容器包装リサイクル法に基づく 「兵庫県分別収集促進計画」の策定について


【「兵庫県分別収集促進計画(第3期)」の構成】

1 計画策定の意義
2 基本的方向
3 計画期間
4 対象品目と品目ごとの取り組み市町の数
5 各年度における容器包装廃棄物の排出量の見込み
6 各年度において得られる分別基準適合物の見込量
7 各年度において得られる法第2条第6条に規定する主務省令で定める物の見込量
8 分別収集の促進の意義に関する知識の普及、市町相互間の分別収集に関する情報の交換の促進その他の分別収集の促進に関する事項

 
【容器包装リサイクル法に係る役割分担】(参考)
消費者
 
分別排出
 
ごみをある目的(ここでは、リサイクル)のために、種類分けをして排出すること。
市町




 
分別収集
 
消費者がリサイクルのために分別排出した容器包装廃棄物を分別して収集すること。
選別等 
 
収集した廃棄物を必要に応じ、選別、圧縮、梱包を行い、リサイクルに回すこと。

 
−容器包装リサイクル法上、これら2つを併せて「分別収集」という(法第2条第5項)−
事業者
 
再商品化
 
市町が分別収集した容器包装廃棄物を製品の原材料にリサイクルすることなど(法第2条第8項)。

 
  
1 背景・経緯
 
(1) 容器包装リサイクル法の制定
 家庭ごみの発生量の増大や最終処分場の残余容量のひっ迫を背景として、家庭ごみの容積比で約6割、重量比で約2〜3割を占め、かつ、再生資源としての利用が可能な容器包装廃棄物について、消費者は分別排出、市町村は分別収集、事業者は再商品化という役割分担のもとにリサイクルを進めるため、平成7年6月に「容器包装リサイクル法」が制定された。
 この「容器包装リサイクル法」第8条に基づき、市町村は、5年を一期とする分別収集計画を、また、同法第9条に基づき、都道府県は、分別収集促進計画を定めることになっている。
 
(2) 第1期計画(平成9〜13年度)の策定
 平成9年度から、まず、缶類(スチール、アルミ)、びん類(無色、茶色、その他)、紙パック、ペットボトルの7品目が計画の対象となった。
 第1期計画では、各市町・事務組合の既存の収集・処理体制を活用しながら、新たに必要な選別、圧縮・梱包、保管施設などの整備を順次進めることで、対象品目の分別収集を拡大する計画とした。
 その結果、特に、缶類については、平成10年度には、全ての市町・事務組合が取り組み、また、びん類については、ほとんどの市町・事務組合が取り組んできた。
 
(3) 第2期計画(平成12〜16年度)の策定
 平成12年度から、段ボール、その他紙製容器包装、その他プラスチック製容器包装の3品目が対象に追加された。
 第2期計画では、第1期からの対象であるペットボトルの分別収集をより進め、新たな3品目の取り組みを順次拡大する計画とした。
 その結果、缶類については、第2期当初から、全ての市町・事務組合が取り組んでおり、びん類、ペットボトルについては、平成13年度までに、ほとんどの市町・事務組合が取り組んでいる。また、紙パック、段ボールについても、多くの市町・事務組合が集団回収等を活用して取り組んでいる。
 
(4) 現在の状況
 本県における取り組みについては、全国と比較して、各品目において、分別収集に取り組む市町・事務組合数は多いものの、分別収集の状況を表す分別収集率(分別収集量/排出見込量)は、全国に比べ、平成13年度実績では5ポイント近く低くなっている。
 このことは、排出の多い神戸市の取り組みが、一部モデル実施で順次拡大方式によっていること、多くの市町で、その他紙製容器包装、その他プラスチック製容器包装が未実施になっていること等に起因している。
 
 
            表1 分別収集実績の全国比較        (単位:t)

 
12年度 13年度
排出見込量 分別収集量 分別収集率 排出見込量 分別収集量 分別収集率
兵庫県   418,570   76,220 18.2%   425,730   76,437 18.0%
うち神戸市   102,380   6,357 6.2%   104,980   6,459 6.2%
全 国 10,058,502 2,103,213 20.9% 10,213,892 2,303,034 22.5%





