兵庫地域公害防止計画案(概要版)

第1章 計画の概要

1 計画策定の趣旨
計画対象地域の平成13年度における主な環境質の状況は次のとおりであり、依然として改善すべき課題が残されている。このため、本計画は、総合的な公害防止対策を講じることにより、環境への負荷をできる限り低減し、公害の早急な解決を図るとともに、公害の未然防止の徹底に努めることにより、地域住民の健康を保護し、生活環境を保全する計画として策定するものである。
(1) 大気汚染
項  目 環境基準達成状況
二酸化硫黄及び一酸化炭素
全局で環境基準達成
二酸化窒素  一般大気測定局49局の全局で環境基準達成
自動車排出ガス測定局25局中4局で環境基準未達成
浮遊粒子状物質  一般大気測定局49局中10局で環境基準未達成
自動車排出ガス測定局17局中10局で環境基準未達成
光化学オキシダント
 
一般大気測定局43局の全局で環境基準未達成
 
(2) 水質汚濁
項  目 環境基準達成状況
河川のBOD(生物化学的酸素要求量)
25水域中4水域で環境基準未達成
海域のCOD(化学的酸素要求量)
 
19水域中6水域で環境基準未達成
 
(3) 騒音
項  目 環境基準達成状況
自動車騒音
168測定地点中72地点で全時間帯で環境基準未達成
新幹線騒音
27測定地点中10地点で環境基準未達成
航空機騒音  12測定地点中4地点で環境基準未達成
 
2 地域の範囲

環境基準等の超過状況等を評価・勘案した結果、環境大臣により計画策定指示において指定された、次の11市1町を対象とする。

 神戸市、姫路市、尼崎市、明石市、西宮市、芦屋市、伊丹市、加古川市、宝塚市、高砂市、川西市及び播磨町

3 計画の目標

(1) 目標年次:平成18年度
(2) 目 標 :大気汚染、水質汚濁、騒音に関する環境基準の達成(別表参照)

4 計画の主要課題

(1) 交通公害
 国道43号をはじめとする大気汚染及び騒音の著しい道路沿道や山陽新幹線鉄道沿線における交通公害の防止を図る。

(2) 河川の水質汚濁
 水質汚濁の著しい河川のBODに係る水質汚濁の防止を図る。

(3) 大阪湾及び播磨灘の水質汚濁
 大阪湾及び播磨灘のCODに係る水質汚濁並びに大阪湾の窒素及び燐による富栄養化の防止を図る。

(4) 地下水汚染
 トリクロロエチレン等による地下水汚染の防止を図る。

5 計画の期間
平成14年度から平成18年度までの5年間
第2章 公害防止施策

1 主要課題への対応

(1) 交通公害
1.国道43号等阪神地域の主要5幹線道路沿道の自動車排出ガスに係る大気汚染対策及び騒音対策

(対象道路)
当地域において、過去5年間に、二酸化窒素、浮遊粒子状物質、騒音の環境基準のいずれについても超過のある次の5路線を対象とした。
@ 国道43号及び阪神高速3号神戸線(国道43号との併走区間)
A 国道2号(尼崎市から神戸市の区間)及び阪神高速3号神戸線(国道2号との併走区間)
B 国道171号
C 国道176号及び中国縦貫自動車道(川西市から宝塚市の区間)
D 県道米谷昆陽尼崎線
ア 当該課題に係る要因分析

・対象道路周辺地域は、人口、産業、交通等が集中している。
・各路線が相互に関連している。
・交通量が極めて多く、大型車の混入率も高い。

イ 達成目標
 二酸化窒素及び浮遊粒子状物質に係る環境基準の概ね達成を図るとともに、騒音については、要請限度を超過している地点については、要請限度以下のレベルとし、要請限度以下のレベルであるものの、環境基準を達成していない地点については、環境基準の概ね達成を図る。
ウ 今後講ずる主な施策

(ア) 自動車単体対策
・国道43号等における黒煙取締りを実施する。
・黒煙監視モニター制度を実施する。
・低公害車導入補助の拡充等、支援策を強化する。
・天然ガス供給施設設置を促進する。
・自動車NOx・PM法に基づく新たな車種規制を実施する。
・最新規制適合車の購入に係る低利融資等の支援策を実施する。
・低硫黄軽油の早期提供を促進する。

