び延べ届出件数
 地域別に排出・移動先別の届出物質数及び延べ届出件数を表−11にとりまとめた。
 届出物質数を排出先でみると大気では西播磨地域が、公共用水域では東播磨地域が、土壌では西播磨地域が、埋立では但馬地域が最も多かった。
 一方、移動先でみると廃棄物では西播磨地域が、下水道では東播磨地域が最も多かった。
ウ 地域別の物質別(排出量上位10物質+その他)の排出量
 地域別の排出量をとりまとめたのが、表−12である。
 対象化学物質の排出量で最も多かったのは中播磨地域で全体の30.4%を占めていた。以下東播磨地域の21.7%、神戸地域の13.7%、西播磨地域の11.3%、阪神南地域の10.2%と続いていた。最も少なかったのは淡路地域で0.3%であった。
 地域別にみると県下の排出量の大部分は、県の瀬戸内海沿岸地域から排出されている。
エ 地域別の物質別(移動量上位10物質+その他)の移動量
 地域別の排出量をとりまとめたのが、表−13である。
 対象化学物質の移動量で最も多かったのは東播磨地域で全体の38.7%を占めていた。、以下中播磨地域の23.3%、西播磨地域の12.5%、阪神南地域の9.5%、阪神北地域の5.4%と続いていた。最も少なかったのは排出量と同様淡路地域であった。
 地域別にみると県下の移動量の大部分は、県の瀬戸内海沿岸地域から移動されている。
 
E業種別とりまとめ
ア 業種別の届出事業所数、構成比及び届出物質数等
 届出事業所の業種を業種グル-プ別に分類しつつ、業種別に届出事業所数とその構成比及び届出物質数、延べ届出物質数、平均物質数をとりまとめたのが、表−14である。
 届出事業所の業種として最も多かったのは、燃料小売業で715の届出があり、全体の47.19%を占めていた。次いで多かったのは化学工業の136件で、8.98%、以下、下水道業の109件、7.19%、一般廃棄物処理業の61件、4.03%、金属製品製造業の59件、3.89%、電気機械器具製造業の57件、3.76%であった。
 届出事業所の件数を製造業と非製造業の構成比でみると製造業が575件で全体の37.95%、非製造業が62.05%であった。
 延べ届出物質数でみると製造業で、2,172件、非製造業で7,007件であった。平均届出物質数でみても製造業で3.8、非製造業で7.5でいずれも非製造業が上回っていた。
 この要因として届出業種として上位を占めている燃料小売業、下水道業の事業所の届出が寄与しているものと推定された。
イ 業種グル−プ別の排出・移動先別排出・移動量及びその構成比
 アで業種を業種グル-プ別に分類したが、当グル-プ別に排出・移動先別に排出 ・移動量をまとめたのが表−15である。
 業種ごとに詳細に示したのが表−16である。
 最も排出量の多かったのは化学系製造業で、以下金属系製造業、機械系製造業、その他製造業、非製造業と続いていた。非製造業全体の排出量は化学系製造業の約10分の1であった。
 一方、最も移動量の多かったのはやはり化学系製造業で、以下その他製造業、金属系製造業、機械系製造業、非製造業と続いていた。移動量でみると非製造業全体の移動量は化学系製造業と比較して2桁オ−ダ−が低かった。
 業種グル−プ別に排出先別構成比をみるといずれも大気への排出が多数を占めたが、非製造業だけが公共用水域への排出が大気を上廻っていた。これは下水道業が非製造業に分類されたことに起因している。
 移動排出別構成比をみるといずれも廃棄物としての移動が多数を占めていた。
  業種毎に排出・移動量をみると、燃料小売業は届出事業数では全体の47%を占めていたが、排出量、移動量ではそれぞれ0.38%、0.0%にすぎなかった。
 一方、化学工業は届出事業所数では約9%であったが、排出量で全体の約20%、移動量で約54%を占めていた。
 また、鉄鋼業でも届出事業所数では約2%にすぎなかったが、排出量で約17%、移動量で約16%を占めていた。
(2)届出外デ−タについて
 
@届出外のデ−タ
 
 届出外デ−タとは経済産業省及び環境省は共同で、本法の届出義務対象外の排出源(届出外事業所、自動車等、家庭)等からの排出量を推計して集計したもの。
 3分類でその排出量を以下にまとめた。
 
A届出対象外事業所からの排出
 
 推計された届出対象外事業所の物質別(排出量上位10物質+その他)の排出量と構成比を表−17に示す。届出対象外事業所からの総排出量は14,954.6トンで、届出事業所からの排出量12,547.3トンを上回っていた。
 トルエン、塩化メチレン、キシレンなど有機化学物質が上位を占めていたが、オゾン層破壊物質であるクロロジフルオロメタンが10位にランクされているのが特徴となっている
 