 
「排出見込量」とは、市町が収集する一般廃棄物中の容器包装廃棄物の量(集団回収等の量を含む。)
「分別収集量」とは、リサイクルのために市町等が収集し、選別等を行うもの及び集団回収等で集められる容器包装廃棄物の量
分別収集率=分別収集量/排出見込量 
 
 
2 「兵庫県分別収集促進計画(第3期)」の特色
 
 第3期計画の策定に当たっては、分別収集が十分に進んでいない現状を踏まえ、また、特に取り組みが遅れている品目である「その他紙製容器包装」と「その他プラスチック製容器包装」の分別収集を促進し、より一層リサイクルを推進することが求められていることに留意し、次に示すとおり容器包装廃棄物の分別収集を着実に進める計画とした。
 
(1) 市町・事務組合の積極的な取り組みの推進
 分別収集・選別等に取り組む市町・事務組合の数(総数65団体)は、10品目全ての容器包装廃棄物の区分において、増加することとなる。
 特に、「その他紙製容器包装」は、13年度においては4団体であったが、15年度には21団体、19年度には39団体が取り組む計画である。
 また、「その他プラスチック製容器包装」は、13年度においては18団体であったが、15年度には39団体、19年度には59団体で取り組む計画としている。
 
(2) 容器包装リサイクルの一層の展開
 分別収集量については、関係市町・事務組合において、モデル実施を本格実施に進めるなどにより、各品目において増加する。
 主要品目の@缶類では、13年度の約20千トンから19年度には約25千トンに、Aびん類は、13年度の約28千トンから19年度には約33千トンに、Bペットボトルは、13年度の約4千トンから19年度には約8千トンとする計画である。
 また、分別収集率については、缶類、びん類は、平成13年度の32%〜46%から平成19年度には50%〜65%とする計画である。
 
3 「兵庫県分別収集促進計画(第3期)」の概要
 
(1) 対象品目
 「容器包装リサイクル法」に基づく分別収集対象品目は、平成9年度に、スチール缶、アルミ缶、ガラスびん3種、紙パック、ペットボトルの7品目でスタートし、平成12年度から、段ボール、その他紙製容器包装、その他プラスチック製容器包装の3品目が加わり、現在は10品目であり、本計画はこれらを対象としている。
 
(2) 分別排出・収集の体制
@実態
 家庭からの廃棄物は、一般的には、可燃ごみ、不燃ごみ、粗大ごみ、資源等に分けて排出されており、容器包装リサイクル法に係る10品目については、主としてそのうちの資源に含まれているが、大別して、住民から排出される際にしっかりと分別を行う方法と、種類ごと等にまとめて排出されたものを各市町・事務組合において選別する方法がある。
 ただ、紙パックや段ボールなど一部品目に関しては、市町等の収集によらず、住民団体による集団回収などにより、リサイクルされていることも多い。
 
A計画(分別排出)
 取り組みが遅れている「その他紙製容器包装」と「その他プラスチック製容器包装」について、平成15年度以降に新たに分別排出・収集を行うなど、多くの市町等において体制を充実することとしている。
 これらにより、市町等が関与する容器包装リサイクル法対象10品目に係る住民の分別排出は、現状(平成14年度)から平成19年度には次表のとおり向上する。
 
 
表2 容器包装リサイクル法対象10品目に係る住民の
分別排出数からみた市町・事務組合数
  分別排出数 現状(14年度) 19年度  
  2 市町等 0 市町等  
  1 〜 3 13  
  4 〜 7 40 43  
  8 〜 10 17  
 