(イ) 新交通管理システム(UTMS)の推進
・公共車両優先システム(PTPS)の整備等新交通管理システム(UTMS)の導入を進める。

(ウ) TDM施策の推進
・総合的な交通需要マネジメント(TDM)施策を推進する。

(エ) 道路ネットワークの整備等による交通流の分散、円滑化 
・阪神高速2号淀川左岸線の整備等を進める。

(オ) 交通円滑化のための道路改良等
・交通渋滞解消のため、交差点改良や道路拡幅等を実施する。
・国道43号等道路改良計画に併せて信号機の運用の見直しを実施する。

(カ) 環境ロードプライシング
・試行中の環境ロードプライシングについて、学識経験者等ならなる検討会において試行の効果を評価する。この評価を踏まえ、継続等について更なる協議・検討を行い、その結果を踏まえ、適切な措置を講ずる。

(キ) 低騒音舗装、遮音壁等の整備
・低騒音舗装や遮音壁の設置等の整備を推進する。

(ク) 環境防災緑地の整備
・買取要望に対応し用地買収を行い、環境防災緑地の整備を推進する。

(ケ) 沿道地区整備
・沿道法に基づく街づくりを推進する。

(コ) 土壌脱硝及び光触媒のフィールド試験
・土壌脱硝装置を設置し継続的に調査を行い、効果を分析・評価する。
・光触媒塗布の効果の把握を行う。

(サ) 調査・測定
・国道43号沿道における測定をさらに充実する。
・国道2号においても、新たな測定局を設置する。


2. 山陽新幹線鉄道沿線における騒音対策
ア 当該課題に係る要因分析

・新幹線は、当地域の中央やや南よりを東西に横断し、全国の事業活動や国民生活にとって欠くことのできない幹線鉄道となっている。
・沿線は、一部のトンネル区間を除き概ね市街地であることから、これまでも騒音や振動が大きな問題となってきた。
・近年、目的地までの所用時間の短縮が図られた結果、列車の走行速度が上昇しており、様々な騒音対策にもかかわらず、その効果が弱められる結果となっている。

イ 達成目標
下記の施策を講じることにより、環境基準の早期達成をめざす。
ウ 今後講ずる主な施策

(ア) 発生源対策
・低騒音新型列車の積極的導入、列車の速度調整等を推進する。
・防音壁の改良、バラストマットの敷設等総合的な対策を促進する。

(イ) 新幹線公害対策連絡会等の開催
・県と関係市町とで構成する「新幹線鉄道公害対策連絡会」等を開催し、国等関係機関との連絡調整、西日本旅客鉄道鞄凾ノ対する交渉、沿線住民の苦情の状況等について情報交換等を行う。

(ウ) 調査研究・普及啓発
・新幹線鉄道騒音低減新技術の開発・導入等を促進するため、
発生源調査研究体制の整備を図る。

(エ) 次期騒音対策の実施
・平成15年度に実施される第3次75デシベル対策の効果等を把握するための調調査の結果に基づき、環境基準達成に向けた次期対策の検討及び実施を図る。


(2) 河川の水質汚濁
(対象河川)
 当地域内の河川の水域のうち、平成13年度に環境基準を達成していない猪名川下流(1)
.、喜瀬川及び別府川を対象とした。
.猪名川下流(1):猪名川の流域のうち、箕面川合流点より下流の区域(但し、藻川分岐点から藻川合流点を除く)及び藻川の区域。

1. 猪名川下流(1)・喜瀬川・別府川のBODに係る水質汚濁対策
ア 当該課題に係る要因分析
・これらの河川のBOD汚濁負荷量は生活系が最も大きな割合を占めている。
イ 達成目標
各河川の環境基準点である中園橋(猪名川下流(1))、野添橋(喜瀬川)、十五社橋(別府川)において、環境基準の達成を図る。
ウ 今後講ずる主な施策