B移動発生源からの排出
 
 推計された移動発生源からの物質別(12物質)の排出量と構成比を表−18に示す。本県の移動発生源からの排出量は、3.367.2トンとなっていた。
 排出される対象物質化学物質としてホルムアルデヒドが最も多く、次いでトルエン、キシレン、ベンゼン、アルデヒドの順となっていた。
 また、カ−エアコンの冷媒に使用されているジクロロジフルオロメタンの排出が移動発生源からの排出物質としてあげられているのが特徴となっている。
C家庭からの排出
 
 推計された家庭からの物質別(排出量上位10物質+その他)の排出量と構成比を表−19に示す。家庭からの排出総量は2,20.3トンであった。
 排出される対象物質化学物質としてP−ジクロロベンゼンが最も多く、クロロジ フロオロメタンなどのオゾン層破壊物質、いわゆるフロン類の4物質がランク入りしているのが家庭からの排出物質として特徴づけられている。
(3)兵庫県下における対象化学物質の発生源別の概況
 
@兵庫県下における発生源別の排出状況
 兵庫県下における届出デ−タ、届出外デ−タをもとに発生源別に排出量を総括したのが表−20である。
 それぞれの発生源別の構成比を図にしたのが図−6である。
 届出対象外事業所からの排出が最も多く、約46%を占めていた。今回の届出がなされた届出対象事業所からの排出は、38%であった。
 移動発生源は10%、家庭は6%となっていた。
  
図−6 発生源別排出量の構成比
Aダイオキシン類とりまとめ
 
ア 届出デ−タによるダイオキシン類に係る排出先別及び移動先別届出件数
 ダイオキシン類に係る排出先別及び移動先別届出件数をみたのが表−21である。排出先別にみると大気が最も多く225件の届出があった。構成比でみると78%を占めていた。移動先別では廃棄物として移動したのが178件で、構成比でみると98%を占めていた。
イ ダイオキシン類に係る業種別届出件数
  総数で250件の届出があった。最も届出件数が多かったのは、一般廃棄物処理業(ごみ処分業に限る)で56件、以下化学工業の27件、下水道業の21件、食料品製造業の20件、産業廃棄物処分業の18件と続いていた。
ウ ダイオキシン類に係る排出量及び移動量とその全国順位及び構成比
 ダイオキシン類に係る排出量及び移動量とその全国順位及びその構成比をみたのが表−22、表−23、図−7、図−8である。
 排出総量は46.66g-TEQ/年、移動総量でみると151.39g-TEQ/年であった。
 排出量を排出先別にみると埋立が最も多く25.32g-TEQ/年、続いて大気への排出量で21.02g-TEQ/年となっていた。移動量を移動先別にみると廃棄物が151.39g-TEQ/年であった。県下の排出総量を全国構成比でみると3.0%、移動量を同様にみると3.0%となっており、全国府県別順位は排出量で11位、移動量で12位となっていた
       図−7 ダイオキシン類に係る排出先別排出量
     図−8 ダイオキシン類に係る移動先別移動量
エ ダイオキシン類に係る地域別排出量
 ダイオキシン類に係る排出量を地域別にみたのが表−24、図−9である。
 丹波地域の排出量が16.62g-TEQで最も多く、ついで中播磨地域の13.73g-TEQ、東播磨地域の5.17g-TEQ、北播磨地域の4.94g-TEQと続いている。最も少なかったのは淡路地域で排出量は0.05g-TEQであった。
 しかし、排出先別で最も多かったのは大気で中播磨地域が、次いで阪神北地域、東播磨地域と続いていた。丹波地域は下から数えて4番目であった。公共用水域でも大気と同様中播磨地域が最も多かった。埋立で最も多かったのは丹波地域となっており続いて北播磨地域となっていた。特に丹波地域は埋立が排出量全体の96%を占め全体を押し上げていた。
 移動先別でみてみると下水道は極めて少なく、産業廃棄物がほぼ移動先全体の100%近く占めていたが、地域別でみてみると最も多かった地域は阪神北地域で、ついで神戸地域であった。
  
注:丹波地域の自社埋立にかかる排出については、すでに対策済み。
  中播磨地域の排出量は、廃棄物焼却炉の他、電気炉等産業系の影響が大きいためと推測された
   図−9 ダイオキシン類に係る地域別排出量

 
オ 届出外デ−タによるダイオキシン類の排出量の推計と発生源別構成比
 国による届出外デ−タの推計から届出対象外事業所、移動発生源、家庭からのダイオキシン類の排出量を届出デ−タとあわせてまとめたのが表−25である。
  それぞれの発生源別の構成比を図にしたのが図−10である。
 届出対象事業所からの排出が最も多く、60.72%を占めていた。届出対象外事業所事業所からの排出は割合は、39.18%であった。
 移動発生源は0.09%、家庭は0.01%となっていた。 
 