  
 そのほか、市町等においては、集団回収等の一層の活用なども含めて、実態に合わせた方法により、リサイクルを推進することとしている。
 
(3) 分別収集を行う市町・事務組合の数
@現況
 平成13年度において、一部でも分別収集に取り組む市町・事務組合の数は、@缶 類では全ての団体で、Aびん類では60団体以上で、Bペットボトルは61団体で取り組んでいるが、分別収集率50%以上の市町・事務組合数では、@缶類は31団体以下、Aびん類は39団体以下、Bペットボトルは15団体となっており、また、Cその他紙では0団体で、Dその他プラスチックでは1団体と、十分に取り組んでいない市町・事務組合も未だ多い。
 
A計画(分別収集・選別等)
 平成15年度から19年度までに、モデル実施を含めて一部でも分別収集に取り組む 市町・事務組合の数は、@缶類では、全ての団体で、Aびん類では、無色ガラスびんと茶色ガラスびんが全ての団体で、その他ガラスびんが15年度には61団体、19年 度には64団体、B紙パックは、15年度には58団体、19年度には61団体、C段ボールは、15年度には61団体、19年度には63団体、Dペットボトルは、15年度には63団体、19年度には全ての団体で取り組むことになっている。また、「その他紙製容器包装」は、15年度には21団体、19年度には39団体が、「その他プラスチック製容器包装」は、15年度には39団体、19年度には59団体で取り組む計画としている。
 
表3 分別収集に一部でも取り組む市町・事務組合の数の推移
品目\年度 13 15 16 17 18
スチール缶 66(31) 65 65 65 65
アルミ缶 66(24) 65 65 65 65
無色ガラスびん 64(23) 65  65 65 65
茶色ガラスびん 64(39) 65 65 65 65
その他ガラスびん 60(28) 61 62 62 64
紙パック 44( 1) 58 60 60 61
段ボール 44(26) 61 62 62 62
その他紙  4( 0) 21 24 28 34
ペットボトル 61(15) 63 64 64 65
その他プラスチック 18( 1) 39 47 53 55
注:13年度は、実績(市町・事務組合の総数は、66)。
  15年度以降は、計画(市町・事務組合の総数は、65)。
  (14年度から、市川町が中播北部行政事務組合に編入したことによる。)
  なお、13年度の括弧内の数値は、分別収集率が50%超の団体の数。
 
 
 
(4) 県全体での分別収集量及び分別収集率
 平成15年度から19年度までの県域での容器包装廃棄物の分別収集量及び分別収集率は、次表のとおりである。
 「その他紙製容器包装」と「その他プラスチック製容器包装」については、実施市町・事務組合の数が少ないことから、分別収集量が少なくなっているが、これらを含め全ての品目で、順調に増加することとしている。
  
表4 分別収集量の推移
                                (単位: t )
品目\年度 13 15 16 17 18 19
スチール缶 15560 16509 17372 17659 18049 18366
アルミ缶 4428 5133 5732 5952 6223 6458
無色ガラスびん 13835 14490 15766 16048 16535 16883
茶色ガラスびん 9855 10117 10651 10749 10984 11132
その他ガラスびん 4194 4202 4612 4702 4900 5015
紙パック 1038 973 1055 1090 1133 1213
段ボール 20667 28225 29728 30423 31311 32484
その他紙 564 1690 2550 4617 4914 5627
ペットボトル 4285 5400 6156 6558 7121 7616
その他プラスチック 2011 5410 6904 11329 15558 16637
合 計 76437 92149 100526 109127 116728 121431
注:13年度は、実績。15年度以降は、計画。
 
 
表5 分別収集率の推移
                                (単位:%)
品目\年度 13 15 16 17 18 19 
スチール缶 46 58 61 62 64 65 
アルミ缶 38 45 50 51 54 55 
無色ガラスびん 32 42 46 47 49 51 
茶色ガラスびん 38 43 46 47 49 50 
その他ガラスびん 33 43 48 49 52 53 
紙パック 9 9 10 10 11 11 
段ボール 42 43 45 46 46 47 
その他紙 1 2 3 6 6 7 
ペットボトル 31 30 34 35 37 39 
その他プラスチック 1 3 4 7 10 10 
合 計 18 21 23 25 27 28 
注:分別収集率=分別収集量/排出見込量
  13年度は、実績。15年度以降は、計画
 