(ア) 生活排水処理施設の整備
・各流域において、引き続き流域下水道の整備を進める。

(イ) 工場・事業場対策
・流域下水道未接続の事業場に対して、接続を徹底していく。

(ウ) 共通施策の推進
・以下に記載の河川の水質汚濁対策に係る共通施策を推進する。

2. 河川の水質汚濁対策に係る共通施策
ア 生活排水対策の推進
・「生活排水99%大作戦」を展開し、各市町で策定された「生活排水処理計画」に基づき、生活排水処理施設の整備を計画的に推進する。
イ ひょうごの森・川・海再生プランの推進
・「ひょうごの森・川・海再生プラン」に基づき、森林、河川、沿岸域等の各分野における環境再生について、参画と協働のもと、モニタリング等を行いながら、流域ぐるみでの取り組みを進めていく。
ウ 工場、事業場の排水規制
・水質汚濁防止法、瀬戸内海環境保全特別措置法及び環境の保全と創造に関する条例に基づき、排水基準等の立入検査を実施し、監視指導を徹底する。
エ しゅんせつ事業
・水質の悪化や悪臭の発生状況に応じて、しゅんせつ事業を実施する。
オ 皮革排水対策

・皮革産業からの排水について、姫路市及び川西市の6地区で前処理を行うとともに、下水道終末処理場において前処理場排水を終末処理する。
・姫路市の前処理場及び下水道終末処理場から発生する汚泥について、兵庫西エースセンターで溶融処理し、資源利用を図る。

カ 畜産排水等の処理対策
・「さわやか畜産確立対策」に基づき、家畜ふん尿処理施設の整備等の事業を推進する。

(3) 大阪湾及び播磨灘の水質汚濁
1. 大阪湾及び播磨灘のCOD対策並びに大阪湾の富栄養化対策
ア 当該課題に係る要因分析

・閉鎖性水域が持つ海水交換の悪さ、植物プランクトンの増殖によるCODの内部生産、過去に堆積した底泥の影響等により、流入汚濁負荷の削減が水質改善に直ちに結びつかない状況がある。
・CODの抑制を図るためには、CODの削減と併せて窒素・燐の負荷量を削減することが効果的である。

イ 達成目標
大阪湾及び播磨灘のCOD、大阪湾の窒素及び燐について、環境基準の達成を図る。
ウ 今後講ずる主な施策
(ア) 第5次水質総量削減計画の推進
A 生活排水処理施設の整備等
・下水道の整備の一層の促進を図るほか、農業集落排水処理施設、合併処理浄化槽等の施設及び汚泥再生処理センターの整備を促進する。
・下水道の高度処理について、流域別下水道整備総合計画に基づき実施を図る。
・下水道処理区域の拡大により、併せて産業系排水の処理を進める。

B 水質総量規制基準の遵守
・水質総量規制基準の遵守・徹底を図ることにより、汚濁負荷量の削減を図る。

C 小規模排水対策の指導等
・総量規制基準が適用されない小規模事業場等排水、畜産排水などの汚濁負荷量を削減するため必要な指導等を行う。

D 廃棄物処理施設の整備
・廃棄物の処理を進め、播磨灘へ流入する汚濁負荷量の削減を図るため、新たな一般廃棄物最終処分場を整備する。 

E その他
・汚濁負荷量を削減するため、底質改善対策、監視体制の整備、調査研究体制の整備等を実施する。


(イ) 富栄養化防止対策 
・水質汚濁防止法に基づく窒素及び燐の排水基準並びに「窒素及び燐に係る削減指導要領」に基づく水質管理値遵守の徹底、「第5次水質総量削減計画」に基づく排出負荷量の削減等、総合的な対策を推進する。

(ウ) 失われた良好な環境の回復・創造の推進
・開発等に伴い失われた藻場、干潟の回復を図るとともに、良好な環境や多様な生態系の創出に努め、水質のより一層の改善を図る。

(エ) しゅんせつの推進
・港湾のしゅんせつ、覆砂等を計画的に行う。

(オ) 流出油対策
・オイルフェンス、吸着剤等を保管し、流出油の発生に備えるとともに、船舶廃油の不法投棄防止のための指導、監視、取締りを徹底する。


(4) トリクロロエチレン等揮発性有機塩素化合物による地下水汚染
1. 当該課題に係る要因分析
・環境基準を超える汚染が確認された17地区のうち10地区については、トリクロロエチレン等揮発性有機塩素化合物を使用する工場・事業場が原因であることを特定できたが、7地区については原因の特定に至っていない。

