1 |
公害防止計画策定地域 |
|
この基本方針に基づき公害防止計画を策定する地域は、兵庫県の区域のうち、神戸市、姫路市、尼崎市、明石市、西宮市、芦屋市、伊丹市、加古川市、宝塚市、高砂市、川西市及び播磨町の区域(公害防止計画策定指示の日現在の区域)とする。 |
2 |
公害防止計画策定地域の環境の概況 |
|
上記地域においては、平成9年度から平成13年度を計画期間とする兵庫地域公害防止計画が策定され、同計画に基づいて公害防止に関する諸施策が推進されてきたところであるが、平成12年度における環境質の状況は、以下のとおりであり、依然として改善すべき問題が残されていることから、今後も引き続き総合的な公害防止施策を講じていく必要がある。 |
|
(1) 大気汚染 |
|
二酸化硫黄については、長期的評価では65測定局中、全局において環境基準を達成している。
二酸化窒素については、環境基準との対応状況を見ると、83測定局中、0.06ppmを超えた局が5局、0.04ppmから0.06ppmまでのゾーン内の局が55局、0.04ppm未満の局が23局となっている。
一酸化炭素については、長期的評価では27測定局中、全局において環境基準を達成している。
浮遊粒子状物質については、長期的評価では72測定局中、3局において環境基準を達成していない。
光化学オキシダントについては、46測定局中、全局において環境基準を達成していない。
ベンゼンについては、12測定地点中、全地点において環境基準を達成している。
トリクロロエチレンについては、12測定地点中、全地点において環境基準を達成している。
テトラクロロエチレンについては、12測定地点中、全地点において環境基準を達成している。
ダイオキシン類については、25測定地点中、全地点において環境基準を達成している。 |
|
(2) 水質汚濁 |
|
健康項目については、235測定地点中、全地点において環境基準を達成している。
河川については、BOD(生物化学的酸素要求量)の指標でみると、25水域中、4水域において環境基準を達成していない。
湖沼については、COD(化学的酸素要求量)の指標でみると、1水域中、全水域において環境基準を達成していない。
海域については、CODの指標でみると、19水域中、4水域において環境基準を達成していない。全窒素は、7水域中、1水域において環境基準を達成していない。全燐は、7水域中、1水域において環境基準を達成していない。
地下水については、一部の地域で環境基準を達成していない。 |
|
(3) 騒音 |
|
自動車騒音に関しては、153測定地点中、90地点において環境基準を達成していない。
航空機騒音に関しては、16測定地点中、6地点において環境基準を達成していない。
新幹線鉄道騒音に関しては、49測定地点中、36地点において環境基準を達成していない。 |
3 |
公害防止計画策定に当たっての目標 |
|
本計画策定に当たっての汚染物質等の項目ごとの目標を別表に示すとおりとし、各種の公害防止施策等の推進により、目標が平成18年度末を目途に達成されるよう努めるものとして本計画を策定するものとする。
なお、環境基本法第16条に基づく環境基準等が設定若しくは改定された場合又は新たに環境基準等の超過が生じた場合は、当該環境基準等に係る部分を変更した別表をもって本計画の別表とみなす。 |
4 |
公害防止計画の主要課題 |
|
当該地域の実情にかんがみ、本計画において特に重点的に解決を図るべき主要課題は、以下のとおりとする。 |
|
(1) 交通公害 |
|
国道43号をはじめとする大気汚染及び騒音の著しい道路沿道や山陽新幹線鉄道沿線における交通公害の防止を図る。 |
|
(2) 河川の水質汚濁 |
|
水質汚濁の著しい河川のBODに係る水質汚濁の防止を図る。 |
|
(3) 大阪湾及び播磨灘の水質汚濁 |
|
大阪湾及び播磨灘のCODに係る水質汚濁並びに大阪湾の窒素及び燐による富栄養化の防止を図る。 |
|
(4) 地下水汚染 |
|
トリクロロエチレン等による地下水汚染の防止を図る。 |
5 |
公害防止計画の期間 |
|
本計画の実施期間は、平成14年度から平成18年度までの5年間とする。 |
6 |
公害防止施策等 |
|
本計画の策定に当たっては、当該地域における公害の状況について分析評価を行い、旧計画に基づき実施した施策の効果、問題点等に係る要因分析を可能な限り行い、汚染物質等の項目ごとの目標の達成に努める観点から、地域の課題に対応する具体的な施策及びそれらの施策に関する計画期間内における達成目標を記載するものとする。
このとき、施策の達成目標の設定に当たっては、地域における環境負荷と施策の内容について分析しその予測を踏まえ、関連諸計画との整合を図りながら、可能な限り具体的な数値目標を設定するものとする。特に、「公害の防止に関する事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律」に基づき、公害防止計画地域における特定の公害防止対策事業については重点的な財政支援がなされていることから、同法第2条第3項に掲げる事業については、地域の課題と当該事業の関連を示しつつ、可能な限り事業内容を個別具体的に計画に記載するものとする。また、重点的に解決を図るべき主要課題については、改善の目標とその達成のために講ずべき公害防止施策を重点的に記述することにより、地域の著しい公害について重点的かつ効率的に対策を推進するものとする。 |
