ツキノワグマ保護管理計画策定の背景及び目的

1 背景
 本県に生息するツキノワグマは2つの地域個体群に分けられる。
 一つは、氷ノ山を中心とする「東中国地域個体群」で、もう一つは京都府北部に隣接す
る「近畿北部地域個体群」である。このうち特に東中国地域個体群については、環境省
の作成するレッドリストでも「絶滅のおそれのある地域個体群」として掲載されるなど、地
域個体群としての絶滅が危惧されている。
 このため、本県では平成8年以降狩猟による捕獲を禁止し、生息数減少の抑制を図っ
てきたが、出没が多発する地域では人身事故に対する恐怖心が日常生活に多大な影
響を及ぼしており、早急な解決が求められている。
 
2 目的
 こうした課題を解決するために、「生息数管理」、「生息環境管理」、「被害管理」などの
科学的・計画的な保護管理施策を進めるため、鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律に基づく
特定鳥獣保護管理計画を策定する必要がある。
 本計画は、「ツキノワグマの地域個体群の長期にわたる安定的維持」と「人身被害・精
神被害の解消、農林業被害の軽減」の両立を図り、人とツキノワグマとの共存を図ること
を目的としている。
  
3 計画案のポイント
 計画の目的が、相反する2つの課題について同時に解決を図ろうとするものであるが、
長期的に「人との軋轢を無くした上での個体群の維持」を図り、解決を目指すものである。
 しかし、ツキノワグマの生息状況や生息環境については解明されていない点が多いた
め、モニタリング調査結果を計画に反映させつつ、保護管理を行う必要がある。
 そのため、計画の目標を段階的に設定し、個体数管理、生息環境管理、被害管理、普及啓発の4項目について保護管理を進めることとしている。
4 今後の手続
 本計画案については、鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律に基づき公聴会を開催し利害関係者
の意見を聴取し、計画該当市町に協議するとともに、兵庫県環境審議会で再度審議し、3月中旬頃、最終答申が取りまとめられる予定であり、県民の皆様からいただいた意見等の概要とこれに対する県の考え方とともに公表する。
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