2. 達成目標
 新たな汚染が発見された場合には原因究明を行い、原因者に対して改善指導を行うとともに、既存の汚染地区については、環境基準の達成を図る。

3. 今後講ずる主な施策
・水質汚濁防止法の規定に基づき、工場・事業場に対し、有害物質の地下浸透規制等を徹底するとともに、地下水の水質を把握するため、概況調査及び定期モニタリング調査により、常時監視を実施する。
・既に地下水汚染等が発見されている汚染地区であって、未だに原因が把握できていないものについては、原因究明を行うとともに、原因が明らかになった地区については、汚染原因者に対する浄化対策の指導等を行う。
・新たに地下水汚染が発見された場合は、井戸水等の飲用指導を行うとともに、その原因を究明するための汚染井戸周辺地区調査を行うことにより、汚染範囲の把握及び原因究明を行い、汚染原因者に対して浄化対策の指導等を行う。
・土壌汚染対策法に基づき、工場・事業場の敷地内での土壌汚染により、健康被害が生じることのないよう、適切な施行を行う。

2 大気汚染対策
(1) 窒素酸化物対策
 「1主要課題への対応(1)交通公害@国道43号等阪神地域の主要5幹線道路の自動車排ガスに係る大気汚染対策及び騒音対策」における記述内容に同じ。
(2) 浮遊粒子状物質対策

1. 固定発生源対策

・大気汚染防止法に基づく排出基準及び環境の保全と創造に関する条例に基づく排出基準の遵守徹底を図るとともに、燃焼管理等について指導する。
・使用燃料の良質化、省エネルギー化等の対策を推進するとともに、特に廃棄物の焼却に伴う的確な規制、指導を進める。
・粉じん対策として、法及び条例に基づく規制基準の遵守徹底を図るとともに、必要に応じて堆積場への散水、工場内の緑化等適切な対策を指導する。
2. 移動発生源対策
「1主要課題への対応(1)交通公害@国道43号等阪神地域の主要5幹線道路の自動車排ガスに係る大気汚染対策及び騒音対策」における記述内容に同じ。

(3) 光化学オキシダント対策

1. 固定発生源対策
・工場・事業場について、大気汚染防止法及び環境の保全と創造に関する条例に基づく規制を徹底する。・低NOxバーナーの導入や適切な燃焼管理の徹底、都市ガス等の良質燃料への転換を推進する。
・固定型内燃機関の設置・変更に際して、脱硝装置の設置等積極的な対策を推進する。
・炭化水素類について、工場・事業場における使用状況及び排出状況の把握に努める。
・ベンゼンについて、環境基準の遵守を徹底するため、監視を行い、必要に応じて法令に基づき報告徴収及び勧告を行う。
・廃棄物処理施設の機能向上によりNOxの排出抑制を図るため、新たな施設整備を行う。

2. 移動発生源対策
 「1主要課題への対応(1)交通公害@国道43号等阪神地域の主要5幹線道路の自動車排ガスに係る大気汚染対策及び騒音対策」における記述内容に同じ。

3 水質汚濁対策

(1) 河川の水質汚濁対策
 「1主要課題への対応(2)河川の水質汚濁」における記述内容に同じ。

(2) 海域の水質汚濁対策
 「1主要課題への対応(3)大阪湾及び播磨灘の水質汚濁」における記述内容に同じ。

(3) 湖沼の水質汚濁対策
 CODに係る環境基準を達成するとともに、新たに類型指定を行った燐に係る環境基準の達成を図るため、汚濁負荷の発生源別等に水質保全対策を実施する。

・生活系負荷対策

農業集落排水処理施設・合併処理浄化槽の整備促進、単独処理浄化槽の合併処理化の推進、高度処理の導入促進、適正な維持管理の徹底

・畜産系負荷対策 家畜ふん尿の堆肥化の促進
・産業系負荷対策 規制基準等の遵守の徹底、小規模事業場に対する負荷量の削減指導
・湖内対策 底層水曝気循環、魚体捕獲、しゅんせつ
4 地下水汚染対策
・硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素について、「硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素にかかる水質汚濁対策マニュアル」に基づき、発生源を特定するための調査を実施するとともに、その結果を踏まえて汚染対策を推進し、汚染の解消を図る。
5 土壌汚染対策
・平成15年1月施行予定の土壌汚染対策法に基づく土壌汚染状況調査や健康被害対策等が確実に行われるよう、土地所有者等に対する指導等を適切に行っていく。
6 騒音・振動対策
(1) 自動車騒音・振動対策
1. 交通需要の調整低減
・共同輸配送の推進、物流拠点の整備等物流の合理化や、海運・鉄道の利用等モーダルシフトを促進する。
・公共車両優先システム(PTPS)の整備等新交通管理システム(UTMS)の導入を進めるとともに、歩道、自転車道、駐輪場の整備等を推進する。