|
(1) 今後講ずべき施策 |
|
今後講ずべき施策については、住民の健康保護対策はもとより、工業地、住居地及び緑地の適正な配置等の適切な土地利用の実現、工業立地等についての指導、発生源等に対する各種対策、公害の防止に係る社会資本整備、廃棄物・リサイクル対策などの物質循環に係る施策、化学物質対策、環境教育・環境学習の推進、監視測定体制の整備、環境情報の整備・提供等の関連する施策を合理的に組み合わせ、環境基本計画における循環と共生を基調とした地域づくりに配慮しつつ、新規施策の導入を含めた実効性のある施策を検討するものとする。
その際、国、地方公共団体、事業者、国民の責務を勘案しつつ、施策間の優先度、緩急度を考慮し、国の施策と有機的な連携を保ちながら、今後講ずべき施策を総合的に検討するとともに、本計画の実施を通じて環境基本計画の長期的な目標の達成に資するものとする。また、各課題ごとに、環境負荷の状況などの分析を踏まえ、改善の目標とその達成のために講ずべき公害防止施策を適切に位置づけ、その効果的な実施により当該課題の早急な解決を図るものとする。また、今日の公害問題の多くが日常生活や通常の事業活動などの社会経済活動に起因していることにかんがみ、住民を含むすべての主体が意思決定の段階から幅広い参加に努め、これによって、それぞれの立場に応じた適切な役割分担を図ることとする。さらに、自主的積極的に環境保全に取り組むための基盤の整備を図り、規制等の制度的対応や自主的取組を含む幅広い施策が公害防止対策事業と有機的に連携する形で講じられるよう、各課題に対応する施策の最適な組み合わせを検討するものとする。 |
|
(2) 広域的な調整 |
|
窒素酸化物や浮遊粒子状物質を中心とした都市地域の大気汚染、交通公害、地域を貫流する河川や閉鎖性水域の水質汚濁等の広域的な観点から重点的取組を必要とする公害に係る施策については、必要に応じ、国の関係機関や関係地方公共団体等との調整を図って施策を立案するとともに、その実施に当たっての連携体制を設けるものとする。
また、本計画が対象とする地域を含む近畿圏においては、各地域の計画策定期間を同一のものとするなど広域的対応を図ってきたところであるが、今後とも各地域の有する個別課題や特性を勘案しつつ、近畿圏全体の広域的観点から環境負荷の低減を図るとともに、有機的かつ効果的な計画の策定及び実施に向けて、地域間の連携を確保するものとする。
なお、本計画の策定に当たっては、当該地域の開発に係る諸計画等との連携の確保に配慮するとともに、本計画に関連する国の関係機関、県の公安委員会、教育委員会等の関係機関及び関係地方公共団体と十分に連絡、調整を行うものとする。 |
7 |
計画事業に係る環境保全上の配慮 |
|
本計画の策定に当たっては、本計画に基づく公害の防止に係る事業に関し、その実施により二次公害、自然環境保全上の支障等環境に悪影響を及ぼすことがないよう、環境保全上の配慮を徹底するものとする。 |
8 |
公害防止計画と他の環境保全計画との整合 |
|
本計画の策定に当たっては、他の環境保全に関する法定計画等との整合が図られるよう配慮するものとする。
特に、本計画が対象とする地域において策定されている「化学的酸素要求量、窒素含有量及びりん含有量に係る総量削減計画」、及び今後策定が予定されている「兵庫県自動車排出窒素酸化物及び粒子状物質総量削減計画」については、その的確かつ円滑な実施が図られるよう配慮すること。 |
9 |
公害防止計画と諸計画との関連 |
|
本計画は、対象とする地域において公害防止施策を総合的計画的に推進していく上での基本となる計画であることから、当該地域における開発、環境整備、土地、水資源の利用等に係る諸計画は、公害の防止に関しては、本計画との調和が図られることが重要であり、本計画の策定に当たっては当該諸計画との連携の確保に配慮するとともに、これら諸計画が本計画と連携を図りつつ策定され、又は推進されるよう配慮するものとする。
また、当該地域における環境保全に関する基本的な計画等関連する環境保全施策が全体として整合し、かつ、円滑に実施されるよう配慮するものとする。
なお、当該地域において進められる災害に強い街づくり等については、公害防止施策等が密接な関連を有することから、本計画においても、公害防止施策等がこれに寄与するよう必要な配慮を行うものとする。 |
10 |
進行管理、分析評価 |
|
計画期間中においては、各主体の連携の下に計画の推進体制を整備し、モニタリング体制の充実により地域の環境の状況の一層の把握に努めるとともに、公害防止対策事業をはじめとした各種施策について、その達成目標との関連における適切な進行管理を行い、計画の効果的かつ着実な実施が図られるよう努めるものとする。
また、計画終了時点においても、施策全体の進行とその効果を整理し、計画期間内の施策の達成状況の分析評価を実施するよう努めるものとする。このとき、単に環境基準等の達成状況のみではなく、施策の実施率やこれに伴う負荷削減量の推計等様々な尺度で分析評価を行うよう努めるものとする。 |