図−10 ダイオキシン類の発生源別構成比
4.第1回PRTR集計結果に対するまとめ
 
(1)第1回の集計結果がでたが、これは対象物質5トン以上の事業者について排出量もしくは移動量の県下における目録がとりあえずできあがったというものであって、これをもって排出量・移動量をパ−フェクトに把握できたものでないこと、また直ちに環境リスクの高低を判断できるものではないことを理解する必要がある。
 しかし、今後、かかるデ−タをより詳細に検証し、化学物質に対する環境汚染対策の効果的な推進のため、その活用を積極的に図るとともに、例えばリスク評価が定まった物質についてその環境リスクを評価していく必要がある。
 
(2)平成15年度以降、毎年かかる届出が行われ、かつ集計が行われていることから届出件数、物質別、地域別、業種別にその推移を慎重に検証、評価し、環境リスクの低減に向けて施策の優先度などの取組に資していく必要がある。
 
(3)事業者に対する周知率は年々向上してきているが、県においては、化学物質排出把握管理促進法に基づく届出が円滑に実施されるよう、より一層、化学物質排出把握管理促進法の周知を実施していく必要がある。特に平成15年度から対象物質の取扱量が5トンから1トン以上に引き下げらることから、小規模事業者への周知を進めていく必要がある。また、事業者の実際の算定作業に資する支援が必要であり、今後とも引き続きより分かりやすい算出マニュアルの配布や、業界団体と協力しての周知、広報を進めていく必要がある。
 
(4)県においては、平成15年度以降も引き続き、化学物質排出把握管理促進法による届出が漏れなくなされるよう対象事業者の把握に努めるとともに、事業者に対する支  援措置として説明会の開催や技術的な相談に応じていくことが必要である。
 
(5)事業者においては、引き続き化学物質排出把握管理促進法の目的や意義を十分理解  し、排出量・移動量の把握のための体制整備を進めた上で届出を行う必要があること  から、今後、県として事業者に対して、この点指導を積極的に行う必要がある。
 
5.今後の取り組み
 
 第1回の集計・公表が実施された結果を踏まえ、今後、PRTR制度に対する取り組みとして、次の三つの視点から様々な施策展開を図って行くこととする。
 
 @的確な集計・評価と詳細な情報提供
 A事業者に対する環境リスク低減指導
 B県民の化学物質に対する理解の促進
 
(1)集計・公表を踏まえた平成14年度の取り組み
 
 国が行うPRTRデータの公表を利用して、地域住民や企業への地域説明会の開催や環境問題に関心のある人等を対象に化学物質研修を実施しつつ、県が行う情報提供のあり方等、今後、県がPRTRデータを活用していく際の問題点・留意点等を抽出してとりまとめを行うことを目的として、次の「平成14年度PRTRデータ自治体活用方策検討調査」実施する。
 
 @PRTR地域説明会(県下10箇所を予定)の開催
 APRTRデ−タ活用のための環境学習リ−ダ−研修会の開催
 B届出事業者に対するアンケ−トの実施及びとりまとめ
 
  −アンケ−ト結果(速報)のポイント−
・PRTRの届出が始まったことにより、使用する化学物質管理の強化、排出削減に向けた取り組みを始めたもしくは始めるとの回答が約70%の事業所からあった。
・PRTRデ−タの開示に伴い、リスクコミュニケ−ションを進めるため、地域住民への情報の提供、意見交換会など何らかのアクションを起こしている、または起こそうとしている事業所は、30%弱にすぎなかった。
 
 参考1:事業者による自主的取り組み
  ア 「PRTR制度とリスクコミュニケ−ションに関するセミナ−」の開催
      主催:兵庫県環境保全管理者協会・社団法人瀬戸内海環境保全協会
      日時:平成14年2月5日 13時30分から
  イ 「第2回レスポンシブル・ケア兵庫地区地域対話」の開催
     主催:日本レスポンシブル・ケア協議会
     日時:平成14年3月11日 14時から
     場所:尼崎市内
 参考2:市民グル−プによる自主的取り組み
    「石けん学習会」
      ・PRTR法について(2001年4月届出スタ−ト)
     主催 西宮市石けん使用推進市民運動連絡会議
     日時 平成15年2月25日(火)午後1時30分〜3時
 
(2)平成15年度の取り組み
 
 平成15年度は、平成14年度第1回目の集計公表結果を活用し、アンケ−ト結果等も踏まえ、事業者等の化学物質による環境リスクの低減に向けた取り組みを促進させるとともに、県民・事業者・行政の参画と協働のもとに必要な諸事業を本格実施させ、県民の安全安心の観点にたった化学物質総合管理の推進を図る。
 
 @事業者に対する環境リスク低減指導                  
  ア 国の管理指針の周知徹底指導                    
  イ リスクコミュニケ−ションマニュアルの作成
 A県民の化学物質に対する理解の促進                  
  ア PRTRデ-タに対する県民意識調査                   
  イ 県民講座の開設                          
 B集計・公表データの活用による環境リスクの低減            
  ア 県独自の集計・公表システムの整備                 
  イ 化学物質モニタリング計画の見直し及び新たな物質のモニタリング   
 C事業者からの届出の促進と届出データの的確な管理(14、15年5トン以上、16年から1トン)