2. 交通流対策
・交通の分散や道路機能の分化を図るため、バイパス道路の整備や迂回対策を推進するとともに、交差点改良、立体交差化等を推進する。
・交通管制システムの整備、道路交通情報の提供等、新交通管理システム(UTMS)の活用を図る。

3. 道路構造等の改善
・遮音壁の設置、低騒音舗装の採用等を推進する。

(2) 鉄道騒音・振動対策
 「1主要課題への対応(1)交通公害A山陽新幹線鉄道沿線における騒音対策」における記述内容に同じ。

(3) 空港環境対策
1. 発生源対策
・効果の大きい低騒音型航空機材の導入の促進を図る。

2. 空港周辺対策
・「公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律」に基づき、騒音の大きさに応じた騒音対策事業を一層推進する。
・国土交通省の補助事業である周辺環境基盤施設整備事業について、公園、緑道等の整備を積極的に推進する。
・空港周辺整備機構による、再開発整備事業、代替地造成事業をはじめ、移転補償、緑地造成事業、民家防音事業を行う。

3. 住居等移転対策及び営業者対策
・住居等を移転する者に対し利子補給を行うとともに、移転補償事業の進捗により経営に支障が生じている小規模企業者に対し、資金のあっせん融資、融資に伴う信用保証料の助成及び利子補給を行う。

7 地盤沈下対策
・地下水の利用については極力抑制することとし、工業用水採取の自主規制の継続、地下水の代替水源の確保、工業用水事業及び上水道事業の整備、推進などを実施する。
8 悪臭対策

・立ち入り検査、苦情処理等により、規制基準の遵守、施設管理の指導及び野外焼却の禁止等適正な廃棄物の処理等指導を図る。
・関係機関と連絡を密にし、指導の強化に努めるとともに、悪臭防止施設の整備等については、公害除去施設資金等の融資制度の活用を促し、対策の促進を図る。

9 化学物質対策

(1) ダイオキシン類対策
・環境汚染の状況を把握するため、ダイオキシン類対策特別措置法に基づき常時監視を実施する。
・同法に基づき、施設の設置の届出時にダイオキシン類の発生抑制等を指導するとともに、立入検査を実施し、排出規制基準の徹底、施設の改善指導等を行う。

(2) 外因性内分泌攪乱化学物質(環境ホルモン)対策
・国が優先してリスク評価に取り組むとした物質等について、引き続き環境調査を実施する。

(3) ゴルフ場で使用される農薬等による水質汚濁対策
・「ゴルフ場における農薬等の安全指導に関する指導要綱」に基づき、農薬の適正使用や使用量の削減について指導を行うとともに、水質調査を実施する。

(4) PCB(ポリ塩化ビフェニル)対策
・液状PCB廃棄物を全国で初めて処理した経験があること等を踏まえ、広域的なPCB廃棄物処理施設の整備を検討する。

(5) 化学物質総合管理の推進
・「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律」(PRTR法)に基づく事業者からの届出を受け付け、化学物質の有害性等の情報収集及び科学的知見の充実等を図る。

10 廃棄物・リサイクル対策

(1) 廃棄物の発生抑制及び循環資源の適正利用の促進
1. 環境と調和した県民のライフスタイルの実現への支援
・様々な機会・段階を通じた情報提供や啓発活動を行うとともに、5R(reduce、reuse、recycle、refuse、repair)生活を支える受け皿の整備を促進する。

2. 事業者の自主的な取組の推進
・廃棄物処理法の規定に基づき、多量の排出事業者への指導を通じて、産業廃棄物の排出量の削減、有効利用の促進を図る。

3. 個別品目ごとのリサイクルの推進
・廃家電について、本県では、兵庫県電機商業組合が中心となって、販売店に引取義務のない廃家電も販売店で引き取るという兵庫方式を導入し、県民の利便性に配慮した取組を行っており、同方式を継続して支援し、円滑な廃家電のリサイクルを推進する。
・建設廃棄物について、建設リサイクル法を受けた「兵庫県における特定建設資材に係る分別解体及び特定建設資材廃棄物の再資源化等の促進等の実施に関する指針」に基づき、再生資源の有効な利用及び廃棄物の減量等を促進する。
・食品廃棄物について、「食のゼロエミッション推進基本計画」に基づき、総合的フードシステムの確立と複合バイオマスの利用促進を図る。