  
4 県の主な方策
 
 各市町・事務組合の分別収集計画の達成を促進するため、県は次の取り組みを行う。
 
(1) 分別排出・収集等の促進の意義に関する知識の普及
 パンフレットの作成・配布や5R生活推進県民大会の開催等により、分別排出・収集等の促進の意義に関する知識の普及を図る。
 また、県民、事業者、行政の協議の場として、5R生活推進会議を設置し、買い物袋持参運動(マイ・バッグ・キャンペーン)の展開、スリム・リサイクル宣言の店の指定などの事業を行う。
 
(2) 市町相互間の分別収集に関する情報交換の促進
 5R生活推進会議等を活用し、県民、事業者等との参画と協働による分別排出・収集等を一層促進するため、市町相互間の情報交換の促進を図る。
 
(3) 再資源化施設の整備の促進
 市町・事務組合の廃棄物再生利用施設(リサイクルプラザなど)の整備を促進するため、市町・事務組合への技術的援助、国庫補助の確保に努める。
 また、民間を中心に、その他プラスチック製容器包装などの広域リサイクル拠点整備の検討が進められていることから、支援体制の構築を図る。
 
5 神戸市の取り組み
 
 現在、神戸市では、缶類、ペットボトルの収集を、各区において協力が可能な地域で実施しているとともに、紙パック、段ボール等について、集団回収等により収集しているところであるが、全体の分別収集率は平成13年度で6.2%となっている。
 
 このような状況を踏まえ、平成16年度に、缶類、びん類、ペットボトルを選別・圧縮する「総合リサイクルセンター(仮称)」を整備し、各家庭から分別排出できるよう全市に展開することによって、分別収集量及び分別収集率を上げる計画としている。
 主要品目の分別収集量では、@缶類では、13年度の1,718トンから19年度には4,860トンに、Aびん類は、13年度の173トンから19年度には7,250トンに、Bペットボトルは、13年度の501トンから19年度には1,440トンに、Cその他プラスチック製容器包装は、13年度の283トンから19年度には360トンとする計画である。
 その結果、全体の分別収集率については、平成13年度6.2%から、15年度8.3%、19年度16.1%となる。
 
 
表6 神戸市分別収集計画における分別収集量・分別収集率の推移について
                                (単位:t、%)
  13年度 15年度 16年度 17年度 18年度 19年度
スチール缶
 
774 960 1,850 2,140 2,430 2,730
10.7 16.9 32.5 37.3 42.0 46.9
アルミ缶
 
944 1,000 1,560 1,750 1,940 2,130
31.2 25.3 39.2 43.6 48.0 52.3
無色ガラスびん
 
72 1,240 2,670 3,130 3,600 4,070
0.7 14.0 30.0 34.9 40.0 45.0
茶色ガラスびん
 
77 610 1,280 1,490 1,700 1,930
1.8 14.7 30.7 35.5 40.4 45.5
その他ガラスびん
 
24 380 820 970 1,110 1,250
0.8 13.9 29.8 35.1 40.1 44.8
紙パック
 
325 400 410  410 410 420
14.4 19.0 19.2 19.0 18.8 19.1
段ボール
 
3,459 3,340 3,370 3,400 3,430 3,460
22.4 22.2 22.2 22.2 22.2 22.2
その他紙製容器包装
 

 

 

 

 

 
ペットボトル  
 
501 590 1,020 1,160 1,300 1,440
15.5 20.9 35.9 40.6 45.1 49.7
その他プラスチック製容器包装   283 350 350 350 360 360
0.8 0.8 0.8 0.8 0.8 0.8

 
6,459 8,870 13,330 14,800 16,280 17,790
6.2 8.3 12.4 13.7 14.9 16.1
   注: 上段:分別収集量 下段:分別収集率
     分別収集率=分別収集量/排出見込量
 
参考:各市町の分別排出状況と容器包装リサイクルにかかる取り組み状況 H14.7現在