4. 広域リサイクル拠点整備の促進
・臨海部の遊休地や既存インフラと民間活力を積極的に活用した広域的なリサイクル拠点の整備を進める。

(2) 廃棄物の適正な処理の推進
・廃棄物の不適正処理に起因する大気汚染、水質汚濁等の公害の防止を図るため、環境への配慮を十分に行いながら、廃棄物の処理機能の整備拡充を図る。

11 土地利用対策

・「兵庫県国土利用計画」、「兵庫県土地利用基本計画」、「ひょうご都市整備基本方針」等県土の利用について定めた基本方針に沿って、各種土地利用関係法令等の的確な運用を図り、適正かつ合理的な土地利用に努めるとともに、公害を防止し、良好な生活環境を保全するため、適切な土地対策を講じる。
・集落及びその周辺区域の土地利用を整序し、環境の保全が図られるよう、市町及び住民組織が策定する土地利用計画に基づく開発許可制度等の運用を図る。
・都市計画などを通じて、県民がマイカーに依存する度合いを減らすため、自転車道や公共交通機関の拡充、パーク・アンド・ライド施設の整備、さらには職住近接型・買物等利便型などの“人間サイズのまちづくり”、“環境にやさしいまちづくり”を進める。
・「環境の保全と創造に関する条例」に基づき、道路、学校、官公庁、工場等における敷地や屋上等の緑化を推進する。
・産業構造の変化等によって遊休地化した工場跡地等を、水と緑豊かな環境に回復・創造し、快適な生活環境を創出するとともに、環境関連産業の集積による地域経済の活性化を図る「尼崎21世紀の森」を推進する。

12 監視・観測体制の整備及び調査研究等の充実

・大気汚染及び水質汚濁の常時監視等調査を継続していくとともに、必要に応じて新たな体制整備を行い、適切な監視体制の維持に努める
・県立健康環境科学研究センター、県立工業技術センター、県立農林水産技術総合センター及び市の研究機関等における調査研究の拡充、強化を図っていく。

13 環境影響評価等

・規模が大きく環境に著しい影響を及ぼすおそれがある事業の実施に当たっては、環境影響評価法及び環境影響評価に関する条例に基づく環境影響評価制度の適正な運用を図る。
・環境影響評価に当たっては、ミティゲーション(環境影響の回避、最小化、修正、軽減及び代償)の考え方に基づき、適切な対策を講ずる。
・個別の事業の上位にある計画や施策の立案段階において、環境への配慮を組み入れる仕組みである「戦略的環境アセスメント」の導入を検討する。

14 環境保健対策・公害紛争処理・環境犯罪対策

・大気汚染による公害健康被害者対策として、公害健康被害の補償等に関する法律に基づき、認定された患者に対する補償給付及び公害保健福祉事業を実施する。
・公害紛争処理法の規定に基づく兵庫県公害審査会を通じて公害に係る紛争のあっせん、調停及び仲裁を適切に実施し、紛争の解決に当たっていく。
・県の廃棄物対策関係部局、国の廃棄物対策関係機関、市町及び関係団体で構成する「兵庫県不法投棄防止対策協議会」を開催し、廃棄物対策の総合的な施策の検討を行う。
・県民局に不法処理監視員を配置し、産業廃棄物の不法投棄に対する管内パトロールを実施するとともに、事業所への立入検査の強化・充実や原状回復基金制度の活用を図ることにより不適正処理の防止を図る。

第3章 自然環境及び地球環境の保全

1 公害防止計画を進める上での自然環境の保全

・道路、公園等の社会資本の整備に際して、「環境配慮指針」や「環境適応施設計画指針」に基づき、貴重な動植物の保全、地域の生態系の保全、周辺自然環境との調和等について配慮を行う。

・土石採取事業の実施に際しては、「環境の保全と創造に関する条例」に基づく土石採取等遵守基準に基づき、採取等区域の緑化行う。

2 公害防止施策の実施を通じた地球環境の保全

・公害防止施策の実施に際し、「新兵庫県地球温暖化防止推進計画」に基づき、県民・事業者・行政の参画と協働の下、温暖化防止対策に取り組むほか、「グリーンエネルギー推進プログラム」により、一層の省エネルギー対策や太陽光発電、風力発電等の新エネルギーの導入推進を図る。
・酸性雨の原因物質といわれている硫黄酸化物及び窒素酸化物の排出量を抑制するため、大気汚染防止法及び「阪神地域窒素酸化物総量削減基本方針」に基づく対策を推進する。
・道路、公園等の社会資本の整備に際し、「環境配慮指針」に基づき、資源・エネルギーの有効活用を通じた地球環境の保全等を行う。

第4章 各主体の自主的積極的取組に対する支援施策

1 各主体の取組

(1) 地方公共団体の取組 
・本計画の主要な推進者としての地方公共団体は、地域の自然的社会的条件に応じて、公害の防止はもとより、循環と共生を基調とした地域づくりに配慮し、公害防止に係る諸施策を総合的計画的に推進する。

(2) 事業者の取組 
・事業活動に当たって、公害防止のための取組はもとより、資源・エネルギーの効率的利用や廃棄物の削減、生産工程や流通過程における環境負荷の低減等、製品やサービスのライフサイクル全体にわたる取組を実施する。

(3) 住民の取組 
・人間と環境の関わりについての理解を深めるとともに、自己の行動への環境配慮の織り込みに努め、日常生活に起因する環境への負荷の低減に努めることが必要であり、身近な環境をよりよいものにしていくための行動を自主的積極的に進める。

(4) 民間団体の取組
・各主体と協力・連携を図りつつ、専門的な知識や技術を活かし、環境保全のための多様な取組を実施する。

2 環境教育・環境学習等の推進

・各主体が環境学習・教育を通して、環境に対する意識を高め、環境にやさしいライフスタイルを提案し、県民の共通認識として、「ひょうごエコ・ライフスタイル」を創造する。
・環境関連施設での学習や豊かな自然環境などにふれる体験型の環境学習の機会を提供するエコツーリズムを推進する。

第5章 計画の効果的実施

1 計画の推進体制と各主体の連携

・計画の推進に当たっては、国の関係機関、県の関係部局、関連する市町等からなる推進体制を整備し、計画推進主体間の連携を図り、計画の効果的な実施を図る。

・公害関係法令を補完するものとして主要事業所と締結している環境保全(公害防止)協定について、地球環境問題や産業廃棄物の増大など新たな環境問題に対応した新協定への見直しを図る。

2 経費の概要
・本計画に基づく平成14年度から平成18年度までの5年間に要する費用は、事業者が事業活動による公害を防止するために要する経費が約190億円、地方公共団体等が主体となって講じる措置に要する経費は、公害対策事業約4,000億円、公害関連事業約3,300億円と見込まれる。
3 計画の進捗状況の点検

・施策の進捗状況及び環境の状況等を把握するため、毎年度の状況調査、計画の中間年度の点検を実施して問題点・課題を抽出し、施策の再点検を行う。

・計画終了時において最終報告を行い、適切な進行管理とともに明確な分析評価を実施する。

  (別表)計画の目標































 
   区    分     項    目    目    標
1大気汚染






 
浮遊粒子状物質
光化学オキシダント

 
「大気の汚染に係る環境基準について」(昭和48年5月8日環境庁告示第25号)第1に定める環境基準
二酸化窒素


 
「二酸化窒素に係る環境基準について」(昭和53年7月11日環境庁告示第38号)第1に定める環境基準及び第2の2
2水質
 汚濁







 
(1)健康
  項目


 
ア地下水



 
シス-1,2-ジクロロエチレン
1,1-ジクロロエチレン
トリクロロエチレン
テトラクロロエチレン
硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素
「地下水の水質汚濁に係る環境基準について」(平成9年3月13日環境庁告示第10号)第1に定める基準値
 
(2)生活
  環境
  項目


 
ア河川生物化学的酸素要求量「水質汚濁に係る環境基準について」(昭和46年12月28日環境庁告示第59号)第1の2の(1)に定める基準値
 
イ湖沼化学的酸素要求量
ウ海域

 
化学的酸素要求量
全窒素
全燐
3騒音










 
騒音


 
「騒音に係る環境基準について」(平成10年9月30日環境庁告示第64号)第1に定める基準値
航空機騒音


 
「航空機騒音に係る環境基準について」(昭和48年12月27日環境庁告示第154号)第1に定める基準値
新幹線鉄道騒音


 
「新幹線鉄道騒音に係る環境基準について」(昭和50年7月29日環境庁告示第46号)第1に定める基準値